突然変異が起きて遺伝子がコピーされ、重複部分が多いショウジョウバエほど様々な環境に適応する能力が高いことが明らかになったそうです(日本経済新聞)。ゲノム(全遺伝情報)がわかっている11種類を使い、遺伝子全体の中で重複している部分がどれだけあるかを調べた結果、生息する地域が広い種類のハエほど重複が多いことがわかったというものです。遺伝子の突然変異はまれに新しい能力を生むこともある一方で、遺伝子の機能を壊して病気を引き起こすことも知られています。その一方で、コピーされた遺伝子がスペアとなって生命活動を保った結果、突然変異をため込んで環境変化への対応力を獲得したと考えられるそうです。これまで、環境変化に対する強さを調べる方法はなかったそうです。したがって、他の動物や植物でも同じ結果が出れば、環境変化に強い種かどうかがわかる指標になりうるということとなり、生態系の保護に役立てられるとも。
解くのに数十万年かかるとみられ事実上、解読不可能とされていた次世代の「ペアリング暗号」を、コンピューターを駆使して148日で解くことに成功したそうです(MSN産経ニュース)。暗号は278桁で、コンピューター21台を使い、性能を最大限引き出すプログラミング技術で解読に成功し、解読の世界記録になるのだそうです。ネットショッピングや公的機関の電子申請などでは「公開鍵暗号」と呼ばれる暗号が主に使われているそうです。ペアリング暗号はより高機能で次世代の標準にと期待されているものだったそうです。今回の解読を受けて、ペアリング暗号はもろく、情報通信でデータを暗号化する鍵として使うには、より大きな桁数が必要と分かったということになるらしいです。
患者自身の幹細胞から作られた静脈の移植手術にスウェーデンの医師らが世界で初めて成功したそうです(AFPBBNEWS)。この技術は、透析や心臓バイパス手術で必要となる健康な血管を持たない患者らも恩恵を受けられるのではと期待が寄せられているそうです。従来使われている人工血管は凝血塊や血管閉塞を引き起こしやすく、また他人の血管を移植した場合にも生涯にわたって免疫抑制剤を服用する必要があるそうです。また患者自身の血管を取り出して移植する場合でも、摘出部位に損傷を与え障害を残すリスクがあったそうです。今回の移植手術では、肝外門脈閉塞を患った10歳の女の子に、女の子自身の幹細胞から作った静脈を移植することに成功したというものです。死亡したドナーから摘出した長さ9センチの静脈から生きた細胞を全て取り除き、女の子の骨髄から採取した幹細胞を注入し、2週間後にこの静脈を女の子の体に移植したそうです。手術の結果、女の子には合併症も見られず、血流はすぐに正常な状態に回復し、免疫抑制剤を投与する必要もなかったそうです。1年後には追加の移植手術も行われたそうですが、術後の経過は順調で、現在は3キロまでの歩行や軽い運動ができるまでに回復しているそうです。ですが、この新治療には問題もあるそうです。それは、高額な費用と長い準備期間を要することから、一般的な治療法として確立するまでには至っていないことだそうです。さて、今後どうなりますでしょうか。
またまたこんな研究結果を見つけました。台湾に住む65歳以上の男女1888人を10年にわたり追跡調査し研究結果によると、週5回ほど家で料理をする人は、10年後の生存率が47%上昇したというのです(AFPBBNEWS)。料理が健康的な習慣だということでしょうか。この調査は、対象者の料理習慣、買い物習慣、食生活、教育、交通手段や喫煙習慣などといった生活習慣について聞き取りを行ったものだそうです。別の研究では、親と一緒に規則正しく食事を取る子どもは学校の成績が良く、より良好な人間関係を作ることができるという結果もあるそうです。また、これらの子どもは飲酒をする確率が42%低く、たばこやマリフアナに手を出す確率もそれぞれ50%と66%低いとの研究結果が出ているそうです。できるだけ、自炊を選んぶべきだということですね。
脂肪分の高い食事をとる習慣のある男性の子どもは糖尿病になりやすいとする研究結果を見つけました(AFPBBNEWS)。これは一昨年Natureに発表された研究結果です。この研究は、肥満になるまで高脂肪の食事を与えられ、2型糖尿病の前兆を示したオスのラットのグループと、平均的な体重のメスのラットのグループを交配させ、生まれた子ラットは厳しい食事管理下に置かれたにもかかわらず、若いうちに耐糖能障害とインスリン分泌障害になったというものです。このラットの実験で観察されたことが人間にも当てはまるとすれば、人間の糖尿病の発症年齢が下がってきていることも説明できると考えられるそうです。子ラットに起きた代謝の問題は父親の健康障害が子どもに遺伝することによるものではなく、むしろ父親の食事習慣により精子が受けた損傷によるものだと考えられるそうです。ここがポイントでしょうか。過体重の母親から太った子どもが生まれやすいことや、女性の妊娠前、妊娠中の体重が子どもの健康に影響を与えることはこれまでにも明らかになっていますが、父親の食事習慣と子どもの健康を関連づけた研究は初めてものだと思います。子どもを持つ前に、男性も女性と同じく、食事に気を配り、喫煙やアルコールの摂取を減らす必要があるということですね。
高齢の父親から生まれた子どもや孫たちは長生きする可能性があるとの研究結果が発表されました(AFPBBNEWS)。何となくわかっていましたが、研究結果とあらためて示されたものですね。また、比較的高齢でも子作りができるなど遺伝上の利点がありそうだとも。高齢の男性が子孫を残すと、染色体の先端にあるテロメアの長さが伸びる進化的適応が急速に起こり、より健康的に年齢を重ねることが可能になると考えられるそうです。この研究は、フィリピンで若者とその母親計1779人のDNAを分析した結果だそうです。高齢の父親を持つ人々がより長いテロメアを受け継いでおり、この影響は世代を超えて積み重ねられていくことを発見したそうです。さらに、父親が高齢男性の場合には遺伝子変異によって流産や障害児が生まれるリスクが高まることが別の研究で示されているため、研究チームは高齢での子作りを推奨していません。
厚生労働省が、2013年度からの健康増進策を方向づける次期「国民健康づくり運動プラン(健康日本21)」の策定状況を民主党の厚労部門会議に説明し、了承を得たそうです(CBnews)。昨年公表された11年度版の高齢社会白書によると、55年には国民の2.5人に1人が65歳以上になると推計されています。そのため、生活習慣改善のための働き掛けを特に行う対象者に、「現在の成壮年期の世代」つまり55年に高齢世代になる20-40歳の健康対策を加えたそうです。また、社会・生活習慣と生活習慣病とのつながりに関する新しい研究成果などの情報を、単に国民に提供するだけでなく、健康増進に関する指針などにも反映させることが必要などと書き加えたそうです。ちなみに告示は7月中になるそうです。
アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくなどを長引かせ悪化させる仕組みと、その原因となるタンパク質が特定されたそうです(NATIONAL GEOGRAPHIC NEWS)。研究では、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚組織や血液中に「ペリオスチン」というタンパク質の量が多いことに着目したそうです。ペリオスチンは、アレルギー物質(抗原)が体内に入り活性化した免疫細胞から分泌された物質(インターロイキン4、13)が刺激となって作られるそうです。このできたペリオスチンが皮膚の角化細胞表面にある別のタンパク質「インテグリン」と結合することで炎症を起こすことが分かったというのです。さらにペリオスチンがインテグリンと結合することによって新たな炎症誘発性物質が産生され、抗原がなくても症状が継続して慢性化する「悪循環」の仕組みも突き止められたそうです。マウスを使った実験で、ペリオスチンとインテグリンの結合を阻害したところ、アトピー性皮膚炎は起きなかったそうです。アトピー性皮膚炎の治療にはステロイド剤や免疫抑制剤などが使われていますが、副作用が問題になっています。今回の成果は、副作用の少ない新薬の開発や治療に役立つと考えられます。
スマートフォン。便利ですよね。ただ、バッテリーの持ちが問題ですね。そんな悩みを解決してくれる技術開発でしょうか。待機電力ゼロの省エネ半導体メモリーの開発に成功したという発表がありました(YOMIURI ONLINE)。この技術が実用化すれば、スマートフォンなどのメモリーの消費電力を大幅に減らし、電池を5~10倍も長持ちさせることができるそうです。メモリーは、情報をセルと呼ばれる部品に、「0」、「1」という数字に置き換えて記憶していきますが、こうした情報処理を行う際にはすべてのセルに電気を通す必要があったそうです。そのため電力消費量が大きかったそうです。今回の技術は、瞬間的な処理に使うセルは、ごく一部だけであることに着目し、使わないセルの電源を切り、使うセルだけ、10億分の1秒という短時間で電源を入れることに成功したというものです。一刻も早く実用化して欲しいですね。
長寿の秘密を解き明かすために、110歳以上長生きした「超長寿者」50人のゲノム(全遺伝情報)の解析を始めたそうです(YOMIURI ONLINE)。超長寿者のゲノムを大規模に調べる研究は世界でも初めてで、超長寿者は糖尿病や動脈硬化、がんなどの病気が少ないことが知られているので、共通する遺伝子の特徴が見つかれば病気の治療や予防にも役立つと期待されます。寿命には、遺伝的な要因が20~30%ほどかかわっていると考えられているそうです。しかし、20人に1人の割合で見つかるような「遺伝子配列のひとつだけの違い」(スニップ)を、100歳以上の長寿者で調べても、長寿に大きな影響を与える遺伝子はこれまで見つかっていません。このため長寿には、100万人に1人といったまれな遺伝子の特徴や、複数の遺伝子の関与が影響すると考えられているそうです。さて、どのような結果が出るでしょうか。