MATTのひとりごと

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kakaというブランドのウクレレ(2014年9月13日)

2014年09月13日 | ウクレレ

最近はハワイ製のウクレレのブランドとしていくつかの新顔が登場していますが、それをはるかに上回る数の中国製ウクレレが続々と登場しています。
世界最大?の楽器見本市で毎年10月に開催される上海ショーにはそれこそ無数と思えるほどの中国の楽器メーカーや楽器関連メーカーが出展していて、もちろんウクレレ製造メーカーも数多く出展しています。

それらの中で「kaka」というブランドの製品ラインナップの中に最近流行りはじめた?ミニ・ウクレレがありましたのでちょっとレポートいたします。

このメーカーは決してミニ・ウクレレ専門のメーカーというわけではなく、「普通の」ウクレレを数多く製造しています。
たとえばオベーションの「アプローズ」そっくりのウクレレや

とてもサンリオから意匠権の使用許可を得ているとは思えないような「ハロー・キティー」などのウクレレ

も製造しています。もちろんこれら以外にも「まじめな!」ウクレレも彼らのサイトに多数紹介されています。

余談ですが先月「キティーは猫ではなく人間だった!」と衝撃的な事実?を発表したハワイ大学のクリスティン・ヤノ教授は現在ハーヴァード大学で「日本におけるウクレレの歴史と現状」といった内容の論文を執筆中です。

彼らのサイトに「kaka」というブランドにした経緯が書かれています。最初に見たときには中国語だけだったため翻訳ソフトの助けを借りて読んだにもかかわらず、あまりよく理解できなかったのですが、サイトにはその後英文の翻訳が掲載されましたので多少理解が進みました。

ここに中国語と英語の対訳?をご紹介いたしますので話の種?としてご覧ください。

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關於品牌故事
About the Brand Story

Ka是夏威夷王室姓氏,也是夏威夷ukulele文化標誌性詞組,就如最古老夏威夷4K ukulele品牌都含KA一樣。
Ka is a Hawaiian royal family surnames, but also Hawaiian ukulele cultural iconic phrase, as one of the oldest brands Hawaii 4K ukulele including KA.

我們將ukulele取名kaka,
We use kaka as the ukulele name;

一是對夏威夷王族熱愛ukulele、推崇ukulele的精神緻敬!
For the first reason is for the love of royal Hawaii, respected the spiritual of spread ukulele!

二是錶達kaka ukulele 會始終堅持最原始傳統的夏威夷製作工藝,使毎支kaka ukulele都擁有原味純淨快樂的的夏威夷聲音。
Second, kaka ukulele will always adhere to the most primitive traditional Hawaiian production process so that each kaka ukulele has original sound of pure happiness Hawaii.

就像LOGO裡麵繁茂的小樹一樣:kaka ukulele希望能接地夏威夷王室ukulele血統,推齣各種係列的適郃各種階層需求的ukulele産品,用超級的性價儘心把這種簡單、方便、無拘束的音樂文化傳播到世界各地。
Like LOGO including lush trees inside. kaka ukulele hope have Hawaiian royal blood, launched various series of classes for a variety of needs ukulele products, with superior quality and reasonable price  try to spread the simple, convenient, freedom music to this the world.

給無數人帶去關於ukulele的快樂。讓這種屬於夏威夷ka族的文化枝繁葉茂。
Bring the happy of ukulele to everyone. Let this part of Hawaiian ka ukulele be a big family to the world.

これによると・・・・・
「Ka」というのはハワイ王朝の人たちの「苗字」なのでハワイ王朝を尊敬する気持ちから「Ka」をブランド名としてつけ「kaka」とした、さらにハワイ最古のウクレレにもこの「Ka」の付く言葉が用いられていることも採用の理由、とのこと。
中国の場合「Li」とか「Shu」のような漢字ひと文字の「苗字」がほとんどのため「Ka」を「苗字」と扱ったのでしょうが、KamehamehaにしてもKalākauaにしても「Ka」だけを切り離して「苗字」と解釈するのはちょっと飛躍しすぎでしょう。
でもこれが中国のユーザーを納得させる武器となっているわけです。さらに「最古のウクレレのブランド(「で現存するもの」という注釈が必要ですが、そんな細かいことは無視するでしょうけど)はもちろんKamakaですのでこれをリスペクトして「kaka」と名づけたと読み取れます。(「ma」が抜けていますけど・・・・・)

しかし・・・・
わたしの見たところ、kakaというブランドに決めた本当の理由は「トップブランドKALAに対する対抗心」ではないか、と思うのです。

スタンリー・キューブリック監督のSF大作映画「2001年宇宙の旅」には「HAL9000」というAI(人工知能すなわちコンピューターの進化したもの)が重要な役割を担っています。
この映画の製作裏話によると、当初このAIの呼称は「IBM9000」だったそうなのですが、脚本が完成するにつれ、このAIが反乱を起こすような内容に変わってきたため、IBM社に迷惑が掛からないようにと言う配慮からアルファベットで「IBM」の一つずつ前の文字である「HAL」に変更したとのことでした。

「kaka」の命名に際してもこのことを踏まえて「KALAより一歩前にある」という意味から「L」の一つ前の「K」にしたと私は睨んでいるのです・・・・

・・・・だったら「JAKA」にすれば良かったじゃないか、という突っ込みはありそうですが、ハワイ王室の苗字(誤解もしくは曲解)である「Ka」だけは譲れなかったのでしょう。(根拠はありません)・・・・

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今まで私のブログではKALAの「ポケット・ウクレレ」とiUkeの「ピッコロ・ウクレレ」を紹介してまいりましたが、このkakaのサイトでもミニ・ウクレレがあることが分かりましたので、調査を開始いたしました。

これは彼らのサイトの写真です。


サウンドホールがハート型であることから、どうやらこの楽器は「プレゼント用」として作られたような感じがいたします。

サウンドホールの脇にはレーザー彫刻による「Love」という文字と5個の小さなハートが飛び交っています。


以前ご紹介したiUkeにもハート型サウンドホール・モデルが1機種ありますが、そちらはこのようになっていて蝶々?が舞っています。


kakaのミニ・ウクレレのサウンドホール内にこのようなラベルが貼られています。


このデザインはタイトルに使ったイラストと同じですが、いずれも「遊び心」が垣間見られるもので、楽器作りにもこのような余裕が必要かもしれませんね。
それから「Traditional Hawaiian Ukulele」という表現はハワイ製のウクレレでは行わないと思います。彼らがいかに「本家のハワイに近いか」を中国のユーザーに示す意思表示なのではないでしょうか。

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このモデルを以前ご紹介した「ピッコロ・ウクレレ」および「ポケット・ウクレレ」と比較してみました。

まず正面を向けた4台です。


kakaのウクレレ(中央の2台)はポケット・ウクレレ(右端)よりやや大きなサイズであることが分かります。

次に、裏面はこのようになっています。


表面がスプルースでも裏面(も側面も)はマホガニー系の材料であることが分かります。

これが側面で、ボディー厚みの違いが分かると思います。


いずれのモデルも専用のソフトバッグが付いています。


バッグ自体のできばえはポケット・ウクレレ用が最も良く、続いてピッコロ・ウクレレ用で、kaka用のバッグの仕上がりはあまりよくありません。

ついでに触れておきますが、kakaのウクレレについているチューナー(弦巻き)はウォーム・ギヤ(ペグに直結している側のギヤ)の精度が良くないためか、ペグを回転させるのにかなりの力が必要なものも見受けられました。

kakaのミニ・ウクレレの02モデルにはスプルースの合板が使われています。マホガニーの合板はごく当たり前ですがスプルースの合板は珍しいですね。材質がやわらかいためあまり薄くスライスができないと見えてマホガニーモデル(01)と比べて全体の板厚が厚くなっていることが断面写真から読み取れます。


この写真の上が01、下が02モデルで、左側が表板、右側が裏板です。
それぞれの層の厚みをこの写真から読み取ると概略このようになります。

              表板                    裏板

寸法(ミリ)   1層    2層    3層   合計          合計     3層  2層  1層

01モデル    0.19  0.83  0.57  1.59     1.80  0.54  1.05  0.21

02モデル    0.43  1.11  0.66  2.20     1.36  0.28  0.82  0.26

それでは3者の仕様比較をいたしましょう。


今回のkakaウクレレにはコンサート用の弦(Aquila 7U)が使われているようですが、調弦はノーマルウクレレと同様のG4-C4-E4-A4なためそのまま弾いたのでは迫力のないボヨンとした音になってしまいます。
これはもともとの設計がSopranissimoと称するオープンFシックス(C5-F4-A4-D5)であるポケットウクレレをノーマルチューニングにして弾いたときも同様で、ポケット・ウクレレとしてはオープンFシックス調弦が適していることが分かります。

そこで、弦長はポケットウクレレよりわずか長いのですがiUkeに使ったAquilaの94Uという1オクターブ高い調弦用(G5-C5-E5-A5)の弦を張ってみたところ見違えるほど迫力のある音が得られましたので、この楽器の弦を94Uに張り替えて1オクターブ高い調弦にするのが向いていると判断しました。

同様にポケット・ウクレレもオープンFシックス調弦にすると迫力のある音が得られますが、残念ながらその調弦ではすべてのコード・フォームが普通のウクレレと違ってしまうので、実用にはなりません。そこであと1音高いオープンGシックス調弦にすればバリトン調弦と同じコードフォームとなりますし、ギターを弾いている方には抵抗なく弾けると言う利点も出ますのでオープンGシックス調弦を採用するかこれも94Uに張り替えて1オクターブ高いオープンCシックス調弦にするのが良いように思えます。

これらを含め、さらにローG(またはローD)でのバリトン、レギュラー調弦の音域比較をいたしました。


iUkeのレポートでご紹介いたしましたようにピッコロ調弦でローGにするには標準調弦のスタンダード、コンサートまたはテナー用の2弦を転用するのが適当で、これにより音域が広がるだけでなく、切れやすいA5弦のバックアップ用にハイG弦(G5)を使うことができるので助かります。

いずれにしても今回多用した94Uという弦が思いのほか切れにくいのには救われました。

ピッコロウクレレを開発するに当たって、弦メーカーにそれ用の弦の開発を依頼したiUkeのお陰で今回の実験がスムースに進められました。その意味でiUkeの功績は大きいと思います。
たとえkakaウクレレに94Uを張った音の方がiUkeより優れていたとしてもiUkeのこの分野での功績は消えるものではないでしょう。

このあたりの音を聴いてみてください。


いかがでしょう違いをお分かりいただけたと思いますが。

PUAPUAでは当面94U弦の1-3番に張り換え、4番にはそれまで張っていた2番の弦を張ることでオクターブ高いローG調弦の形で販売しています。


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kakaウクレレには説明書が同梱されていました。


ただし、残念ながら中国語のみで書かれているために内容は全く分かりません。でもウクレレ各部の名称などは何かの役に立つかもしれませんね。


楽譜も幾つか含まれているのですが根本的な間違いが一つありました。それはF音を2弦の1フレットではなく4フレットとしていることで、この冊子のすべてで間違っていました。

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最後にこのウクレレにもiUke同様ピックアップを内蔵させることにしました。
iUkeではディジタル・チューナー用の外付けマイクを壊して取り付けたのですが、今回はアンダーサドルがたのピエゾ・ピックアップを取り付けてみることにいたしました。


このピックアップは本来アクティブ型としてコントロールアンプを経由してから出力ジャックに接続されるタイプなのですが、コントロールアンプのバッテリーが切れるとナマ音しか使えなくなるので、ここではそのエレメントだけを取り出しパッシブ型として使うことにいたしました。

アンダーサドル型の欠点は本来サドルが収まる部分にピックアップを寝かせるためにサドルの高さを減らす必要があること


さらに、そのサドルが収まる溝の深さが不十分ですとサドルの収まりが悪くなるため横から見てサドルがヘッド方向に倒れる傾向があることでしょう。

サドルの溝の端にドリルを使ってエレメントが通る穴を斜めにあけます。

紐と糸を使って出力ジャックとピエゾエレメントそれぞれを穴から引き出します。

これで取り付け完了です。


実際には使用したエレメントの音が気に入らなかったためiUke同様チューナー用の外付けマイクを壊したものに置き換えました。

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4 コメント

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思わずポチッするかもです (ヒメリン)
2014-09-20 05:51:00
ハートの形のサウンドホールとボディが可愛いので、
かなりそそっかしい私は、kakaをネットショップで見たら、中国製とは思わずに
kalaだと思ってポッチして買っちゃうかも知れないです。
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ヒメリン (MATT)
2014-09-21 02:07:38
書き込みありがとう!
記事をアップしても何の反応もない日が続くのでみなさんから無視されているのではないかと落ち込んでいたところなのです。

KALAもkakaも中国製ですが、がんばっているのでハワイ製が押されています。

最近ではハワイ製のよりどころであった「コアで作るウクレレレ」の分野にも進出しはじめました。このままでは「ハワイのコアで作ったウクレレなので高価なのは当然!」という言い訳も通じなくなる日が来ることでしょう。

もう一つのよりどころの「ハワイ製」という点も彼らの資本でハワイの工場を作られたら一気に崩れることでしょう。

みなさん「ハワイのコアを使いハワイの工場で作ったウクレレ」を「安いし音も良い(たぶん)」と買って帰ることでしょう。
返信する
KALAお前もか (ヒメリン)
2014-09-21 09:30:22
えっ~えええええ~。KALAも中国製だったのですか???
KALAはアメリカ本土制だとばっかり・・・。

こうなると音が良くて、安ければなんでもいいって気持ちになってしまいます。
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そう思っている方がおおいですね! (MATT)
2014-09-21 11:46:25
KALAの会社自体はカリフォルニアにありますが、製造場所は中国がほとんどで、ほんの一部分だけ中国ではない東南アジアで、そしてカリフォルニアでも作っています。したがってKALAと言えば中国製と思ってまぁ間違いないでしょう。
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