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楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

癒しのナショナリズム

2008-06-16 20:39:54 | 歴史
“癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究
小熊 英二,上野 陽子
慶應義塾大学出版会

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いま歴史をどうみるかを巡って、社会は揺れている。
いわゆる「つくる会」系の「自虐的歴史観脱却派」が圧倒的優位に見える。
そんななか、自虐派とレッテルを貼られた旧勢力ではなく、新しい流れはないのか、と気にしていたら、あるはあるは。
「つくる会」そのものを研究対象としている歴史学者たちがいる。
世の中、バランスのとれているものだと感心した。
しかし、このような流れは、圧倒的なネット社会では浮上していないし、街の本屋ではあまり見ず、専門書の並ぶ大学の本屋でしかお目にかかれないことがバランスを欠いている。圧倒的財力をもつ方が、草の根ナショナリズムを巻き込んで圧倒しているという現状がある。
こちらの方々も漫画でも書いたらいいのにね、と思ったりする。
しかし、歴史観を普及する気はないのかもしれない。

実は、先日本屋へ行ったら、かつての「国民の歴史」と同程度に厚い本がデーンと積んであった。
それはとても読む時間がないので、その著者とはどのような人なのかを知りたくて、この本を手にした。
いやはや、なかなか面白い。

ちょっと趣味の域を超えて来たかな?文系ってやはり生臭い事も研究対象とするので、大変だ。

なんてことを言ってられない現実が、自然科学、地球科学にも実は迫られているのだが。
科学と政治、科学と経済の関係の理解なくしてモラトリアムである時代は終わろうとしている。


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司馬遼太郎の日本史探訪

2008-06-16 20:05:08 | 歴史
司馬遼太郎の日本史探訪 (角川文庫)
司馬 遼太郎
角川書店

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昭和という時代の歴史観形成に巨大な影響力を持った司馬遼太郎。
それはサヨク的なものとは違っていた(当時のサヨクは、司馬を右翼的とさえ言っていたかと思う)。
この人の人の見方、歴史の見方を抜きにして昭和は語れない。
私はかつて、とある学生が司馬遼太郎にのめり込むのに接して、文系音痴から脱却し、ひきづられて、のめり込むようになった。

昭和という時代から随分と時間が経ち、司馬遼太郎も亡くなり、彼のメッセージは風化しつつあることが悲しい。
しかし、それも歴史というものなのだろう。
人間が歴史を見る目は所詮、ホイッグ的なのである。
(ホイッグ的とは、その時点時点にたってしか、過去を見る事が出来ないという歴史観のバイアスのこと)

この本は、歴史上の人物に焦点をあてた対談集である。
最後の対談は、明治開拓時代の北海道のフロンティア精神である。
わずか1年しか北海道にいなかったクラーク氏のインパクトはすごいものがある。
新渡戸稲造や内村鑑三など、武士の精神とキリスト教の精神を融和させ、日本人の誇りを打ち立て、一気に世界へ躍り出た。
内村鑑三のクリスチャンリベラリズムは、後に東大総長となった南原繁へも受け継がれた。
第二次世界大戦末期、日本帝国大本営東大設置を拒否し、戦後のアメリカ進駐軍本部のための東大キャンパス接収をも拒否し、厳然と学問の府の自由を守った歴史へとつながっている。

私は今、アメリカの地に出張できているが、その時代、外国へ出た人間のカルチャーショックを超え、未開国とのレッテルを超え、誇りを築き上げた先人にいつも感動を覚えてならない。
あすから会議、1週間。
頑張るぞ!久々にサイエンスだ!

ここは暑い!でも気持ちいい!


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