楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

悪名の棺

2011-10-09 04:24:59 | 人間
悪名の棺―笹川良一伝
工藤 美代子
幻冬舎


例によってなにげなしに本屋で手にした。
私たちの世代、右翼の超大物、日本裏社会のドン、そして笹川財団ーー、などなどそれこそ昭和の時代に張られたレッテルの多さではピカ1だろう。
私らの世代には、やはりそれが刷り込まれている。著者が女性、それも同じ世代ということも手にした理由にあろう。

1970年前後の日本社会、学生運動が荒れ狂う一方で大ブレークしたユースホステル運動とフォークソング。
全国に若者が溢れたユースホステル運動支援には、モーターボート、競輪などのギャンブル事業からの財政投入ががあった。
公営ユースでは国旗掲揚からはじまったものだ。その背後には笹川良一を始めとする財政出動があり、啓蒙活動があったことも確かだろう。

当時の同じ年齢の日本人はざくっと250万人、大学進学率は25%程度?
今は同じ年齢の日本人はざくっと125万人、大学進学率は50%

当時の大学生たちが、それらの全てを見通して世の中のことを考えていたのかと言われると、そうではなかったと言わざるを得ないだろう。
社会において、何が表で何が裏なのか、何が善で何が悪なのか、ということを考えさせられる書だ。
笹川良一は、社会の頂点から最底辺まで見えすぎていたのかもしれない。

95歳で亡くなるまで続く破天荒な女性遍歴。それは、チンパンジーのハーレムとオスボス支配のサル社会そのものを彷彿とさせる。
しかし一方で、チンパンジーと見かけはそっくりだが、メスボス社会のボノボ(60年代京大霊長研究所によって発見された新種のサル)は至って平和社会。
男社会と女社会、そんなことも考えさせられる書だ。

笹川財団改名、日本財団は、海の研究へも多くの援助をしている。
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