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ルーツの旅(9) 滝蔵(5)

2024-10-05 06:00:00 | 歴史
自立への模索

尋常小学校を終え、高等小学校を終え、将来を決めなければならない。
男手の少ない本家で、山野から生産する仕事は事欠かない。
樹木の伐採、草刈り、薪集め、炭焼き。越冬作業の蓄積は男仕事だ。
田畑狭いながらも、米作は先祖伝来の本業。

田畑、山から生産したものは、宇多川沿いの山上村、時には相馬の中心地、中村までへも払い下げた。
子供時代のように、遊び回ることもできない。
やがて、徴兵検査となり、心身剛健な滝蔵は、甲種合格となった。
召集があれば、赴く覚悟はできている。農民といえども歩卒(足軽)身分を兼ねている。
将門家来の平安の昔からの、相馬の伝統は身についている。
しかし、招集はなく時が過ぎた。

二十歳も半ばになると、長兄の家長継承、滝蔵の嫁取りと自立の課題が本格化してきた。

宇多川、中村街道をさらに上流へ遡り、亘理伊達の領地(現宮城県)側へ入ったところに三男四女人も兄弟姉妹のいる家があった。国(藩)は違うが、滝蔵の家から見ると隣家だ。そこの次女のヨシが候補となった。器量良しの一八歳。 話も整い、時代も大正三年となった春。二人は一緒になった。

戸籍は、滝蔵筆頭の分家とした。しかし、住居は、自立した将来が確定するまでは、本家の隣においた。

この時が滝蔵の人生が最も輝いた時だった。新しい家族、器量良しの嫁。そして授かるであろう子供たちの将来。

滝蔵は、夢の新天地、蝦夷への移住を決意し、準備をはじめた。

(つづく)

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