楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

花見深夜族

2006-03-29 00:43:45 | 生活
 この1週間は、あまりにも忙しく、今日は大学の部屋に泊まっている。忙しいくせに桜につられて少々花見をしてしまった事が原因かな?いやいや、忙しい上に月末締め切りの論文原稿をさぼってここまで追いつめられているからというところが本当らしい。「人がいないね、今年は?」「先生、早咲きで未だ3月、世の中は忙しいピークなのです!」「そうか、俺だって忙しいけど花見をしているぞ!」「今年は、あいつもいない、こいつもいない、寂しいね」。

 普段、学生にきちんと計画を立てて、時を読みなさい、などといっている先からこれだから信用をなくす。でも、寝ずにやる深夜が一番集中できて、雑音が入らずやはりいいものである。来週はどうせ、ヨーロッパだから、夜昼が逆転していても時差が最初からなくて向こうへいって正常になる?

 集中できる時に集中して、眠い時に寝る。このパターンが一番いいのだといって、女房の「規則正しくしないと健康に悪い」という説教を断ち切って、もうどのくらいになるかな?教授会は睡眠と決めてからも長い。さすがに役どころが回ってきた時だけは、まじめに起きていたが。嫌々やる仕事は身にはつかない。試験監督だって絶対に眠る事が許されない。つらい!楽しい事のみ追いかける、思えばわがままな人生を歩んできたものだ。いまだ続けているが。
 さてさて、忙しいので、今日はここまで、仕事仕事。久々の集中!おもしろいぞ。
この忙しい1週間に起こった、おもしろいこと、いずれ紹介しよう。
仕事して、すっきり夜明けの花見をしよっと!
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学会の権威の崩壊

2006-03-22 22:49:45 | 時評
 学者の集まり、またはその道の専門家の集まりを学会という。私もさる筋の学会の長を仰せつかることとなっているが、今、日本中でこの学会の権威が揺らいでいる。大規模に発達するインターネット時代、一部の情報の独占や、その権威づけられた発信はもはや立ち行かなくなる、と見られているからである。ブロードバンドネットワークの実現により、またたくまに情報が世界を駆け巡り、かつ双方向の情報のやり取りを実現しているので。最初の情報が少々歪んでいても、あっと言う間に修正され、正確な情報となる。いま盛んに賑わっている、通信とメディアとの加速する融合の動きなどを見ると明らかである。ホリエモンには先が見えていた。ただ、ちょっと焦りすぎた。

 学会のお家芸であった、論文を掲載する学術雑誌はいまや大変貌を遂げつつある。最近大きな話題の完全公開、無料電子ジャーナルは、最初の投稿から修正過程が総て公開であり、知的所有権を一見すてる形(無料公開)で、実は知的先取権を強く宣言することとなっている。学会の今後のあり方は、価値ある情報発信源としての役割とともに、情報伝達のやり取りのハブとしての機能をどう強化するであろう。

 情報の価値のあるところに、人はお金を投資する。そのような経営的視点なしの、専門家のサロンとしての学会は、ほどなく淘汰されていくであろう。 

 中曽根内閣の宣言によって、今や世界中に溢れ出た日本の博士たち。その人たちが研究に職を得られないと分かった時、専門知識を生かして、そのような情報産業を各分野で作り上げた時、明治以来のサロン的学会は消滅していくに違いない。むしろ、そのような流れこそ、古い学会を「守る」ことより重要であるのかもしれない。 若者たち、奮起せよ!君たちの時代である。
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「知ること」の歴史と「知の爆発」

2006-03-22 21:56:03 | 歴史
現在の情報革命は、人類6番目といわれる。
 最初の革命は「ことば」。言葉によって情報を伝え、知識を伝える。しかし、猿だって数千語はもち、目配せ、表情、なども言葉の内と思えば、これは動物レベル。この時の伝えられる範囲は、聞こえる範囲、見える範囲。記憶は薄れるから、伝えられる量も限られる。文字を持たない人種が歌と踊りによって伝えても、世代を超えて知識を増やす事は出来ず、同じことが繰り返された。数百万年前に人類が誕生したといっても、そのような状態は数百万年続いたのであろう。
             
ナバホ・インディアンの壁画は何を伝えたかったのか?
        
 第2の革命は、文字の発明。最初はアイコンすなわち絵。しかし、これは偉大であった。わずかながら時間を超えて、すなわち世代を超えて知識が蓄積できたであろう。そして、その文字を持ち歩く事で距離を超えて、情報の伝達が可能となった。
 第3の革命は紙の発明。これは知識の蓄積と伝達にとって革命的であったろう。文字を石や銅板や、より軽い木や骨などに記すより、はるかに大量の情報と、長距離に渡る伝達を可能にした。それを基に、人類は爆発的な知識の蓄積を出来るようになったであろう。人類の最初の文明は、この第2から第3への革命を通じて実現し、未開の人類と大きな差を生むこととなった。 数千年前から数百年前までのこと。
 第4の革命は活版印刷の発明。 キリスト教会上層部が独占していた権力に対する抵抗は、宗教改革をもたらしたが、それが一挙に西欧世界を圧巻するのは、活版印刷の発明のため。大量の情報を同じ質で、至る所に流布する事ができた。それによって、やがてルネサンスから産業革命へつながるとんでもない、知識の蓄積が進んだ。もはや世代を超えて、同じ事を繰り返す時代ではなくなってしまった。
 東洋でいう、30にして立ち、40にして己を知り、50にして惑わず、60にして己の欲するままに---、などどいう人生の道筋は、世代を超えてもほとんど同じ事を繰り返していれば良かった、時の流れの穏やかな時代のこと。もはや世代を超えての知識の蓄積、ものごとの進歩が激しく、親の世代は遠い昔のこととなってしまった。いつまでも不惑に至らず人生の終わる時代となった。 
 第5の革命は20世紀初頭、知識の爆発をもたらす情報革命はとどまる事を知らず、電波による通信、ラジオ、テレビの発明。これでマスコミは先の時代の新聞に加えて、より大量で均質の情報の流布を可能とした。20世紀は19世紀に続いて、「知の飛躍的な爆発の時代」となった。
 そして、21世紀初頭の今、第6番目の情報革命が進行中である。それはブロードバンドインターネット。情報を発信したい、受けたい側が、自由にかつ大量に世界に向かって情報をやり取りできる時代となった。あまりにも大量の情報を整理する機能も日進月歩。この双方向瞬間情報伝達システムの成立は、まちがいなく「知の爆発」へつながる。
 21世紀は人口も大爆発、この世紀の終わりには、地球を食い尽くす(アインシュタインによる,物質はエネルギーであると換算しても)ほどの世界人口となる。それを地球は養えないことは明らかなので、人類大量絶滅となるという予測に「知識の爆発」は対応できるであろうか。
 21世紀の「知の爆発」はそのような使命を担っている。
 
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「知りたい」ための我慢

2006-03-21 04:14:35 | まじめ

 ある「知りたい」ことのための巨大プロジェクトの会議。
技術の困難のために出来ないかもしれないという。お金が足りないので、出来ないかも、という。
誰がって?それは技術を持っている人。それはお金を持っている国。
でも私たちは「知りたい」のである。技術もなければお金もない!でも、ただただ「知りたい」のである。

こころの中で、以下の問答。
(「ジェット戦闘機一機より遥かに安いだろ?」「ピンポイントでミサイルを当てる技術より遥かに易しいだろ?」
「人を殺すための道具で墜落したり、爆発したりして一瞬に消えてしまうような壮大な無駄ではないよ」)

「私たちの研究によって分かる事はすぐに役に立たなくたって、必ず役に立つ時が来る」
 だとしたら安いものではないの.
「そこで開発される技術は必ず役に立つ」

といっても「すぐに役に立つ?」などと言われると本当に腹が立つ! 
だから長期展望のない日本は駄目なんだ!と切れたくなる。
(我慢我慢ーー、切れると負け。するが堪忍、なすが堪忍。大義の前の冷静沈着。)


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「知りたい」ということ

2006-03-20 21:55:52 | 科学
前に、理学の目的は「知ること」と書いた。「役にたつこと」は二の次なのだと。しかし、このことへの風当たりは強い。

「そそ、そんな?だって国立大学の先生って国民の税金で給料をもらい、生きているのでしょう?国民の税金で研究しているのでしょう?それなのに役に立つ事は目的ではないなんて、許せない!」って声が聞こえてきそうだ。

誤解しないで欲しい。「役に立たない」研究をやっているのではなく、役に立つまで時間がかかることが多い、のである。役に立つまで、100年やそこらは軽くかかるかもしれない。

 ではどうして、そんなに「知りたい」と思うの?すぐには役に立たないのに?

 答えは「それは生命の本能です」というしかない。「知る」と、心が落ち着くのである。なぜ?生きていく上で、何が起こるかを予想でき、安全・安心が広がるからである。安全・安心が広がると役に立つでしょう?だから人は、「知りたい」と思うのですよ。子どものとき、「これは何?」「どうして?」と5W1H (What, Where, When, Who, Why, How)を繰り返して、大きくなったよね。理学の人たちは大人になっても、それをやり続けている子どもなのです。そして、研究者というのは、そのことを職業としてしまったのです。
 地震がいつ、どこで起こるか?いまだにわかりませんね。怖くて、怖くて不安ですね。だから地震学者は一生懸命その謎を解き、なんとか予想できるようにしたいと頑張っているのです。宇宙の始まりと終わりを知れば、自分たちってなんてちっぽけな存在か分かりますね。 宇宙140億年。地球の歴史は46億年。生命が殻や骨を持つようになって6億年。人類が誕生して数百万年。人間らしく文明を持って、ざっと1万年。人生頑張って100年(しかし半分は寝ている)。すると、細かい事でくよくよすることがばかばかしくなってきませんか? そんな心の落ち着きも与えてくれるのですね。知ることによって。

 何か、文学部や芸術学部みたいですね。
そうなのです。 人々の心の落ち着きどころ、夢を与える、という点では同じですね。
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