体操を見ている人の一部、とは言えないくらいかなりたくさんの人が、中国選手たちに理不尽なくらいの反感を持っているのがとても残念だ。彼らの演技は素晴らしいし、サービス精神も旺盛なのに。
それに、礼儀正しくていい奴そうな選手が多いと思う。全体的に、日本選手よりもキャラクターも明るいし。
中国選手たちの演技を汚い、汚いって馬鹿にする人はよく見る。汚さで言ったらアメリカ選手のほうが上だろうし、ただ気に入らないからケチをつけたいだけのように見えて、なんだかなあ。
「美しい体操」ってよく言うけど、美しいってなんなんだろう。解説の言い方から考えて、細かい姿勢のことを言っているのかな、という感じがするんだけど。
そもそも、中国選手の演技ってそんなに汚いかな？ 日本選手の演技って、言うほど綺麗かな？
内村選手は綺麗だよ。田中選手も綺麗だと思うし、冨田選手も綺麗だった。でもそれ以外の選手はどうだろう。大概の日本選手が美しい演技をしている、と本当に言えるのかな。
平行棒に関して言えば、中国選手の演技は綺麗だと思う。姿勢もいいし、流れもいい。技の切れ目があまり見えなくて、淀みなく流れていくような演技をする選手が多い、ような気がする。
姿勢だけじゃなくて、流れも大事だよね。美しいと感じる要素としては。点数に影響があるのかは知らないけど。
姿勢だけ良くて流れが悪い演技よりは、姿勢に多少の欠点があっても流れのいい演技のほうが私には綺麗に見えるかな。
鞍馬も、少し前までは肖欽とか張宏涛とか、すごく綺麗な演技をする選手が中国にはいた。あれにちょっとでも対抗できるレベルで美しい鞍馬の演技ができる日本選手って、鹿島くらいしかいなかったような。
鄒凱の演技は、特に汚い汚いって槍玉に挙げられている気がする。
でも、鄒凱の床って綺麗だと思う。内村は別として、大概の日本選手よりも美しいんじゃないかな、床に関しては。
スローじゃなくてパッと見では、内村と同じくらい綺麗に見えるし。流れもいいし、綺麗でなおかつ勢いやダイナミックさもあるところが素晴らしいと思ってる。おもいっきり贔屓目だけど。
鄒凱の鉄棒に関しても、言われるほど汚いとは思わない。リバルコとか、惚れ惚れするくらい綺麗だよ。捻りだけに関してなら、鄒凱の鉄棒は美しいと言えるんじゃないかな。
他の選手のときはそうでもないんだけど、鄒凱の演技の時はなぜか手元ばっかり見てしまう。よく指摘される、足先がバラけていることとか、姿勢のことが全く気にならないのは多分そのせいかな。
逆に、内村選手の鉄棒は、姿勢も良くて勢いもあるけど、捻りに関しては弱いというか物足りないと思う。
まあいろいろ書いたけど、ダイナミックで雑な演技も私は大好きだ。必ずしも美しくなくてもいいんじゃないか、って基本的には思っている。汚いと言われようが沖口選手の床、水鳥選手（引退したけど）や植松選手の鉄棒の演技は大好きだしね。
綺麗な演技よりも、勢いのある演技のほうが私は惹かれるかな。
日本選手のことはそれなりに応援しているけど、演技はちょっと小さくて、勢いとかスピード感に欠けるものが多いような気がする。
純粋に演技だけ見たら、中国選手やアメリカ選手のほうが好き。特にアメリカ選手の演技は力強くてダイナミックだと思う。
昔は私も中国選手がちょっと苦手だったんだけどね。機械みたいな印象で、人間味が感じられなくて。
でも北京オリンピックのとき、優勝した中国選手たちが涙を流して喜んでいるのを見て、なぜか感動してしまった。この人たちも人間なんだなと思って。いや、そりゃ人間に決まってるんだけど。
それから中国選手たちの演技をちゃんと見るようになって、だんだん好きになっていった。
正月のイベントかなにかで女装して白鳥の湖を踊っている動画も見て、そのサービス精神にも惹かれた。
ロンドンオリンピックの団体決勝のとき、私が一番応援していたのは中国チームだった。吊り輪がダメで鉄棒最強なところが大好きだった。
