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「ジェームズ・ボンド「本物の男」25の金言(田窪寿保)」という本はとてもオススメ!

2014年10月03日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 「ジェームズ・ボンド「本物の男」25の金言」という本は、映画007シリーズの主人公であるジェームズ・ボンドや彼をめぐる人々の「金言」を基に、教訓をまとめたものです。

 この本はリスクを負って覚悟を決め、退屈を打ち壊して行動や冒険をし、即断即決、そして決して怒らず、またこだわりをもつそんなジェームズ・ボンドについて書かれているだけでなく、著者の英国でのビジネスの考え方や英国の文化等についても興味深く書かれていて、とても楽しく読めましたね。

 また知らなかったのですが、ジェームズ・ボンドは30歳以上の人妻にしか手を出さないんですね^_^;)
若いボンドガールに手当たり次第というイメージでしたが、そういやそうかもしれません。 

 それから、英国では美味しいものがないというのが通説ですが、イギリス料理のおいしい店はガイドブックには掲載されておらず、一般人には開かれていなくて、ジェントルマンズクラブの中にひっそりあるというのも知りませんでした。
本当はおいしい店はあるんですね。

「ジェームズ・ボンド「本物の男」25の金言」という本は、映画だけでなく英国ビジネスや文化についても楽しく学べとてもオススメです!

なお、著者が日本で立ち上げた「グローブ・トロッター」というバッグも気になりましたね。

以下はこの本のポイント等です。

・ボンドの愛用するシャツやタイで有名なターンブル&アッサー社の社長、スティーヴン・ミラーがよく口にする言葉がある。「いいものを見極めるために、一番必要なものは年齢だ」人間は誰でも年を取る。それは絶対に避けて通れない現実だ。だが、単に年を取っていくわけではない。「毎日」という「経験」を積み重ねながら、人生を歩んでいく。それがどんな経験かで、人生はまったく異なるものとなる。

・覚悟は、ビジネスを行う上で何より大事である。私自身独立し、十数年間ビジネスを続けてきて痛感するのは、このことだ。ビジネスする者が、まず持たなければならない姿勢。それはリスクを負うこと。つまり、損をする覚悟をすることである。覚悟がないと、何もできない。リスクを負わなければ、リターンはない。ハイリスク・ハイリターンというように、リスクとリターンは必ず表裏一体だ。ローリスク・ハイリターンということは絶対にない。ミドルリスク・ミドルリターンはあるかもしれないが、相応のリスクを負わなければビジネスは立ち行かない。

・いかなる仕事であれ、覚悟を持たなければ、うまく行くはずがない。そして、覚悟を持ちさえすれば、必ず成果を上げることができる。ビジネスの成功と不成功を分けるのは、このようにいたってシンプルなことなのではないだろうか。

・運を高めるためには、自分でリスクを負わなければならない。身銭を切り、自分でコミットしなければ、ダメだと思う。それが「覚悟」ということなのだ。ビジネスには、二通りある。コミットメント型とファイナンシャルプレイヤー型。後者は、資金を投資などによって集めるので、補償があり、リスクが低い。一方、前者は、すべて自分のお金を元手にする。私のビジネスは、コミットメント型である。その方が緊張感もあり、おもしろさが全然違う。私は、やはりビジネスは面白くないといけないと思っている。

・映画「カジノ・ロワイヤル」では、ボンドがカジノで大負けする。ボンドは深みにはまり、さらなる資金調達をヴェスパーに頼む。そこでヴェスパーは、ボンドに説教する。「あなたが、そのエゴを殺さない限りは無理よ」エゴを捨てなければ、エゴにやられることになる。自分がやりたいことをやっていればいいというわけではない-。ヴェスパーが言いたかったのは、およそこのようなことだろう。エゴだけで動いていれば、必ず失敗してしまう。これはビジネスをしている者なら、誰もが経験することだろう。ボンドは、ヴェスパーのこの言葉を受け止める。そして未熟から脱却し、セルフコントロールを覚えるのだ。

・「ロシアから愛をこめて」の原作で、ボンドは「神々が打ち滅ぼさんとしたまいしもの、まず退屈なり」を独り言としてつぶやく。彼にとって戦いやスリルは酸素のようなもの。それがなくては生きていけないのである。私はこの言葉をさらに押し広げて、こう受け止めている。「常に行動せよ。行動からすべては生まれる」退屈は何も生まない。それどころか、人間を腐らせてしまう。退屈を打ち壊すのは、行動だと私は思う。思考は後から付いてくる。

・私はイギリスの文化が大好きである。しかし、妄信しているわけではない。日本のほうが優れていると思う点も、たくさんある。ビジネスは経済合理性の世界だ。向こうで仕事をする際でも、私はイギリスのやり方がすべていいとは思わない。日本式のほうが、よりよい結果が得られると思えば、そちらを選ぶ。文化の違いとして済ませるのではなく、どちらの方法が合理性に適うかという視点に立ち、ビジネスを推し進めてゆけばいい。これが私の、外国でビジネスを行う時の考え方である。

・イギリス人一人ひとりの心を開くため、私は毎日のように誰かをpブに誘った。職人には職人の、マネージメントにはマネージメントの言い分がある。そこには調整すればかみ合う点がいくつもあり、私はそれらを実行した。数ヶ月後、早くも結果は表れた。生産性が数十パーセントアップしたのだ。職人たちも以前に比べ、笑顔が多くみられ、表情が生き生きしている。日本の企業に外国人のトップを迎えた途端、売り上げが飛躍的によくなることがある。それは組織が長い時間の中で、自家中毒を起こしていたからではないだろうか。私はいかなる伝統であれ、弊害になっていれば、すぐに変えるべきだと思う。それが国民性によるものであれば外国人を連れてくることが、一番手っ取り早い。

・結局人は、「自分のため」にしか働くことはできない。それが私の答えである。マティスの言う「人間」とは、私にとっては「自分」ということだ。さらに言うと、私は「自分の達成感のため」に働いている。人生は、あっという間に過ぎてしまう。単にお金や名誉のために働くには、人生は短すぎると、中年になってつくづく思う。どこまで高い山を登れるかということが、結局私には一番面白い。よりくだけた言い方をすると、「今できる最高の無茶をする」というのが私のポリシーである。私はこれを、ジェームズ・ボンドから学んだ。ボンドは、毎回とんでもない無茶をする。落下する飛行機に飛び乗ったり、炎の噴き上げる車を運転したり、凄まじい危険の中に身を投じる。これはビジネスでも言えることだ。私の場合でも、M&A(買収)を仕掛けたり、わが社を憧れのボンド映画のスポンサーにしたりするのは、大きな賭けである。ギリギリのところに立つことで、自分の力は最大限に発揮できる。そしてうまく行けば、高い山は乗り越えられる。その達成感が、仕事では一番大事なのではないだろうか。ボンドはいつも、一種の欲望で動いている。それは金銭欲や名誉欲といった卑俗なものではない。より本能的で原始的、フロイトの言うリビドーに近いものだと思う。ボンドは危険と知りながら、自らそこに飛び込み、スリルを楽しんでいうようなところがある。自分を厳しく律しながらも、何かあれば自暴自棄寸前のギリギリに立つことをいとわない。その意味で、第18作のタイトル「トゥモロー・ネバー・ダイ」(明日という日はない)ほど、ボンドの生き様をよく表しているものもないと思う。やりたいこと、できることを今日すべてやり切っていれば、いつ死んでも悔いはない。やり残したことを、明日に持ち越す必要などないはずだ。逆に、こうも言える。明日はないと思えば、今というこの時に十分な力を発揮でき、人生全体をより生き生きとしたものにできる。どんな時でも、希望はあるのだ。「トゥモロー・ネバー・ダイ」は、ボンドの生き方だけでなく、死生観にまで及ぶ、とても深いタイトルだと思う。

・勝手の違う場所に、いかに適応するか。どうすれば変に目立たず、カメレオンのように溶け込めるか。ビジネスでも、このことはとても大事である。「ロシアから愛をこめて」のボンドと同様、海外で仕事をする時は、とりわけそれを考えなければならない。ビジネスの基本は、まず相手の心を開くことである。私自身、イギリスで仕事をしてきて思うのは、他の欧米人と比べ、イギリス人は距離の取り方が日本人と似ているということ。日本人は最初から仲よくならない。イギリス人もそうである。快適な距離感の取り方が、とてもよく似ている。イタリア人やアメリカ人は、初対面から距離が近い。いきなりハグやボディタッチをしてくる。慣れない日本人は、ドキドキしてしまう。イギリス人は最初距離がある。異性間でもキスしたりせず、握手だけである。会うたび、少しずつ距離が縮まってくる。

・イギリスでビジネスをする際、いろいろ試したが、相手の心を開くのに一番いいのh、実は飲みにいくこと。日本人的なノミニケーションである。思う以上に、効果がある。イギリス人は、仕事の終わった後、パブに行く習慣がある。会社帰りに日本人が居酒屋や焼鳥屋に行くのと、よく似ている。イギリスでも一度飲むと、相手と絆ができる。「なかなか面白い奴じゃないか」と打ち解け、心を開いてくれる。日本と違うのは、はしごをしないこと。一杯ひっかけて次の店へ行くことはしない。同じ店で、3~5杯飲んで、盛り上がる。その後に一緒にメシを食べないところも、日本と異なっている。食事は飲んだ後、めいめい家に帰って取る。イギリスには、日本のように接待やビジネスディナーの文化がない。もし、日本でのように男同士で食事に誘えば、相手に「何かあるの?」と思われてしまう。ゲイと間違えられるのだ。向こうにいた頃、家族が来るまで一人暮らしだったので、イギリス人の仕事仲間を夕食に誘ったことがある。すると、「ハア?」と、相手に退かれてしまった。
また、イギリス社会は、日本よりずっと冷たい。日本社会はあいまいだが、イギリスは、「こいつは使えない」となると、スパッと切り捨てる。その怖さを常に意識しなければならない。それは、ある意味閉鎖的であるということだ。日本でいうと、京都に近いかもしれない。受け入れてもらうためには、進んでコミュニティの中に入らなければならない。そうしなければ、シャットアウトされてしまう。

・帰属する組織や出身大学をひけらかすことは、自慢である。イギリスでは、自慢話をする人は非常に嫌われる。「自慢話は喧嘩よりたちが悪い」とも言われる。自慢話が嫌われるのは、日本も英国も同じだが、特に中年以上の男性は気をつけた方がいい。酒の席などでは、つい調子に乗って自慢話や武勇伝を披露してしまうことが多い。自分がどんなにすごいか、えらいか。相手にとって、これほどうんざりする話題はない。男は背中で語るもの。黙っていても、実力はにじみ出るオーラでわかる。自慢も武勇伝も話したことのないボンドが、格好の見本である。実際彼が、どれだけたくさん、ものすごい武勇伝を持っていることか。それを一度たりとも話さない彼は、何と奥ゆかしく、風格があることだろう。イギリス人も「自慢」をすることはある。しかし、英国紳士のそれは非常に楽しいものだ。彼らは自分の境遇を、自虐的なギャグにして笑い飛ばしてしまう。代表的なものとしては”バカ自慢”と”虐げられ自慢”がある。バカ自慢とは文字通り、自分がいかにバカであるかを面白おかしく話すものだ。虐げられ自慢は、主に家庭に関することだ。一流ビジネスマンも、家に帰ればただの人。女性のほうが強いのは、日本もイギリスも同じである。

・中年になって背中や腹に肉が付き、ようやくスーツが似合うようになった。背広は体の細い若者には似合わない。スーツを着こなすためには、かっちりした仕立てに負けない肉体のボリュームが必要なのだ。また、イギリス人は新しいものを極端に嫌う。新築のマンションより、古い石造りの家。量販店で売っているピカピカした家具より、アンティークの家具。新車よりクラシックカー。服も、下ろしたてはカッコ悪いとされている。服を買ってきたら、まず家で2~3回着るという人もいるほどだ。若さや新しさが幅を利かせる日本とは違い、イギリスでは古いもの、歴史を感じさせるものこそがいいとされるのである。

・ビジネス社会を生き抜き、勝ち抜くための武器、それはお金である。先立つものがなければ何もできない。これを武器に、ビジネスチャンスをつかみ、事業の規模を大きくしていける。このお金が、曲者である。それは武器であると同時に、まかり間違えば自分を傷つける。場合によっては死に至ることもありうるだろう。まさに諸刃の剣という言い方がふさわしい。まず、やはり自分が持っているお金がどれくらいなのか、把握しておかなければならない。これはビジネスに限らず、普段の生活にもいえる。手持ちのお金がいくらあるのか、意外と知らない人が多いのも事実だ。これはとても恐ろしいことである。出入りを含め、キャッシュフローがどのくらいなのか。超えた時、どこかから借りるのか。その場合、いくらが限度なのか。こうしたことを把握していなければ、必ず痛い目に遭う。人は、ことお金に関して愚かな面がある。買い物で少々お金があると、よけいなものや分不相応なものを買い、浪費してしまう。ビジネスでも欲をかき、会社を買収しようとして躍起になり、返すあてのない額を借りてしまう。背伸びし、身の丈以上のことをしてしまうのだ。自分にいくらお金があるか把握していないのは、燃料がどれほどあるかわからずに飛行機を操縦するようなものである。ボンドが先を予測して行動するように、私たちも自分の手持ち金額をしっかりつかんでおきたいものだ。そして、彼が携行する武器を最小限にするように、私たちも身の丈以上の出費は避けなければならない。

・ボンドは、怒りが百害あって一利なき感情であることをよくわかっている。冷静に任務を遂行する彼に、それは障害にしかならない。決して怒らないボンドには、単にカッコいいだけでない、智恵者としての姿を見る思いがする。

・英国紳士は、自律を重んじる。散歩の時間から朝食の作法まで、ありとあらゆるものに自分のルールを作り、それに従って生きるのが、彼らの日常だ。例えば、外国にいても、午後になると、彼がきちんとティータイムを取るのは、有名である。生粋のイギリス人であるボンドにも、たくさんのこだわりがある。「卵の茹で時間はきっちり3分20秒で」「ドンペリは3度以下で飲まなきゃいけない」「ビートルズは耳栓をして聴かなければいけない」「紅茶は泥水のようなものだから、飲んではいけない」イギリス人であるにもかかわらず、ボンドは紅茶が大嫌いなのだ。「紅茶が大英帝国の衰退の原因だ」とまで言っている。このようにボンドは、偏屈なほどいろんな「こだわり」を持っている。これらはすべて、他人から見れば、くだらないこだわりかもしれない。しかし、こだわりとは、他人や流行に流されず、自分を貫くことである。はっきりした趣味や嗜好、主張や主義を持つことだ。だが、自分を押し通すことには、当然、ストレスもある。特に我々日本人は、協調性を重んじるあまり、「個」を打ち出すことをおそれる。しかし、そうした苦行にも似た日常が、男の魅力を醸しだし、その人を本当の意味での紳士に育てるのだ。

・女性に関しては自由奔放に見えるボンドだが、そこにも彼なりのルールがある。それは、「人妻にしか手を出さない」ということだ。理由は、「事が簡単で、後腐れがないから」。本当にそうかは別として、一晩限りの刹那的な恋愛を繰り返すボンドらしい意見である。

・英国紳士の気質を語る上で、非常に象徴的な求人広告がある。20世紀初頭にロンドンの新聞に掲載されたものだ。「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る」英国を代表する探検家、アーネスト・シャクルトンが、南極探検に出発する同志を募ったものだ。この広告に対して、5000人もの応募があったという。イギリス紳士が欲しいもの。それはお金でも社会的権力でもなく、名誉と賞賛なのである。ボンドがよく言う「女王陛下のために」も同じである。ボンドを突き動かすのはお金ではない。彼は女王陛下、つまりお国のために戦っているのだ。ただし、それはあくまで建前である。ボンドは、国家公務員(!)だからだ。実は、自分のスリルのために戦っているというのが、本音だろう。また、英国紳士たちは、たとえ大金持ちであっても贅沢はしない。アメリカのセレブや、日本のヒルズ族などと違って、彼らは金を持っていることをアピールするのを極端に嫌う。質素倹約が彼らの信条なのだ。

・「カジノ・ロワイヤル」で、ボンドはヴェスパーにイートン校出身であることを見抜かれる。日本人には、今ひとつなじみの薄いイートン校とは、どんな学校なのだろう?イートン校は、ウインザー城の程近くにある、全寮制の私立男子校である。イギリスではステイトスクール(公立学校)に対して、私立学校のことをパブリックスクールという。イギリス国内に多くあるパブリックスクールの中でも、イートン校はもっとも歴史ある学校だ。13~18歳までの良家の男子約1300人が、寝食を共にしながら学業やスポーツ、芸術にいそしんでいる。1440年の創設以来、現職のキャメロン首相をはじめ、19人もの首相を輩出したほか、ウィリアム、ヘンリー両王子も、イートン校のOBだ。つまり、ものすごいエリート学校なのである。日本の東大と京大にあたる、オックスフォード大やケンブリッジ大への進学率が極めて高いのも特徴だ。イートン校は、私立といっても日本のそれとはまるで違う。校舎は石造りのお城、制服は指揮者のような燕尾服だ。教師たちは古色蒼然として黒マント姿である。まるで萩尾望都の「トーマの心臓」や、「ハリー・ポッター」の魔法学校の世界だ。学内には、15世紀に造られた「カレッジチャペル」があり、壮麗な装飾の施されたパイプオルガンやステンドグラスの窓、宗教画などが当時のまま残されている。毎朝8時40分からチャペルでミサが行われ、食事は生徒全員が長テーブルに着いて食べる。その後、夕食の19時30分までみっちり授業が続くのだ。寮は全員に個室が与えられる。1300人の生徒は25の「ハウス」に分けられ、「ハウスマスター」と呼ばれる先生と生活を共にするのだ。このような密度の高い5年間で、生徒たちは、勉強だけでなく、英国紳士としての礼儀作法、時間管理の仕方、仲間を大事にすることの重要さ、上手いスピーチの技術などを、自然に身につけてゆく。多感な青春時代を濃密に過ごした少年たちは、女王の国を支える紳士として巣立っていくのだ。

・フランス人やイタリア人に比べて、イギリス人は「おいしいものが食べたい」という欲求が極端に少ないと思う。「食」に無関心な人が多いとも言える。それは産業革命の時、忙しさで食事に時間をかけることができなかった名残とも、ピューリタン的な禁欲思想のためとも言われている。乱暴に言ってしまえば、お腹が膨れて、栄養が摂れればいいという、ある意味合理的な考えを持っているのである。最近は少し変わってきているが、「料理なんかに、大切な時間やお金を費やすなんてばかばかしい」とさえ言うイギリス人もいるのだ。このようにイギリス料理は、とかくイメージが悪い。ところが、優秀なコックが、ちゃんと作ったものは、驚くほどおいしい。肉汁したたるローストビーフや、イギリスでは料理として食べられるプディングも、イタリアンやフレンチに負けないくらい美味だ。残念ながら、イギリス料理のおいしい店は、ガイドブックには載っていない。その門戸は、一般人には開かれていないのだ。最高のレストランは、ジェントルマンズクラブの中にひっそりある。

・ジェントルマンズクラブとは、基本的には女人禁制の紳士の社交場である。限られたメンバーによる会員制で、通常2人以上の紹介がなければ入ることはできない。紹介者を得られても、6ヶ月以上のウェイティングリストがあるのが普通だ。場所だけでなく、所在すら一般には知られていない。イギリスでは、所属しているクラブが、一つのステータスなのである。

・美しいボンドガールたちとのラブアフェアは、007シリーズのお約束だが、ボンドは誰とでも無節操に情事を重ねているわけではない。そこには、彼なりのルールがちゃんと存在する。第一条件は、人妻であるこお。ボンドは独身や若すぎる女性には手を出さない。30代の前半から半ばまでの女性が、彼のストライクゾーンだ。ボンドは言う。「僕にとって、この年頃の女性が一番魅力的だ。うぶな若い女は、どんなに美しくてもすぐに飽きてしまう。彼女たちは時間や忍耐など、僕にいろいろなことを要求してくるからね。まだ若い女には、結婚という目的がある。それに引き換え、年輩の女性は違う。情事に対する知性と理解があり、肉体だけに限定された関係を持つことができる。一番肝心なのはそこだよ。ややきおしくもつれることがない。僕はお互いの納得がなければ、行為に及ぶことはしないし、相手の結婚生活を脅かすようなことも絶対にない。お互いに大人で、お互いに楽しむことが重要なんだ」

・私がボンドオタクだと言うと、よく聞かれる質問がある。それは、「どのボンドが一番好きですか?」というものだ。この答えは非常に難しい。なぜなら、初代ショーン・コネリーから最新のダニエル・クレイグまで、それぞれ独自の美学があり、どの俳優の演じるボンドもしびれるほどカッコいいからだ。私が子供の頃夢中になって観たのは、ロジャー・ムーアの演じるボンドだ。でも、今観ると、いささか冗談が過ぎるし、アクションシーンも物足りない。ティモシー・ダルトンは歴代ボンドの中でも抜群の演技力を誇るが、スマートすぎてワイルドさに欠ける気がする。誰か一人を選べと言われたら、やはりクールなダニエル・クレイグだろうか。どんな時も表情を崩さず、パッションを秘め、傷だらけになりながら敵を追い続けるダニエル・ボンドを、歴代で一番原作に近く、ボンドらしいというのは、世界共通のボンドマニアの声である。ボンドは、時代に合わせて変化し続けるヒーローなのだ。

<目次>

はじめに
第1章 ビジネスは戦場だ
1「人を殺す覚悟さえできれば、00の番号をもらうのは簡単さ」
 覚悟がないと、何もできない
 エゴを捨てなければエゴにやられる
2「神々が打ち滅ぼさんとしたまいしもの、まず退屈なり」
 平穏無事な日常を憎め
 退屈を打ち壊したある思いつき
3「オールだ。持ち金全部賭けよう」
 「80%霧が晴れていれば進む」
 鞄だらけの家で暮らす
4「彼を許してやれ。情報員はあらゆる手を使う必要があるのだ」
 徹底的に合理主義者たれ
 外国人にクラスは関係ない
5「トゥモロー・ネバー・ダイ(明日という日はない)」
 何のために働くのか?
 今できる最高の無茶をする
6「あなたの指示に従いますよ。どうすればいいか言ってください」
 会うたび、少しずつ距離を縮めていく
 すっと溶け込んで、浮き上がらない
7「こんな時、「死ぬのは奴らだ」が、私の仕事におけるモットーです」
 結果に対し、決して妥協しない
 「自由」とは、戦って獲る対価
第2章 男としての基本
8「僕は誰も信用しない。だから、友達はいない」
 親しい相手でも、握手止まりの国で
 上流でないなら、上流の演技を
9「ボンド。ジェームズ・ボンド」
 自己紹介は、潔いほどカッコよく
 自虐ギャグは自信の証
10「すぐに料理を決められる相手で助かったよ」
 いかなる時も、即断即決、即行動
 ハッタリと自信が混然一体に
11「ジェームズ・ボンドを演じるには、僕はまだ若すぎる」
 中年になってようやくスーツは似合う
 男の無意識の欲求をかなえるボンド
12「ご好意はありがたいですが、して頂けることはありません」
 準備しておくと、気持ちに余裕が生まれる
 ボンドは決して怒らない
13「ジェームズ、学んだわね」
 早い時期に上司に恵まれる幸運
 「早く辞めろ」が上司の口癖
14「一度王になれば常に王。だがナイトは一度きり」
 名誉・勲位は一代限りのもの
 最後まで生き残った者が勝つ
第3章 紳士とは何か?
15「卵の茹で時間はきっちり3分20秒で」
 紳士には偏屈なほどのこだわりが
 こだわりを失うと、男でなくなる
 冷酷ではなく、勇気ある裏切り
16「金は冥土の土産に持っていけ」
 紳士が欲しいのは、名誉と賞賛
 贅沢な暮らしは「演技」
17「話すとわかるわ。あなた、イートン校出身ね」
 イギリスのエリート校の実態
 筋金入りエリートのお入学
18「何に限らず、一流でなくてはダメだぞ」
 「心の贅沢」を売る店
 一流の店とは、大人にしてくれる店
19「イギリスで最高のコックは、世界で最高ですよ」
 どんなにまずくても本音は言わない
 紳士たちが心からくつろげる場所
第4章 モテる男の流儀
20「悪い男のほうがスリルよ」
 自信は能力を2倍にする
 相手を自分のペースに引き込む
21「一度、この味を知ってしまうと、これしか飲みたくないんだ」
 自意識や羞恥心は邪魔である
 決して溺れず、自分を見失わない
22「女の言いなりになるな。なると、災いを招く」
 ボンドを理想の紳士に育てた女
 お国のために愛する女を殺せるか?
23「愛とは、優しさと欲情の混じったもの」
 どんなに女を抱いても、心は動かない
 本当は子供好きだったボンド
24「結婚するなら、私はキャビン・アテンダントがいいですね」
 話を盛り上げるために意表を衝く
25「ジョークは言いたくないんだ」
 「リアル・ボンド」の素顔
 今の時代に合うボンドとは?
おわりに
参考資料

面白かった本まとめ(2014年上半期)

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