安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
第193回国会は2017年1月20日に招集され、安倍晋三の施政方針演説が行われた。その後各党の代表の衆参代表質問が行われ、衆院予算委員会は1月27日から、参院予算委員会は1月30日から開催。
森友問題が取り上げられたのは衆院予算委では2月17日から、参院予算委では2月28日からとなっている。当時民進党の福島伸享による2月17日衆院予算委の追及は報道をネタ元としている。「Wikipedia」に2017年2月9日付朝日新聞が売却額が同規模の国有地に比べて1割程度であること、売却額が公表されていないのは例外的であることなどを伝えていると出ている。
財務省の森友問題を巡る決裁文書が改竄された時期を昨日2018年3月14日参議院予算委員会で自民党西田昌司に対する答弁で麻生太郎が明らかにしている。
麻生太郎「本件の書き換えは昨年(2017年)の2月下旬から4月にかけて森友学園に関する国有地売却についての国会対応を担当しておりました本省理財局に於いて行われたものであり、書き換えられた文書等々読む限り、これまでの国会答弁というものが誤解を受けるようにならないために行われたとの報告を受けております」
要するに森友学園の小学校建設用地となる国有地の森友に対する余りにも格安な売却がその小学校の名誉校長に安倍昭恵が就任している関係から、安倍晋三サイドから何らかの働きかけがあったのではないかと野党が疑惑を嗅ぎ取って、衆議院では2017年2月17日から、参議院では2017年2月28日から疑惑追及が始った。そして文書改竄は疑惑への辻褄合わせだっった。
疑惑追及開始の2月17日衆議院予算委員会で福島伸享が安倍昭恵に言及した箇所を取り上げてみる。
福島伸享「なぜもごもご言うのかわからないですけれども、私立大学でできないものを今回私立小学校でやって、法律を潜脱していて、脱法的な疑いがあるわけですよ。土地を買う値段もおかしければ、設置の認可の状況でもおかしいというのがこれなんですね。
敢えて言いますけれども、この小学校の名誉校長とされているのが安倍昭恵先生という方で、(ホームページの)右を見ると、安倍晋三内閣総理大臣夫人と書いております。この理事長の籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきましたと。
この事実、総理は御存じでしょうか」
安倍晋三「この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。
ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切関わっていないということは明確にさせていただきたいと思います。
もし関わっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います」
安倍晋三は自身と安倍昭恵の国有地売却への関与を否定している。疑惑追及開始の2月17日早々に「もし関わっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい」と言っているのは週刊誌等が既に安倍晋三や安倍昭恵の関与を疑う記事を書いていて、そのことに対する反応があったのかも知れない。
いずれにしても主として財務省理財局長の佐川宣寿はこれまで見てきたとおりに地下埋設物量(ゴミの量)は適切に推計、その推計に基づいてゴミの撤去・処分費用を見積もり、不動産鑑定評価額から見積価格を差し引いた適切な価格での売却であって、森友学園とは価格の交渉はしていない、こちらから価格提示も行っていないと正当な売却であることを国会答弁してきた。
安倍晋三の方は自身と妻昭恵は国有地売却に何ら関わっていないとの趣旨の答弁を繰返すことで国有地売却から自身と安倍昭恵を切り離そうとしてきたが、この“安倍晋三&安倍昭恵不関与論”は佐川宣寿たちの自分たちは正当だとする、いわゆる“正当論”をある意味バックアップさせて成り立たせていたはずだ。
例え安倍晋三が言うとおりに自分たちの“不関与論”が事実だとしても、次々と明らかにされる新事実なるものが常識的に見て疑惑まみれであったのだから、佐川宣寿たちの“正当論”が崩れない保証はなく、崩れた場合、安倍晋三の“不関与論”にしても疑惑の対象とされることから逃れることは困難となる。
いわば安倍晋三からしたら、佐川宣寿たちの“正当論”を守らなければならない立場にあり、“安倍晋三&安倍昭恵不関与論”と佐川宣寿たちの“正当論”は依存関係にあった。
そして佐川宣寿が森友学園とは価格の交渉も価格提示も行っていないと国会答弁していたにも関わらず、その答弁に整合性を持たせるためにだろう、「価格等について協議した結果、学園が買い受けることで合意した」との「売払決議書」の文言が削除されていることが判明した。
当然、この価格交渉は土地転し等の場合は実際の価格とは別にペーパーの上だけは実際の価格よりも切上げた価格を表示する場合があるが、実際の価格を切下げの方向に向けた交渉となる。でなければ、森友側が納得するはずはない。
正当な価格での国有地売却ではなく、3月13日のブログにも書いたが、2016年3月下旬に森友学園側、財務省近畿財務局、国交相大阪航空局が出席して面談した際の国側の人物が発言した音声データ、「3mまで掘っていきますと、土壌改良をやってその下からゴミが出てきたと理解している。その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしているです」 の発言の正体が見えてくることになる。
「その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので」ということはあり得ない。国がボーリングをしてゴミの量を推計し、その推計に基づいてゴミの撤去・処分費用を見積もったとしていたことに反するからだ。要するにゴミの量を実際量よりも意図的に増やすことでその処分・撤去費用を高額に見積もり、それを差し引いて売却額を小さくするために「ストーリー」を創る必要が生じた。
要するに“安倍晋三&安倍昭恵不関与論”と佐川宣寿たちの“正当論”が依存関係にあったために野党のみならず、国民の多くが疑惑まみれの国有地格安売却と受け止めていることにはお構いなしに安倍晋三や麻生太郎たちは佐川宣寿たちの“正当論”に何ら疑義の意思表示を示すことなく同調する態度を取り続け、当然、一歩進んで事実解明の調査を命じることなどあり得ないことで、彼らの国会での答弁を野放し状態にする不作為を演じていた。
いわば野党や国民の感覚とは異なって、佐川宣寿たちの“正当論”を逐一事実と看做す態度をこの1年間取り続けた。会計検査院が対森友学園国有地売却を検証した2017年11月の報告書で地下埋設物の推計量を根拠不十分とし、当然、ゴミの撤去・処分の見積価格も、それも差引いた売却価格も根拠不十分の疑いがかかることになるが、それをも無視して、森友問題が浮上してから1年にも亘って、会計検査院の報告から約4カ月にも亘って取り続けた同調行為と不作為の責任は安倍晋三ばかりか、麻生太郎も負わなければならない。
役人側のこうした国有地の不当売却は安倍晋三や安倍昭恵に対する忖度なくして成し得ないはずだ。
上記参院予算委で西田昌司がこの点を質している。と言っても、森友学園前理事長籠池泰典を如何わしい人物とする観点からの質問で、単に安倍晋三の否定を引き出すためを目的としていた。
西田昌司は先ず麻生と安倍晋三に書き換えを指示したかどうか聞いている。
西田昌司「念のために聞いておきますが、麻生大臣は文書の書き換えは指示したこと勿論ないですね」
麻生太郎「私の方から文書の書き換えを指示したというご指摘は当たりません、ありません」
西田昌司「総理にも同じ質問をしておきます。ないでしょうね」
安倍晋三「当然、私から文書の書き換えを指示したことは全くございません」
籠池前理事長から2014年4月25日に「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)」と記した文言が削除されていた点についての質問。
西田昌司「総理も見られましたね。私も改竄前の文書だとかも見たんですが、そこに驚いたのは何かそこに新しい事実が出てきたかと言うと、全く無いわけなんですね。
と言うか、私が先程言ったように、この籠池さんとの間の交渉の経緯がですよ、ま、詳しく書いてあって、まさに私の国会の答弁の中で明らかになってきたようなことがそのまま出ているだけなんですね。
そして、えー、安倍昭恵夫人の名前もね、出たりしてるんですけども、そのこと自体がですね、えー、消すこと自体がですね、果たして意味があるのかと。
むしろですね、そういったことを報道なんかでは総理にいらぬ疑念がかからないように、そのために消したんではないかと言われているんですけども、私はそのまま公表して頂いても全く問題はなかったと思うし、却ってそういう消されることによってですね、飛んでもない、御夫人も総理も迷惑を掛けられたと思っているんですけども、その出てきた情報についてですね、まさに総理ご自身、どういうふうにお考えですか」
ヨイショ発言以外の何ものでもない。
安倍晋三「妻も私もですね、これは11日に報告を受けたわけでありますが、この後、書き換え前の文書、読まさせて頂いたところでありますが、この書き換え前の文書を見てもですね、私や私の妻が 関わっていないということは明らかであろうと、このように思うわけであります。
妻に関する記述についての上で出ているものに関係の上で公開されているものについて引用されているところ、もう一点は籠池氏の発言が書かれているものであろうと思うわけでございまして、この書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないことは明らかであります」
どうも持って回ったくどい言い方になっている。
西田昌司は暫くして具体的に聞く。
西田昌司「安倍昭恵夫人がこう言っていたと。『いい土地ですから進めてください』と夫人が言っていたと」
そして籠池泰典が如何に信用できない人間であるかの説明をして、安倍昭恵が言ったとする籠池泰典の発言にしても信用できないとする論理を展開する。
安倍晋三「妻に確認を致しました。そのようなことは申し上げていないということでございました。勿論、この妻がですね、この学校をつくる責任者ではないわけでありますし、籠池氏とも上下関係もあるわけではないわけでございますから、当然、そんなことは言っていないということでございました」
安倍晋三のこの発言は安倍昭恵の件(くだん)の発言を否定する根拠とはなり得ない。勿論、安倍昭恵は「この学校をつくる責任者ではない」。だが、小学校の名誉校長に就任していた。一般的には名誉職を依頼する場合、依頼者よりもは社会的地位が高い人物か、高くなくても、依頼者よりも社会的に人気を博している人物を選ぶ。
でなければ、名誉職に就ける意味を失う。安倍昭恵は籠池泰典の部下でも、逆に上司でもないから、直接的な上下関係はなくても、首相夫人であり、そのバックに一国の首相である安倍晋三が控えているから、小学校の名誉校長を依頼したはずで、この点に於いて安倍昭恵は籠池泰典よりも上の関係にあり、籠池泰典を下にした社会的地位上の上下関係にあったと言い得る。
籠池泰典は自身と首相夫人であり、そのバックに安倍晋三が控えている安倍昭恵との社会的地位上の上下関係を利用して、「『いい土地ですから進めてください』と夫人が言っていた」と、さも安倍昭恵から後押しを受けているかのように装い、役人側に圧力を掛けたということは十分にあり得る。
いわば安倍昭恵が言っていたとする「いい土地ですから進めてください」なる言葉が籠池泰典の創作、あるいはハッタリであったとしても、役人側の忖度の動機にはなり得る。
兎にも角にも安倍昭恵が森友学園の新設予定の小学校の名誉校長に就いていたのは事実だからだ。そして利用された。安倍昭恵には負うべき責任がある。
言っていないとする否定が単に言葉上のことで、もし実際に安倍昭恵自身の発言だとしたら、責任は更に重くなる。
安倍晋三は首相夫人たる者が一私学の小学校の名誉校長に就任した軽率さを国会で指摘を受けると、「私の妻であると同時に一人の人間ですから、別人格であります」と言って、名誉校長就任を別人格としての行動だと擁護している。
その一方で、「家内が、妻がどのように関わっていたかということについては、私も妻から全て聞いているわけでありまして、私がここで責任を持って答弁をさせて頂いているところでございます」と安倍昭恵が売却に何の関与もない説明としている。
安倍昭恵の「いい土地ですから進めてください」の発言に対する上記否定も同じく安倍晋三が聞いた話という関係を取っている。
首相夫人としての影響力は持つ点を無視するなら、確かに別人格であろう。そして安倍晋三が安倍昭恵を別人格とするなら、安倍昭恵がどう関わっていたのか、関わっていなかったのかは安倍昭恵自身の口から言わせるべきだろう。
なぜなら、妻の証言を聞いて妻に代わって夫が行う証言は一つの人格に他の人格が関わることになって後者の人格が干渉しない保証はなく、あるいは干渉していないことを確かめようがなく、正確な意味での別人格性を失うことになるからだ。
あるいは逆に妻が自らの人格を夫の人格に同調させない保証はなく、そういった関係からの証言ではない保証もないからだ。
具体的には妻に直接証言させるのではなく、妻の証言に夫を介在させて妻の証言とすることは一言一句同じであるという保証も、妻の思いを毛程の違いもなく伝えているいう保証もないからだ。
あるいは夫の立場を斟酌して妻が夫に都合のいい証言をしない保証花筏ら。
忖度の疑いが払拭されていない状況にある以上、佐川宣寿だけではなく、安倍昭恵も証人喚問すべきだろう。