安倍晋三は妻昭恵が別人格なら、森友疑惑に自身や安倍昭恵への忖度が疑われる以上、安倍昭恵を証人喚問すべき

2018-03-15 12:48:55 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

第193回国会は2017年1月20日に招集され、安倍晋三の施政方針演説が行われた。その後各党の代表の衆参代表質問が行われ、衆院予算委員会は1月27日から、参院予算委員会は1月30日から開催。

 森友問題が取り上げられたのは衆院予算委では2月17日から、参院予算委では2月28日からとなっている。当時民進党の福島伸享による2月17日衆院予算委の追及は報道をネタ元としている。「Wikipedia」に2017年2月9日付朝日新聞が売却額が同規模の国有地に比べて1割程度であること、売却額が公表されていないのは例外的であることなどを伝えていると出ている。

 財務省の森友問題を巡る決裁文書が改竄された時期を昨日2018年3月14日参議院予算委員会で自民党西田昌司に対する答弁で麻生太郎が明らかにしている。

 麻生太郎「本件の書き換えは昨年(2017年)の2月下旬から4月にかけて森友学園に関する国有地売却についての国会対応を担当しておりました本省理財局に於いて行われたものであり、書き換えられた文書等々読む限り、これまでの国会答弁というものが誤解を受けるようにならないために行われたとの報告を受けております」

 要するに森友学園の小学校建設用地となる国有地の森友に対する余りにも格安な売却がその小学校の名誉校長に安倍昭恵が就任している関係から、安倍晋三サイドから何らかの働きかけがあったのではないかと野党が疑惑を嗅ぎ取って、衆議院では2017年2月17日から、参議院では2017年2月28日から疑惑追及が始った。そして文書改竄は疑惑への辻褄合わせだっった。

 疑惑追及開始の2月17日衆議院予算委員会で福島伸享が安倍昭恵に言及した箇所を取り上げてみる。

 福島伸享「なぜもごもご言うのかわからないですけれども、私立大学でできないものを今回私立小学校でやって、法律を潜脱していて、脱法的な疑いがあるわけですよ。土地を買う値段もおかしければ、設置の認可の状況でもおかしいというのがこれなんですね。

 敢えて言いますけれども、この小学校の名誉校長とされているのが安倍昭恵先生という方で、(ホームページの)右を見ると、安倍晋三内閣総理大臣夫人と書いております。この理事長の籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきましたと。

 この事実、総理は御存じでしょうか」

 安倍晋三「この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。

 ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切関わっていないということは明確にさせていただきたいと思います。

 もし関わっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います」

 安倍晋三は自身と安倍昭恵の国有地売却への関与を否定している。疑惑追及開始の2月17日早々に「もし関わっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい」と言っているのは週刊誌等が既に安倍晋三や安倍昭恵の関与を疑う記事を書いていて、そのことに対する反応があったのかも知れない。

 いずれにしても主として財務省理財局長の佐川宣寿はこれまで見てきたとおりに地下埋設物量(ゴミの量)は適切に推計、その推計に基づいてゴミの撤去・処分費用を見積もり、不動産鑑定評価額から見積価格を差し引いた適切な価格での売却であって、森友学園とは価格の交渉はしていない、こちらから価格提示も行っていないと正当な売却であることを国会答弁してきた。

 安倍晋三の方は自身と妻昭恵は国有地売却に何ら関わっていないとの趣旨の答弁を繰返すことで国有地売却から自身と安倍昭恵を切り離そうとしてきたが、この“安倍晋三&安倍昭恵不関与論”は佐川宣寿たちの自分たちは正当だとする、いわゆる“正当論”をある意味バックアップさせて成り立たせていたはずだ。

 例え安倍晋三が言うとおりに自分たちの“不関与論”が事実だとしても、次々と明らかにされる新事実なるものが常識的に見て疑惑まみれであったのだから、佐川宣寿たちの“正当論”が崩れない保証はなく、崩れた場合、安倍晋三の“不関与論”にしても疑惑の対象とされることから逃れることは困難となる。

 いわば安倍晋三からしたら、佐川宣寿たちの“正当論”を守らなければならない立場にあり、“安倍晋三&安倍昭恵不関与論”と佐川宣寿たちの“正当論”は依存関係にあった。

 そして佐川宣寿が森友学園とは価格の交渉も価格提示も行っていないと国会答弁していたにも関わらず、その答弁に整合性を持たせるためにだろう、「価格等について協議した結果、学園が買い受けることで合意した」との「売払決議書」の文言が削除されていることが判明した。

 当然、この価格交渉は土地転し等の場合は実際の価格とは別にペーパーの上だけは実際の価格よりも切上げた価格を表示する場合があるが、実際の価格を切下げの方向に向けた交渉となる。でなければ、森友側が納得するはずはない。

 正当な価格での国有地売却ではなく、3月13日のブログにも書いたが、2016年3月下旬に森友学園側、財務省近畿財務局、国交相大阪航空局が出席して面談した際の国側の人物が発言した音声データ、「3mまで掘っていきますと、土壌改良をやってその下からゴミが出てきたと理解している。その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしているです」 の発言の正体が見えてくることになる。

 「その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので」ということはあり得ない。国がボーリングをしてゴミの量を推計し、その推計に基づいてゴミの撤去・処分費用を見積もったとしていたことに反するからだ。要するにゴミの量を実際量よりも意図的に増やすことでその処分・撤去費用を高額に見積もり、それを差し引いて売却額を小さくするために「ストーリー」を創る必要が生じた。

 要するに“安倍晋三&安倍昭恵不関与論”と佐川宣寿たちの“正当論”が依存関係にあったために野党のみならず、国民の多くが疑惑まみれの国有地格安売却と受け止めていることにはお構いなしに安倍晋三や麻生太郎たちは佐川宣寿たちの“正当論”に何ら疑義の意思表示を示すことなく同調する態度を取り続け、当然、一歩進んで事実解明の調査を命じることなどあり得ないことで、彼らの国会での答弁を野放し状態にする不作為を演じていた。

 いわば野党や国民の感覚とは異なって、佐川宣寿たちの“正当論”を逐一事実と看做す態度をこの1年間取り続けた。会計検査院が対森友学園国有地売却を検証した2017年11月の報告書で地下埋設物の推計量を根拠不十分とし、当然、ゴミの撤去・処分の見積価格も、それも差引いた売却価格も根拠不十分の疑いがかかることになるが、それをも無視して、森友問題が浮上してから1年にも亘って、会計検査院の報告から約4カ月にも亘って取り続けた同調行為と不作為の責任は安倍晋三ばかりか、麻生太郎も負わなければならない。

 役人側のこうした国有地の不当売却は安倍晋三や安倍昭恵に対する忖度なくして成し得ないはずだ。

 上記参院予算委で西田昌司がこの点を質している。と言っても、森友学園前理事長籠池泰典を如何わしい人物とする観点からの質問で、単に安倍晋三の否定を引き出すためを目的としていた。

 西田昌司は先ず麻生と安倍晋三に書き換えを指示したかどうか聞いている。

 西田昌司「念のために聞いておきますが、麻生大臣は文書の書き換えは指示したこと勿論ないですね」

 麻生太郎「私の方から文書の書き換えを指示したというご指摘は当たりません、ありません」

 西田昌司「総理にも同じ質問をしておきます。ないでしょうね」

 安倍晋三「当然、私から文書の書き換えを指示したことは全くございません」

  籠池前理事長から2014年4月25日に「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)」と記した文言が削除されていた点についての質問。

 西田昌司「総理も見られましたね。私も改竄前の文書だとかも見たんですが、そこに驚いたのは何かそこに新しい事実が出てきたかと言うと、全く無いわけなんですね。

 と言うか、私が先程言ったように、この籠池さんとの間の交渉の経緯がですよ、ま、詳しく書いてあって、まさに私の国会の答弁の中で明らかになってきたようなことがそのまま出ているだけなんですね。

 そして、えー、安倍昭恵夫人の名前もね、出たりしてるんですけども、そのこと自体がですね、えー、消すこと自体がですね、果たして意味があるのかと。

 むしろですね、そういったことを報道なんかでは総理にいらぬ疑念がかからないように、そのために消したんではないかと言われているんですけども、私はそのまま公表して頂いても全く問題はなかったと思うし、却ってそういう消されることによってですね、飛んでもない、御夫人も総理も迷惑を掛けられたと思っているんですけども、その出てきた情報についてですね、まさに総理ご自身、どういうふうにお考えですか」

 ヨイショ発言以外の何ものでもない。

 安倍晋三「妻も私もですね、これは11日に報告を受けたわけでありますが、この後、書き換え前の文書、読まさせて頂いたところでありますが、この書き換え前の文書を見てもですね、私や私の妻が 関わっていないということは明らかであろうと、このように思うわけであります。

 妻に関する記述についての上で出ているものに関係の上で公開されているものについて引用されているところ、もう一点は籠池氏の発言が書かれているものであろうと思うわけでございまして、この書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないことは明らかであります」

 どうも持って回ったくどい言い方になっている。

 西田昌司は暫くして具体的に聞く。

 西田昌司「安倍昭恵夫人がこう言っていたと。『いい土地ですから進めてください』と夫人が言っていたと」

 そして籠池泰典が如何に信用できない人間であるかの説明をして、安倍昭恵が言ったとする籠池泰典の発言にしても信用できないとする論理を展開する。

 安倍晋三「妻に確認を致しました。そのようなことは申し上げていないということでございました。勿論、この妻がですね、この学校をつくる責任者ではないわけでありますし、籠池氏とも上下関係もあるわけではないわけでございますから、当然、そんなことは言っていないということでございました」

 安倍晋三のこの発言は安倍昭恵の件(くだん)の発言を否定する根拠とはなり得ない。勿論、安倍昭恵は「この学校をつくる責任者ではない」。だが、小学校の名誉校長に就任していた。一般的には名誉職を依頼する場合、依頼者よりもは社会的地位が高い人物か、高くなくても、依頼者よりも社会的に人気を博している人物を選ぶ。

 でなければ、名誉職に就ける意味を失う。安倍昭恵は籠池泰典の部下でも、逆に上司でもないから、直接的な上下関係はなくても、首相夫人であり、そのバックに一国の首相である安倍晋三が控えているから、小学校の名誉校長を依頼したはずで、この点に於いて安倍昭恵は籠池泰典よりも上の関係にあり、籠池泰典を下にした社会的地位上の上下関係にあったと言い得る。

 籠池泰典は自身と首相夫人であり、そのバックに安倍晋三が控えている安倍昭恵との社会的地位上の上下関係を利用して、「『いい土地ですから進めてください』と夫人が言っていた」と、さも安倍昭恵から後押しを受けているかのように装い、役人側に圧力を掛けたということは十分にあり得る。

 いわば安倍昭恵が言っていたとする「いい土地ですから進めてください」なる言葉が籠池泰典の創作、あるいはハッタリであったとしても、役人側の忖度の動機にはなり得る。

 兎にも角にも安倍昭恵が森友学園の新設予定の小学校の名誉校長に就いていたのは事実だからだ。そして利用された。安倍昭恵には負うべき責任がある。

 言っていないとする否定が単に言葉上のことで、もし実際に安倍昭恵自身の発言だとしたら、責任は更に重くなる。

 安倍晋三は首相夫人たる者が一私学の小学校の名誉校長に就任した軽率さを国会で指摘を受けると、「私の妻であると同時に一人の人間ですから、別人格であります」と言って、名誉校長就任を別人格としての行動だと擁護している。

 その一方で、「家内が、妻がどのように関わっていたかということについては、私も妻から全て聞いているわけでありまして、私がここで責任を持って答弁をさせて頂いているところでございます」と安倍昭恵が売却に何の関与もない説明としている。

 安倍昭恵の「いい土地ですから進めてください」の発言に対する上記否定も同じく安倍晋三が聞いた話という関係を取っている。

 首相夫人としての影響力は持つ点を無視するなら、確かに別人格であろう。そして安倍晋三が安倍昭恵を別人格とするなら、安倍昭恵がどう関わっていたのか、関わっていなかったのかは安倍昭恵自身の口から言わせるべきだろう。

 なぜなら、妻の証言を聞いて妻に代わって夫が行う証言は一つの人格に他の人格が関わることになって後者の人格が干渉しない保証はなく、あるいは干渉していないことを確かめようがなく、正確な意味での別人格性を失うことになるからだ。

 あるいは逆に妻が自らの人格を夫の人格に同調させない保証はなく、そういった関係からの証言ではない保証もないからだ。

 具体的には妻に直接証言させるのではなく、妻の証言に夫を介在させて妻の証言とすることは一言一句同じであるという保証も、妻の思いを毛程の違いもなく伝えているいう保証もないからだ。

 あるいは夫の立場を斟酌して妻が夫に都合のいい証言をしない保証花筏ら。

 忖度の疑いが払拭されていない状況にある以上、佐川宣寿だけではなく、安倍昭恵も証人喚問すべきだろう。

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対森友学園国有地不当売却が役人側の安倍晋三・昭恵への忖度から始まったとしても、両人に責任が伴う

2018-03-13 12:16:17 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 朝日新聞が報じた森友学園国有地格安売却決裁文書改竄疑惑を財務省が認めた。但し、「改竄」という表現は使わずに「書き換え」という文言を使っている。一旦決裁した公文書を非公式の利益を目的として秘密裏に手を加えて新たに決裁し直し、非公式の利益を全うすることを改竄と言わずに何と表現できるだろうか。

 「書き換え」という表現は改竄が持つ悪用性を払拭させて限りなく罪が軽い雰囲気を漂わせることになる。

 マスコミ記事を纏めてみる。

 森友問題が国会で取り上げられた2017年2月以降、5件の文書が改竄対象となり、財務省理財局長当時の佐川宣寿が事前の価格交渉は行ったことはないとしていた国会答弁に反して価格交渉を伺わせる記述の削除、さらに森友学園の小学校名誉校長に就いていた安倍昭恵に言及した箇所などが削除されているという。

 さらにこの5件の文書改竄に合わせる形で、文書同士の整合性を合わせて齟齬が生じないようにする必要上からだろう、他の9件の決裁文書の改竄が行われたという。

 なかなかの巧妙さである。このような巧妙さを以って単なる「書き換え」で片付けることができるだろうか。

 安倍昭恵言及箇所の削除については「NHK NEWS WEB」記事によると、2014年4月の森友学園側と近畿財務局の打ち合わせ中、「安倍総理大臣夫人の昭恵氏を現地に案内し、『いい土地ですから前に進めてください』との言葉をいただいた」と元の文書に記載されていた発言が国会に提出した文書からは削除されていたという。

 また3月12日に財務省が国会に報告した調査結果によると、〈森友学園の籠池泰典前理事長を「(保守系団体の)日本会議大阪に関与」と紹介し、関連の日本会議国会議員懇談会を「特別顧問として麻生氏、副会長に安倍総理らが就任」と説明した部分も削除された。〉(産経ニュース)としている。


 そして改竄の動機。麻生太郎が3月12日に財務省内で記者団の取材に応じて次のことを明らかにした。「ログミー」

 麻生太郎「(2014年)2月下旬、いわゆる佐川との答弁の間に、決裁文書との間の齟齬があった。間違いがあった、そうではないかという誤解を招くというようなことで、佐川の答弁に合わせて、書き換えたというのが事実だと思っています」

 「佐川の答弁に合わせて」決裁文書の改竄が行われて、別物でありながら、正規の決裁文書として扱われることになった。

 以上のことから、色々と推測してみる。

 2017年2月の国会で対森友学園国有地格安売却が取り上げられると、その理由と共に安倍昭恵が森友学園の小学校の名誉校長に就任していたことから、野党から格安売却との関連性を追及されることになった。

 対して佐川宣寿はこれらの追及を受けて事実と異なる答弁、いわばウソの答弁を行った。その果てに自身のウソの答弁と決裁文書との間に生じた齟齬を抹消させるために答弁の訂正ではなく、決裁文書の方に改竄を行って、答弁と決裁文書に整合性を与えることになった。

 ウソの答弁の必要性は国有地格安売却が不正な取引であることによって成り立つ。誰からも後ろ指を差されることのない公平・公正な取引なら、ウソをつく必要はなく、淡々と事実を話せば片付く。事前に価格の交渉をしていながら、「事前の価格の交渉はなかった」との虚偽答弁が公平・公正な取引でないことの最たる有力な証明となり得る。

 この一連の虚偽答弁の中に不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地が約8億1000万円も値引かれて約1億3000万で売却されることになったカラクリを隠していたということであろう。

 このようなカラクリを隠しいるからこそ、事前に価格の交渉をしていながら、「事前の価格の交渉はなかった」との虚偽答弁をせざるを得なくなった。

 2016年3月下旬に森友学園側、財務省近畿財務局、国交相大阪航空局が出席して面談した際の国側の人物が発言した音声データ、「3mまで掘っていきますと、土壌改良をやってその下からゴミが出てきたと理解している。その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしているです」 に対して野党側が、価格交渉や地下埋設物の量の嵩上げの口裏合わせではないかと追及、佐川宣寿側は口裏合わせでも何でもないと否定したが、虚偽答弁を繰返して決裁文書を改竄している以上、地下埋設物の量の嵩上げと格安売却の口裏合わせの「ストーリー」づくりそのものだったことになる。

 公平・公正な取引でなく、「ストーリ」の結末が国有地格安売却という不明朗な取引を結果とするに至った。結果は原因に起因する。

 当然、原因は元の文書から削除した文言から読み取らなければならない。

 佐川宣寿は森友学園前理事長籠池泰典と安倍昭恵との関係を配慮した、あるいは忖度した格安売却でも、安倍昭恵の背後に控えている安倍晋三という大きな存在を同じように配慮した、あるいは忖度した格安売却という便宜でもないと否定する国会答弁を続けてきた。
 
 だが、これらの答弁が虚偽答弁・ウソの答弁だったからこそ、佐川宣寿は元の文書に記載されていた「安倍総理大臣夫人の昭恵氏を現地に案内し、『いい土地ですから前に進めてください』との言葉をいただいた」との籠池泰典の発言を削除する必要に迫られた。

 さらに同じ理由で籠池泰典が日本会議大阪に関与していること、関連の日本会議国会議員懇談会副会長に安倍晋三が、特別顧問に麻生太郎が就任しているとの説明も削除することになった。

 これらの削除から窺うことができる事実は安倍昭恵や安倍晋三の存在に対する配慮、あるいは忖度であり、こういったことを原因とした不当な値引きによる格安売却の結果ということであろう。

 多分、最初は佐川宣寿等の役人側が安倍昭恵や安倍晋三の与り知らぬところで勝手に配慮・忖度してやらかした格安売却だったのだろう。だが、役人側が取引の文書は規則に則って廃棄した、文書として残さなかった等々の発言を繰返すことで逐一明確にしておくべき交渉の過程が曖昧な姿を取るに及んで、安倍晋三や麻生太郎、国交相の石井啓一等々は実際はどうなっているのか疑問に思い、問い質さなければならなかったはずだ。

 2018年3月2日の朝日新聞の決裁文書改竄疑惑報道から始まって明らかになった佐川宣寿の虚偽答弁・ウソ答弁であるから、安倍晋三以下が問い質さなかったか、問い質したが、説明を受けた内容が自分たちの進退に影響することを恐れて役人側と共々秘密にしていたか、どちらかであろう。

 鈍感な余り、例え問い質さなかったとしても、会計検査院が検証した「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査」の2017年11月の報告は地下埋設物の推計量を根拠不十分とし、当然、値引き額も根拠不十分となるだけではなく、佐川宣寿以下の国会答弁も根拠不十分の疑いが濃くなることから、その時点で国有地売却に関わった佐川宣寿や近畿財務局、大阪航空局に実態を明らかにするように迫らなければならなかったはずだ。

 迫って、明らかにすることができれば、不当な値引きかどうかを判定する根拠となる地下埋設物の再調査を土地を掘り起こして行うはずだが、安倍晋三も麻生太郎も学園に対して債権を持つ業者が取り壊しに反対していることを理由に「困難だ」何だと理由をつけて再調査を拒否することで会計検査院の報告そのものを無視した。

 このことは明らかに安倍晋三や麻生太郎の側の政治の不作為であって、行政機関を監督する立場に立っていることから考えても、決裁文書の改竄、不当な格安売却の責任を共に負わなければならない。

 安倍昭恵にしても、それ相応の責任を追うはずだ。

 役人を生贄の羊に祭り上げて、その責任だけで決着づけることは許されない。

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麻生太郎「捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』」は虚偽答弁

2018-03-12 10:39:03 | Weblog

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 ――そして安倍晋三の佐川宣寿を適材と見、国税庁長官職を適所とした判断錯誤に対する任命責任者としての責任――

 2018年3月8日参院予算委員会

 3月8日の参院予算委員会は森友問題に関わる財務省の決裁文書改竄疑惑に政府側が満足な答弁を行わないことに対して野党4党が審議拒否・欠席したまま開催され、審議拒否しなかった日本維新の会の浅田均が質問に立ち、文書改竄についてユルい追及を行った。

 文飾は当方。

 浅田均「これまで近畿財務局の決裁文書の改竄があったのか、なかったのかという、今、こういうような状況になっております。先ず伺っていきたいんですが、これまで捜査に影響があるので答弁差し控えるということでございました。

 『捜査に影響があるので答弁は差し控えるように』と大阪地検の誰が言ってるのですか。

 すぐには誰も答弁に立たない。浅田均は委員長に「指名してください」と言われるが、参考人として呼ばれている役人席の方を見るだけ。少ししてから、委員長が発言。

 委員長「財務省大臣官房長矢野康治君」

 矢野康治「これはどなたの要請ということではございませんで、捜査にかかずらっている(関係している)ことから、性質として、ということでございます」

 浅田均「えーとですね、今のお答えですが、財務省の誰がいつ、大阪地検の国会での答弁の可否、そして当該文書の公開の可否を照会されたんですか、官房長」

 矢野康治はすぐに答弁せず、速記を止める。

 委員長「財務省大臣官房長矢野康治君」

 矢野康治「通告を頂いておりませんので、ちょっとお答困難でありますけども、事柄の性質として、捜査にかかずらっている問題でありますので、ということでございます」

 浅田均「あのー、自らの判断で捜査に影響があるので、答弁は差し控えるということだったんだと思うんですがね。近畿財務局、あるいは財務省として大阪地検に照会されていないと思うんですね。

 (文書を持ち上げて)ここに本日の毎日新聞の夕刊です。国会に開示した文書とは別の決裁文書があった等々書いております。内容は朝日新聞と同じです。

 あなた方は、財務省の方々は捜査に影響があると言って、当該文書を開示しない。然るに毎日新聞の情報公開請求で出てるんです。捜査に影響があるなら、毎日新聞に出さないはずです。

 捜査に影響がないから、毎日新聞に出したってことでしょう。それをどうして参議院に提出できなかったのかご説明ください、官房長」

 矢野康治「これも通告は頂いておりませんが、私がお読みする限りでは、この新聞には開示請求に応じたと書いておりますが、今、先生もそのように引用されたわけですけれども、財務省に於いてこのような開示請求に応じたということではないと私は承知しております」

 浅田均「毎日新聞の今日の夕刊ですよ、これ。『毎日新聞が同省近畿財務局の情報公開請求で入手した』としています。これ現物の写真も撮ってあります。情報公開請求に応じていると言うことですよ。如何ですか」

 すぐには答弁に立てず、速記が止まる。

 矢野康治「お答え致します。申し訳ありません。この本日の新聞報道でございますけれども、この文書、指摘されているこの文書は先日の参議院の予算理事会に、3月6日ですございますが、に提出した一連の資料の中に含まれている売払決議書や貸付決議書とは別の決裁文書の内容について指摘していると思われますけれども、これらの文書は既に開示請求は国会に提出させて頂いている文書でございます」

 浅田均「昨日ご説明頂いたんですが、前にね、参議院に提出した以外にはないという説明だったんですが、このご説明と違ってるんじゃないですか」

 速記を止める。

 矢野康治「お答え致します。これらの文書は先程ちょっと申し上げましたけれども、既に参議院の予算理事会に於きまして分厚い資料をご提出させて頂きましたけれども、その中にご提出を頂いている文書の一つでございます」

 浅田均「この間のご説明では前に出したものと違ったものはないというご説明だったんです。では、あったということなんですね。そしたら、別文書、決裁文書は二つあるという理解でよろしいですか」

 矢野康治「売払決議書や貸付決議書とは別の決裁文書のものだということでございます。そして6日の理事会に提出をさせて頂いた物に含まれている別のものだということでございます」

 浅田均「分かりました。それでは今決裁文書、文書の改竄とかいうことに関して調査に当たっております。一般論としてはですよ、財務大臣にお伺いしたいんですが、一般論としてこういうその決裁文書の改竄、書き換えですね、について公文書の虚報罰(虚偽通報罰か?)の適用対象になると思われるんですが、それを確認したいのと、これまで財務省で毎回報道されていたというようなことが事実あるとするならば、そのような改竄への実例集というものを配布しておられるんでしょうか。お尋ね致します」

 麻生太郎「これは刑法についてになりますんで、これは法務省にお尋ね頂きたいと思います。これ、犯罪の成否になりますんで、捜査機関によって収集された証拠に基づいて、いわゆる司法に於いてこれは個別に判断される議論だと考えております。

 財務省に於いてはその種の話っていうのは今までの中で決裁文書の修正が決裁ルール(?)を経由したというのはございませんので、これまで。

 そうした意味では今のご指摘、質問に対して、ちょっとこれが事実かどうか、まだ何の判例も分かっていない段階での答弁というのはなかなか難しいんだと思います。

 浅田均「分かりました。今の大臣のご答弁から判断しますと、今まで財務省に於いて決裁文書の改竄、あるいは書き換えみたいなことはなかったと。国民を裏切るような行為はなかったという理解でいいですね


 麻生太郎「あのー、財務省に於いていわゆる職員の処分に関する文書というものとして、10年分ぐらい保存されておるんですが、その文書、確認した、10年分ですよ、その前は分かりませんけれども、10年分に保存されている文書というものを確認した中では少なくとも決裁文書の修正が決裁ルールに抵触した処分事例はございません

 浅田均「この間、朝日新聞の報道を見て、今日また毎日新聞が改竄とかね、いうようなニュアンスで報道していますので、先般、予算委員会で話がありましてけど、日本の政治というのは大宝律令以来の政治であります。(委員席の誰かの発言を聞いて)えー、ポリティクス1.0ですか。

 ソサイアティ5.0を目指すのはちょっとお粗末だなあという感想を抱いたんで、ここで私は提案させて頂きたいんですが――」

 浅田均は公文書管理の新しい方法を提案する。その方法とは3月9日の浅田均のツイートに代えて説明。

 〈改竄防止という受け身の姿勢からではなく、Society5.0を創り出すという姿勢で、これから社会を動かすエンジンとなるブロックチェーン技術、その核心であるハッシュ関数の導入、とりわけ公文書管理への導入を提案。麻生大臣は前向きです。〉――

 「Society5.0」とはネットによると、〈狩猟社会、農耕社会、工業社会、現在の情報社会(Society 4.0)に続く“超スマート社会”として掲げられている第5段階目の社会のことを指していて、日本の経済的発展と国内外の社会的課題の解決を両立し、快適で活力に満ちた生活ができる人間中心の社会〉を目標としているという。

 浅田均がツイートで指摘している「ブロックチェーン技術」とは、これもネットでの知恵の借用で、しかも半理解でしかないが、一定期間内の取引の塊を「ブロック」と言い、これは台帳の一ベージに相当、各ブロックを繋げることを「チェーン」と言い、各ブロックから代表する数値や代表する文字を得る操作がハッシュ関数なるものだそうだ。

 「Wikipedia」に〈ハッシュ関数は主に検索の高速化やデータ比較処理の高速化、さらには改竄の検出に使われる。〉との記述が載っている。

 いわば文書1枚を改竄しても、「チェーン」として繋がっている他の文書の記述との兼ね合いから、コンピューターが瞬時に不一致や相違を見つけ出してしまうということなのだろう。

 もし改竄を成功させたければ、他の文書の関係する文字・数値を全て改竄しなければならないことになる。

 但し今回の決裁文書改竄疑惑は財務省からのリークがあったのかどうかは現在のところ不明だが、マスコミ報道によって明るみに出たのであって、リーク、もしくはスッパ抜きがなければ、改竄の検出は行われずじまいとなって闇から闇に葬り去られるままとなる。

 それとも官公庁が作成したすべての文書をブロックチェーン化して、ロボットを使って自動的に常時監視し続けるということなのだろうか。

 例えそうしたとしても、政治側が特定秘密保護法で一定の文書を除外規定に付し、改竄の露見から守るという手は残る。

 いずれにしても財務省はこれまで国会や理事会で散々改竄を否定してきたが、今日3月12日に国会に提出している決裁文書とは内容が異なる文書が確認できたとする報告を国会に対して行うと早朝のネット記事が伝えている。

 麻生太郎が「10年分に保存されている文書というものを確認した中では少なくとも決裁文書の修正が決裁ルールに抵触した処分事例はございません」と言っていることはただ単に表面的に過ぎないことを意味することになる。

 いわば隠された事実となっている可能性は否定できない。

 浅田均が「『捜査に影響があるので答弁は差し控えるように』と大阪地検の誰が言ってるのですか」と問い質した。

 対して財務省大臣官房長の矢野康治が「これはどなたの要請ということではございませんで、捜査にかかずらっている(関係している)ことから、性質として、ということでございます」と答弁している。

 要するに「捜査に影響がある」は大阪地検からの「要請」でなく、捜査に関係しているという事柄の性質上、自分たちで「捜査に影響があるので答弁は差し控える」としたまでという意味を取るから、「捜査に影響」は答弁回避の口実以外の何ものではないことになる。

 理由なくして答弁回避はしないから、改竄文書の存在を元々承知していたことになる。それを隠すための答弁回避という不誠実さが否応もなしに現れた。

 3月7日(2018年)の当「ブログ」に、〈どういった調査を行ったなら、“捜査への影響”が生じるかは麻生太郎や財務省が決めることではない。捜査への影響がもしあるとしたなら、その影響を受けるのは大阪地検なのだから、大阪地検が決めることである。〉と書いた。ごく常識的な道理であろう。

 だが、麻生太郎の国会答弁にしても、財務省理財局長の太田充の国会答弁にしても、具体的にどういった影響なのかの説明も、あるいは大阪地検の捜査にこれこれこういった影響を具体的に与えることになるとの説明も、大阪地検の方から、こういった影響が出ると具体的に示すお達しがあったとの説明もないままに“捜査への影響”を口にしては答弁回避に相努めた。何という誤魔化し、何という不誠実さだろう。

 但し麻生太郎は3月5日(2018年)の参院予算委の民進党足立信也への答弁で「『個別に調査を』とよく言われるが、捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』と言われている」と、大阪地検からの要請であるとの趣旨の発言をしている。

 当然、麻生太郎のこの答弁は財務省大臣官房長矢野康治が「これはどなたの要請ということではございませんで」と答弁している以上、大阪地検からの要請であるかのように装った虚偽答弁と言うことになる。

 いや、「捜査に影響がある」との口実で回避した全てが虚偽答弁をだったことになる。太田充ならまだしも、自民党副総理で財務大臣の麻生太郎が散々に虚偽答弁を繰返した。有り得べからざる前代未聞の事態であり、本人の責任の大きさばかりか、任命責任者としての安倍晋三の責任も重大であろう。

 森友に関わる決裁文書改竄の疑惑は前任の財務省理財局長として国会答弁に立った佐川宣寿にも関係している。佐川宣寿は2017年7月5日に国税庁長官に栄転している。

 ところが、佐川宣寿は3月9日、財務相の麻生太郎に辞表を提出し、受理された。麻生太郎は同3月9日午後7時40分過ぎから財務省で記者会見を開いている。「NHK NEWS WEB」から一部抜粋。

 麻生太郎「佐川長官から理財局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いたこと、行政文書の管理状況についてさまざまな指摘を招いていることなどを踏まえて、長官の職を辞し、退職したいという申し出があり本日づけで退任した」

 佐川宣寿氏自身も9日夜、報道陣の取材に対して次のように発言している。「産経ニュース」

 一部抜粋。

 佐川宣寿「理財局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いたこと、行政文書の管理について指摘を受けたこと、(森友学園に関する財務省の)決裁文書の国会提出時の担当局長であったことを踏まえ退職したいと大臣に伝えた。今回処分を受けたことや確定申告期間中の辞職となったことをおわび申し上げる」

 要するに佐川宣寿は「国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いた」、そして「行政文書の管理状況」、その他にも問題があったことを自ら認識、適切な対応能力を欠いていたことを理由に辞任したことになる。

 人格上も、能力上も、財務省理財局長としての役目を果たし得なかった。

 にも関わらず、麻生太郎も安倍晋三も逆の見方をしていた。

 上記「NHK NEWS WEB」記事。

 麻生太郎「(佐川宣寿を国税庁長官に起用した人事を「適材適所の配置だ」としてきたことについて)豊富な経験に照らして適任だと判断したという経緯です。これまでの経験は国税の3課長、2課長、総務課長など色々な経験があるので、職務を適切に行ってきたと考えています」

 国税庁長官を適所とするに相応しい適材だと、その能力を高く買っていた。

 安倍晋三も同じ目で佐川宣寿を評価していた。2018年1月24日衆議院本会議代表質問。

 安倍晋三「国税庁長官の人事については、他の全ての人事と同じく、適材適所の考え方に基づき行ったものであります」

 だが、佐川宣寿自身が国税庁長官職を安倍晋三や麻生太郎に適材適所されることになった基となった評価それ自体を「国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いた」云々と否定している。

 要するにメガネ違いだった。メガネ違いに基づいて一国の首相が、あるいは副総理兼財務大臣が国税庁長官職を適材適所だと最大限に評価した。

 どちらにも人事評価の責任と任命責任があることになる。

 これまでの“捜査への影響”を口実に国会答弁を回避してきたこととその不誠実さと言い、 麻生太郎のさも大阪地検から要請があったかのように見せかけた国会虚偽答弁と言い、混迷状態の森友問題と言い、佐川宣寿に対する適材適所評価の錯誤と言い、安倍晋三にしても麻生太郎にしても、その責任の取り方をどう決着付けるつもりでいるのだろうか。

 浅田均は「今の大臣のご答弁から判断しますと、今まで財務省に於いて決裁文書の改竄、あるいは書き換えみたいなことはなかったと。国民を裏切るような行為はなかったという理解でいいですね」と念押ししているが、麻生太郎と財務省はこの間、国民を裏切る行為を重ねてきた。

 この件に関しても安倍晋三に無関係とは言えない。

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民進党代表大塚耕平の3月1日参院予算委生産性論議に見る看過できない外国人差別&蔑視

2018-03-08 12:26:40 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

文飾は当方。



 参院予算委員会民進党大塚耕平 2018年3月1日

 大塚耕平「日本人の、あるいは日本の生産性が相対的に低いということを繰返し述べられているんですが、それはこれまでの認識を撤回するという理解でよろしいでしょうか」

 茂木敏充「日本の生産水準、伸びが低いと思っております。その理由としてですね、多くの専門家、さらにシンクタンクの分析がありますが、一つはTFP(ネット解説:全要素生産性。成長会計の一概念で産出量と資本・労働・技術の 3 要素の投入量の関係を示す指標。長期的には技術進歩を反映する)、そして労働消費率(資本労働比率=労働装備率か?――)が伸び悩んでいるため、という指摘が恐らく多いと思っておりまして、日本人のTFPの上昇率が伸び悩んでいる原因としては、日本企業はオープニングイノベーションなどではなく、自社内の技術開発に拘ることが多いことなどから、研究開発によって蓄積した技術であったり、アイデア、これが幅広く効率的に活用できていないこと。

 更にはですね、ICT(情報通信技術)等の技術がですね、中小企業で十分に進んでいないこと。こういったことが指摘されています。一般の日本の資本装備率(ネット解説:労働量に対する資本量の比率。正しくは労働の資本装備率)が伸び悩んでいる原因としてはですね、日本の設備投資、力強さを欠いている。

 国内ではなく、海外の方に設備投資が向かっている。これが大きな原因だと思っておりまして、さらにまた状況を改善して過去最高のですね、企業収益をさらなる賃上げであったりとか、設備投資に繋げるために3%の賃上げや(設備)投資に積極的に繋げる企業にはですね、法人税の実質的負担を25%に引き下げる。

 さらに画期的な技術ににより生産性向上に挑戦する企業には思い切って20%まで引き下げると言うことをやっておりまして、ご案内のとおりですね、労働生産性の問題、それからTFPの問題、そして資本装備率の問題、それらによって全体の生産性が決まってきますので、そこん中で捉えるべきだと思います」

 大塚耕平「茂木さんが答弁していただいたんで、まさしくそういうところをいまから総理と認識を共有していきたいんですが、これはもう経済学部の大学生であれば、誰もが知っている計算式で、GDPを労働投入量を割っているわけであります」

 パネルを出す。


               国内総生産(GDP)
 労働生産性=――――――――――――――――――――――――――
           労働投入量(就業者数-実労働者数)

 大塚耕平「しかし裁量労働制のデータが不十分であった、不適正であったと同様に労働生産性をどう捉えるかということも、実はこの労働法制の議論の大前提として多くの問題があるということをこれから認識させて頂きたいと思います。

 GDP統計も最近粉飾されているとか揶揄されていますが、分子の方は取り敢えず話題にしません。

 先ず就労者数についてお伺いしたいんですけども、就業者数は労働力調査に於いてどのように把握しているのかを総務大臣にお伺いします」

 野田聖子「労働力調査は我が国に於ける就業・不就業実態を明らかにするため、全国から選択された約4万世帯、15歳以上の世帯の約10万人を対象に毎月調査を実施ています・・・・・」

 ――(中略)――

 大塚耕平「日本人の就業者比率は人口に比べてちょっと高いというのは従来から先進国の間で七不思議の一つなんです。なぜ日本だけ高いと思いますか」

 野田聖子「なぜかということは分かりませんが、日本の就業者数とは1週間中に収入を伴う仕事を1時間以上したか、または仕事を持っていながら、一時的に休んでいた人を指します。また外国人かどうかは区分しておりません

 ――(中略)――

 大塚耕平「(就業者数にカウントされる項目を自分で挙げる)『主に仕事』、『就業の傍らに仕事』、『家事などの傍らに仕事』、『仕事を休んでいた』、この4つが就業者数にカウントされるんです。

 これ他国も同じですか」

 野田聖子「通告がなかったので、確認しておりません」

 大塚耕平「高度プロフェショナル制度の議論に入る前に、これ、確認をして、各国比率を必ずやってください」

 総務省統計局のページに次のような記述がある。文飾は当方。

 労働力調査に関するQ&A(回答)(総務省統計局)  

(就業状態の定義)

F-1 就業者,完全失業者とは,どのような状態にある人のことですか?

 就業者,完全失業者の定義は,次のとおりです。この定義は,他の主要先進国と同様,客観的に就業・失業の実態を把握するため,ILO(国際労働機関)(別ウィンドウで開きます。)の定めた国際基準に準拠したものです。

 就業者,完全失業者の定義 15歳以上人口のうち月末1週間に少しでも仕事をした者を就業者、仕事についておらず、仕事があればすぐつくことができる者で、仕事を探す活動をしていた者を完全失業者とする。就業者と完全失業者を合わせたものを労働力人口、それ以外の者を非労働力人口とする。完全失業率とは労働力人口に占める完全失業者の割合のこと。

 大塚耕平は日本の労働生産性は統計に表れているように各国比較で低いと言うことはなく、高いと見ている立場から、就業者数に余分な要素が入っていると見て、上のような質問をし、実際は日本の労働生産性は高いという答を導き出そうとしたのだろうが、総務省統計局は「国際基準に準拠」としている。

 大塚耕平はこれぐらいのことを自分で調べて、質問を組み立てるべきだったろう。

 大塚耕平「もう一つお伺いしますが、この就業者数に外国人労働者は含めていますか」

 野田聖子が先程の答弁で、「外国人かどうかは区分しておりません」と発言している。

 野田聖子「先程申し上げた通り、区分しておりません」

 (答弁遣り直し)

 野田聖子「外国人であるかどうかは設けておりません」

 (答弁遣り直し)

 野田聖子「含まれております」

 大塚耕平フランスなどでは含まれていないという情報もあるのですが、これも他国、少なくともG7の間では統一されているかどうかはどのようにご報告を受けておりますか」

 茂木敏充「いずれにしても、議論は労働生産性、こういった議論で、ここではですね、国際比較が必要になってくる。そうしますとですね、OECDのデータベースを使って、各国の比較をするということになってくると思っておりまして、その場合は就業者数1人当りということで、OECDの事務局が統一の基準を持ってですね、各国のデータを使って推定するという形になると思います」

 大塚耕平「茂木さん、経産大臣のときにも原発処理のときに巧みに色んな答弁をされるんですが、その場を取り敢えず切り抜けてくださるのは有り難いことですが、不確かな答弁を敢えてして頂く必要はありませんので。

 総理、これ、実態早くしましょうよ。労働生産性は何だか知らないが、低いというような根拠の低い前提が蔓延しているんですよ。

 日本の労働生産性が低いというのは普通の方々の働き方を(みると)他国の方々と比較して必ずしも低いとは私には思えません。

 厚労大臣にお伺いしますが、そうなると厚労省の外国人雇用状況に於いて外国人労働者は何人というふうに把握されていますか」

 加藤勝信「日本国内で就労する外国人労働者数は外国人雇用状況届出状況によりますと、平成29年10月末時点に於いて約128万人です」

 大塚耕平「今、そんな少ないんだと後ろからお声があったんですが、この外国人雇用状況の調査では、大臣が仰った数字ですが、さっきの労働力調査では訪問していった家にその雇用状況に登録していない124万人以外の外国人がいらっしゃれば、就業者数にカウントされているんですよ。

 それでいいんですね、総務大臣」

 野田聖子「その通りでございます」

 大塚耕平「そうなると、就業者数は実態や、外国人雇用状況の把握している数字よりも多い場合には日本人の労働生産性、あるいは日本の労働生産性は上がりますか、下がりますか」

 加藤勝信「今仰るように分子がGDPですから、これは労働者数掛ける1人当りの労働時間数で、1時間当りの労働生産性ということであれば、分子が下がらずに分母が大きくなればですね、労働生産性は小さくなる、こういう関係になると思います」

 大塚耕平「あのー、そうなんですよ。先ず日本人の労働生産性が低いが如き都市伝説が蔓延している、このデータについてやっぱり我々は今一度認識を共有する必要があるのです」

 大塚耕平は加藤勝信の「分子が下がらずに分母が大きくなればですね、労働生産性は小さくなる」の発言を引き継いで、実態としては高いと思っている日本や日本人1人当りの労働生産性を低く見せている原因が、あるいは「日本人の労働生産性が低いが如き都市伝説が蔓延している」原因が外国人雇用状況が把握していない外国人労働者が就業者数にカウントされていることにあるかのように主張しているが、把握していない外国人労働者がどれくらいいるというのだろうか。

 例えその数がかなり多かったとしても、「分子の方は取り敢えず話題にしません」と就業者数だけを問題にしてGDPを問題にしないのは条件設定に無理があるのだか、そのことに気づかないで議論を続けるトンチキを犯している。

 問題はこのようなトンチキではない。

 極く当然のことを解説することになるが、GDPとは生産に携わった就業者が国内で一定期間内に生産したモノやサービスの付加価値の合計額であって、円やドルの金額で示される。そしてGDPに関わる生産性は生産に携わった就業者1人当りか就業者1時間当りの平均の付加価値で表され、計算上は誰もが平均の付加価値=労働生産性を生み出している存在と看做される。そこに外国人労働者が何人加わっていようがである。

 あるいは就業者数に新たに外国人労働者がカウントされることになったとしても、就業者が日本人のみである場合よりも平均の付加価値を生み出す能力=労働生産性が少しぐらい低かったいたとしても、モノやサービスの付加価値を生み出す存在と看做されている以上、新たな外国人労働者数に応じて当然、分子のGDP額は増える計算になるはずだが、そのことを無視して、分母の就業者数だけが増えた計算にして、恰も日本の、あるいは日本人の労働生産性が低く見える根拠としている。

 いわば外国人労働者をモノやサービスの付加価値を生み出す能力のない存在と看做した議論を国会の場で展開した。少なくとも大塚耕平の外国人労働者が就業者数に「フランスなどでは含まれていないという情報もあるのですが」の発言は就業者数に外国人労働者がカウントされていることが日本の労働生産性が低く見られていることの根拠としている。

 フランスにしても実際には多くの外国人労働者が労働しているはずで、それを含まずに計算した場合、労働生産性は高めに計算できたとしても、外国人労働者が産出する付加価値が除外されることになって、国の主たる経済力を示す統計上のGDPそのものの規模を小さく見せることになり、国の経済力に対する国際的な評価を下げることになる。

 それを防ぐためには労働生産性を計算するときには外国人労働者を除外し、GDPは外国人労働者を含めて計算するという芸当を見せなければならない。バレもせずに果たしてそんなことができるだろうか。

 いずれにしても大塚耕平は日本の外国人労働者をモノやサービスの付加価値を生み出す能力のない存在と位置づけて議論していることは、それが気づかないままにしていることであっても、外国人労働者を差別し、蔑視する潜在意識がなければできないことであって、就業者数に加えるべき外国人労働者数の不確かな把握を根拠に日本の、あるいは日本人の生産性を低いとしている統計を否定、実際は高いんだとしたい願望に取り憑かれているようだ。

 これが公党の代表を務めている。

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決裁文書改竄疑惑:逃げている印象のみの財務省調査方針 捜査への影響は財務省ではなく大阪地検が言うこと

2018-03-07 09:09:17 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 

 「財務省の調査状況報告全文」朝日デジタル/2018年3月6日09時59分)  

 財務省が3月6日朝の参院予算委員会理事会に提出した「調査の状況の報告」の全文は以下の通り。

     ◇

 現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄(きき)について告発を受けて、捜査が行われている状況にあり、財務省としては、この捜査に全面的に協力している段階にある。

 こうした状況の中、捜査に影響を与えないよう、以下の点に留意して、直接の担当である理財局・近畿財務局以外の職員も関与した上で、全省を挙げて、文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進めていきたいと考えている。

1.文書の確認

 調査にあたっては、多くの文書の確認が必要となるが、これら文書は、告発を受けた捜査の対象となっており、すべての文書を直ちに確認できない状況となっている。

2.職員への聞き取り

 調査にあたっては、広く職員への聞き取りを行う必要があるが、決裁文書の作成にかかわった職員への聞き取りにあたっては、捜査に影響を与えないよう、捜査当局による事情聴取との関係に留意し行う必要がある。


3.事実関係の確認

 事実関係の確認に当たっては、裏付けをとるなど慎重に行う必要がある。

 「捜査に影響を与えない」という条件の範囲内で「全省を挙げて、文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進める」との構図を取った調査方針となっている。

 と言うことは、“捜査への影響回避”を優先課題としていることを意味する。

 この構図は「決裁文書の作成にかかわった職員への聞き取り」に特大の如実さで露わとなっている。「文書は、告発を受けた捜査の対象となって」いる、いわば大阪地検の預かりとなっていて、手元にないということなら、決裁文書が改竄されているか否かの肝心の調査は偏に決裁文書作成職員への聞き取りにかかっていることになる。

 ところが、「捜査に影響を与えないよう、捜査当局による事情聴取との関係に留意し行う必要がある」と自ら制限を課しているということは“捜査への影響回避”を優先課題としていることの何よりの証明であろう。


 要するに最初から調査にタガをはめている。自分たちでタガをはめている以上、“捜査への影響”を口実に調査をコントロールできることになる。タガとコントロールへの危惧からは逃げている印象しか浮かんでこない。


 但し調査に対してどのようにもコントロールできるこのようなタガが正当性ある措置かどうかということになる。正当性ある措置であった場合、逃げている印象は勘繰りでしかなくなる。

 正当性がなければ、“捜査への影響回避”を錦の御旗として解明とは言えない当たり障りなくコントロールされた調査報告の構図を最終的に取る公算が大きい。


 この「調査の状況の報告」は「捜査に影響を与えないよう」にと、“捜査への影響回避”優先の文言を二度繰返しているが、“捜査への影響”とは具体的にどういった影響なのかの説明も、あるいは大阪地検の捜査にこれこれこういった影響を具体的に与えることになるとの説明も、大阪地検の方から、こういった影響が出ると具体的に示すお達しがあったとの説明もない。単に自分たちで“捜査への影響”を口にして、調査にタガをはめているに過ぎない。

 これらの説明がない以上、タガは正当性ある措置は言えない。当然、逃げている印象にしても、薄汚い勘繰りではなく、正当性を持った印象の部類に入る。

 どういった調査を行ったなら、“捜査への影響”が生じるかは麻生太郎や財務省が決めることではない。“捜査への影響”がもしあるとしたなら、その影響を受けるのは大阪地検なのだから、大阪地検が決めることである。

 財務省が大阪地検に相談して、どういった調査が“捜査への影響”を生じさせるのか、あるいはどこまでの調査が生じさせないのか、調査のルールの提示を受けて、そのルールを公表、それを正式な調査方法として具体的にどういった調査を行うのか、野党を前にして問う、あるいは野党を通して国民に問うのが政府や行政府としての極々当たり前の道理であるはずである。

 だが、そういった道理に基づかずに自分たちで決めた“捜査への影響”というタガを嵌めて、明らかに調査をコントロールしようとしている。単に逃げている印象を与えられるだけで終わらない。逃げる必要があるから、「捜査に影響を与えない」という条件内の調査の設定であり、タガということでなければならない。

 要するに逃げている印象を与えること自体が決裁文書改竄の不正を背景としていることの何よりの証明となる。森友学園国有地格安売却に何ら不正がなかったなら、潔白・無実であったなら、逃げている印象は誰に対しても決して与えることはない。

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麻生太郎5日参院答弁「捜査当局から口裏合わせと取られかねないから」は当局が国の不正を前提としている証明

2018-03-06 11:40:42 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 昨日(2018年3月5日)のブログで朝日新聞が取り上げた対森友国有地格安売却に関わる財務省作成の決裁文書が書き換えられていたとする疑惑報道に関して3月2日の参院予算委で野党が追及、対して麻生太郎と財務省理財局長太田充が国に対する告発を受理した大阪地検の捜査に影響を与える恐れから答弁は控えるで押し通して逃げた姿勢について国が潔白・無実であるなら、捜査に影響することはないから、答弁はできるといったことを書いた。

 いわば、〈捜査への影響を考えるのは自身が不利な状況に立たされる影響があるからであって、潔白・無実ではないことの証明としかならない。〉と。

 ところが、2018年3月5日付の「NHK NEWS WEB」記事が3月5日(2018年)の参院予算委で麻生太郎が民進党足立信也への答弁で捜査当局から調査は控える方がいいと言われたとの趣旨の発言をしたこと伝えていた。

 と言うことは、麻生太郎と太田充が「捜査に影響する」と言っていたことが正しかったことになり、逆にブログに書いたことが間違っていたことになる。関係箇所の質疑を見ることにしたが、上記記事が伝えている麻生太郎の発言を先ず記載して見える。

 民進党の足立政務調査会長が調査の状況を3月5日中に委員会に報告するよう求めた。

 麻生太郎「あす、調査の方針や留意点などの調査の状況について報告させる。

 報道が事実だとすれば、由々しき事態だと認識しているが、今は捜査の途中だ。『個別に調査を』とよく言われるが、捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』と言われている。捜査が終わらないと、個別な調査がなかなかしにくいというのは事実だ」

 「捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』と言われている」――

 要するにこのような警告、あるいは注意は調査の過程で改竄の痕跡を隠すためにあれこれ話し合ったと勘繰られかねないから、調査は控える方がいいと言われたとの意味となる。

 だが、そこに「口裏合わせ」を予想すること自体、捜査当局は対森友国有地格安売却が不正を背景として成り立たせていると解釈している疑いが生じる。売却が何ら不正の関与はなく、潔白・無実と見ていたなら、口裏合わせを心配しなければならない余地は生じない。

 事実、捜査当局がそのように言ったとしたら、これ以上の不正工作はダメですよの警告の形を取っていることになる。

 麻生太郎は捜査当局の言葉を伝えることによって、国有地売却に絡んで捜査当局が抱えることになっている国に対する不正疑惑を暗に伝えたことになる。

 麻生太郎としたら、捜査当局からそのように言われたと、その言葉を単にそっくり繰返してなどいられないことになる。

 麻生太郎が捜査当局から言われもしないのに答弁を逃れる口実として創作した「口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように」の文言だとしたら、口実の創作を迫られる心理そのものが決裁文書が改竄前の元の文書と朝日新聞が伝えた改竄した文書の2通が存在する証明となる。

 果たして民進党の足立信也がこの点を突いたかどうかである。

 では実際の質疑をを見てみる。

 足立信也「これ公文書の改竄て、犯罪ですからね。そのことについて財務大臣はどういう調査をやって、どういう責任を持って臨むか、いうことをお答えくださいとしているところでございます」

 麻生太郎「これ仮定の質問なんで、お答えするのは差し控えなければイカンというのは当然なんですが、その上で今ご存知のように私供は捜査に関わる話なんで、捜査の途中ですから、資料を大阪地検で持っております。

 私供としてはそういったことに関しましてはお答えできないということはこの前の答弁で申し上げたとおりだったと思っております」

 答弁不満でしばし中断。

 麻生太郎「あの、質問の意味を間違えたようで恐縮です。あの、私供としては今捜査の途中でありますんで、私供としていわゆる個別に調査をというようなことを言われますけれども、ご存知のように捜査当局の方からは、少なくとも今口裏合わせをするような話に取り(ママ)かねないいうことから、こういったことに関して極めて控えるようにということを言われているのは事実ですから、私供としてはそういったことは捜査が終わってきちんとしたのではないと、私供としては個別な調査はなかなかしにくいというのは事実だと思います」

 足立信也「この調査は極めて大事だということを申し上げて、調査をしていると大臣がおっしゃって。でも、今の答弁は調査しにくい話だと。捜査中であるので、いうことになったわけですよね。

 しかしここはやっぱりですね、あのー、私は大臣、この問題の重要性、公文書改竄、犯罪ですから、間違いなく。30年間の保存もあるわけで。大臣としてこの問題をどの程度大きく捉えて、そして責任を持って調査をし、その結果は分かりませんけれども、分かりませんけれども、大臣としてどういう決意でいるのかと、それを聞かせてくださいと。

 大臣の責任はどこにあるのですか、ということを聞いているわけです」

 麻生太郎「ここで答弁したか、財金(財政金融委員会)で答弁したか、ちょっと記憶が確かでありませんけども、これは仮定の質問で、これが事実であっとしたら、由々しき事態だと、私もそういうふうに理解をしております」

 足立信也「調査のことを、その辺りの責任のことを一緒にして仰られるので、明らかに麻生大臣は『私供としての調査をしたい』というふうに答弁されていらっしゃるわけですから、調査に臨む。これは重大事案ということで調査に臨む決意を聞かせてくださいねと申し上げているわけですね。

 それはお認めになる?(麻生が自席から『それは認める』と声を掛けたのか)。

 できれば明日の衆議院財務金融委員会で報告するんであれば、今日はこの参議院でテレビが入って、予算委員会やっているわけですから、今日中にその結果の報告、できれば昼までに出して頂きたい。

 このことを申し上げておきます」

 委員長「理事会で協議を致します」

 以上でこの件に関しては一件落着。

 足立信也は 「捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』と言われている」とした麻生太郎の発言から、追及すべき点は何ら見い出さなかったようだ。

 麻生太郎は朝日新聞の決裁文書の書き換え・改竄の報道に基づいた国会での「事実かどうか」の追及は「仮定の質問」だと2度口にしている。その一方で、「これが事実であっとしたら、由々しき事態だ」と発言している。

 もし事実なら、かなり罪の重い公文書偽造の犯罪に相当するだけではなく、財務省のガバナンスにも関わってくる重大事態の渦中に立たされることになる。

 逆に事実でないなら、それを放置した場合、省庁の名誉に関わる事実でない情報の一人歩きを野放しにすることになる。

 と言うことは、事実、事実でないに関係なく、前者・後者いずれであっても、「由々しき事態」と言うことになり、財務省全体の問題として事実なのか、事実ではないのかを明らかにする責任が生じる。当然、「仮定の質問」で済ますことはできない。

 例え「資料を大阪地検で持って」いたとしても、各自の記憶を確認する方法で改竄を行ったのか行わなかったのかの聞き取りはできる。

 そこで改竄はなかったことにする口裏合わせが行われて、改竄はなかった、朝日の報道は捏造だと発表されたとしても、地検という捜査機関までが口裏合わせを見逃すようなら、捜査よりも財務省内の偽造工作が一枚上手となって、調査は口裏合わせをすると取られかねないから、控えるようにとの捜査当局の警告、もしくは注意はしてもしなくても同じだった、あるいは最初から実効性を持っていなかったことになる。

 要するに口裏合わせを心配したり、問題としたりするより、朝日報道の改竄が事実か否かを最重要の問題としなければならないとうことであり、当然、国会の要求に応じて財務省は事実かどうかの調査を最優先事項としなければならないということになる。

 そこで例え口裏合わせが行われたとしてもである。

 捜査の途中であるからとの理由で、あるいは「捜査にどのような影響を与えるか予見し難い」からとの理由で文書が2通存在するのか存在しないのか調査しなくてもいい理由、あるいは国会で答弁しなくてもいい理由とはならない。

 繰返しになるが、公文書偽造の犯罪に相当しかねないこと、財務省のガバナンスにも関わりかねないこと、真偽が定かでないままの情報を真偽が定かでないままに一人歩きを許してしまいかねないこと、これらは決して放置していい問題ではない。

 口裏合わせをして逃げるようなら、人間としての自らの程度を日々強がりで押し通すことになるだろう。

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森友学園国有地格安売却不正取引疑惑に国側が潔白・無実であるなら、朝日報道に関わる国会答弁は可能

2018-03-05 13:18:01 | Weblog

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年3月2日付「朝日デジタル」記事が、森友学園との国有地取引の際の財務省作成決裁文書が契約当時の内容と昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した内容に違いがあり、複数の関係者からの伝聞で、問題発覚後に書き換えられた疑いがあると報じている。

 問題の文書は2015~16年に学園と土地取引した際に財務省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作ったもの。契約当時の文書と国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで共に決裁印が押されているが、契約当時の文書には学園とどのような遣り取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしているという。

 「朝日デジタル」の発信時刻は3月2日の05時20分、同3月2日の参院予算委で自民党の宮本周司や共産党の小池晃がこの問題を取り上げた。他の議員も取り上げたかもしれないが、先ずは小池晃の質問とそれに対する答弁を取り上げてみる。文飾は当方。

 小池晃「森友学園の国有地取引の財務省の決裁文書が書き換えられていたという報道が今朝なされました。これは本委員会の開示請求で出された文書であります。極めて重大。

 報道によれば、元の文書にあった『特殊的な内容』、『本件の特殊性』、そして『学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行う』等が削除されていると述べております。

 ちょうど1年前、この場所で私はこの問題、質問しました。総理、当時の佐川理財局長は『先方に対して具体的な貸付料など提示したことはない、することはない』、『価格を提示したことはないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない』と答弁されたわけですよね。

 麻生大臣、この元の文書を出して下さい」
 
 麻生太郎「ご指摘がありました今朝の報道につきましては、これはもう、今、現在大阪地検に於いて背任、証拠隠滅、また公文書の毀棄等々について今告発を受けて、捜査を受けている最中、今ご存知のとおりなんで、財務省としてはこの捜査に全面的に協力をしているという段階でありますんで、今のようなご質問に対してお答えするというのは捜査にどのような影響を与えるかということは予見し難いため、差し控えさせて頂きたいと思います

 小池晃「あの、捜査に影響を与えるということは元の文書、あるっていうことですか。だって、ないんだったら、捜査に影響はないでしょう。ないと言って済む話じゃないですか。

 捜査に影響があって出せないって言うことはあるっていうことじゃないですか」

 麻生太郎「今手元にその資料、一切ありませんので、何ともお答えのしようがないんですが、私供は捜査に影響がないと考えられるんであれば、その段階で必要があるんなら、調べることとさせて頂きます

 小池晃「だからですね、捜査には出しているでしょう。出しているわけでしょ。だったらば、元の文書になるものはない。改竄したことがないということだったら、ないって言えばいいじゃないですか。

 何でそうじゃないんですか。言わないって言うことはあるって認めたことになりますよ」

 麻生太郎「今私供はその資料はありませんので、お答えのしようがないと申し上げているんです」

 小池晃「あの、近畿財務局にないっていうことですか。財務省本省にないっていうことですか」

 財務省理財局長太田充「あの、近畿財務局で保存している、把握して保存しているものは国会にご提出をしているものと言うことでございます」

 小池晃「それ以外のものはないんだったら、ないと言えばいいじゃないですか。何でないと言えないんですか。ないと言わないということはあると認めたことになりますよ」

 太田充「先程大臣からご答弁がありましたとおりでございます。大阪地検に於いて背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等々で告発を受けて捜査が行われております。財務省としては捜査に全面的に協力をしている段階であって、お答えすることは捜査にどのような影響を与えるかは予見し難いため、答弁は差し控えさせて頂きたいということでございます

 答弁不服でほんの少し中断。再度答弁を求められる。

 太田充「ご質問はあるのかないのかというご質問だと思いますが、ご質問の答はこれまでと同じで恐縮でございますが、現段階では大阪地検が背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等で捜査が行われている状況でございます。

 で、捜査に全面的に協力する段階であって、お答えすることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難いため、答弁は差し控えさせて頂きたいということでございます


 再度答弁不満でほんの少し中断。

 太田充「もう一度お答えさせて頂きます。私がここでご答弁申し上げますのは財務省として責任を持ってご答弁させていただくということでございます。

 あるなしというようなご質問がありましたが、ご指摘の報道については現在大阪地検が背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等について告発を受けて捜査が行われている状況でございます。財務省としては捜査に全面的に協力する段階でありまして、お答えすることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難いため、答弁は差し控えさせて頂きたいということでございます」

 小池晃「全然答えになっていませんよ。今までだってリーガルチェックなんか、出しているじゃないですか、文書は。何でこれだけ出さないんですか。

 何でこれだけ捜査に影響するんですか。文書、全然出していないわけじゃないんですよ。これまで出しているのに、何でこれだけ出さないんですか」

 太田充「お答え申し上げます。国会でのご議論・ご指摘を踏まえて森友学園の土地の貸付・売却にかかることについては正心誠意調べをしてお答えを申し上げているつもりであります。

 ただ、何度も申し上げて恐縮ですが、これは現在大阪地検に於いて背任のほか、証拠隠滅、公文書の毀棄等について告発を受けて捜査が行われているということで財務省とすれば、これに全面的に協力している段階でございます。お答えすることが捜査にどのような影響を与えるかは予見し難いということのために答弁は差し控えさせて頂いているということでございます

 答弁不満でほんの少し中断。

 太田充「お答え申し上げます。法律相談文書の件を含めて先程申し上げましたが、国会でのご指摘・ご議論を踏まえてできるだけお出しをして答えるように努力をしてまいりました。

 ただ本件は先程来申し上げておりますが、背任のほか、証拠隠滅、公文書の毀棄という告発を受けてということで、ある意味、今回の報道は証拠隠滅、公文書の毀棄そのものの話でございますので、これは捜査に全面的に協力するという段階でお答えすることは捜査にどのような影響を与えるか予見し難いということで、お答を差し控えざるを得ない、お控えさせて頂いているということでございます

 小池晃「私はね、非常に素直なことを聞いているんですよ。改竄なんかしていませんと、元の文書なんてないんですよと、お出ししたものは正しいんですよ、言えばいいじゃないですか。

 何でそれが言えないんですか。それが捜査に支障があるから言えないということは別の物があるってことになるんじゃないですか。堂々とないと言えばいい。何でそれが言えないかということです」

 太田充「大変恐縮ですが、告発を受けているのは背任、証拠隠滅、公文書等毀棄についての告発を受けてということでございまして、今日の報道はその犯罪と、いや、その告発そのものみたいなお話でございますので、それについて私供とすれば、捜査に全面的に捜査が行われていることについては捜査に全面的に協力するというのが先ず第一義だと考えております。

 そういう意味では捜査にどのような影響を与えるか予見できない段階で答弁することは差し控えさせて頂いきたいということでございます


 小池晃「改竄していませんよと言えないんですか」

 太田充捜査に全面的に協力するということから、どのような影響を与えるか予見し難いということで、今程のことは答弁を差し控えさせて頂きたいと思います

 答弁不満でほんの少し中断。

 太田充私供現在捜査に全面的に協力している段階だと申し上げました。そのうえで、これは捜査にどのような影響を与えるか予見し難いことだと申し上げました。その上で捜査に影響がないと考えられる段階に於いてな必要があれば、調べるということはさせて頂きたいと思います

 答弁不満でほんの少し中断。

 太田充「お答え申し上げます。本件先程以来のご議論は国政調査権を含めて国会のご審議の重さは重々承知をしております。その上で、ただ現在、捜査が行われている段階で、先ず第一義的に捜査に全面的に協力するというのが最重要優先であろうと思っています。

 ただ、国会のご議論、国政調査権というのは重々承知をしておりますので、捜査に影響がないと考えられる段階に於いて私供としてなお必要があれば、調べるということは責任を持って調べさせて頂きたいと思います
」 

 小池晃「捜査に影響がないと考えられる段階というのはおかしいんですよ。すぐに調査しなければダメなんですよ。こんなんじゃダメ」

 太田充「先程も申し上げたとおり、国会のご審議の重さは重々承知しております。ただ、今、捜査中でございますので、先ずは、先ずは捜査が最優先だろうというふうに考えてございます。

 こういうことを申し上げて、その上で捜査に影響がないと考えられる段階に於いては、言うことでご答弁申し上げたということでございます」

 答弁不満でほんの少し中断。

 太田充「お答え申し上げます。財務省として捜査に全面的に協力している段階であり、捜査にどのような影響を与えるかは予見し難いことからというふうに申し上げてまいりました。それを踏まえて捜査に対する影響というのを十分排しつつ調査をしてまいりたいと思います。

 その上で、捜査の最終的な影響ということを十分見極めながら、私供として国政調査権と言うことも重々踏まえて適切に対応させて頂きたいと思います


 小池晃「何でこんなことが答えられないのかなと。大臣、麻生大臣、文書改竄やっていないなら、やっていないと言ってくださいよ。やっていないでしょ」

 麻生太郎「度々答弁させてい頂いてま通りなんで、私供としては太田が申し上げましたように全面的に協力する段階でありますから、その段階が私の段階ではないので、私供としては今お答え、今申し上げられないということでございます」

 小池晃は麻生太郎が3月2日の記者会見で記者から今回の「朝日」報道について問われて、「この報道は『朝日』でしたかね。お宅、東京新聞はそんな取材能力はねえだろう。残念だったね」と発言したことを取り上げて、「「『朝日』は取材能力があると、事実上認めていることになりますよ」とつまらないことを言い、「答弁を差し控える」で押し通そうとしているのだから、「今朝の報道は誤報なんですか。どうかはっきりしてください」と答えるはずもないことを聞いてから、委員長に委員会として調査して、委員会に報告するよう求め、委員長が理事会で討議することを言って、この件に関する質問を終える。

 まるで蓄音機の一定の一箇所のみが壊れていて、「現在大阪地検から背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等々で告発を受けて捜査が行われている」云々を繰り返し聞かされるような国会審議となっている。

 要するに小池晃は同じような答弁を引き出す堂々巡りを演じただけで終わってしまった。相手のガードを突き崩すことのできるカギとなる発言を引き出していながら、見逃してしまった。

 最初は麻生太郎も太田充も、「現在大阪地検から背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等々で告発を受けて捜査が行われている。財務省としては捜査に全面的に協力をしている段階であって、朝日の報道に関する答弁は捜査にどのような影響を与えるかは予見し難いため答えることができない」で押し通そうとしていたが、小池晃が引き下がらなかったために「捜査に影響がないと考えられる段階に於いて私供としてなお必要があれば、調べる」に態度を一見軟化させたような発言に変えている。

 だが、あくまでも一見でしかなく、言い方を少し変えただけで、捜査との関連で調べるつもりはない意思表示であることに変わりはない。大阪地検の捜査によって告発が訴追要件となって裁判が行われ、有罪となった場合は、最高裁まで戦うだろうが、首を洗って待っていなければならないから、調査から蚊帳の外に置かれるだろうし、不起訴、あるいは起訴されたとしても無罪を勝ち取った場合は無罪を楯に一切の調査を断ることができるから、当面は捜査との関連を言い立てるだけで凌ぐことになる。

 但し太田充の次の発言が森友学園に対する国有地格安売却疑惑に於ける国側の身の潔白・無実の程度を知らせることになる。

 「今回の報道は証拠隠滅、公文書の毀棄そのものの話でございます」、あるいは「今日の報道はその犯罪と、いや、その告発そのものみたいなお話でございます」

 要するに朝日の報道を事実と認める答弁をした場合、元の文書に対する証拠隠滅と公文書毀棄の疑いそのものとなって告発されていることの証拠を改めて提供することになるか、あるいは新たな告発対象となりかねないだけではなく、元の文書の存在自体が改竄の動かない証拠となる関係から、「捜査に全面的に協力するという段階でお答えすることは捜査にどのような影響を与えるか予見し難い」云々の答弁を口にしなければならない構図の太田充の発言となっている。

 逆に朝日の報道が事実ではない、怪文書に過ぎない、安倍政権を陥れるための捏造であるなら、そうであることを断言すれば済むはずだが、断言して身の潔白・無実を証明することをしないということは、いわば朝日報道を肯定も否定もしないということは、そうすることができないからであって、自分たちが主張しているとおりの身の潔白・無実は崩れる関係を取ることになる。

 捜査に影響するケース、影響しないケースについて一般論を述べてみる。

 森友学園に対する国有地格安売却は正しい価格の売却であった。忖度がなかった。安倍晋三も安倍昭恵も売却への関与はなかった。地中埋設物(ゴミ)の量は正しく算出され、その撤去・処理費用も正当に積算されて、何ら不正はなかった。
 8億2千万円の値引き額は正当な計算に基づいていた。いわば全てに於いて後ろ暗いところはこれポッチもなく、騙しもゴマカシもなく、疑惑は潔白・無実そのものであると終始主張してきた。

 にも関わらず、大阪地検に背任、公用文書等毀棄などで告発されていて、当該捜査機関で捜査中であるゆえにその捜査に影響を与える怖れがあり、「答弁を差し控えねばならない」。

 告発を受けて地検が捜査中であろうと、潔白・無実であるなら、何をしようと捜査に関係しないことで、当然、何の証拠にもならないのだから、捜査に影響を与えることはない。当然、何も隠す必要も生じない。

 捜査に影響を与えるのは潔白・無実ではないときのみである。

 下手に何かをして捜査に対して不利な状況に立たされる恐れが生じると計算されるとき、「捜査に影響を与える怖れがある」の口実のもと、隠す必要が生じる。

 例え告発を受けたとしても、潔白・無実であるなら、どのような文書をどのような形で公開しようと、告発と関係ない文書とされるか、逆に潔白・無実の証拠以外にはなり得ないのだから、何ら問題はないことになる。

 潔白・無実ということは決裁書の書き換えも必要ない、あるいは書き換えはないと言うことなのだから、逆に公開することによって、書き換えのないことの証拠そのものとすることができる。要するに書き換えのないことは潔白・無実の証明として積極的に公開する理由となるし、公開の必要性が増す。

 何事も潔白・無実という要件こそが、日常性を持った必要とするどのような行動も捜査とは関係なく許される。

 潔白・無実であるなら、公開は捜査と関係することはない。捜査にどのような影響も与えない。

 捜査への影響を考えるのは自身が不利な状況に立たされる影響があるからであって、潔白・無実ではないことの証明としかならない。「捜査にどのような影響を与えるか予見し難い」恐れからではなく、自分たちが不利な状況に追い込まれる可能性への恐れに過ぎない。

 だから、麻生太郎も太田充も、朝日報道を事実無根とすることはできないし、事実有根とすることもできない。二つの文書があると明らかにすることも、国会に提出した文書のみだと断言することもできない。

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安倍晋三裁量労働制削除に見る国会答弁の自己否定の矛盾と厚労省のGILPT提供元データの数値操作の疑い

2018-03-02 11:35:31 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
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“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年3月1日、安倍晋三が首相官邸で会見して「働き方改革関連法案」から「企画型裁量労働制対象業務の拡充」の全面削除を言明した。

 「記者会見」

 安倍晋三「来年度予算の早期成立こそが最大の景気対策であると、こう申し上げてまいりました。明日からいよいよ参議院の審議が始まります。一日も早い成立を期してしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 そしてまた、働き方改革を進めていくことによって柔軟な働き方を可能とする。そして、そのことによって介護あるいは子育てといった事情を抱える皆さんが生き甲斐を持って、そして、遣り甲斐を持って働くことができる。そういう日本にしていきたい。そのための改革をこの国会で行いたいと、こう考えております。

 その中におきまして、裁量労働制度に係るデータについて国民の皆様が疑念を抱く、そういう結果になっております。そこで、今回提出する働き方改革法案の中において、裁量労働制については全面削除するように指示いたしました。

 厚生労働省において実態を把握した上において、議論をし直すようにすることとした次第であります。一方、働き方改革は極めて重要であります。今回の働き方改革におきまして、提出する法案におきましては、まず働き過ぎ、長時間労働のこの慣行を断ち切るために、長時間労働について時間外労働の罰則付きの上限規制を行う。そしてまた、非正規、正規の格差を埋めるための同一賃金同一労働の導入。そしてまた、高度プロフェッショナル制度。この3つについては提出していきたい。裁量労働制に関わる部分以外のこの3つの柱については提出していきたいと、こう考えております。

 この国会において、しっかりと働き方改革関連法案を成立させたいと思います。アベノミクスの最大のチャレンジである働き方改革をこの国会において前に進めたいと、こう考えております。
 3本柱については、削除を行った上で、まずは与党において、プロセスを経た上で閣議決定して提出したいと、こう考えております」

 「裁量労働制については全面削除するように指示いたしました」と宣言している。但し議論をし直して再度提出するとしている。

 「議論をし直す」ということは、最初の議論に基づいて作成し、了解した「企画型裁量労働制対象業務の拡充」に関わる案文に依拠して自分たちが正当性を発信し続けた国会答弁・発言を見直すことを伴うゆえにそれらの自己否定に当たる。

 例えば厚生労働省は2017年9月8日に「働き方改革推進法」(正式名「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」)の法案要綱を厚労相の諮問機関である労働政策審議会(略称「労政審」)に諮問したが、その資料として提供した厚生労働省労働基準局作成のデータ、「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」に300件以上の多くの誤りが発見・指摘されることになり、そのことに対して厚労相の加藤勝信は間違えていたデーターに一部基づいて議論されたことは問題視せずに、「データへの指摘は謙虚に受け止めるが、労政審からはおおむね妥当との答申を貰っている。法案をしっかり作っていきたい」と労政審の諮問に基づいた答申を正当とし、その正当性を以って「企画型裁量労働制対象業務拡充」に関わる自分たちの国会答弁・発言を正当とした。

 だが、案文の議論をし直す以上、今まで正当として発信してきた国会答弁・発言を自己否定することを意味する。

 2018年2月26日衆院予算委

 希望の党代表の玉木雄一郎が働き改革法案の撤回を求めた。

 安倍晋三「裁量労働制は一定の知識・経験を有している働く方本人に会社が決めた一律の定時に縛られることはなく出勤・退勤自由を決めて頂きます。仕事の進め方を任せをして効率的に成果を上げて頂こうというものであります。

 労政審では労働時間等についての(厚労省の)資料も含め、様々な資料に基づいて議論を頂き、種々の指摘もあったと承知をしております。政府としてはその取り纏めの内容に添って裁量労働制の見直しを行うものであります。

 その中でですね、対象業務の拡充を行う企画業務型裁量制、ま、これは専門業務型があって、拡大するのはですね、企画業務型裁量労働制でございますが、その労働制についてはJILPT(労働政策研究・研修機構)のアンケート・調査によりますと、対象となっている方の8割弱が『満足』と答えているのは事実でございます。

 そしてそこで、『不満』に思われる方々は、業務量、時間などに不満を感じている方が多いのも事実であります。こうした点に対応するため今回の見直しでは健康確保措置を義務化したり、みなし時間と実労働時間の乖離を是正するために労働基準監督署の指定規制(?)を創設したりしているところでございます。

 現在行っている企画業務型の労働制の中に於いて、20%近くが不満を持っておられる点にしっかりと着目しながら、今回この法制を進めているところでございまして、この点も是非ご理解して頂きたいと思いますし、そうした観点から(厚労省の)データの精査もしっかりと行いながら、ただ今加藤労働大臣のもとで準備を進めているところでございます」

 安倍晋三は「労政審では労働時間等についての(厚労省の)資料も含め、様々な資料に基づいて議論を頂き」云々との発言で労政審は厚労相から受けた諮問を厚労省提供の間違いだらけの不適切なデータのみに基づいて議論を経て答申したわけではないとの趣旨で答申の正当性を訴え、答申に基づいて作成した案文に関わる自らの国会答弁・発言に対しても正当性の確立に努めている。

 「JILPT(労働政策研究・研修機構)のアンケート・調査によりますと、対象となっている方の8割弱が『満足』と答えているのは事実でございます」も、「企画型裁量労働制対象業務の拡充」の正当性の主張となっている。

 だが、労政審の諮問では厚労省の要請に基づいて行われたGILPTのデータは提供されていなかったために参考資料として活用されていなかった。にも関わらず、安倍晋三は国会答弁ではGILPTのデータを用いて法案の正当性を訴えている。

 「働き方改革関連法案」から「企画型裁量労働制対象業務の拡充」の全面削除によって、これらの国会答弁の正当性そのものを自己否定したことになるが、国会答弁の正当性を自己否定したわけではない、「企画型裁量労働制対象業務の拡充」の全面削除を行ったに過ぎないとした場合、そこに自己矛盾が生じることになる。

 国会答弁による正当付けによってのみ、「企画型裁量労働制対象業務の拡充」は正当づけられるからだ。国会答弁による正当付けは労政審
の諮問に対する答申と諮問の参考として提供された様々なデータ、その他のデータを裏付けとする。

 間違っていたデータの存在が明らかになって、そのことが原因となって「企画型裁量労働制対象業務の拡充」の全面削除に自ら迫られた以上、国会答弁の正当性が崩れたということだけではなく、その崩壊は国会答弁の正当性の自己否定を意味する。

 国会答弁は正しかった、だが、裁量労働制は全面削除するではなお一層矛盾を広げることになる。

 安倍晋三は上記衆院予算委で「8割弱が『満足』と答えているのは事実でございます」ことを以って法案の正当性の訴えとしているが、GILPTのデータを仔細に眺めてみると、諸手を挙げて歓迎している調査データとはなっていないことを昨日のブログに書いた。

 大体がGILPTが纏めたどの調査も「厚労省抽出分」と記載されている。諮問の基は厚労省が出したデータであって、厚労省自身が調査した労働時間の実態調査に多くの誤りがありながら、GILPTに提供した厚労省の元のデータに間違い、あるいは疑うなら、数値の操作がなかったと断言できる保証はない。

 数値の操作の疑いに発展した場合の政権へのダメージを恐れて、早々に全面削除の挙に出た可能性も疑うことができる。でなければ、今まで厚労省のデーターの間違いを無視して法案の正当性を押し通し続けてきた経緯がある。今後共無視を押し通してこそ、整合性ある態度ということになるが、働き方改革は安倍政権の重要政策と言いながら、ここに来て国会答弁の自己否定までして、その整合性を自ら投げ捨て、重要政策の遂行に綻びを見せることになった。

 これまでの国会答弁の自己否定の矛盾とGILPTに提供した厚労省の元のデータに数値の操作がなかったか、追及し明らかにしなければならない。

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安倍晋三の都合の悪いデータ無視の目くらましを国民に投げつけた、狡猾なご都合主義の働き方改革法案

2018-03-01 12:20:57 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年2月26日衆院予算委。希望の党代表玉木雄一郎が現状で調査データに300件以上も不備が見つかった厚生労働省労働基準局の「平成25年度労働時間等総合実態調査結果」に基づいた「働き方改革関連法案」は撤回すべきだと求めた。

 安倍晋三 「これはまさに働く方々の目線に立っているわけであります。(ヤジ)自由な働き方を、自由な働き方をしたいという方が、おられるのは事実でありまして、裁量労働制につきましてはですね、これはまさに専門業務型の裁量労働制とですね、企画業務型の裁量労働制があって、我々が今回拡大するのは企画業務型でありますが、その中で先程申し上げましたように『やや満足』を合わせて8割の方々が満足しているという事実。

 もう一つはですね、仕事が効率的に進められるので、労働時間を短くできるかということについても、これは回答を得ているのでございますが、『概ね期待通り』の方と、『一部期待通り』、それぞれ30%ずつおられて、『一部期待通り』を合わせれば、約6割の方々。

 しかし一方でですね、『あまり期待通りになっていない』の方々が、38%となっているのは事実でございます。だからこそ、先程申し上げましたように、先ほど申し上げましたようにですね、健康確保措置も採ることにしているところございますし、と同時に、ちょっと、場外の方がうるさいので注意して頂けますか、答弁しにくいものですから。

 いわばこうした自由な働き方を選択している裁量労働制企画業務型の裁量労働制の中で8割を満足している方々の中には今申し上げたような方々がおられるのは事実でございますし、そういう要請もあります。

 そういう要請に応えていくことも大切だろうと。ま、しかし、今、そういう要請がないと言う方が(ヤジ)、そういう要請があるのは厳然たる事実でございまして、その上に於いて我々はそうではない方々がおられるということもしっかりと認識されながら、健康を確保、あるいはみなし労働時間とですね、実労働時間の乖離に対してはしっかりと対応してということにしている。

 それがこの法案でございますので、同時にですね、データにつきましてはしっかりと精査をしながら、今厚労大臣の下で準備を進めている、という方針で、ございます」

 安倍晋三がここで提示したデータは、「先程申し上げました通りですね、先ほど申し上げました通り、JILPTの、いわば、えー、これは、データにおきましてもですね、8割方の、約8割弱の方々が、やや満足も合わせれば、満足となっており、そして、仕事を効率的に進められるので、労働時間を短くできるかどうかについても、概ね期待通りと一部期待通りの方々はですね、えーえー、約、それぞれ3割おられて、6割となっている、と言うことでございます。そのことはですね、えーあのー、ご説明をさして頂きたい、と思う次第でございます」と同じ繰返しの答弁をしているようにJILPT、正式名「労働政策研究・研修機構」の「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果 労働者調査結果」(平成26年6月30日)からの引用である。

 厚生労働省は2017年9月8日「働き方改革推進法」(正式名「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」)の法案要綱を厚労相の諮問機関である労働政策審議会(略称「労政審」)に諮問した。

 しかしこの諮問にはカラクリがあった。諮問に於ける議論の参考資料として調査データに300件以上も不備が見つかった厚生労働省労働基準局調査の「労働時間等総合実態調査」を提出しながら、厚労省独立行政法人労働政策研究・研修機構(略称「JILPT」)に対して調査依頼し、JILPTが2013年11月中旬~12月中旬の期間で纏めた上記「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果 労働者調査結果」は提出しなかった。

 要するにJILPT調査のデータは労政審の諮問に使われることはなかった。にも関わらず、安倍晋三は労政審が妥当と諮問した企画業務型裁量労働制の適用業種の範囲拡大の正当性の訴えにJILPTのデータを使う。

 この狡猾なご都合主義は恥知らずなまでの図々しさである。

 安倍晋三が挙げたデータをここに纏めてみる。

 企画業務型裁量労働制の満足度

 「満足」+「やや満足」80%
 「概ね期待通り」30%
 「一部期待通り」30%
 「あまり期待通りになっていない」38%

 肯定派が圧倒的多数を占めているのだから、企画業務型裁量労働制の適用業種拡大を推進してどこが悪いということなのだろう。

 「厚生労働省の調査によれば裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」と安倍晋三に国会答弁させた事実と異なる統計を含めて不合理な質問を用いた不備が300件以上もある厚労省の調査を用いて企画業務型裁量労働制適用業種拡大を正当づけるのではなく、厚労省が労政審に諮問材料として提出しなかったJILPTのデータを使って正当づけようとする狡猾さからすると、JILPTのデータを使った玉木雄一郎に対する上記国会答弁にしても、どこまで正確な読みをしているのか、分かったものではない。

 安倍晋三が正確な読みをしているかどうかを見るために関連するデータを上記調査から引用してみることにし、それぞれ画像を添付することにした。少々見づらいがご勘弁を

 「企画業務型裁量制の満足度」

 「満足」36.4%+「やや満足」41.5%=77.9%
 「やや不満」15.5%+「不満」4.6%=20.1%

 安倍晋三は「『やや満足』を合わせて8割の方々が満足しているという事実」と答弁しているから、ほぼ間違いはないとすることができる。

 では、「企画業務型裁量制」に対する「仕事を効率的に進められるので労働時間を短くできる」の質問について見てみる。 

 「概ね期待通り」31.6%
 「一部期待通り」29.3%
 「期待どおりになっていない」38.3%

 安倍晋三が「もう一つはですね、仕事が効率的に進められるので、労働時間を短くできるかということについても、これは回答を得ているのでございますが、『概ね期待通り』の方と、『一部期待通り』、それぞれ30%ずつおられて、『一部期待通り』を合わせれば、約6割の方々。

 しかし一方でですね、『あまり期待通りになっていない』の方々が、38%となっているのは事実でございます」と言っていることにしても、このことだけを見れば、ほぼ間違っていない、正しいと言うことができるだろう。

 だが、どの項目に対する期待値への質問と回答にしても、「概ね期待通り」、「一部期待通り」となっていて、“十分期待通り”という期待値への質問と回答は存在していない。「概ね」という言葉は「大体」という意味であって、どちらかと言うと、前者の期待値と後者の期待値はより近接した関係にある。

 この質問形式を見ただけで、当たり前の期待に対して裏切られている部分の存在を見て取ることができる。

 例えば「企画業務型裁量制」に関わる「自分の能力の有効発揮に役立つ」は「概ね期待通り」は41.2%で半数近くを占めているが、「一部期待通り」は34.9%で、“十分期待通り”という期待値がない状況で双方の差が6.3%しかないのは、「自分の能力の有効発揮に役立つ」裁量労働制になっていると十分に言うことができるだろうか。

 この根拠は「あまり期待通りとなっていない」の21.5%、4分の1近くもあることを付け加えると、更に強まる。

 このことは同じ質問の「専門業務型裁量制」を見れば理解できる。

 「概ね期待通り」37.8%
 「一部期待通り」39.7%
 「あまり期待通りとなっていない」22.1% 

 「概ね期待通り」と「一部期待通り」が差は僅かでも、逆転していて、「あまり期待通りとなっていない」22.1%は、これも僅かにではあるが、更に4分の1に迫っている。

 いわば“十分期待通り”という状況からは程遠い。このことは第1位に位置づけたどの回答でも半数の50%をいずれも超えていないところにも現れている。

 一つも50%を超えていないデータを以って素晴らしい制度だ、拡大は当然だとすることはできるだろうか。

 「企画業務型裁量制」に関わる「仕事の裁量が与えられるので、仕事がやりやすくなる」

 「概ね期待通り」45.1%
 「一部期待通り」34.8%
 「あまり期待通りとなっていない」17.4% 

 第1位に位置づけた「概ね期待通り」はやはり50%を超える期待を集めることができていない。どの調査も「厚労省抽出分」と記載されているから、調査の基は厚労省が出したデータであって、“十分期待通り”の質問を設けたが、いずれも低い数値しか出てこなかったから、その質問は抹消して、「概ね期待通り」の質問に加えたデータをJILPTに渡したということはないと思うが、それくらいのことはするだろうが、“十分期待通り”ではない「概ね期待通り」が50%を切っているということは、安倍晋三が答弁している「『やや満足』を合わせて8割の方々が満足しているという事実」にしても、「満足」36.4%+「やや満足」41.5%=77.9%を切り離して、「満足」は50%を13.6%も切って40%も満たない36.4%に過ぎない、「やや満足」にしても「満足」の36.4%を5.1%も上回る41.5%に達していると見るべきだろう。

 「企画業務型裁量制」に関わる「能力や仕事の成果に応じた処遇が期待できる」に至っては――、

 「概ね期待通り」31.5%
 「一部期待通り」41.1%
 「あまり期待通りとなっていない」26.6% 

 「概ね期待通り」と「一部期待通り」、いずれも50%を割って、さらに「一部期待通り」が10%近くも上回っている。さらに「あまり期待通りとなっていない」26.6%は4分の1を僅かながら超えている。

 「企画業務型裁量制」に関わる「仕事と生活のバランスを保ちやすくなる」

 「概ね期待通り」34.0%
 「一部期待通り」32.9%
 「あまり期待通りとなっていない」31.7% 

 「仕事と生活のバランスを保ちやすくなる」の「概ね期待通り」と「一部期待通り」の回答がどれも30%台前半で近接していて、40%を超えていないばかりか、「あまり期待通りとなっていない」が同じく近接した数値で31.7%と30%を僅かに超えている。いわばほぼ3分の1ずつ占めている。

 これを以って「企画業務型裁量制」が、「専門業務型裁量制」にしても似たり寄ったりだが、「仕事と生活のバランス」の保持を十分に可能としている裁量労働制だと断言できるだろうか。

 このことは次の画像で見ることのできる調査が十分に証明する。 
 「企画業務型」では「与えられている業務の裁量牲が小さい」(14.0%)と「上司の指示か具体的であり、裁量性が小さい」(3.0%)、「担当以外の業務が命じられる」13.2%、「業務の権限の設定が不適切」(6.8%)等々、いずれも任せて貰うことができる裁量範囲が狭い、あるいは裁量権が不安定と見る回答が合計で37.0%も存在するということはかなりの利用者が裁量労働制の欠陥部分を指摘していると見なければならない。

 「労働時間〔在社時間〕か長い」(45.1%)にしても、仕事が早く終えれば早く帰ることができるという自由な裁量権の行使が阻害されて、逆に拘束を受ける不自由さの指摘に当たる。

 にも関わらず、「仕事の裁量が与えられるので、仕事がやりやすくなる」の質問に対しては「概ね期待通り」45.1%、「一部期待通り」34.8%という数字は矛盾することになるが、どこかにカラクリがあるなどということはないだろうか。

 さらに、「業務量が過大」(40.0%)、「みなし時間の設定か不適切」(25.5%)、「みなし時間で評価され適切な評価を受けていない」(11.5%)
「休日・休暇を確保しにくい」(19.6%)、「人事評価が不透明」(27.2%)、「給与か低い」(31.1%)は「専門業務型」であっても、「企画業務型」であっても、裁量労働制が期待通りではないことの示唆であろう。

 このように現実に不備・欠陥の指摘が多々存在しながら、「働く方々の目線に立っている」、「『やや満足』を合わせて8割の方々が満足しているという事実」と、自らの裁量労働制の見直しを自ら高く評価している。

 要するに安倍晋三は自分に都合のいいデータだけを掴み取り、都合の悪いデータは無視する狡猾なまでのご都合主義を発揮、働き方改革法案を正当化するための目くらましを国民に投げつけているに過ぎない。

 安倍晋三は今朝(3月1日)になって法案から裁量労働制の適用業務の拡大を全面的に削除するよう指示したとマスコミは伝えているが、あれ程正当性を訴えていた裁量労働制適用業務拡大である。

 データの使い方にゴマカシがなかったか、野党は追及しなければならない。

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