森友国有地売却「特例承認の決裁文書」からの安倍晋三・昭恵等の存在削除・改竄が違法売却の“特例”を証明

2018-03-26 12:40:40 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 財務省は朝日新聞が報道した森友学園に対する国有地売却関係の決裁文書の改竄を認め、2018年3月12日に改竄箇所を公表した。

 「決裁文書についての調査の結果」(平成30年3月12日 財務省)

○ 昨年2月に本件が国会で取り上げられて以降、昨年2月下旬から4月にかけて、財務省理財局において、下記の決裁文書について、書き換えが行われていたことを確認した。

 1.貸付決議書(平成27年4月28日、5月27日)
 2.売払決議書(平成28年6月14日)
 3.特例承認の決裁文書(平成27年2月4日、4月30日)

○このほか、主として上記の決裁文書の書き換えの内容を反映するかたちで、残り9件の決裁文書の書き換えが行われており、計14の決裁文書について 書き換えが行われていることを確認した。

・承諾書の提出について(平成26年6月30日)
・未利用国有地等の処分等の相手方の決定通知について(平成27年2月20日)
・予定価格の決定について(年額貸付料(定期借地)(平成27年4月27日)
・特別会計所属普通財産の処理方針の決定について(平成27年4月28日)
・有益豊支払いに関する意見について(照会)(平成28年2月25日)
・有益費支払いに関する三者合意書の締結について(平成28年2月25日)
・国有財産の鑑定評価委託業務について(平成28年4月14日)
・予定価格の決定(売払価格)及ぴ組手方への価格通知について(平成28年6月14日)
・特別会計所属普通財産の処理方針の決定について(平成28年6月14日) (以上)

 一旦決裁した文書を後から秘密裏に削除・改竄して、決裁までの事実・経緯を別の姿に変えて最初の事実・経緯を隠蔽する。殺人者が遺体を山中に投棄したり、埋めたり、殺人現場の指紋を拭き取ったりする証拠隠滅の手法と何ら変わりはない。

 国有地売却に違法行為があったからこその不都合な事実・経緯の削除・改竄であり、証拠隠滅ということであって、誰もが考える結論であるはずだ。

 違法な売却であったことを前提にして考えると、2015年4月28日と5月27日の「貸付決議書」、2016年6月14日の「売払決議書」、2015年2月4日と4月30日の「特例承認の決裁文書」の中で特に「特例承認」の名前がついている最後の「決裁文書」が何を以って“特例”としているのか、その“特例”性に違法性を嗅ぎ取らないわけにはいかなくなる。

 なぜなら、正当性ある「特例承認」であるなら、削除等の証拠隠滅で決裁文書を改竄する必要性は微塵も生じないからだ。当然、どのような違法な「特例承認」なのかは改竄された文言の中から炙り出すことができる。

 2015年2月4日と4月30日の文書は重複する箇所が多いことから、4月30日の〈特例承認の決裁文書②「普通財産の貸付に係る特例処理について」〉の改竄箇所から何を以って“特例”としているのか、その違法性を嗅ぎ取ってみたいと思う。

 削除箇所は文飾を施し、売却の「対象財産」や国有地に対する森友学園の利用計画・要望、あるいは賃貸か売却かといった処理方法等々の改竄されていない文言のうち理解の必要に供しなければならない箇所を除いて証拠隠滅の必要性のない箇所と看做して省略することにする。

 5・特例承認の決裁文書②「普通財産の貸付けに係る特例処理について」(平成27年4月30日)

 調 書

 1.事案の概要

  大阪航空局から処分依頼を受けた、大阪府豊中市所在の財産(自動車安全特別会計)(空港整備勘定)所属)について学校法人森友学園(以下「森友学園」という。)から私立小学校用地としての取得要望があり、売払いを前提とした貸付を行うため、近畿財務局から、平成13年3月30日付財理第1308号「普通財産貸付事務処理要領」通達(以下「貸付通達」という。記の第1節の第11の1に基づき、承認申請があったものである。

  ※ 本件は平成25年8月、鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)から近畿財務局への陳情案件。
  ※ これまでの経緯については別紙の通り。

  (以下中略)

 これまでの経緯

 H25.6.28 森友学園理事長が近畿財務局へ来所
          小学校用地として本件土地の取得を検討している旨を聴取。
          近畿財務局は取得要望書の提出等、必要となる手続きについて説明。
 
 H25.6.28 森友学園理事長が近畿局へ架電。
          本件土地の取得要望を提出する予定である旨の電話連絡。

 H25.8.13 鴻池祥肇議員■秘書から近畿局へ照会(受電)。
          森友学園が、本件土地について購入するまでの間、貸付けを受けることを希望しており、大阪航空局に直接相談したいとの要請を受ける。
 H25.8.28 学校法人森友学園 籠池理事長が大阪航空局に来局(財務局同席)本件土地については、学校経営が安定する平成35年3月頃までは貸付けを受け、その後購入することを希望している旨を聴取。

 H25.9.2 森友学園が本件の取得要望書を近畿財務局へ提出。 

 H25.9.12 近畿財務局が小学校設置認可権限を有する大阪府私学・大学課に訪問し、今後の連携について要請。

 H25.10.30 近畿財務局が小学校設置認可権限を有する大阪府私学・大学課に認可の事前審査状況について照会。審査できる書類が整っていない状況である旨を確認。

 H26.2.3 大阪府私学・大学課に認可の状況について照会。
 森友学園から相談は受けているが、資金計画の妥当性が説明できる資料の提出がなく、小学校新設の計画書を正式に受理した状況にない旨を確認。


 H26.4.15 森友学園から、計画している平成28年4月の開校に向けて豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、大阪府私立学校審議会の結果(大阪府の認可)を契約の停止条件として国有地を先行して貸付けてほしいとの要請があり、近畿財務局は、国有財産近畿地方審議会及び大阪府私立学校審議会の答申を得る前の契約はできないとして断る。

 H26.4.28 近畿財務局から森友学園に対し、資料提出を速やかに行うよう要請したところ、森友学園から、①当初計画していた本年7月の大阪府私立学校審議会への諮問を本年12月に変更したいので、その前提で対応してほしいとの要望とともに、②豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、大阪府が小学校新設に係る設置計画書を受理した段階で、近畿財務局から豊中市に「森友学園と本財産の契約を締結することを証する」旨の文書を提出してもらいたいとの要望あり。

  なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。

 H26.6.2  近畿財務局から森友学園に対し、①当局の審査を延長すること、②豊中市に対して、開発行為等に係る手続のみを可能とする「承諾書」を当局から提出すること、③売払いを前提とした貸付けについては協力させていただく旨を回答。

 H26.6.30 開発行為等の手続きのみを実施可能とする「承諾書」を、豊中市へ提出。

 H26.8.29 大阪府が森友学園の設置計画書を正式受理し、平成26年12月定例私立学校審議会での本件諮問に向けて事務を進めることと決定。

 H26.10.2 近畿財務局から大阪府私学・大学課に対して、審査基準(総負債比率制限)について照会。
 森友学園が本地を購入するために銀行等から借り入れを行う場合だけでなく、延納売払いの場合でも延納額が負債として計上されることを確認(現状の収支計画では審査基準に抵触し、本地を即購入することができないことを確認)。


 H26.10.7 近畿財務局から森友学園に対し、あらためて現状の収支計画を改善することにより、本地を即購入することができないか検討を依頼(延納売払い及び分割売払い(建物敷地のみ先行取得)も含む)。

 H26.10.15 森友学園から近畿財務局に対し、関連法人の資産売却や寄付金の増加などについて検討したものの、すぐに収支計画を改善することは不可能であるため、大阪府の審査基準に抵触しないで本地を即購入することはできない旨の回答有。

 H26.10.31  大阪府が森友学園の設置認可申請書を正式受理。

 H26.12.17 近畿財務局から森友学園に、契約に向けての今後のスケジュール、予定している契約書式等について説明。

 H26.12.18 大阪府定例私立学校審議会において、児童数確保が見込める根拠資料の不足などの理由から本件小学校設置計画が継続審議とされ、大阪府は、森友学園から追加資料を求めて平成27年1月中に同審議会の臨時会を開催することとした。

 H27.1.8 産経新聞社のインターネット記事(産経WEST 産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。
 記事の中で、安部首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。


 H27.1.9 近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える。

 H27.1.15 森友学園が国土交通省北川イッセイ副大臣秘書官に「近畿財務局から示された概算貸付料が高額であり、副大臣に面会したい」と要請。
 国土交通省は、「貸付料は近畿財務局において決定する内容であるため、面会しても意味はなさない」旨回答。


 H27.1.27 大阪府私立学校審議会の臨時会において、本件小学校設置計画が以下の条件を付されて「認可適当」の答申を得る。
          (条件)「小学校建設に係る工事請負契約の締結状況、寄付金の受入れ状況、詳細なカリキュラム及び入学志願者の出願状況等、開校に向けった進捗状況を、次回以降、の当審議会定例会において報告すること。」

 H27.1.29 平沼赳夫衆議院議員秘書から財務省に「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談。
 財務省は、「法律に基づき適正な時価を算出する必要があるため、価格についてはどうにもならないこと、本件については学校の設立趣旨を理解し、これまで出来るだけの支援をしていること」を説明。

 H27.2.10 国有財産近畿地方審議会において、本地を学校法人に小学校敷地として売払いを前提とした10年間の事業用定期借地契約(時価貸付)行うことについての答申を得る。

 H27.2.12 森友学園が、大阪府教育記者クラブにて小学校の開設について記者発表。出席者は、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞。朝日新聞から用地に関する質問があり、学園は、底地は国有地で借受予定と説明。

 H27.2.16 鳩山邦夫衆議院議員秘書から国会連絡室に「森友学園が近畿財務局から国有地を借受ける件について相談したい」との連絡。

 H27.2.17 鳩山邦夫衆議院議員秘書が近畿財務局に来局し「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談。近畿財務局はH27.1.29の財務省対応と同様な説明を行う。

 H27.3.13 森友学園と貸付料の見積り合わせを実施。学園は、事前に伝えている概算金額から相当に低い額の見積書提示を繰り返し(3回)、見積り合わせ不調となる。

  H27.3.26 森友学園理事長が弁護士と来局し、昨年10月に実施した本地のボーリング調査結果を提示し、本地が軟弱地盤であり多額の建物基礎杭等の工事費を要するとして、貸付料の減額と国による杭工事等の工事費負担を要請される(具体的な要請金額の提示はなし)。

 H27.4.2 森友学園委託設計業者をヒアリング。校舎の基礎工事について通常の設計より杭の本数を多く必要とする見込みであるが、現在、建物設計中であるため、詳しい内容を説明できる状況ではないとの説明を受ける。

 H27.4.17 森友学園に対して、ボーリング調査結果はこれまで認識していなかった価格形成要因と判断されるため、貸付料の修正を検討するが、建物基礎杭工事費等の地耐力不足に起因する費用の支払いは行わないと説明。学園はこれを了解。

 H27.4.28 再評価に基づく貸付料により、見積り合わせを実施。

 「学校法人 森友学園」の概要等

 (1)森友学園の概要(略)

 (2)理事長 籠池康博氏(別添名刺参照)

 同氏は、「日本会議大阪(注)代表・運営委員」を始めとする諸団体に関与している。

  (注)日本会議大阪は、全国的な国民運動団体である「日本会議」(美しい日本の再建と誇りある国づくりのために政策提言と国民運動を推進することを目的として設立された任意団体)が平成9年に設立されたのに呼応する形で、大阪に根付いたより広汎な国民運動を推進すべく、平成10年6月に設立された任意団体。

  なお、国会においては、日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任。

 (参考)森友学園への議員等の来訪状況
 平成20年11月 中山成彬議員(衆・維・比例九州)講演会
  平成25年9月 平沼赳夫議員(衆・維・岡山3区)講演会
  平成25年12月 日本維新の会女性局(三木圭恵議員、杉田水脈議員、上田小百合議員(いずれも衆・維・比例近畿)等)視察
  平成26年4月 安倍昭恵総理夫人 講演・視察


 (3)教育方針・教育内容(改竄文書に(2)として掲載されているために省略。)
  (以下略) 

 件の国有地は2013年9月に森友学園から小学校用地としての取得等要望が提出された。条件は買受けを前提とした定期借地であった。

 但し定期借地に付する資金不足にあった。〈森友学園が本地を購入するために銀行等から借り入れを行う場合だけでなく、延納売払いの場合でも延納額が負債として計上されることを確認(現状の収支計画では審査基準に抵触し、本地を即購入することができないことを確認)。〉との記載が資金不足を証明している。

 だから、国土交通省北川イッセイ副大臣秘書官に対して「近畿財務局から示された概算貸付料が高額であり、副大臣に面会したい」、あるいは平沼赳夫衆議院議員秘書に対して財務省に「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」、さらには鳩山邦夫衆議院議員秘書に対して国会連絡室に「森友学園が近畿財務局から国有地を借受ける件について相談したい」等々、概算貸付料を安くする交渉を依頼しなければならなかった。

 鳩山邦夫衆議院議員秘書は国会連絡室に「相談したい」と申し出た翌日(2015年2月17日)に直接近畿財務局を訪ね、「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談している。

 対して近畿理財局は平沼赳夫秘書に対して答えたのと同じく、「法律に基づき適正な時価を算出する必要があるため、価格についてはどうにもならないこと、本件については学校の設立趣旨を理解し、これまで出来るだけの支援をしていること」と応じている。

 この約1カ月後近くに近畿財務局はこの文言通りの行動を取って、森友学園と貸付料の見積り合わせを実施している。

 〈H27.3.13 森友学園と貸付料の見積り合わせを実施。学園は、事前に伝えている概算金額から相当に低い額の見積書提示を繰り返し(3回)、見積り合わせ不調となる。〉

 規約通りの契約以外の拒絶、政治家に依頼云々に関わらず手心を加えることの拒絶である。だが、以上の政治家の名前も、厳格な姿勢を示していた見積り合せに関しても、削除という手を使った改竄で決裁文書から隠さなければならなかった。

 違法に向かうカラクリを認識しないわけにはいかない。

 転換点は2015年3月26日以降であろう。この日の削除した記述は〈森友学園理事長が弁護士と来局し、昨年10月に実施した本地のボーリング調査結果を提示し、本地が軟弱地盤であり多額の建物基礎杭等の工事費を要するとして、貸付料の減額と国による杭工事等の工事費負担を要請される(具体的な要請金額の提示はなし)。〉となっている。

 「軟弱地盤」であるかどうかは不動産鑑定士が不動産鑑定評価をする際に把握していたはずである。軟弱地盤か、そうでないかは不動産鑑定の重要な評価対象の一つであって、軟弱地盤か否かで不動産の鑑定評価額は大きく違ってくる。

 にも関わらず、「軟弱地盤」が突然出てくる。そして「軟弱地盤」は尾を引くことになる。

 〈H27.3.26 森友学園理事長が弁護士と来局し、昨年10月に実施した本地のボーリング調査結果を提示し、本地が軟弱地盤であり多額の建物基礎杭等の工事費を要するとして、貸付料の減額と国による杭工事等の工事費負担を要請される(具体的な要請金額の提示はなし)。〉

 〈H27.4.2 森友学園委託設計業者をヒアリング。校舎の基礎工事について通常の設計より杭の本数を多く必要とする見込みであるが、現在、建物設計中であるため、詳しい内容を説明できる状況ではないとの説明を受ける。〉

 これらの事実・経緯が偽りのない真正な事実・経緯であったなら、削除・改竄を使った決裁文書からの隠蔽を謀る必要性は何ら生じない。

 2015年4月17日の「軟弱地盤」を原因とした問題、〈森友学園に対して、ボーリング調査結果はこれまで認識していなかった価格形成要因と判断されるため、貸付料の修正を検討するが、建物基礎杭工事費等の地耐力不足に起因する費用の支払いは行わないと説明。学園はこれを了解。〉は一見、国有地売買の規約に則った厳しい姿勢に見えるが、この記述は前段と後段が否応もなしに相矛盾している。

 「軟弱地盤」であるがゆえに「これまで認識していなかった価格形成要因と判断される」、いわば余分に工事費が嵩むことになるが、「建物基礎杭工事費等の地耐力不足に起因する費用の支払いは行わない」、余分に嵩んだ工事費用は支払いませんと逆の表現となっている。

 もし不動産鑑定評価時に見落とした事実その通りの「軟弱地盤」であり、そのことによって工事費用が余分に嵩むことが想定されるなら、見落としの責任は森友学園側にはないのだから、その費用は国有地の所有者となっている財務省側が負うのが理の当然であろう。

 だが、逆の責任となっている矛盾自体は何らかの違法性を隠して無理やり表面化させた「軟弱地盤」であり、それゆえに削除・改竄の道連れとしなければならなかった。決裁文書から追放を謀らなければならなかったということであるはずだ。

 「軟弱地盤」が理由の「費用の支払いは行わない」とする一方で、〈H27.4.28 再評価に基づく貸付料により、見積り合わせを実施。〉と、「貸付料」で工事費増加の調整を行おうとしている。

 これが正規の遣り方なら、削除・改竄の生贄の一つとしなくても良かったはずだ。にも関わらず、削除・改竄を断行したのは北川イッセイ副大臣秘書官や平沼赳夫の秘書、鳩山邦夫の秘書からの貸付料相談に対するルールに則って何事も行うかのような厳正な態度の提示にしても、そのように見せかけただけの可能性は十分にあり得る。

 彼ら政治家からの働きかけが前以っての不動産鑑定評価で把握して置かなければならない「軟弱地盤」を突然持ち出すことになり、それが貸付料にしても売却額に影響していったということであり、政治家の介入を含めた諸々の事実・経緯の削除・改竄ということでなければ妥当性を得ることはできない。

 実際に「軟弱地盤」であったかどうかは「9.特別会計所属普通財産の処理方針の決定について」(平成27年4月28日)に次のような記述があり、それを削除・改竄していることも、

 〈10.本地の地盤について
 森友学園は、平成26年に、開校スケジュールから早期に設計に着手したいため本地のボーリング調査を行いたいと国に要請し、当局と大阪航空局が協議の上、平成26年10月に大阪航空局が学園に一時貸付けを行うことにより、これを許可した経緯がある。

 森友学園は、平成27年4月になって当該ボーリング調査結果資料を当局に提示し、本地は軟弱地盤であり貸付料に反映されるべきものと主張し、併せて校舎建設の際に通常を上回る杭工事(建物基礎工事)が必要であるとして、国に工事費の負担を要請した。

 地質調査会社に、当該ボーリング調査結果を基に本地の地盤について意見を求めたところ、特別に軟弱であるとは思えないとした上で、通常と比較して軟弱かどうかという問題は、通常地盤の定義が困難であるため回答は難しいとの見解であった。

 対応方針を定めるに当たり、当局及び本省で法律相談を行った上で検討した結果、校舎建設の際の杭工事費用等は、土壌汚染除去工事費とは異なり有益費として整理すべき内容とは考えられないことから、国は当該工事費を負担しないこととするが、貸付料及び将来の完払時の売却価格を評価する際には当該調査結果等により地盤の状況を考慮することとした。

 以上の内容について、貸付契約書及び売買予約契約書の条項に整理することで、森友学園と合意に至っている。〉
――

 地質調査会社が言っている、〈特別に軟弱であるとは思えないとした上で、通常と比較して軟弱かどうかという問題は、通常地盤の定義が困難であるため回答は難しい〉が正しい見解であるなら、杭打ち業者に地質調査会社の調査資料を見せて判断を仰ぐべきだったろう。

 地質調査会社は杭打ちの当事者でないために想定外の事態が発生して責任問題が生じるケースを回避する意味から断言できないという側面を有している。

 だが、そうしていないばかりか、上記記述も削除・改竄の生贄に供している。事実・経緯を隠す必要があったからだろう。

 平成27年4月30日付のこの〈特例承認の決裁文書②「普通財産の貸付けに係る特例処理について〉について記述早々に、〈鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)から近畿財務局への陳情案件。〉とし、北川イッセイ、平沼赳夫、鳩山邦夫等の政治家の名前が出てきた。

 そして当時の森友学園理事長籠池泰典を、同氏は、「日本会議大阪(注)代表・運営委員」を始めとする諸団体に関与している。〉と紹介、さらに、〈(注)日本会議大阪は、全国的な国民運動団体である「日本会議」(美しい日本の再建と誇りある国づくりのために政策提言と国民運動を推進することを目的として設立された任意団体)が平成9年に設立されたのに呼応する形で、大阪に根付いたより広汎な国民運動を推進すべく、平成10年6月に設立された任意団体。〉であり、〈なお、国会においては、日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任。〉と、その影響力を忖度している。

 さらに平沼赳夫の講演、中山成彬の講演、三木圭恵議員や杉田水脈議員、上田小百合議員の日本維新の会女性局の視察、安倍昭恵の講演・視察等を〈森友学園への議員等の来訪状況〉として参考までに書いて、森友学園に対する政治家の影響力を匂わせ、にも関わらず、明記した事実を削除・改竄して隠蔽している。
 
 要はこういった政治家の影響を消滅すべく企んでいるだけではなく、近畿財務局と森友学園の打ち合わせの際、〈「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。〉との文言で安倍昭恵という存在の影響力を一つの事実・経緯として決裁文書に明記しておきながら、不都合の認識が生じたからだろう、不都合の認識が生じること自体が大問題だが、削除・改竄によって安倍昭恵の存在を国民の目からの隠すべく謀っている。

 この削除・改竄は安倍昭恵の存在が国有地売却に絡んでいなければ、行われることはない。

 〈H27.1.8 産経新聞社のインターネット記事(産経WEST 産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。
 記事の中で、安部首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。〉


 削除・改竄の同じ憂き目に遭うのは極く自然である。安部昭恵が影響しない国有地正当売却であるなら、決裁文書にその名前を明記する必要もなく、書いてから、削除・改竄を行う必要もない。

 政治家の存在、安部昭恵、さらに安倍晋三や麻生太郎の存在を明記・削除・改竄の経緯を取っていること自体、削除・改竄の方法で隠す必要があったからで、その必要性は国有地の違法売却の隠蔽が目的でなければ到底、整合性は取れないし、このような歪んだ違法性が「特例承認」という言葉に潜んでいると見なければならない。

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