山口壮外務副大臣、尖閣諸島には日中間に解決すべき領有権問題が存在することを認める

2012-09-15 04:17:50 | Weblog

「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も日本固有の領土」であって、「解決すべき領有権の問題は存在しない」というのが日本政府の立場である。

 8月10日(2012年)の李明博韓国大統領竹島訪問、さらに8月15日の香港の民間団体活動家の尖閣諸島・魚釣島上陸を受けて、8月24日、野田首相は竹島・尖閣諸島に関して首相官邸で記者会見を開き、尖閣諸島について日本政府の立場に添って発言している。

 野田首相「なお、尖閣諸島については、歴史的な経緯や状況が竹島とは異なり同一には論ずることはできませんが、これもまた、日本固有の領土であることに疑いはありません。そもそも、解決すべき領有権の問題が存在しないという点が大きな違いです」

 「解決すべき領有権の問題が存在しない」と断言している。

 野田首相は香港民間団体活動家尖閣諸島・魚釣島上陸問題のみならず、政府による尖閣諸島国有化に関わる中国の反発も考慮してのことだろう、胡錦涛中国主席宛の親書を山口壮外務副大臣を訪中させて、8月31日、中国側に手渡している。

 親書の内容は山口副大臣自身を情報源として、《山口外務副大臣、中国主席宛ての親書手渡す》YOMIURI ONLINE/2012年8月31日18時57分)が伝えている。

 〈1〉今年が日中国交正常化40周年にあたり、戦略的互恵関係を深化させていくことが重要
 〈2〉日中関係を円滑に発展させていく観点からも、政治レベルを含むハイレベルでの緊密な意
    思疎通を行っていくことが有意義等々――

 9月13日、山口外務副大臣は記者会見している。その発言を二つの記事から見てみる。

 《中国への事前説明不十分、尖閣国有化で外務副大臣》MSN産経/2012.9.13 19:12)

 山口壮外務副大臣(尖閣諸島国有化について)「なぜもっと事前に(中国側に)説明を重ねなかったのか、自戒の念も込めて思っている」

 記事解説。〈日本政府による中国側への説明が不足していたとの認識を示した。〉

 野田首相親書を手渡した8月31日の戴秉国国務委員らと会談した際の尖閣国有化の説明について――

 山口壮外務副大臣「私からは相当(日本側の考えを)言った。私以上のレベルの外相なり首相なりで、もっともっと説明しておくべきだった」

 記事締め括り。〈政府が国有化の目的を「平穏かつ安定した維持・管理」のためとしていることに関して、「普通の日本人が聞いても分からない」と述べ、政府として国民的な理解を得る努力を払う必要との考えを示した。〉――

 《日中緊迫、外交で解決を=「軍人が出ないように」-山口外務副大臣》時事ドットコム/2012/09/13-19:32)

 山口壮外務副大臣「(尖閣諸島国有化をめぐる日中関係について)「かなり緊迫しているし、もっと緊迫しかねない。外交官で話をつけ、軍人が出ることはないようにと考えている。

 外相や首相のレベルでもっと説明をしたかった。所有権を(国に)移す処理が、(石原慎太郎)都知事が買おうとすることに対して、(より)良いと、よく説明した方が物事はスムーズにいった」

 野田首相が言うように「尖閣諸島については解決すべき領有権の問題が存在しない」を外交的事実としているなら、その事実に厳密に則った外交的対応を採用しなければならないはずだ。

 それができなければ、外交的事実は崩れる。

 「尖閣諸島については解決すべき領有権の問題が存在しない」を外交的事実としているなら、国有化に中国に対する説明をなぜ必要とするのか。
 
 「領有権の問題は存在しない」を外交上の立場としていながら、「私以上のレベルの外相なり首相なりで、もっともっと説明しておくべきだった」と、国有化の了承を中国に対して求めようとしている。

 この態度は「尖閣諸島については解決すべき領有権の問題が存在しない」の外交的事実を崩す態度であり、と同時に中国に対して日本を下に置く態度ともなっている。

 山口外務副大臣は尖閣諸島には日中間に解決すべき領有権問題が存在することを認めたということである。

 これは内閣不一致なのか、それとも「尖閣諸島については解決すべき領有権の問題が存在しない」はタテマエに過ぎず、尖閣沖中国漁船衝突事件での中国人船長逮捕時に見せたように実際には中国の反発と圧力を受けるたびに恐れ慄いた迎合的態度で中国と向き合っていて、それが政府全体の姿勢となっているところへ持ってきて、その一端を山口外務副大臣が図らずも露見させてしまったということなのだろうか。

 中国自体は領有権の問題は存在するとしている。日本政府もそのことを認めて、堂々と渡り合うべきときが来ているのではないだろうか。

 堂々と渡り合うことが出来ず、「尖閣諸島については解決すべき領有権の問題が存在しない」を逃げの手に使っているようにしか見えない。


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