安倍晋三や菅義偉が「最善の結果」、「大変高い評価」と自負する程の軽減税率8%の対象品目合意だろうか

2015-12-15 10:47:22 | 政治

 
 「NHK NEWS WEB」記事が自公の軽減税率対象品目の12月12日(2015年)合意を受けた安倍晋三と官房長官の菅義偉の12月14日午前の発言を伝えている。  

 対象品目は「酒類」と「外食」を除いた「生鮮食品+加工食品」。

 同12月14日夕方になって、国民の知る権利を確保する必要があるとからと新たに「新聞」を対象品目に含める方針で一致したという。

 何、公明党の支持母体、創価学会発行の「聖教新聞」への配慮が主な理由だろう。いわば公明党の創価学会に対する利益誘導である。

 公共工事の地元利益誘導が地元だけではなく、ゼネコンやその他の企業に利益が回るように「聖教新聞」への利益誘導が国民の知る権利確保という大義名分の下、その他の新聞への利益となっていく。

 いきなり新聞を加えたのでは魂胆が露骨に見え透いてしまうから、ワンクッション置いたといったところに違いない。

 安倍晋三は14日午前、首相官邸で記者たちにマイクを向けられて、自・公が軽減税率導入対象品目を「外食」を除いた「生鮮食品+加工食品」で合意したことについて、「最善の結果を取りまとめて頂いたと思います」と述べたと伝えている。

 他の記事も似たり寄ったりの内容となっている。

 官房長官の方は14日午前の定例記者会見。

 菅義偉「消費税引き上げ時に軽減税率制度を導入することは、自民・公明両党の選挙公約であり連立合意だった。自民・公明両党で話し合いをして合意することが極めて大事なことだった。与党で合意がなければ、法案提出はできない」

 記者「軽減税率制度は、低所得者対策にはならないという指摘もあるが」

 菅義偉「日常の必需品中心なのでしっかりなる。生活に必要なものは、生鮮食品だけでは収まらないのが事実ではないか。国民の皆さんからは大変高い評価を頂いていると思う。

 (軽減税率導入による財政健全化目標への影響について)全くないと考えている」――

 安倍晋三は「最善の結果を取りまとめて頂いた」と言い、菅義偉は「国民の皆さんからは大変高い評価を頂いていると思う」と言って、国民の理解・支持を得ていると完了形とした発言となっている。

 軽減税率導入は低所得者対策を主眼としているから、両者の発言は十分な低所得者対策となっているとの自負をも示すことになる。

 だが、これらの発言は共に12月14日午前中のもの。自公合意は12月12日。国民の反応を知る時間的余裕があるわけでもないのに国民の理解・支持を完了形としている。絶対的と言っていい程の余程の自信があるに違いない。

 また、「最善の結果」、あるいは「大変高い評価」とするには軽減税率適用の対象品目に関してだけではなく、適用の税率をも含めてバランスの取れた決定でなければ、言葉の正当性を欠くことになる。

 もし安倍晋三にしても菅義偉にしても軽減税率適用の対象品目に関してのみ、「最善の結果」だとか、「大変高い評価」だと言い、適用税率を失念していたとしたら、その判断能力は疑われることになる。両者は一体で評価されるべき政策だからである。

 消費税を8%から10%に増税するについて軽減税率適用の対象品目に限って消費税を8%に据え置くだけの制度で果たして「最善の結果」と言うことができるのか、あるいは「大変高い評価」と見做すことができるのかという問題である。

 確かに軽減税率適用の対象品目に限って言うと、今まで適用品目が存在しなかったのだから、それなりの理解・支持は得ることができるかもしれない。 

 だが、軽減税率は8%に据え置いたままという税率を含めて考えた場合、果たしてそれ程にも「最善の結果」、「大変高い評価」と言うことのできる決定だろうか。

 2013年時点のヨーロッパの軽減税率と適用対象品目を見てみる。

 フランスは21.2%の標準消費税率に対して食料品が5.5%。

 イギリスは20%の標準消費税率に対して食料品が0〜5%。

 ドイツが19%の標準消費税率に対して食料品が7%。

 スウェーデンが25%の標準消費税率に対して食料品が12%。

 オランダが21%の標準消費税率に対して食料品が6%。

 すべての国が標準消費税率に対して食料品の軽減税率は10%以上の差となっている。

 だが、日本は標準消費税率10%に対して食料品の軽減税率8%で、たったの2%の差しかない。

 とてもとてもヨーロッパの10%以上の差には及ばない。

 この2%の差で、果たして「最善の結果」、あるいは「大変高い評価」と胸を張ることができるのだろうか。 

 もし標準消費税率をもっと上げなければ、軽減税率との差を大きくできないと言うなら、標準税率を上げて、軽減税率を大きく下げなければ、軽減税率の主目的である真の低所得者対策とはならないはずである。

 ところが、軽減税率8%では低所得者対策として中途半端な決定であるにも関わらず、安倍晋三は「最善の結果」と言うことができ、菅義偉は「大変高い評価を頂いている」と言うことができる。

 中途半端なのは12月11日(2015年)から13日迄行った「NHK世論調査」が証明してくれる。

 軽減税率8%に関しては「賛成」38%、「反対」22%、「どちらともいえない」33%となっていて、賛成が上回っているが、消費税税率の予定どおりの再来年4月10%引き上げへの賛否に関しては「賛成」28%、「反対」43%、「どちらともいえない」27%となっていて、肝心の10%への増税が既に既定路線となっているにも関わらず反対が半数近くの43%も占めているのは、この43%を低所得層を主体とした低中所得層と見ると、既に何日か前から自公で議論されていた軽減税率導入の適用対象品目の範囲と8%の軽減税率に十分に納得していないことが原因だと見なければならず、中途半端と見ているからこそであろう。

 もし納得できる合意内容なら、反対が半数近くも占めないはずだ。

 安倍晋三と菅義偉の発言は中途半端を完全と見せかけるのは国民をバカにする態度でしかない。あるいは完全と思わせるために「最善」だとか「高い評価」といった言葉を弄したのだろうか。

 例え後者であったとしても、国民をバカにしていることに変わりはない。


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