安倍晋三の安保法制と改憲意思に忠実であるなら、自公は丸山穂高の「戦争発言」譴責理由に憲法の平和主義を掲げる資格なし

2019-05-27 11:14:27 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる



 この記事とは無関係だが、米大統領トランプが西暦2019年5月25日午後5時過ぎ、大統領専用機で羽田空港に到着、国賓として来日した。大統領専用機の着陸時には国内線第2ターミナルに500人超が人垣を作り、頭上に掲げたスマートフォンなどで撮影したという。例えその500人が500人とも大統領専用機を撮そうとした航空ファンであったとしても、機体の主がトランプである以上、トランプを歓迎したことになる。歓迎は政策の支持に繋がる。

 トランプの政策を歓迎せずに大統領専用機を撮影できるとしたら、信念がないことになるし、トランプの政策など考えたこともないままに撮影だけに拘ったとしたら、日米間の政治の密接な関わり合いに無関心と言うことになって、例え憲法で選挙の1票を保障されていても、その1票の信用性・価値を損なうことになる。
 
 大統領専用車が目的地に向けて走行する先々の沿道に集まって見送った日本人、大相撲観戦時、特別席に着席したトランプを立ち上がってスマホで撮影した大勢の観客にしても、殆がトランプの地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱、イラン核合意からの離脱、イスラエルのエルサレム首都認定、対移民非寛容政策等々の政策と、気に入らない女性を「太った豚」、「不快な生き物」などと呼称する女性蔑視の人間性等々を、それが知らないことであっても、歓迎したことになり、支持したことになる。

 国家等の何らかの組織に縛られていて、トランプの政策を支持していなくても、組織の歓迎に従わなければならない制約下での同調行為ではなく、トランプを上記各場所で歓迎した日本国民の多くは組織に縛られていたわけではなく、主体的行為として自律的に歓迎していることになる以上、その歓迎にはトランプの政策に対する支持が含まれることになる。当然、どのような形での歓迎であろうと、トランプの政策を支持したことになるのだと自覚していなければならない。但し自覚できる人間が何人いるかである。オレは、あるいは私はトランプを見たと自慢し、そのことを勲章として終える人間が多いに違いない。

 2019年5月11日の夜、日本維新の会の衆議院議員丸山穂高が北方四島の「ビザなし交流」の訪問団に参加し、国後島の宿泊施設で酒を飲み、酔った状態で訪問団団長に「戦争で島を取り返すことには賛成ですか、反対ですか」などと質問、いわば"北方四島は戦争で取り返すべき"とする自らの主張・考えをぶっつけた。自らの主張・考えでなかったなら、このような言葉は口を突いて出てくることはない。

 この発言に対して野党からは議員辞職を求める声が上がり、与党からは不適切発言だ、政府の立ち場とは異るとの批判は起きたが、出処進退は議員自らが決めるべきだとして議員辞職には反対の姿勢を示した。

 要するに不適切発言で議員辞職が基準になった場合、失言・不適切発言に事欠かない与党としては議員辞職続出ということになって、自らの首を絞める逆作用が働くことになるからだろう。

 足元の日本維新の会は代表の松井一郎が丸山穂高を除名処分にしただけではなく、5月15日、東京都内の日本記者クラブで会見、「国会で辞職勧告になるだろうし、勿論、我々も賛成だ。本人が事の重大さに早く気付き、これからの人生のためにも早急に潔く身を処すべきだ」(時事ドットコム)と自分から議員辞職することを求めたという。

 但し松井一郎は2日前の5月13日には、「前後の脈絡を精査しないといけないが、戦争で取り返すような考えは党として一切ない。武力での解決は僕にはない。言論の自由だが、武力で領土を取り返す考え方は一切持っていない」と、「戦争発言」そのものに関しては言論の自由認定したといったツイッターが紹介されることになった。

 憲法で基本的人権の一つとして言論の自由が保障されていても、無制限の保障ではなく、言論の質に従う条件付き保障に過ぎない。例えば、〈人種、出身国、民族、宗教、性的指向、性別、容姿、健康(障害)といった、自分から主体的に変えることが困難な事柄に基づいて属する個人または集団に対して攻撃、脅迫、侮辱するヘイトスピーチ(=憎悪表現)〉(Wikipedia)は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」に於ける罰則の対象とされ、言論の自由の範疇には入らない。

 松井一郎は「言論の自由」とした自らの発言の失態に気づいて、失態を帳消しするために除名処分にとどまらない議員辞職を求めることになった可能性は疑い得ない。

 丸山穂高は野党が辞職勧告決議案の衆院提出を検討するに及んで、5月15日夕に自らのツイッターに、西暦2019年5月15日付「毎日新聞」によると、「憲政史上例を見ない、言論府が自らの首を絞める辞職勧告決議案かと。提出され審議されるなら、こちらも相応の反論や弁明を行います。野党側の感情論で議案が出され、普段は冷静な与党まで含めて審議へ進むなら、まさにこのままではこの国の言論の自由が危ぶまれる話でもある」などと投稿したという。

 丸山穂高は東京大学経済学部卒業、経済産業省入省の逸材(?)だそうだが、松井一郎と同様、言論の質を問題外として「言論の自由」に触れている。"北方四島は戦争で取り返すべき"とする自らの主張・考えを披露する以上、どのような戦術・戦略を以ってして北方四島は奪還可能か、人的・物的代償(いわば犠牲)の程度、国際政治への影響(このことは国際的な日本の立ち場に関係してくることになる)等々を具体的に立案・想定して広く公表、賛否を求めなければならない問題であって、例え反対や批判が大勢を占めたとしても、そうすることによって初めて言論の質をそれなりに獲得し得るが、そういったことを一切せずに極く人数の限られた場でイエスかノーの結論のみを性急に求めて、いわば言論の質もヘッタクレもなく、それを以って「言論の自由」だと言う。逸材に反した程度の低さは如何ともし難い。

 立憲民主党など野党6党派は5月17日に丸山穂高衆院議員に対する辞職勧告決議案を衆院に共同提出。自公の両党は5月21日午前、「譴責決議案」を衆院に共同提出。丸山穂高は5月24日に衆院議院運営委員会理事会に事情聴取の出席を求められたが、病気のため2カ月間の休養が必要だとする医師の診断書を提出・欠席で対抗。双方の"戦争"はなかなか見応えのある攻防を見せている。

 ここで注意しなければならないのは自公の譴責決議案が丸山穂高の「戦争発言」を憲法の平和主義の観点から問題視していることである。

 「議員丸山穂高君譴責決議(案)」(毎日新聞2019年5月21日 12時01分)

 去る五月十一日の国後島訪問中の議員丸山穂高君の平和主義に反する発言は、我が国の国益を大きく損ない、本院の権威と品位を失墜させるもので、到底看過できないものである。

 よって本院は、ここに丸山君を譴責し、猛省を促すものである。

 右決議する。

<理由>

 衆議院議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む平和条約締結問題の解決に寄与することを目的とする「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流事業に参加し、国後島を訪問した際、五月十一日夜に、ホームビジット先のロシア人島民宅及び宿舎である「友好の家」において飲酒した結果泥酔し、宿舎内で大声を出し他団員と口論をする等の迷惑行為を行い、同行記者団と懇談中の元島民の訪問団長に対し、「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」などの信じ難い暴言を吐いたと報道され、本人も事実関係を認めている。かかる常軌を逸した言動は、元島民の方々のお気持ちを傷つけただけでなく、特に、憲法の平和主義をおよそ理解していない戦争発言は、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉に多大な影響を及ぼし、我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない。

 本件事業は、内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたものであり、他の団員からは、本院を代表して参加したものと受け止められており、また、その後の報道により、我が国憲法の基本的原則である平和主義の認識を欠く議員の存在を国内外に知らしめ、衝撃を与えた事実は否めず、本院の権威と品位を著しく貶(おとし)める結果となったと断じざるを得ない。

 丸山君の発言は、極めて不穏当なものであり、擁護する余地は全くないものであるが、他方で、議員の身分に関わることは慎重に取り扱う必要があり、憲法上、本院が議員の身分を失わせることができるのは、懲罰による除名及び資格争訟裁判の場合に限られ、いずれも出席議員の三分の二以上の賛成を必要としているのに対し、議員辞職勧告決議は出席議員の過半数の賛成により議決されるもので、理論上は多数会派の意思で議決できるものであり、その観点からも慎重に取り扱われてきた経緯があり、これまで、明白かつ重大な違法行為に当たる場合にのみ議員辞職勧告決議を行ってきており、問題発言を理由に議員辞職勧告決議を行ったことはない。また、除名を含む懲罰は、憲法上、院内の秩序をみだした場合に限られており、本院からの公式派遣でもない本件は直ちには懲罰事案には該当しない。そうであるからと言って、議員の発言が自由に保障されている訳ではなく、仮に、院内での発言であれば、院外で責任を問われないという免責特権が与えられている代わりに、不穏当発言の場合は議院において懲罰を課すことはあり得るものであり、実際に、不穏当発言で懲罰を課せられた事例もある。もとより、丸山君の発言は、明らかに一線を越えたものであり、懲罰の対象とならないからと言って、決して許されるものではない。

 議員の出処進退は自ら決すべきことが基本であり、議員辞職するか否かは、最終的には自ら判断することではあるが、丸山君には、有権者の負託を受け、全国民の代表として議員となっている重みを十分に自覚し、常に、言動をよくわきまえ、適切な判断を下すよう、猛省を促したい。

 以上が、本決議案を提出する理由である。 (文飾は当方)

 日本国憲法に於ける平和主義は「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」の3大要件によって成り立っている。要するに丸山穂高に対する譴責決議を衆議院に提出した自公与党は日本国憲法の平和主義を理解し、受け入れていることになる。理解だけで、受け入れていなければ、平和主義を楯にした丸山穂高の「戦争発言」譴責は不可能となる。

 安倍晋三は日本国憲法第2章「戦争の放棄」第1項の「戦争の放棄」と第2項の「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を残したまま、第3項を設けて、そこに自衛隊の根拠規定を明記する改憲意思をかねがね示している。例え第1項と第2項を残そうとも、自衛隊の活動を専守防衛のみならず、憲法解釈で容認した集団的自衛権の行使に基づいて海外にまで広げる「新安全保障法制」を2015年9月19日に成立させている。

 当然、9条1項と2項に平和主義の3大要件たる「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」を残したとしても、一方で集団的自衛権の行使を容認した自衛隊の存在を9条3項に明記することは1・2項と3項との間に矛盾をつくり出すことになるが、この矛盾を無理やり抑えつけて、矛盾そのものを遠ざけ、限りなく影の薄いものとするためには9条3項を前面に出して、9条に於ける主たる項目とする必要性が生じる。安倍晋三はそのうち、そのような意思を働かすことになるだろう。でなければ、9条1項・2項に邪魔されて、自衛隊は集団的自衛権の行使に基づいた海外活動など不可能となり、折角成立させた安保法制は有名無実化することになる。

 一方、自公与党が丸山穂高の「戦争発言」の譴責理由に憲法の平和主義を掲げることも、安倍晋三の意思通りに憲法が改正されるかどうかは不明で、現時点で改正前であっても、安倍晋三の改正意思そのものと新安保法制が既に可能としている集団的自衛権行使をウソににする矛盾を描くことになる。

 要するに自公は与党として与党親分である安倍晋三の新安保法制の精神と改憲意思に忠実でなければならないのであって、その線に添う義務を有する以上、丸山穂高の「戦争発言」の譴責理由に日本憲法の平和主義を掲げる資格はないということである。

 「我々与党は自衛隊の必要最小限度の武力行使を以ってする止むを得ない場合の戦争は賛成しているが、北方四島に限って戦争で取り返すという考えは過激過ぎて、容認できない。よって本院は、ここに丸山君を譴責し、猛省を促すものである」ぐらいにとどめておくべきだったろう。


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