安倍晋三の都合のいい各種統計使用・自慢のアベノミクス3本の矢の対成果国民の答・評価は「まあ満足」程度が正体

2018-11-01 10:58:13 | 政治
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 玉城デニーは普天間の辺野古移設阻止で安倍政権を踊らすことができるのか、阻止できないままに自身が踊るだけで終わることになるのか。

 題名に使用した「まあ満足」は内閣府の「国民生活に関する世論調査」質問項目に対する回答項目で、一度「ブログ」(2018年8月31日)に使用した。大した内容ではないが、気が向いたなら、併せて読んで頂きたい。

 立憲民主党参議院議員吉川沙織(42歳 比例区)が2018年10月30日の参議院本会議で安倍晋三の所信表明に対する代表質問を行った。その中から吉川沙織が質問冒頭、「日米の民主主義をめぐる現状認識と総理自身の『政略主義』に対する見解」、さらに「国家戦略特区の成果及びアベノミクスに関する現状での総括」を問い質したが、それに対する安倍晋三の答弁のみを文字起こしして取り上げ、その是非を見てみる。

 「政略主義」とは策略や巧妙な駆け引きを用いて自身に有利な政治を進める政治上の方法論を言うはずである。

 質問全文は「代表質問立憲民主党・民友会吉川沙織」を参考されたい。

 安倍晋三は元々滑舌が良いとは言えない。文字起こしの際、聞き取れない箇所がかなりあったが、聞き取れた単語を検索エンジンの検索窓に入力、多くは関連語から正確な単語の摘出ができたが、できなかった単語に関しては「?」をつけることにした。

 安倍晋三「吉川さおり議員にお答え致します。日米の民主主義と政略主義についてお尋ねがありましたが、他国の民主主義については控えますが、我が国の民主主義は絶えず、これは発展させていく。これは私たち政治家全員の責任であります。

 政治家が激しい言葉で互いの批判に終始したり、行政を担う公務員を萎縮させても、これも民主主義の発展に資するとは考えません。それぞれが国民の皆さんの前にしっかりと政策の選択肢を示すこと、そして建設的な議論を通じて政治を前に進めていくことこそが民主主義の王道であると考えます。

 長い民主主義の歴史を持つ英国のチャーチル首相がかつて最悪の制度と称したしたように民主主義に完璧などありません。それでもなお私達政治家は責任を果たさなければならない。現状への不満を言い募るよりも、より良い民主主義を求めて共にたゆまぬ努力を重ねていくべきであります。

 お尋ねの政略主義という考え方については立憲民主党の皆さん程詳しくは研究したことはありませんが、全ては国民のため、如何なるテーマについても、自由忌憚なく議論をさせて頂きたい。与党・野党の立場を超えて、国民の負託に応える建設的な議論をさせて頂きたいと考えております。

 審議時間と採決の在り方についてお尋ねがありましたが、国会の運営については国会に於いて適切に決められるものと考えております。政府としては国会から求められれば、誠実に真摯に対応すべきものである考えており、今後とも丁寧な対応に努めてまいります。

 国家戦略特区の成果とアベノミクスの現状の総括についてお尋ねがありました。国家戦略特区は岩盤規制改革の突破口として企業による農地取得などの農業改革や都市公園内での保育園設置の特例による待機児童対策、都市計画手続きや航空法の高さ制限の特例による都市再生など、これまで長年に亘って推進(?)できなかった規制改革を推進(?)することで経済成長に大きく寄与しております。

 こうした取組みの中で例えば首都圏の特区を活用した都市再生開発プロジェクトについては東京都は8兆5千億円の経済効果があると試算しています。また、福岡の都市再生開発プロジェクトでは市の資産によれが8千5百億円の経済効果が見込まれるなど、その地域の経済成長に繋がっています。

 さらに農業、医療、エネルギー分野などに於ける規制改革、法人税引き下げ20%台の実現、TPP、日EU・EPA経済連携の推進など、この5年余り、大胆な成長戦略を実行してまいりました。こうしたアベノミクス3本の矢によって名目GDPは12.2%増加し、過去最高となります。

生産年齢人口が450万人減る中、雇用は250万人増加し、正社員の有効求人倍率は調査開始以来初めて1倍を超えています。さらに5年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現し、この春の中小企業の賃上げ率は過去20年間で最高になっています。

 こうした中で先般の内閣府の調査でも、『現在の生活に満足』と回答した方々の割合は75%と過去最高となりました。今後さらにアベノミクス3本の矢を力強く放つことで、さらなる景気回復、所得の向上とデフレ脱却の実現を目指してまいります。

 安倍晋三の「政略主義」は世論調査で国民の支持を得ることができていなかった憲法解釈を手段とした集団的自衛権の行使容認や憲法9条に自衛隊の存在を明記する憲法改正等は選挙の際、争点として真正面から取り上げずに国民が最も関心のある消費税の延期の是非、あるいは景気対策、教育費等の生活に関わる政策だけが争点であるかのように装って選挙戦を繰り広げ、選挙に勝利すると、集団的自衛権の行使容認、あるいは憲法9条自衛隊存在明記までをも国民の信を得たとして、それらの政策を数の力で強引に進める意図的でないはずはない策略に最も顕著に現れている。

 「政策の選択肢を示すこと、そして建設的な議論を通じて政治を前に進めていくことこそが民主主義の王道であると考えます」と言ってはいるものの、争点隠しは「政策の選択肢」の曖昧化、あるいは隠蔽そのものであって、当然、「国民の負託に応える建設的な議論」を回避していることになるのだから、この発言とは裏腹の安倍晋三の姿勢は「政略主義」に相当しないはずはない。

 にも関わらず、「お尋ねの政略主義という考え方については立憲民主党の皆さんほど詳しくは研究したことはない」とか、「長い民主主義の歴史を持つ英国のチャーチル首相がかつて最悪の制度と称したしたように民主主義に完璧などない」といった物言いで自らの政略主義的な姿勢を巧妙に隠す、このような事実からも、「政略主義」が安倍晋三の精神に根付いていることを窺うことができる。

 次に安倍晋三は国家戦略特区の成果を縷々挙げ、試算された経済波及効果は何兆だ、何千億円だと、試算イコール費用対効果となって現れる保証はないにも関わらず、「地域の経済成長に繋がっている」と試算を以って成果であるかのように見せかけるレトリックを用いている。

 これも国民を騙して内閣支持率を得る「政略主義」に入る。

 このような国家戦略特区を用いた経済効果の他にアベノミクス3本の矢によって過去最高の名目GDP12.2%増加、生産年齢人口が450万人減る中、雇用の250万人増加、調査開始以来の正社員の有効求人倍率初の1倍超、5年連続の今世紀に入って最も高い水準の賃上げ実現、今春の中小企業賃上げ率の過去20年間で最高等々、既に何度も聞かされ、聞き飽きているが、これらの成果を上げ、成果に対する国民の答が内閣府調査の「現在の生活に満足」過去最高の75%だとしている。

 事実75%がそっくりそのままの75%なら、アベノミクス3本の矢の成果に対する国民の答は75%もの満足度で占められていることになる。

 では、75%がそっくりそのままの75%なのか、《「国民生活に関する世論調査」の概要》(内閣府政府広報室/2019年8月)を覗いてみる。

(2)現在の生活に対する満足度

問2 あなたは、全体として、現在の生活にどの程度満足していますか。この中から1つお答えください。

 平成29 年6月        30 年6月

満 足(小計) 73.9%    → 74.7%
満足している 12.2%    → 12.2%
まあ満足している 61.7% → 62.5% 

 安倍晋三は75%を「現在の生活に満足」の回答に入れているが、実際の内訳は「現在の生活に満足している」の回答が12.2%(2019年比±0)で、「現在の生活にまあ満足している」の回答が昨年比+0.8に過ぎない62.5%の大部分を占めている。

 もしアベノミクスの成果が進化していく状況にあるなら、「現在の生活にまあ満足している」は大きく減る傾向にあり、対して「現在の生活に満足している」が大きく増えていく傾向になければならない。ところが逆の傾向になっているだけではなく、「地域の経済成長に繋がっている」としている、試算を弾き出した段階の経済波及効果に過ぎない国家戦略特区を用いた地域経済効果や各種統計を用いたアベノミクス3本の矢の成果に対する内閣府調査に現れた国民の答は実質的には「現在の生活にまあ満足」程度であって、安倍晋三の自慢とは大きくズレることになる。

 いわばアベノミクス3本の矢の成果とその成果に対する各種統計を用いた安倍晋三の自慢との間にズレがないことを国民に証明するためには「現在の生活に満足している」はたったの12.2%ではなく、「現在の生活にまあ満足している」の62.5%に取って代わって、「現在の生活に満足している」が62.5%もの大多数派を占め、対して「現在の生活にまあ満足している」は12.2%の少数派とならなければならない。

 とてものこと、そうはなっていない以上、アベノミクスの成果に対する国民の答・評価は安倍晋三が各種統計を用いて自慢している状況からは程遠く、「まあ満足」程度に留まっているに過ぎないことを明らかに示している。「5年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現」も国民の"満足"に繋がっていないことの暴露
そのものとなる。

 この程度がアベノミクスの実力の正体ということでもあるのだろう。

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