2018年11月5日の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫が杉田水脈のLGBT関連発言と第4次安倍改造内閣によって2018年10月2日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当の国務大臣として初入閣を果たした櫻田義孝の閣僚としての資質を問うはずの追及を行った。
先ず杉田水脈のLGBT関連発言の追及から。
蓮舫「子供をつくらない、持たない人は生産性はないんでしょうか」
安倍晋三「生産性という言葉をどう使うか、色んな議論が認められるでしょうが、子供をつくるかつくらないかということに関してですね、生産性という概念は当てはめるのは間違っていると、このように思います」
蓮舫「自民党の杉田議員は月刊誌『新潮45』が廃刊となるキッカケとなった寄稿、『LGBTのカップルが子供をつくらない、生産性がない、税金をそこに使うのはいいのか』と、これ書かれました。どうお考えですか」
安倍晋三「ご指摘の通り、LGBTと言われる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならないと思います。多様性が尊重され、すべての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を共有できる共生社会の実現に政府は取り組んでいるところであります。内閣、与党・野党問わず、国民から選ばれた一人ひとりの政治家が自身の発言で関係者を傷つけることないよう、細心の注意を払わなければなりません。
その上で政策を磨き、結果を出すことによって国民の負託に応えていかなければならないと考えております」
蓮舫「安倍総理は総裁選の間にこの件について問われると、『まだ若いですから、これから注意しながら、仕事をしていって貰いたい』、これ同じ認識ですか、今も」
安倍晋三「今申し上げましたように内閣、与党・野党問わず、国民から選ばれた一人ひとりの政治家は自身の発言で関係者を傷つけることがないよう、細心の注意を払わなければなりません。その上で政策を磨き、結果を出すことによって国民の負託に応えていかなければならないと考えております」
蓮舫「答えておりません。若ければ許されるんですか」
安倍晋三「答えていると思いますが、自身の発言で関係者を傷つけることがないよう、細心の注意を払わなければならない。その上で政策を磨き、結果を出すことによって、国民の負託に答えていかなければならないと考えております」
蓮舫「細心の注意がなかった。この結果月刊誌が発売された7月18日以降、抗議声明がなかったですか(?) 自民党本部には全国各地で抗議活動が行われました。このことはご存知でしたか」
安倍晋三「存じております」
蓮舫「そして杉田議員本人はようやく記者の取材に答えたのは寄稿してから3カ月後の10月24日、『誤解を招いたことを心苦しい思いです。傷ついた方がいらっしゃることは大変重く受け止める』。謝罪も撤回もしていません。
これは抗議活動とか様々な声明が誤解であったということでしょうか」
安倍晋三「それは御本人が説明していることだろうと思いますが、党としての考え方はお示しをしているとおりでございます」
蓮舫「『世の中に待機児童なんて一人もいない。待機しているのは預けたい親でしょ』、SNSで何度か発信。『離別の場合、シングルマザーになるのはある程度自己責任。ダメステックバイオレンスなんていう場合もあるかも知れないが、厳しいことを言うと、そんな男性を選んだのはあなたでしょに終始する』。月刊誌への『シングルマザーをウリにするな』の寄稿。
『国会では男女平等は絶対に実現し得ない。反道徳の妄想です。女性しか子供を産めないことをネガティブに捉える社会になってしまった。その結果、DVは蔓延し、離婚は増加。少子化や貧困の原因になっています』。国会で発言しています。
厚労大臣、正しいですか、この認識」
根本匠「今私からは意見を異にします」
蓮舫「総理、如何でしょうか」
安倍晋三「今、発言については確認しているわけではございませんですので(蓮舫が自席から何か言う)、いやいや、これは私自身が確認させて頂いておりませんので、コメントのしようがございませんが、それが事実であるとすれば、今、根本大臣が答弁したとおりでございます。繰返しになりますが、私自身は確認しておりません」
蓮舫「事実を私は調べて、今ご紹介をさせて頂いております。その杉田議員は安倍総理と同じ山口県連に所属。先の総選挙では自民党の比例単独候補。自由民主党で選ばれた議員がこれらの発言、生産性がない発言等を含めて、処分はしなくていいということですね」
安倍晋三「処分をするのかどうかということは党で判断することでありますが、先程申し上げたとおりですね、自身の発言がどういう影響を及ぼしたのかということについて常に細心の注意を払っていくべきだろうと、このように思います」
蓮舫「その程度の認識だということは愕然と致します」
外国人材受入れ制度に質問を変える。
蓮舫の月刊誌『新潮45』寄稿のLGBTに関わる内容の質問は明らかに杉田水脈の国会議員としての資質・資格を問い質す発言であったはずだ。杉田水脈を「まだ若いですから、これから注意しながら、仕事をしていって貰いたい」と擁護した安倍晋三の発言を捕まえて、「若ければ許されるんですか」も、杉田水脈の国会議員としての資質・資格を問い質す発言となるし、「処分はしなくていいということですね」も、同列の発言となる。
対して安倍晋三は杉田水脈の国会議員としての資質・資格の問題とすることは避けて、あくまでも杉田水脈個人の考え方として片付けている。LGBTを含めて「共生社会の実現に政府は取り組んでいるところであります」とか、「党としての考え方」は違うといった物言いで杉田水脈の国会議員としての資質・資格の問題から距離を置いた答弁を心がけている。
いわば蓮舫と同じ土俵に上がるまいと細心の注意を払って答弁に立っている。当然、蓮舫は同じ土俵に立たせるべく追及を工夫しなければならない立場にありながら、それが全然できていない。
なぜ、「このような認識を持った国会議員が国会議員としての資質・資格はあるとお考えですか、自民党総裁としての総理自身の認識をお伺いしたいと思います」と単刀直入に追及できなかったのだろう。
安倍晋三が「処分をするのかどうかということは党で判断することであります」と言ったことに対しても、「処分はこのような認識を持った政治家に対して国会議員としての資質・資格があると判断しているのか、ないと判断しているのかが前提となります。自民党総裁としてどう判断しているのですか」と質問、あくまでも杉田水脈の国会議員としての資質・資格の問題に焦点を絞り込むことで同じ土俵に立たせなければならなかった。
もし安倍晋三が杉田水脈個人の考え方として片付けようとする発言を続けるなら、「私自身は杉田水脈議員は国会議員の資格も資質もこれポッチも持ち合わせていないと確信しています。それゆえに議員辞職に相当すると考えていますが、安倍総理は総理としても自民党総裁としても杉田水脈議員に対して国会議員を続けさせているのですから、国会議員としての資格も資質も持ち合わせていると考えていることになります。それでいいということなりますが、それでよろしいですか」と、安倍晋三を同じ土俵に立たせた上で、その認識の程度を印象づけするぐらいのことはすべきだったろう。
狙い所中途半端な杉田水脈発言に対する安倍晋三追及となっていた。
次に桜田義孝に対する追及。
蓮舫「総理、桜田大臣はなぜオリ・パラ担当大臣に指名したんですか」
安倍晋三「東京オリンピック・パラリンピックに関してですね、まさに(第2次安倍内閣)当時文部科学副大臣としてしっかりと担当して頑張って来られた方でございますので、その情熱をですね、再来年に迫ったオリンピック・パラリンピックの成功にですね、活かして頂きたいと思っております」
蓮舫「桜田大臣のホームページ、5年間調べました。政治理念、政策にはどこにもオリンピックの文字は一文字もございません。オリ・パラ議連の役員でもあります。あるいはオリンピックに掛ける情熱はブログには一言も(?)書いてはありません。副大臣のときに行った・・・で、『行きました』という報告があるみで、ご自身がオリ・パラに相応しいと考えるのどこでしょうか」
桜田義孝「なぜ選ばれたかは私は分かりませんが、総理が適材適所と言って選んで頂いたと思って、その選んで頂いた人に如何に任務を果たすようにしっかりと取組んででいくつもりでございます」
蓮舫「じゃあ、基本的なことから教えてください。東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本とは何でしょうか」
背後に黒衣として張り付いていた役人からメモ用紙を渡される。
桜田義孝「(メモ用紙を読み上げる)えー、ご指摘の基本方針はオリ・パラ特別措置法第13条に基づき、国として大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的且つ集中的な推進を図るため、平成27年11月に閣議決定をされております。ま、具体的にはこうした観点から、大会の円滑な準備及び運営の推進の有無(?)に関する事項、政府が実施すべき施策に関する基本的な方針、政府が講じるべき具体的な措置などについて記載しております。
ま、今後、こうした基本方針に従って大会の準備運営に当たる組織委員会、東京都と十分な連携を図り、万全を期していく所存であります」
蓮舫「桜田大臣、今お読みになられたのは政府としての基本方針で、私が聞いているのは東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会が掲げている三つの基本原則です」
再び背後の役人から桜田自身が手にしているメモの一箇所を指差される。
桜田義孝「えー、全ての人が自己ベストを目指し、一人ひとりか互いを認め合い、そして未来につなげよう、この3つの基本コンセプトとして、史上最も、届く、えー、イノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会とするとあります」
蓮舫「全員が自己ベスト、多様性と調和、未来への継承、これが三つのコンセプトになっていると記載されています。因みに大会ビジョンもご存知ですか」
役人に読み上げるべきメモの場所の指差しを受ける。
桜田義孝「全ての人が自己ベストを目指し、一人ひとりが互いを認め合い(蓮舫「違います」)、そして未来につなげよう、三つの基本コンセプトとして史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革・・・・・」
最後はいい加減な読みとなる。場内騒然。役人が読み上げるべき場所を指差しし直す。櫻田が再び手を挙げる。
桜田義孝「スポーツが世界と未来を考える力がある。このように共通コンセプトであります」
蓮舫「このビジョンがあって、3つの基本方針があって、それに対して関連予算が作られて、国と組織委員会の資質が決まるんです。この前提条件、常に頭に入れてください。そうしないと、行革など絶対できませんから」
こちら見て頂きたいんですが、オリンピック予算は平成25年度立候補ファイルでは大会経費、8299億円とされていたものが平成29年12月、1兆3千500億円になりました」
蓮舫は論点をオリンピック予算に移して、大会経費の膨張を取り上げる。桜田義孝はこれ以後も役人の指示を受けては答弁するが、一切頭に入っていないからだろう、満足な答弁をすることができず、審議中断や答弁の遣り直しが続く。
蓮舫の最初の質問、「総理、桜田大臣はなぜオリ・パラ担当大臣に指名したんですか」は安倍晋三の任命責任と桜田義孝の閣僚としての資格・資質を問い質した発言となる。但しこのような追及を行うには第4次安倍改造内閣後の安倍晋三の「記者会見」発言のうち、「明日(あす)の時代を切り開くための全員野球内閣であります」、あるいは「今回の党役員人事においても、また内閣においても、正に適材適所で、それぞれ人材を適用させていただいた、登用させていただいたと、こう考えています」の文言を押さえて置かなければならない。
要するに桜田義孝のみならず、他の閣僚全員が適材適所の任命でなければならなかった。このことを前提にして初めて「全員野球内閣」は実現可能となる。
蓮舫が桜田義孝の閣僚としての資格・資質を問い質す発言で追及を始めた以上、このことの一点に絞らなければならなかった。一点に絞って成功したなら、安倍晋三の首相としての任命責任まで問うことができるからだ。あるいは「全員野球内閣」とした言葉のホンモノ・ニセモノを見極めることができる。
対しての安倍晋三の答弁は「文部科学副大臣時代にスポーツ科学技術担当として頑張ってきた、その情熱を東京オリ・パラに向けて活かして頂きたい」との文言で「適材適所」であることを請け合っている。と言うことは、「全員野球内閣」の一員であることの保証でもある。
ところが、蓮舫は狙いを一本に絞るべきを、「桜田大臣のホームページ、5年間調べた」、「オリンピックの文字は一文字もない」は余分な質問に過ぎない。単刀直入に「ご自身はどのような理由で東京オリ・パラ担当の国務大臣に任命されたと思っていますか」で十分である。
桜田義孝は「総理が適材適所と言って選んで頂いたと思って、その選んで頂いた人に如何に任務を果たすようにしっかりと取組んででいくつもりだ」と答弁している。いわば任務を果たしていると衆目が認めることによって、その任命は「適材適所」ということになり、安倍晋三の任命責任に適うことになる。
但し蓮舫に「東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本」を尋ねられると、役人から手渡されたメモの中の「政府としての基本方針」を読み上げてしまい、蓮舫に注意を受け、役人からメモの読み上げるべき箇所を指差されて、やっとどうにか答弁ができる失態を演じることになった。
さらに蓮舫から「大会ビジョン」を聞かれると、役人に読み上げるべき箇所の指差しを受けながら、その箇所を読み上げることができず、再度「三つの基本」を読み上げてしまい、席に戻って指差しを受け直してやっと「大会ビジョン」を読み上げることができるといった始末であった。
いわば「東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本」にしても、「大会ビジョン」にしても、桜田義孝の頭の中には全然入っていなかった。入っていなかったから、記憶としてカスリもしなかった。もし少しでもカスっていたなら、手渡されたメモの中から、記憶にカスッた文字を探すことができたのだろうが、そうではないから、無関係な箇所を読み上げることになった。
この失態は桜田義孝の「総理が適材適所と言って選んで頂いたと思って、その選んで頂いた人に如何に任務を果たすようにしっかりと取組んででいくつもりだ」の答弁に明らかに反している。
蓮舫の「このビジョンがあって、3つの基本方針があって」以下云々の発言はムダそのものである。桜田義孝の上記発言を俎上に載せて、「3つの基本方針も自分では答弁することもできない。大会ビジョンも自分では答弁できない。役人に読み上げる場所を指差されて、ようやく答弁ができた。適材適所の発言とはなっていないのではないのか。任務を果たしていることにならないのではないか。ご自身は適材適所だと自負しているのか」、安倍晋三に対しては「これまでの答弁だけで明らかなように適材適所となっていないのはミエミエではないのか。全員野球に綻びがあるのではないのか」と追及できたはずだが、できなかった。
桜田義孝にしても、安倍晋三にしても、色々と誤魔化しの答弁を繰り出すだろうが、「適材適所」だと直接的な表現を使った答弁はできないはずだし、少なくとも適材適所ではないことを浮かび上がらせることができる。「全員野球内閣」が口程でもないことを炙り出すことも可能である。
野田第1次改造内閣時代の2012年1月13日に防衛大臣に就任した田中直紀はその防衛知識のお粗末さ――いわば防衛大臣としての資格・資質を、特に自衛隊出身の佐藤正久を中心に自民党から散々に追及されて、見るに堪えない答弁を繰り返し、5カ月弱の就任で、積め腹を切らされたのだろう、2012年6月4日に退任に追い込まれたが、そのときの追及の執拗さから比べると蓮舫の追及は大甘で中途半端な分類に入る。
こんな調子ではいつまで経っても、安倍政治の不備、政治姿勢の胡散臭さは追及できない。
先ず杉田水脈のLGBT関連発言の追及から。
蓮舫「子供をつくらない、持たない人は生産性はないんでしょうか」
安倍晋三「生産性という言葉をどう使うか、色んな議論が認められるでしょうが、子供をつくるかつくらないかということに関してですね、生産性という概念は当てはめるのは間違っていると、このように思います」
蓮舫「自民党の杉田議員は月刊誌『新潮45』が廃刊となるキッカケとなった寄稿、『LGBTのカップルが子供をつくらない、生産性がない、税金をそこに使うのはいいのか』と、これ書かれました。どうお考えですか」
安倍晋三「ご指摘の通り、LGBTと言われる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならないと思います。多様性が尊重され、すべての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を共有できる共生社会の実現に政府は取り組んでいるところであります。内閣、与党・野党問わず、国民から選ばれた一人ひとりの政治家が自身の発言で関係者を傷つけることないよう、細心の注意を払わなければなりません。
その上で政策を磨き、結果を出すことによって国民の負託に応えていかなければならないと考えております」
蓮舫「安倍総理は総裁選の間にこの件について問われると、『まだ若いですから、これから注意しながら、仕事をしていって貰いたい』、これ同じ認識ですか、今も」
安倍晋三「今申し上げましたように内閣、与党・野党問わず、国民から選ばれた一人ひとりの政治家は自身の発言で関係者を傷つけることがないよう、細心の注意を払わなければなりません。その上で政策を磨き、結果を出すことによって国民の負託に応えていかなければならないと考えております」
蓮舫「答えておりません。若ければ許されるんですか」
安倍晋三「答えていると思いますが、自身の発言で関係者を傷つけることがないよう、細心の注意を払わなければならない。その上で政策を磨き、結果を出すことによって、国民の負託に答えていかなければならないと考えております」
蓮舫「細心の注意がなかった。この結果月刊誌が発売された7月18日以降、抗議声明がなかったですか(?) 自民党本部には全国各地で抗議活動が行われました。このことはご存知でしたか」
安倍晋三「存じております」
蓮舫「そして杉田議員本人はようやく記者の取材に答えたのは寄稿してから3カ月後の10月24日、『誤解を招いたことを心苦しい思いです。傷ついた方がいらっしゃることは大変重く受け止める』。謝罪も撤回もしていません。
これは抗議活動とか様々な声明が誤解であったということでしょうか」
安倍晋三「それは御本人が説明していることだろうと思いますが、党としての考え方はお示しをしているとおりでございます」
蓮舫「『世の中に待機児童なんて一人もいない。待機しているのは預けたい親でしょ』、SNSで何度か発信。『離別の場合、シングルマザーになるのはある程度自己責任。ダメステックバイオレンスなんていう場合もあるかも知れないが、厳しいことを言うと、そんな男性を選んだのはあなたでしょに終始する』。月刊誌への『シングルマザーをウリにするな』の寄稿。
『国会では男女平等は絶対に実現し得ない。反道徳の妄想です。女性しか子供を産めないことをネガティブに捉える社会になってしまった。その結果、DVは蔓延し、離婚は増加。少子化や貧困の原因になっています』。国会で発言しています。
厚労大臣、正しいですか、この認識」
根本匠「今私からは意見を異にします」
蓮舫「総理、如何でしょうか」
安倍晋三「今、発言については確認しているわけではございませんですので(蓮舫が自席から何か言う)、いやいや、これは私自身が確認させて頂いておりませんので、コメントのしようがございませんが、それが事実であるとすれば、今、根本大臣が答弁したとおりでございます。繰返しになりますが、私自身は確認しておりません」
蓮舫「事実を私は調べて、今ご紹介をさせて頂いております。その杉田議員は安倍総理と同じ山口県連に所属。先の総選挙では自民党の比例単独候補。自由民主党で選ばれた議員がこれらの発言、生産性がない発言等を含めて、処分はしなくていいということですね」
安倍晋三「処分をするのかどうかということは党で判断することでありますが、先程申し上げたとおりですね、自身の発言がどういう影響を及ぼしたのかということについて常に細心の注意を払っていくべきだろうと、このように思います」
蓮舫「その程度の認識だということは愕然と致します」
外国人材受入れ制度に質問を変える。
蓮舫の月刊誌『新潮45』寄稿のLGBTに関わる内容の質問は明らかに杉田水脈の国会議員としての資質・資格を問い質す発言であったはずだ。杉田水脈を「まだ若いですから、これから注意しながら、仕事をしていって貰いたい」と擁護した安倍晋三の発言を捕まえて、「若ければ許されるんですか」も、杉田水脈の国会議員としての資質・資格を問い質す発言となるし、「処分はしなくていいということですね」も、同列の発言となる。
対して安倍晋三は杉田水脈の国会議員としての資質・資格の問題とすることは避けて、あくまでも杉田水脈個人の考え方として片付けている。LGBTを含めて「共生社会の実現に政府は取り組んでいるところであります」とか、「党としての考え方」は違うといった物言いで杉田水脈の国会議員としての資質・資格の問題から距離を置いた答弁を心がけている。
いわば蓮舫と同じ土俵に上がるまいと細心の注意を払って答弁に立っている。当然、蓮舫は同じ土俵に立たせるべく追及を工夫しなければならない立場にありながら、それが全然できていない。
なぜ、「このような認識を持った国会議員が国会議員としての資質・資格はあるとお考えですか、自民党総裁としての総理自身の認識をお伺いしたいと思います」と単刀直入に追及できなかったのだろう。
安倍晋三が「処分をするのかどうかということは党で判断することであります」と言ったことに対しても、「処分はこのような認識を持った政治家に対して国会議員としての資質・資格があると判断しているのか、ないと判断しているのかが前提となります。自民党総裁としてどう判断しているのですか」と質問、あくまでも杉田水脈の国会議員としての資質・資格の問題に焦点を絞り込むことで同じ土俵に立たせなければならなかった。
もし安倍晋三が杉田水脈個人の考え方として片付けようとする発言を続けるなら、「私自身は杉田水脈議員は国会議員の資格も資質もこれポッチも持ち合わせていないと確信しています。それゆえに議員辞職に相当すると考えていますが、安倍総理は総理としても自民党総裁としても杉田水脈議員に対して国会議員を続けさせているのですから、国会議員としての資格も資質も持ち合わせていると考えていることになります。それでいいということなりますが、それでよろしいですか」と、安倍晋三を同じ土俵に立たせた上で、その認識の程度を印象づけするぐらいのことはすべきだったろう。
狙い所中途半端な杉田水脈発言に対する安倍晋三追及となっていた。
次に桜田義孝に対する追及。
蓮舫「総理、桜田大臣はなぜオリ・パラ担当大臣に指名したんですか」
安倍晋三「東京オリンピック・パラリンピックに関してですね、まさに(第2次安倍内閣)当時文部科学副大臣としてしっかりと担当して頑張って来られた方でございますので、その情熱をですね、再来年に迫ったオリンピック・パラリンピックの成功にですね、活かして頂きたいと思っております」
蓮舫「桜田大臣のホームページ、5年間調べました。政治理念、政策にはどこにもオリンピックの文字は一文字もございません。オリ・パラ議連の役員でもあります。あるいはオリンピックに掛ける情熱はブログには一言も(?)書いてはありません。副大臣のときに行った・・・で、『行きました』という報告があるみで、ご自身がオリ・パラに相応しいと考えるのどこでしょうか」
桜田義孝「なぜ選ばれたかは私は分かりませんが、総理が適材適所と言って選んで頂いたと思って、その選んで頂いた人に如何に任務を果たすようにしっかりと取組んででいくつもりでございます」
蓮舫「じゃあ、基本的なことから教えてください。東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本とは何でしょうか」
背後に黒衣として張り付いていた役人からメモ用紙を渡される。
桜田義孝「(メモ用紙を読み上げる)えー、ご指摘の基本方針はオリ・パラ特別措置法第13条に基づき、国として大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的且つ集中的な推進を図るため、平成27年11月に閣議決定をされております。ま、具体的にはこうした観点から、大会の円滑な準備及び運営の推進の有無(?)に関する事項、政府が実施すべき施策に関する基本的な方針、政府が講じるべき具体的な措置などについて記載しております。
ま、今後、こうした基本方針に従って大会の準備運営に当たる組織委員会、東京都と十分な連携を図り、万全を期していく所存であります」
蓮舫「桜田大臣、今お読みになられたのは政府としての基本方針で、私が聞いているのは東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会が掲げている三つの基本原則です」
再び背後の役人から桜田自身が手にしているメモの一箇所を指差される。
桜田義孝「えー、全ての人が自己ベストを目指し、一人ひとりか互いを認め合い、そして未来につなげよう、この3つの基本コンセプトとして、史上最も、届く、えー、イノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会とするとあります」
蓮舫「全員が自己ベスト、多様性と調和、未来への継承、これが三つのコンセプトになっていると記載されています。因みに大会ビジョンもご存知ですか」
役人に読み上げるべきメモの場所の指差しを受ける。
桜田義孝「全ての人が自己ベストを目指し、一人ひとりが互いを認め合い(蓮舫「違います」)、そして未来につなげよう、三つの基本コンセプトとして史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革・・・・・」
最後はいい加減な読みとなる。場内騒然。役人が読み上げるべき場所を指差しし直す。櫻田が再び手を挙げる。
桜田義孝「スポーツが世界と未来を考える力がある。このように共通コンセプトであります」
蓮舫「このビジョンがあって、3つの基本方針があって、それに対して関連予算が作られて、国と組織委員会の資質が決まるんです。この前提条件、常に頭に入れてください。そうしないと、行革など絶対できませんから」
こちら見て頂きたいんですが、オリンピック予算は平成25年度立候補ファイルでは大会経費、8299億円とされていたものが平成29年12月、1兆3千500億円になりました」
蓮舫は論点をオリンピック予算に移して、大会経費の膨張を取り上げる。桜田義孝はこれ以後も役人の指示を受けては答弁するが、一切頭に入っていないからだろう、満足な答弁をすることができず、審議中断や答弁の遣り直しが続く。
蓮舫の最初の質問、「総理、桜田大臣はなぜオリ・パラ担当大臣に指名したんですか」は安倍晋三の任命責任と桜田義孝の閣僚としての資格・資質を問い質した発言となる。但しこのような追及を行うには第4次安倍改造内閣後の安倍晋三の「記者会見」発言のうち、「明日(あす)の時代を切り開くための全員野球内閣であります」、あるいは「今回の党役員人事においても、また内閣においても、正に適材適所で、それぞれ人材を適用させていただいた、登用させていただいたと、こう考えています」の文言を押さえて置かなければならない。
要するに桜田義孝のみならず、他の閣僚全員が適材適所の任命でなければならなかった。このことを前提にして初めて「全員野球内閣」は実現可能となる。
蓮舫が桜田義孝の閣僚としての資格・資質を問い質す発言で追及を始めた以上、このことの一点に絞らなければならなかった。一点に絞って成功したなら、安倍晋三の首相としての任命責任まで問うことができるからだ。あるいは「全員野球内閣」とした言葉のホンモノ・ニセモノを見極めることができる。
対しての安倍晋三の答弁は「文部科学副大臣時代にスポーツ科学技術担当として頑張ってきた、その情熱を東京オリ・パラに向けて活かして頂きたい」との文言で「適材適所」であることを請け合っている。と言うことは、「全員野球内閣」の一員であることの保証でもある。
ところが、蓮舫は狙いを一本に絞るべきを、「桜田大臣のホームページ、5年間調べた」、「オリンピックの文字は一文字もない」は余分な質問に過ぎない。単刀直入に「ご自身はどのような理由で東京オリ・パラ担当の国務大臣に任命されたと思っていますか」で十分である。
桜田義孝は「総理が適材適所と言って選んで頂いたと思って、その選んで頂いた人に如何に任務を果たすようにしっかりと取組んででいくつもりだ」と答弁している。いわば任務を果たしていると衆目が認めることによって、その任命は「適材適所」ということになり、安倍晋三の任命責任に適うことになる。
但し蓮舫に「東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本」を尋ねられると、役人から手渡されたメモの中の「政府としての基本方針」を読み上げてしまい、蓮舫に注意を受け、役人からメモの読み上げるべき箇所を指差されて、やっとどうにか答弁ができる失態を演じることになった。
さらに蓮舫から「大会ビジョン」を聞かれると、役人に読み上げるべき箇所の指差しを受けながら、その箇所を読み上げることができず、再度「三つの基本」を読み上げてしまい、席に戻って指差しを受け直してやっと「大会ビジョン」を読み上げることができるといった始末であった。
いわば「東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本」にしても、「大会ビジョン」にしても、桜田義孝の頭の中には全然入っていなかった。入っていなかったから、記憶としてカスリもしなかった。もし少しでもカスっていたなら、手渡されたメモの中から、記憶にカスッた文字を探すことができたのだろうが、そうではないから、無関係な箇所を読み上げることになった。
この失態は桜田義孝の「総理が適材適所と言って選んで頂いたと思って、その選んで頂いた人に如何に任務を果たすようにしっかりと取組んででいくつもりだ」の答弁に明らかに反している。
蓮舫の「このビジョンがあって、3つの基本方針があって」以下云々の発言はムダそのものである。桜田義孝の上記発言を俎上に載せて、「3つの基本方針も自分では答弁することもできない。大会ビジョンも自分では答弁できない。役人に読み上げる場所を指差されて、ようやく答弁ができた。適材適所の発言とはなっていないのではないのか。任務を果たしていることにならないのではないか。ご自身は適材適所だと自負しているのか」、安倍晋三に対しては「これまでの答弁だけで明らかなように適材適所となっていないのはミエミエではないのか。全員野球に綻びがあるのではないのか」と追及できたはずだが、できなかった。
桜田義孝にしても、安倍晋三にしても、色々と誤魔化しの答弁を繰り出すだろうが、「適材適所」だと直接的な表現を使った答弁はできないはずだし、少なくとも適材適所ではないことを浮かび上がらせることができる。「全員野球内閣」が口程でもないことを炙り出すことも可能である。
野田第1次改造内閣時代の2012年1月13日に防衛大臣に就任した田中直紀はその防衛知識のお粗末さ――いわば防衛大臣としての資格・資質を、特に自衛隊出身の佐藤正久を中心に自民党から散々に追及されて、見るに堪えない答弁を繰り返し、5カ月弱の就任で、積め腹を切らされたのだろう、2012年6月4日に退任に追い込まれたが、そのときの追及の執拗さから比べると蓮舫の追及は大甘で中途半端な分類に入る。
こんな調子ではいつまで経っても、安倍政治の不備、政治姿勢の胡散臭さは追及できない。