安倍晋三の対中「戦略的互恵関係の原点に立ち戻って」の一つの回答が尖閣沖日本領海中国公船侵入

2013-09-08 07:09:15 | Weblog


  
 余談になるが、2020年オリンピック・パラリンピック開催都市が東京に決定した。計算上は80歳になるから、2020年まで生きているかどうか分からないが、オリンピック開催決定によって東京は益々一極集中化し、巨大都市化していくに違いない。そして日本は経済的にも文化的にもイビツな国家となっていくに違いない。

 日本人が持つ中央集権の思想が東京一極集中化を招いた。中央集権の思想は日本人の精神に巣食っている権威主義的思考様式・行動様式がもたらした。

 当然、東京一極集中化・巨大都市化を何の抵抗もなく受け入れるだろうし、受け入れることによって、国家構造のイビツさは進んでいくに違いない。
 
 2013年9月5日(日本時間)、ロシア・サンクトペテルブルクでの20カ国・地域(G20)首脳会合全体会議の開始前、首脳待機室で安倍晋三は習近平国家主席と握手し、挨拶を交わした。

 菅官房長官がこの初接触の意義について9月6日午前の記者会見で発言している記事を読み、首相官邸の官房長官記者会見動画を覗いてみた。当然のことだが、記事が伝えている発言と殆ど変わらない。

 菅官房長官「短時間の挨拶とは言えですね、日中両首脳が就任後初めて、えー、直接、言葉を交わしたということは、その意義は大きい。そのように考えております」――

 「意義は大きい」と言う以上、菅官房長官はプラスの効果・プラスの価値を予想していることになる。

 このことは同日6日午後の記者会見発言が証明する。記者が安倍・習近平初接触での具体的な遣り取りを聞いた。

 菅官房長官「外交上の遣り取りで、実際に具体的にどんなことか承知しておりませんけれども、お互いに総理はですね、挨拶を述べた上で、戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、日中関係を発展させていくべきだとの考え方の説明をしたということでありますので、えー、初めて、ここで会ったわけですから、そういう意味で、まあ、こうしたことの積み重ね、更に事務当局の様々な接触の積み重ね、まあ、そうしたっていうことは必ず両国関係にとってですね、あのー、お互いの、おー、これからの外交にいい影響を与えてくる、だろうと思います」

 昨日のブログで取り上げたが、菅官房長官は6日午前の記者会見冒頭部分で、安倍晋三が習近平国家主席に対して握手を交わしたのち、「戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、日中関係を発展させていくべきだとの考え方の説明を致しました」と挨拶の内容を紹介している。

 対して「中国からは、原則的な立場について発言があったというふうに聞いております」と。

 当然、安倍晋三の「戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、日中関係を発展させていくべきだとの考え方」に習近平国家主席が同意することになり、日中双方の「これからの外交にいい影響を与えてくる」と予想したことになる。 

 いわば9月5日のG20サミット全体会議が始まる前の首脳待機室で安倍総理と習近平国家主席と握手し、挨拶を交わし、5分間程度会話しただけのことで、戦略的互恵関係の原点回帰へ進むだろうと信じたことになる。

 ところが、菅官房長官の「意義は大きい」とし、「これからの外交にいい影響を与えてくる」と予想した日本時間9月5日の日中両首脳接触の翌日の9月6日夜、中国海警局の船4隻が日本の領海に侵入し、海上保安庁巡視船の直ちに領海から出るようにとの警告にも関わらず、約2時間航行を続けたあと領海外に立ち去っている。

 安倍晋三が日中の戦略的互恵関係への原点回帰を訴え、菅官房長官がそのことの「意義は大きい」とし、「これからの外交にいい影響を与えてくる」と予想した日中両首脳初接触の中国側からの回答の一つが、中国公船の日本領海侵入ということであるはずだ。

 中国側に戦略的互恵関係の原点回帰意思が少し足りともあったなら、領海侵入といった挑発は控えて、様子を見るはずだ。

 と言うことは、安倍晋三の「戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、日中関係を発展させていくべきだとの考え方の説明」は単なるお題目で終わった可能性が出てくる。

 日本政府が「尖閣諸島に領有権問題は存在しない」という立場を取っていたとしても、中国が領有権問題と把えている以上、菅官房長官が言うように事はそう簡単には考えることはできない。

 考えることのできる菅官房長官の合理的認識能力は素晴らしい。

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