日本の教育支出の現状と子ども手当

2010-06-19 08:22:30 | Weblog

 今年中に中国に抜かれて、世界第2位の座を中国に譲ることが確実視されてはいるが、今のところ日本はどうにか経済大国世界第2位の地位につけている。

 ところが政府支出に占める教育支出の割合が先進27カ国中最下位だという。

 《「日本は家計の教育費負担大きい」文部科学白書が特集》asahi.com/2010年6月18日14時59分)

 文科省のHPで調べたところ、《教育指標の国際比較 平成22年版》となっているが、最終統計年は2006年、「国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率」、あるいは「一般政府総支出に対する公財政支出学校教育費の比率」として出ている。

 記事は冒頭次のように解説している。

 〈文部科学省は18日、同省の取り組みをまとめた冊子「文部科学白書」を発表した。「リーマン・ショック」以降の不況によって教育費の負担感が高まっていることを背景に、同省の白書としては初めて教育費問題を特集。「日本は国際的にみて家計の教育費負担が大きく、公的支出が少ない」と強調したうえで、「教育に十分な資源を振り向けることが喫緊の課題」とうたっている。 〉

 統計内容についていは――

 子ども1人が幼稚園から高校まで公立、大学は国立に通った場合、約1千万円の負担。すべて私立なら約2300万円。

 この負担割合だと、子ども2人が私立大学に通っている場合は勤労世帯の可処分所得の2分の1超を教育費が占めることになるそうだ。

 平均化処分所得がどのくらいかインターネットで調べたところ、次の記事に出会った。(一部抜粋参考引用)

 《2009年勤労者の可処分所得は前年比実質3.2%減[マネー]All About》(掲載日:2010年02月23日)
2009年は夏以降急激に雇用環境が悪化し、冬のボーナスは支給されれば御の字といわれるほどでした。1年間の勤労者世帯(2人以上の世帯)の所得は激減しました。「平成21年家計調査」から、実収入や可処分所得、黒字率などをご紹介します。

 可処分所得マイナス1.9%

「平成21年家計調査(平均)」(2010年2月16日総務省発表)によると、勤労者世帯の月平均実収入は名目4.6%減(実質3.1%減)の464,649円、うち可処分所得は名目4.7%減(実質3.2%減)の383,960円でした。

 勤労者世帯のうち2人以上の世帯の月平均実収入は518,226円で、可処分所得は427,912円(実収入の約82.6%)でした。2009年と比較すると、月平均実収入は3.0%減(実質1.5%減)、可処分所得は3.4%減(実質1.9%減)です。これは、夏のボーナスの支給額が8%減、冬のボーナスの支給額が9.5%減と激減したこと、残業が減ったこと、の影響です。〉

 2人以上世帯の月平均可処分所得427,912円から2分の1超を教育費が占めるとして計算すると、20万円以上が教育費に取られることになる。

 記事はは次に白書から教育支出に占める私費と公費の負担割合の国際比較を紹介している。

 大学などの高等教育段階では、先進国平均=私費3割、公費7割に対して私費7割、公費3割と世界第2位の経済大国、金持ニッポンのイメージからは考えられない見事な逆転現象となっている。

 死んだ蛙が巨大な生白い腹を見せて黒く濁った水に浮かんでいるような尋常ではない日本の姿を予感させる。

 政府支出に占める教育支出の割合は先進27カ国中最下位の名誉を担ったものだという。記事は最後に、白書は〈公的支出の少なさを示すグラフをいくつも載せて、「不況で苦しい家計に教育費が重くのしかかっているが、公的支出は手薄」という日本の現状を浮かび上がらせている。〉と解説している。

 「教育に十分な資源を振り向けることが喫緊の課題」ということなら、マニフェスト(政権公約)に掲げ、政権を取って国民との契約とした以上、その契約を果たすためにも何が何でも子ども手当23年度2万6千円の全額支給を行うべきではないだろうか。財源不足などと言っていられない。他の予算を削っても振り向けるべきだろう。

 統計を取って、日本の教育費は世界の現状と比較して、こういったお粗末な現状にありますと分析するだけでは政治とはならない。単なる情報提供で終わる。政治の役目は統計上の不足分を解決して国民の生活向上及び社会の向上に資することにあるはずだ。

 それともこの文科省白書は文科省の予算獲得のための宣伝を趣旨としていることから、こういった危機感露骨な内容になったということなのだろうか。

 参考までに上記《教育指標の国際比較 平成22年版》から以下の統計を参考までに記載。

 《国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率》(2006年) (%)

   初等・中等・高等教育  高等教育   全教育段階 
   以外の中等後教育
     
    公財政 私費 合計  公財政  私費 合計 公財政 私費 合計
     支出  負担     支出    負担    支出   負担
 
日本   2.6  0.3  2.8   0.5   1.0  1.5 3.3  1.7  5.0

米国   3.7  0.3  4.0  1.0   1.9   2.9  5.0  2.4  7.4

OECD  3.4  0.3  3.8  1.0   0.5   1.5 4.9  0.8  5.8
各国平均

 「一般政府総支出に対する公財政支出学校教育費の比率」(2006年)

   初等・中等・高等教育 高等教育 全教育段階  
    以外の中等後教育

日本    7.0         1.7      9.5      

米国   10.0       3.9    14.8

OECD   9.0        3.1    13.3
各国平均 


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