舛添厚労相の「国民のニーズ」に応えていない新型インフルエンザ危機管理

2009-08-28 15:24:30 | Weblog

 昨27日のNHKテレビで長野市内の病院に入院していた新型インフルエンザ感染患者の33歳の男性が集中治療室で人工呼吸器をつけて治療を受けていたが、死亡したと伝えていた。死因はインフルエンザウイルスによる肺炎。新型インフルエンザ感染者の国内死亡者は5人目で、そのうちの最年少の30代だそうだ。

 体力の脆弱な幼児や高齢者が重症化しやすい季節性インフルエンザに対して新型インフルエンザは腎臓病や糖尿病といった基礎疾患保持者が重症化リスクが高いと報道で伝えていたが、今回死亡した男性は心臓病による慢性心不全のため自宅で療養生活を送っていたそうで、典型的な慢性疾患患者の重症化症例に入るのだろう。

 8月15日の最初の死亡例である沖縄の57歳の男性も感染した場合に重症化する危険性の高い腎臓と心臓に疾患があったという。

 2人目の死亡例は神戸市の77歳の男性(8月18日)。糖尿病からの腎不全で人工透析の治療を受けていた。

 3人目は名古屋市の81歳の女性(8月19日死亡)。血液ガンの一種多発性骨髄腫などの基礎疾患があったという。

 4人目は8月26日死亡の同じ名古屋市の74歳女性。女性には基礎疾患と呼べるものはないが、元々虚弱体質で抵抗力がなく、長期入院中だったという。

 これらの死亡者は一日も早い予防接種を必要としたはずであり、同じように必要としている患者が多く存在することが容易に予想することができる。

 8月15日に始まって、8月27日で5人目。立て続けと言っていい速度で死亡者が発生している。この短時間の死亡発生は勿論のこと、全国的な急激な感染拡大とそのことによって生じた患者数の裾野の広がりを反映させた連続性であろう。夏休みが明けて、新学期が始まった学校で集団感染が全国的に相次いで発生、休校や学級閉鎖に追い込まれていることも感染力の強さを物語っている。

 6歳以下の子供に多い痙攣や意識障害を起こすインフルエンザ脳症に8月22日までに7人がかかり、5人目の4歳児は集中治療室で人工呼吸器をつけて治療を受ける重症化を招いているそうで、成人の脳症患者も発生しているという。

 集団感染は7月下旬の調査開始から4週連続で増加し、総数は2522件に達すると「47NEWS」記事は感染が急拡大状況にあることを伝えている。

 慢性疾患患者や幼児が重症化しやすい傾向の存在は米疾病対策センター(CDC)の研究グループが全米の患者642人を対象に行った調査・分析して発表したことを伝える5月10日の「asahi.com」記事――《18歳以下が6割 38%に下痢や嘔吐 米の患者分析》の中に見て取れる。

 記事は最初に〈慢性疾患のある人や幼児が重症化する傾向だったほか、通常のインフルエンザではあまりみられない下痢、嘔吐(おうと)が目立った。国内流行に備えるヒントになりそうだ。〉と調査・分析の結論を伝えている。

 調査期間は4月15日から5月5日まで。患者642人は3カ月~81歳の患者で、18歳以下が6割を占めた。その内入院した患者で、医学的データが確認できた22人のうち12人に慢性の病気があったり、5歳未満の子どもで、これは普通の季節性インフルエンザでも見られる傾向だということだが、死亡したのは2人。うち1人は生後22カ月の男児で、生まれつき筋無力症の上心臓にも障害があり、もう1人は妊娠中の33歳の女性で、ぜんそくや関節リウマチなどの病気を抱えていた。

 調査結果を論文に纏めて、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載したという。

 死亡した2人とも、基礎疾患を抱えた患者であったということになる。

 朝日新聞が5月3日にメキシコ国立呼吸器系疾患研究所付属病院(メキシコ市)の専門医・アンハラ・イゲラ感染症部長に電話インタビューした5月5日の記事にしても、基礎疾患患者の重症化傾向を伝えている。

 〈イゲラ部長は、発症して7日以内の抗ウイルス剤タミフル投与などの治療は明らかに有効だとした。ただし、心臓病や糖尿病など他の病気を患っている場合はタミフルが効かない例もみられたという。〉――

 国内でも似たような調査・分析があり、発表があったかもしれない。どちらにしても政府は基礎疾患を抱えた患者が新型インフルエンザにかかった場合、重症化しやすい傾向にあるというこのような情報を把握していたはずだ。当然、重症化に向けた防止策を最優先させる対策を採ったはずである。

 政府及び舛添“厚労省”は5月21日に〈慢性の病気を抱えるなどするリスクの高いグループの人たちを感染による死亡から守ることを、新型の豚インフルエンザ対策の新たな目標に掲げた〉とその素早い対応を5月22日の「asahi.com」記事――《7日間の健康観察停止へ 新型インフル水際検疫を緩和》が伝えている。

 4月28日以降行ってきた米国、カナダ、メキシコからの入国者全員を対象とした機内検疫と感染疑いのある乗客を7日間ホテルにとどめて健康観察する感染防止対策を停止、国内外の患者の症例分析から多くの患者が軽症で済む一方、糖尿病患者など、病気を抱える人たちが重症化しやすい現実を踏まえて、基礎疾患患者への感染及び感染した場合の重症化を防止する対策への転換だと記事は解説している。

 上記「asahi.com」記事は舛添の発言を何も伝えていないが、同じ内容を扱った5月19日付「YOMIURI ONLINE」記事――《機内検疫を週内にも終了…政府、感染拡大防止に重点》では舛添の発言を次のように伝えている。

 「検疫に人的資源を集中することから、国内対策にシフトすることは必要だ」

 「政府の専門家諮問委員会から『感染力、病原性等の性質から見て、(新型は)季節性インフルエンザと変わらないという評価が可能』と報告を受けた」

 舛添のこの発言には上記「asahi.com」記事が解説していたような基礎疾患患者の重症化リスクとその防止について触れた箇所は見当たらない。

 但し上記「YOMIURI ONLINE」記事がそのことに触れている麻生首相の発言を伝えている。

 「病気をお持ちの方は重篤化する確率は否定されていない。今の状況をきちんと見極めた上で柔軟に、適切に対応していく」(5月18日の首相官邸)

 だが、あくまでも「否定されていない」であって、“あり得る”程度に取り上げているのみだから、基礎疾患患者の重症化を深刻に把えて、その防止に重点を置いた対策を打ち出す発言となっていないのは当然の経緯であろう。「柔軟に、適切に対応していく」と軽症患者、重症患者双方共に適宜対応する姿勢を示しているのみとなっている。

 だからだろうか、「asahi.com」記事が政府と舛添“厚労省”は5月21日に〈慢性の病気を抱えるなどするリスクの高いグループの人たちを感染による死亡から守ることを、新型の豚インフルエンザ対策の新たな目標に掲げた〉と伝えたものの、3ヵ月後の8月15日に国内初の新型インフルエンザ死者を出し、8月27日までの12日間に合計5人までのいずれも基礎疾患(1人は基礎的に虚弱体質)を抱えた患者を死亡させている。

 このことは「asahi.com」記事の内容に反して基礎疾患患者の重症化防止策への転換が見られなかったからなのか、麻生が言っていたように「病気をお持ちの方は重篤化する確率は否定されていない」ことからの予想範囲内の「5人」ということなのだろうか。

 朝日新聞が基礎疾患患者の重症化傾向の存在を記事としていたために政府及び舛添“厚労省”の機内検疫の水際防止作戦から国内防止作戦への転換を基礎疾患患者重症化防止と勘違いして受け取って記事にしたのではないかと疑わせる、別の「asahi.com」記事がある。 

 5月19日付「asahi.com」記事――《インフル対策、社会活動への影響考慮し緩和へ 厚労省》である。

 記事は舛添厚労相が5月18日に強毒性の鳥インフルエンザを想定した現在の政府の対策を今回の新型インフルエンザに向けて緩める方向で検討する考えを明らかにしたと伝えている。

 「緩める」には後退させる意味を含む場合がある。

 「asahi.com」が基礎疾患患者の重症化防止策への転換を伝えたのが5月21日の記事。その2日前の5月19日の記事で、日付から言っても、勘違いを疑わせる。

 緩める理由は現在感染が急速に拡大しているものの、〈重症化する恐れは季節性のインフルエンザとほぼ同じ程度とみられている。〉からだという。

 と言うことは、重症化対策は例年どおりでいい、新型インフルエンザに限って特別に対策を講じる必要性は認めないと決めたことになる。

 また人数から言っても、重症化防止対策を打つものの、重症化例は季節性性インフルエンザと同程度の範囲内で収まると計算したことになる。

 そこで政府及び舛添“厚労省”が新たに打ち出した対策は軽症患者が病院に殺到した場合、医療機関が重症患者に対応しきれなくなるために軽症患者を入院させずに自宅療養にまわして重傷者のために医療機関を確保する軽症者と重症者の振り分けを可能とする対策だった。

 記事は舛添厚労相の言葉を伝えている。

 「疑いのある方や軽症の方は、在宅での療養に本格的に切り替えることも検討したい」

 〈重症化する恐れは季節性のインフルエンザとほぼ同じ程度とみられている。〉にしても軽症者の自宅療養への振り分けにしても、上記「YOMIURI ONLINE」記事が取り上げていた麻生の「病気をお持ちの方は重篤化する確率は否定されていない」の発言に合致する。いわばどちらもたいしたことはないと見ていたことになる。

 だが、3カ月以上過ぎた8月19日に3人目の国内死亡者が出たと名古屋市が発表した同じ日に、既に当ブログで取り上げたが、舛添は記者会見で次のように述べている。

 「真夏にここまで感染者が拡大することは予想できなかった。病原性が低いこともあり、国民に慢心が出てきたことも感染拡大につながった可能性がある」
 
 舛添のこの発言は感染拡大が深刻な状況に進んでいるといることを示唆するものだが、5月の舛添自身の「(新型は)季節性インフルエンザと変わらないという評価が可能』と報告を受けた」という発言や同じ5月の麻生の「病気をお持ちの方は重篤化する確率は否定されていない。」云々とした発言に反する深刻さの提示となっている。

 だからこそ、「真夏にここまで感染者が拡大することは予想できなかった」と言っていると言うだろが、冬に入ったオーストラリアやチリで感染が急激に拡大している状況から、日本も冬に向かって同じ状況で感染拡大していくことは想定していたはずだし、今年は梅雨が例年以上に長く、天候不順だったこと、そのことが冷夏につながったこと、当然秋が早まり、そのことに応じて朝晩の気温が下がること、いわば昼夜の気温差が大きくなること、冬も早まるだろうという予測、そういったマイナス条件を加味していくと、当たり前の夏として扱うことに慎重であるべきだと思うが、そこに対策のズレが生じていなかっただろうか。

 8月19日に名古屋市で3人目の死者を出し、舛添が「国民に慢心が」と国民に責任転嫁したあと、政府と舛添“厚労省”は舛添の5月の「(新型は)季節性インフルエンザと変わらないという評価が可能』と報告を受けた」という発言や同じ5月の麻生の「重篤化する確率は否定されていない」とした発言とは正反対の慌しい動きを見せることになる。

 まず8月25日の閣議後の記者会見で舛添厚労相は新型の豚インフルエンザ用ワクチンを医療現場に早急に供給するため、ワクチン輸入にあたり海外で臨床試験(治験)が実施されていれば、国内で改めて治験をしなくても承認する薬事法の特例承認を初めて適用する考えを明らかにしたという(《新型インフルワクチン、国内治験なし承認も 早期接種へ》asahi.com/2009年8月25日13時34分)。

 舛添は、政府の決定が必要になるため「最終的には総理がご決断する」と述べたというが、閣議後の記者会見である以上、閣議でその問題を諮っているはずだから、舛添の適用の意向は独断のものではなく、麻生の判断も確かめた閣僚全体の意向であるべきで、「総理もその方向で判断する予定でいる」とでも言うべきだが、総理の決断を必要とする未決定の独断を舛添は記者会見で披露するという矛盾を見せている。

 矛盾はこのことだけで終わらない。〈副作用の可能性が残るため、舛添氏は「非常に難しい問題。専門家や薬害被害者の意見も聞き、コンセンサスを得たい」と話し〉、〈26日にも専門家らとの意見交換会を開〉くという予定を伝えたという。

 麻生の判断、さらに専門家や薬害被害者のコンセンサスを必要として決定するとしている薬事法の特例承認の国内初適用をそれら受ける前に舛添は記者会見で伝えたことになり、これも矛盾した対応と言える。

 手順としては専門家や薬害被害者のコンセンサスを最初に得て、次に閣議に諮り、麻生の判断を仰いだ上、オーケーということになったなら、記者会見で報道各社を介して国民に伝えるのが筋であろう。尤もその経緯全体は逐一記者会見を通して情報公開しても構わないが、手順そのものは常に後先のルールに則るべきである。

 後先のルールに則らずに、未決定事項でしかない、それゆえに独断の範囲にとどまることになる、さもそうするかのように見せかけた決定を最初に持ってきたのは発表がスタンドプレーだからだろう。

 スタンドプレーなのは26日にも開くとしていた専門家らとの意見交換会で意見を聞く手順を踏んだ結果、25日の記者会見から1日経過しただけで特例承認適用が治験実施に変わったことに現れている。さもそうするかのように見せかけただけで終わったというわけである。

 これを以てスタンドプレーと言わずに何と表現したらいいのだろうか。

 8月26日付「msn産経」記事――《【新型インフル】輸入ワクチン、「治験は実施する」と舛添厚労相》によると、専門家から「安全性が担保できない」、「短期間で安全性を確認すべきだ」、「安全性についてできる限りデータを集めるべきだ」と治験実施を求める声が上がったため、舛添は「何らかの治験をやらないといけないと思う」と述べて、25日の記者会見の発言を舌の根も乾かないうちに無意味化する態度変更を演じたそうだ。スタンドプレーに過ぎなかったからこそ、無意味化の運命を受けることになる。手順を踏めば、自ずとスタンドプレーは生じない。

 上記「asahi.com」記事――《新型インフルワクチン、国内治験なし承認も 早期接種へ》は〈国産ワクチンについて舛添氏は「10月下旬に出荷が可能とメーカーから聞いている」〉ということで、その時期に合わせて厚労省は接種優先順位を9月中に決め、開始したいとしていると伝えている。

 接種対象は約5300万人、国産供給量は年内に1300万~1700万人、不足分を輸入で賄う。接種対象は医療従事者100万人▽持病がある1千万人▽妊婦100万人▽乳幼児600万人▽小中高校生1400万人▽高齢者2700万人(持病がある600万人を含む)としている。

 約5300万人が約5300万人とも、親を含めるとそれ以上の数が、重症化しやすい自身への感染を恐れて一日も早いワクチン接種を求めているに違いない。だが、政府は“一日も早い接種”という国民の要望に未だ応えていない。

 次の27日になって、舛添厚労相は新型インフルエンザ対策について記者会見し、海外からワクチンを輸入する場合は小児らを対象に国内で最低100例程度の臨床試験を実施する考えを示したという。(毎日jp

 輸入医薬品の治験には通常は最短でも半年かかるそうだが、それがどのくらいの数の臨床例か分からないが、10月下旬から接種の国産ワクチンの払底までに間に合う「100例」ということなのだろう。

 さらに舛添厚労相は27日の同じ記者会見なのか、同じ日だが別の記者会見なのか分からないが、今週中にも各都道府県を通じて医療機関が保有する人工呼吸器や集中治療室(ICU)の数、重症者が出た際の搬送体制等の医療全般に亘る調査を実施する方針を明らかにしたと「msn産経」記事――《【新型インフル】「沖縄想定して」全国の医療体制調査へ》が伝えている。

 また厚労省は28日にも各都道府県に対し、今後想定される新型インフルの患者数や重症患者の推計を示す方針で、その目的は〈厚労省が全国の医療供給体制を把握するのと同時に、各都道府県に対し、地域の実情に合わせた具体策の検討を促すことが狙い〉だと記事は伝えている。

 だが、この二つのことは世界保健機関を初めとして各報道機関や専門家が冬に向かって感染が拡大する危険性を警告していたことなのだから、既に行っていていい調査ではないだろうか。

 先ず想定される新型インフルエンザの患者数や重症患者の推計は発生患者数の報告をその症状と共に各地方自治体から刻々と受けているはずで、そこに世界各国の発生例を参考にすれば、これとて既に算出していてもいい調査に思える。

 発生患者数の算出ができていたなら、次に接種優先順位の取り決めが必要となるが、これも既に取り掛かっていていい取り決めであろう。

 医療機関が保有する人工呼吸器や集中治療室(ICU)の数、重症者が出た際の搬送体制等の医療全般に亘る調査にしても、流行する流行しないに関わらず、毎年のように繰返される季節性インフルエンザの流行を前提として常に調査し・把握しておかなければならない情報のはずである。

 世界的な大流行が言われていたことを考慮すると、既に行っていていい調査である上に、既に実行していていい段階だが、そういった経緯を踏まずに今さらながらに二つを行う。このことは新型インフルエンザ感染拡大に備えた危機管理対応が後手にまわっていることを示していないだろうか。

 専門家の意見を聞く手順を後回しにして「薬事法特例承認」を先に持ってきたスタンドプレーにしても、危機管理意識をさして強く持っていなかったからこそできたスタンドプレーと言える。

 危機管理意識を欠いていたとなると、「真夏にここまで感染者が拡大することは予想できなかった」は、製薬メーカーの国産ワクチン出荷時期の10月に合わせて機械的に計画立てていたために油断が生じた、それまでは大丈夫だと見ていたことからの「国民に慢心が出てきた」の責任転嫁だと疑えないことはない。

 何しろ当初は重症化する恐れは季節性のインフルエンザとほぼ同じ程度と見ていたのであって、そのことを基本的姿勢としていたことによる対応遅れであるのは否定できまい。

 舛添は閣議後の記者会見で薬事法の特例承認を初めて適用する方針だとスタンドプレーを見せた同じ日の8月25日に後先はどちらが分からないが、鳩山邦夫が立候補している福岡6区に応援演説に出かけて、鳩山邦夫に「日本一総理にしたい男。舛添総理になったら副総理でいいからよろしく頼みます」とか紹介されて、否定する仕草で首を大きく左右に振ってみせてはいたものの、歯まで覗かせた嬉しさを隠さない満面の笑みで満更でもない顔となっていたが、スタンドプレーと言い、新型インフルエンザ対策の責任者として備えているべき危機管理意識などどこにもない様子に見えた。

 舛添に言わせたら、やるべきことはやっていると言うだろうが、上記指摘した後手に回っている二つの調査や“一日も早い接種”をという国民の要望に未だ応えていないことなどから見ても、やるべきことをやっているという主張を真っ向から否定できる危機管理対応の遅れを見て取ることができる。

 27日の「日刊スポーツ」記事――《舛添氏、民主の予算組み替え方針をけん制》は〈舛添要一厚生労働相は27日、2010年度予算の概算要求発表に合わせて会見し「行政は一貫性がないといけない。誰が政権を取っても、新型インフルエンザ対策や雇用対策など必要なことは変わらないはずだ」と述べ、政権交代後に予算を組み替える方針を示している民主党をけん制した。〉と伝えた上、厚労相の言葉を次のように記している。

 「住まいを失った人への住宅手当や女性のがん検診などは、来年度も継続を要求した。国民ニーズに応えられる内容になった」――

 国産ワクチンが10月下旬の出荷なら、輸入ワクチンを先に持ってきてもいいはずだが、輸入することを決めた段階で、その先に接種優先順位の決定と「100例の」臨床実験が待ち構えていて、感染拡大に間に合うかどうか、10月下旬にならないと始まらない国産ワクチン接種も含めて、新型インフルエンザ対策に関しては「国民ニーズ」に応えるのはまだまだ先の話となっている。

 多くのことに於いて危機管理が満足に機能していないということを示していると言えないだろうか。

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