表通りの裏通り

~珈琲とロックと道楽の日々~
ブルース・スプリングスティーンとスティーブ・マックィーンと渥美清さんが人生の師匠です。

『ジョジョ・ラビット』

2020-01-22 10:55:02 | 映画
タイカ・ワイティティ監督がヒトラーに!映画『ジョジョ・ラビット』日本版予告編


サム・ロックウェル以外、殆どの役者さん、スタッフが「初めまして」だった『ジョジョ・ラビット』。マーベルに全く興味がない僕は、タイカ・ワイティティ監督はもちろん、スカーレット・ヨハンソンすらお初でした。

そんな”縁のない”はずの作品を観に行ったのも、戦時下のナチスドイツを舞台にした映画でビートルズの「抱きしめたい」が使われている、しかもドイツ語バージョンを!!というのが気になったからなんです。

それ以外の予備知識はないままに、子供が主人公のドイツを舞台にした映画...『ブリキの太鼓』みたいな感じ?

期待と不安が入り混じった気持ちで観たわけですが、これがまた大当たり!!素晴らしい作品でした。

「抱きしめたい」が流れるオープニングからデビッド・ボウイの「ヒーローズ」が流れるクライマックスまで、話の展開が全く読めないまま主人公ジョジョの視点になりきって物語にグイグイ引き込まれていきます。

「一体何なんだ?この映画!」

純真爛漫なジョジョを演じるローマン・グリフィン・デーヴィスくんの感情豊かな素晴らしい演技(何故主演賞候補に挙がらないの?)と、そのジョジョを温かく優しく見守る母ロージー(スカーレット・ヨハンソン)の親子の愛情。スカーレットさん、この作品の演技でオスカーは決まりでしょう。

そして物語の核となるのはジョジョと心を通わせる、ユダヤ人の美しい少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)この二人の面白くも悲しいやりとり。瑞々しい二人が醸し出す、何とも甘酸っぱい雰囲気はたまりません。
特に窓際でエルサとジョジョが肩を寄せ合って戦火の市街地を眺める後ろ姿は、僕の一番好きなシーンです。あんまり書くとネタバレになっちゃうので書きませんけど。

作品中唯一の顔見知り、ナチス将校のキャプテンKを余裕綽々に演じきったサム・ロックウェルの存在感は圧倒的でした。こういう「一見取っつきにくいけど、実は根は良いヤツなんだよね。面白いし」みたいな役やらせたら一番ですね。
『スリー・ビルボード』以降、気になってしょうがない役者さんの一人です。芝居に色気があるんですよね~。

さらにもう一人、友だちのいないジョジョの数少ない友だち(空想上だけど)のアドルフ役のタイカ・ワイティティ監督。この人スゴいですね。世界中から憎まれたアドルフを、こんなに魅力的に愛嬌たっぷり(それなのに全く嫌味なし)に登場させちゃうなんて。ジョジョとのやり取りはホントに楽しいものばかり。負けずに食らいついたR・Gデービスくんの演技力も相当なものですけど。

ネタバレになるから書きませんが、アドルフが登場するとっても印象的なシーンはいくつもあります。これは観てのお楽しみに!


アカデミー賞にノミネートされている作品を全部観たわけじゃありませんが、あのラインナップならば作品賞は『フォードVSフェラーリ』に獲ってもらいたいのですが、『ジョジョ』を観てしまった以上甲乙つけがたくなっています。

どっちももう一回観に行こう!


✌第92回アカデミー賞 ノミネート結果✌

作品賞
助演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)
脚色賞(タイカ・ワイティティ)
編集賞(トム・イーグルス)
美術賞(ラ・ヴィンセント、ノラ・ソプコヴァ)
衣裳デザイン賞(マイエス・C・ルベオ)

せめてデービスくんの主演賞と、抑えたトーンの美しい映像を造り出したミハイ・マライメアJr.さんに撮影賞を!