もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

外交・軍事のプロ

2022年11月17日 | 軍事

 産経抄の一部を意訳・紹介させて頂く。
 ≪15日に亡くなった加瀬英明氏とアメリカの元国防長との間で、加瀬氏「もし日本が原爆を持っていたら、(アメリカは)核攻撃を加えただろうか?」、米陸軍長官「あなたは答えを知っている。もしそうなら、日本に対して使用することは無かった」との会話が交わされたことが加瀬氏の自伝に紹介されている≫そうである。

 興味を持ったのは太字で示した「あなたは答えを知っている・・・」との個所である。
 加瀬英明氏は外交官の俊一氏を父に持つ外交サラブレットの血脈の故であろうか、福田赳夫・中曽根内閣の首相特別顧問、福田赳夫・大平・鈴木内閣の外相特別顧問を歴任した右派・保守の論客として知られ、まさに外交のプロであった。対する元国防長官は大国アメリカの軍事オプション司令塔を務めた軍事のプロであり、会話からは外交・軍事のプロの間では抑止力に対して共通の認識を持っている現実が見て取れると思った。相応若しくは手酷い反撃を食らうであろう攻撃力こそが敵の意思を挫く若しくは無法を思い留まらせる抑止力となり得るもので、それに値する抑止力(攻撃力)のみが有効な外交カードとしての価値を持つことを示しているように思える。

 憲法前文は「・・・日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義「に」信頼して・・・」と述べている。
 石原慎太郎氏や福田恆存氏が指摘する助詞の用法はともかく、日本国憲法は全ての国が平和憲法と同等の理念を共有する前提で成り立っており、例えれば「万民がお題目を唱えれば安寧が得られる」とする親鸞に近い宗教摂理に過ぎないように思える。
 1582(天正10)年、織田信長の甲州征伐での武田氏滅亡に際して、寺内に匿った六角義定等の引き渡しを拒否しての焼き討ちに対して恵林寺の快川僧都は「心頭滅却すれば火もまた涼し」と従容として信念・法難に殉じたとされるが、憲法教信者におかれても敵国の武力侵攻(信仰)に対して、快川僧都と同じように行動されるのだろうか。
 「日本は隠れ核保有国になるべき」を自論とするものの、核強国に抗し得る核の重武装は論外としても、核共有程度の「五分の魂」は整備する必要はあると考えるものである。


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2 コメント

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現実論 (onecat01)
2022-11-18 23:11:50
 管理人殿

 「専守防衛」「平和外交」「大人の対応」など、夢想の意見が定着している日本のマスコミ論調です。

 貴方のご意見が、現実論と思います。
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遅くなりました (管理人)
2022-11-19 10:29:22
onecat01様
ご訪問頂き恐縮です。
現在、相当の識者でも軍事と外交を二律背反的に捉えますが、本来は同調すべきもので、その何れを駆動輪とするかで国家の方向性が異なるだけと思っています。
ロシア・北朝鮮・中国は軍事を駆動輪とし、自由主義諸国は外交を駆動輪とするだけの違いでありますが、日本のみが一輪車で生き残れるとの幻影を抱いているように思えてなりません。
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