もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

竹内久美子氏に学ぶ

2020年10月19日 | 科学

 この齢になって自分の常識(知識)が間違っている、時代遅れであることを教えられた。

 動物行動学者の竹内久美子氏が「種の保存、種の繁栄という幻想」とのテーマで、動物が種の保存・繁栄のために行動するという理論は50年も前に否定されているが、いまだに信じている人が多いと慨嘆しておられた。
 自分もそのうちの一人で、動物が団体行動・集団生活し、進化するのはそのためと思っていたが、学会の結論では、ボスに率いられる集団の原理は単にボス(優れた個体)の遺伝子を継承するためだけであり、その他の動物も単に自分を守ることが行動原理の全てであるらしい。ただ人間だけは種の保存のために自己を犠牲することも厭わないが、そこには「集団の利益のためと信じて団結することで戦争に勝利し、結果的に自分の遺伝子のコピーを残すことになるからだ」とされている。
 なるほど、学会ではそうゆうことになっているのかと理解する一方で、いくつかの疑問が湧く。ミツバチは巣穴に侵入してきたスズメバチに対して働きバチが団子状に取り付いて体温を上昇させて侵入者を殺して集団を守るし、ある程度知性を持っているボノボはボスの子供以外の子供も集団で子育てをするとも聞いている。ボスがいない鰯が群れを成すのは、捕食者を惑わして種を守り、最悪のケースでも残存率を高めるためとも云われている。このように考えれば、全ての動物の行動が「優れた個体の遺伝子を守るためと自己防衛」とすることには無理があって少なからぬ例外もあり、全体的には個体の生存が種の保存と繁栄に結び付くという原理で動物は生き残っているようにも思える。
 しかしながら人類を眺めると、種の保存・繁栄が動物行動の原理であるならば、同一種である人類が相互に争うことは起こり得ないこととなるので、竹内氏が紹介する動物の行動原理にはうなずかざるを得ない。
 ここまで考えて、重大な懸念に直面した。現在人類は、中国コロナという異種生物との全面戦争状態にあるが、老齢の自分が感染から逃れて生き残ることに、いかほどの意味があるだろうかということである。自分が生き残ることや死ぬことが自分の遺伝子のコピーを残すことには繋がらし、自分の生死がリーダー(誰かは解らぬが)を守ることに繋がらないことも明白である。今、老齢の自分が外出を控えてマスクを着用することは、動物行動学的にはどのように分析されるのだろうか、いや、自分の行動は動物行動学的にはあり得ない行動であることは薄々感づいている。

 自分の知識が古びたもので、社会通念・常識の進化・変化に対応できていない現実を知ることは残念なことであり、今日一日を落ち込んだ気分で過ごすことになることだろう。寝よう!!、寝てしまえ!!。