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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

水田水脈議員の主張に思う

2020年09月26日 | 与党

 自民党水田水脈衆議院議員の発言が話題を呼んでいる。

 発言は、自民党の合同部会で女性への性暴力に対する相談事業を来年度に概算要求する討議で、民間委託ではなく警察が積極的に関与するように求める主張の流れの中で「女性はいくらでも嘘をつけますから」と発言したとされている。
 水田議員の過去を度外視して虚心に見れば、女性の性被害の多くは刑法に抵触するものであろうし、相談機関なるものの位置づけと性格が不明確な民間に委託することは不条理で、水田議員が正論であるように思える。検討されている相談機関がどのようなものであるかは判らないが、相談を受けた民間機関から警察に報告された事案については、捜査や供述書作成は警察が行うであろうし、2度手間であるように思える。万が一委託された民間機関で足切りが行われたならば、国民の権利を民間機関が奪うことにも繋がりかねない。
 かっては女性が恥を忍んでの申し立てはそれだけで信じられるものとする姿勢から、痴漢と名指しされた少なからぬ男性が冤罪であったことが明るみに出たことがあった。現在でも、女性の権利保護を謳うNPO法人等が、法的根拠もないままに企業や個人を吊し上げする事態も散見する。
 事実関係・違反が明確な駐車違反の摘発・指導に民間人の手を借りるのは結構であるが、警察や裁判所でも判断の難しい事案に民間機関を介在させることは好ましいことではないように思える。とどのつまりは#Me Too活動に公金を使用することになることは目に見えているように思うので、表現の是非・巧拙はさておいて、水田議員の主張に賛成するものである。

 水田議員の来し方を改めて眺めると、ジャーナリスト伊藤詩織氏が元TBS記者山口敬之氏から性的暴行を受けたと訴えた事例で、ネット上の「枕営業・ハニートラップ」に賛意を表したことや、新潮45のコラムで「LGBT支援の度が過ぎる」と主張した「LGBT非生産性」発言が思い出される。水田議員はこれらの口撃・舌禍について、知識人・女権拡張論者・ジェンダーフリー提唱者からは総攻撃を受けた。
 女性の敵・蔑視との評価・罵倒は甘受する覚悟で書けば、水田議員の一連の主張には一片以上の真理が含まれていると思う。古人は”泥棒にも3分の理”と喝破したが、「女性の言行は絶対に正」で「反論・異論は悪・差別で許されない」は、如何なものであろうか。日本には女性の雇用・昇進に関する法律が存在しているが、このことを世界中の女性は不思議に思うと同時に、そのような法律が存在することが日本女性の自立意欲を阻害しているという意見も根強いとも聞いている。願わくば、世の女性も「水田議員は自分の周りにいる夫・恋人・同僚の声なき声を代弁している」ことを理解して欲しいものである。


菅内閣の支持率に思う

2020年09月19日 | 与党

 菅内閣が誕生して最初の内閣支持率が発表された。

 各社によって若干の差異はあるものの、60~70%と高い支持率を示している。
 菅内閣は、アベノミクスの経済や中国コロナ対処等の主要政策は、概ね安倍政権を踏襲すると表明しているために、安倍政権末期の不支持は何だったのだろうかと不思議に思える。
 安倍政政権と何が変わったと云えば、デジタル庁の創設、縦割り行政の見直し、桜を見る会の廃止、のそれぞれを表明しただけで、まだ実績が示されていない段階では内閣支持・不支持を判断する材料となるほどのものでは無いように感じられる。
 デジタル庁の創設と縦割り行政の見直しについては不即不離の関係にあり、長年にわたって云われ続けていた縦割り行政の弊害が一向に改善されない最大の原因は、コロナ禍で露呈したマイナンバー制度の不備に示されたように各省庁や自治体が持っている情報が統合されていないことであると思う。
 デジタル庁の創設については既に各省庁の統計関係者を中心とした人選が始まっているともされるが、早くも所管大臣の適格性が疑問視されているものの、庁官に民間人を登用すれば解決できるものと考えている。
 現在、デジタル庁の仕事始めにはマイナンバーカードと健康保険証・運転免許証などを一元化させる案が取り沙汰されているが、マイナンバーカードは総務省、健康保険証は厚生労働省、運転免許証は警察庁と所管が分かれており、それぞれの人員と予算を統合することは一筋縄ではいかないだろう。さらには、データ管理に携わっている全日本交通安全協会等の外郭団体やデータ入力を委託されている民間業者などの既得権益にも影響するために、その障壁の高さは想像を超えるものであろうと考えられる。
 多くの困難は予想されるものの、行政のスピードアップとデジタル後進国の汚名返上、とりわけ諸手続きの簡略化という利便性を国民の物とするためには避けて通れないものと考えるので、強力に推進して欲しいものである。

 標題の内閣支持率に戻れば、支持率ではなく期待率と見れば納得できるものの、これまでの内閣支持率も実績で評価されたものでは無く単なる印象で決められていたのかと思えば、立憲民主党などの野党、朝日新聞に代表されるメディヤが、挙って印象操作に奔る理由が判るように感じられる。モリ・カケは政権・官僚の印象を悪くするものであるが、功績を左右し支持・不支持を判断する程の大事では無いと思っているが、デジタル庁の成否は大きな判断材料になり得ると思っている。


首相公選制を学ぶ

2020年09月15日 | 与党

 自民党総裁選で菅義偉氏が圧倒的勝利をおさめて、第26代総裁(第99代総理大臣が確実)に選出された。

 今回の総裁選は、中国コロナ蔓延下の安倍総理の電撃辞任という背景から党員投票を縮小して行われたが、選挙期間中にも首相公選論が随所に語られたので、改めてためて首相公選制について勉強した。
 首相公選制を望む声が大きくなったため、小泉政権下の2001年6月26日に総理の私的諮問機関として「首相公選制を考える懇談会」が設けられ、2002年8月7日に首相公選の以下の3案が答申された。
第1案:国民が首相指名選挙を直接行う案
    首相と副首相が一対となって立候補し国民が直接選出する。首相・副首相は任期4年(3選禁止)で衆議院議員総選挙を同時に行う。
第2案:議院内閣制を前提とした首相統治体制案
    憲法に政党条項を導入し衆議院選挙で各政党が首相候補を明示して選挙を行うことで衆議院選挙を事実上の首相指名選挙として機能させる。
第3案:現行憲法の枠内における改革案(野党第一党と与党第一党内での党首選出手続きを国民一般に開かれたものにする)
    憲法改正ではなく各党が党則を改正することによって可能である。
 第1案と第2案については、議員選挙で落選しても首相になることができるために憲法が定める議員内閣制に反する場合も予想されるので憲法改正が不可欠となる。特に、第1案は実質的な大統領制であるために首相権限の範囲や限界を見直す必要が生じて、天皇制との関連までの議論が必要になるとされている。
 このことから自民党は、答申以前の総裁選に関する党則を変更して、党員・党友枠(いわゆる地方票)を拡大して、より民意を反映させる制度としている。
 今回の総裁選において「総裁選=首相選であり党員以外も参加できる公選を望む」と発言した顔ぶれを眺めると、相当数の人が憲法改正反対で知られる人であり、その人々は首相公選と護憲という背反をどのように折り合いをつけているのだろうか。

 現在多くの国で採用されている議院内閣制については、立法と行政の分権が不明確で、どちらかに従属する危険性が有るとされているものの、立法と行政が足並みを揃えることで政治・外交が安定するとされている。首長公選のアメリカでは大統領と下院がねじれた場合、法律に対する大統領の拒否権、大統領提案の予算案を否決する等によって国政が混乱することも、首相公選のデメリットの参考であるように思う。
 さらには、現憲法では内閣不信任決議という制度で首相の弾劾・更迭を図っているが、首相公選制にあっては憲法に「首相の弾劾」をも規定する必要があるように思う。
 以上のことから、日本に首相公選制度を導入するには国体の根本的改革が必要であり、現在はその論戦に長期間を費消できる環境ではないように思える。


安倍総理の在任記録に思う

2020年08月26日 | 与党

 安倍総理の在任期間が歴代総理の在任記録を抜いて最長となった。

 安倍総理は自民党総裁の任期を1年残しているために、政局にもよるが当分の間総理の職に留まるものと思われる。一時期、総裁の任期を連続3期9年と定めている党規を改正して安倍総裁4選を目指す動きも伝えられたが、自民党の総裁候補として実績・指導力・人望の総合評価で抜きんでた人物が見当たらない現状から、現在でも安倍総裁4選が有望な選択肢として残されているようにも思っていた。しかしながら、昨週以降に安倍総理の持病悪化が取り沙汰される事態に急展開し、否応なく自民党は後継総裁問題を直視しなければならない事態となっている。自民党総裁=総理大臣の選任は静観するとして、安倍政権の実績について考えてみた。メディアでは、過去の長期政権であった吉田・佐藤・中曽根・小泉の各内閣と安倍政権の実績を比較して、安倍政権の実績が劣っているとする論調が目立つようである。安倍政権以外の実績として挙げられている代表的な項目は、吉田内閣:講和条約・日米安保調印・憲法発布、佐藤内閣:沖縄返還、中曽根内閣:国鉄等民営化、小泉内閣:拉致被害者帰国・郵政民営化であるが、挙げられた項目のうち3公社5現業の民営化以外は、国際情勢によって必然的に起きたもので内閣の実績とするのは疑問であると思う。いわば誰が総理の職にあっても起きた事項である。小泉内閣時に起きた拉致被害者の一部救出についても、核開発を進めるための時間稼ぎと6カ国協議の牽制という北朝鮮の外交手段として作為されたことは歴史が証明しており、安倍政権が拉致問題を解決(進展)できなかったのは、核の開発と運搬手段に成功した北朝鮮が米朝の直接協議にシフトし、最早日本との関係修復の必要性を失ったためでると考えている。安倍政権の実績としてメディアが取り上げているのは、集団的自衛権行使を前提とする安全保障関係法の整備であるが、第2次安倍政権発足時に1丁目1番地とした憲法改正に関しては、憲法審査会に改正原案すら提示できないことには大きな不満が残る。戦勝国によって押し付けられた現憲法は、安全保障・人権・教育と多岐に亘って国家と国民生活両面の発展阻害要因となっており、中国コロナ禍で顕在化した緊急条項の不備は致命的な欠陥とされている。国際紛争解決手段として不戦を宣言した現行憲法の死守を是とする政党や知識人は国内にも一定の勢力を有しているが、平和条項が変更されないことを最も望んでいるのは中国・北朝鮮であろうし、もしかして韓国の文大統領もそうであるかも知れない。殴られても反撃しません、ただ貴方が思い直すこと(国際信義に俟つ)を求めるとする国は、野望を持つ隣国には極めて有難い国であると思う。中国企業から平然と収賄する議員は勿論、純粋な動機で護憲を標榜する人々を結集・組織する者は中北韓の影響から果たして無縁であるのだろうか。

 安倍内閣の支持率は不支持率を下回っているが、報道やネット上の意見を見る限り経済政策とコロナ対処に起因する不支持意見が多いように感じられる。日本獣医師会との癒着に由来する文科省の岩盤規制に風穴を開けて実現した加計学園獣医学部について調べて見ると、学費猶予の特典があるものの卒業後の一定期間の就業に縛りを受ける四国枠の応募は減少しているようであるが、それ以外の応募・教育は順調であるらしい。獣医師卒業生が出るまで加計問題の功罪は結論できないが、もし四国の獣医公務員が増加する事態にでもなれば、あの加計騒動は何だったのだろうかに落ち着くだろう。安倍内閣不支持を表明する人の定量的・理性的な意見を聴きたいと思うところである。


新MD構想の行方と岩屋毅議員

2020年07月30日 | 与党

 イージスアショア配備断念に伴って、新しいミサイル防衛(MD)構想を模索する自民党検討チームの活動が停滞している。

 停滞の根本は敵基地攻撃能力保持の是非にあると思うが、検討チーム内では岩屋毅前防衛大臣に代表される専守防衛堅持論者の厚い壁が取り沙汰されている。岩屋議員の主張は、従来の矛(米)・盾(日)論を堅持しようとするもので、日本を取り巻く安全保障環境や軍事環境の劇的な変化(悪化)から目を背ける退嬰的なものに映る。現在でさえも、尖閣諸島に対する中国脅威の顕在化、朝鮮半島における軍事バランス崩壊の懸念、北朝鮮の核武装と高度に近代化されたミサイルの実戦配備等を考えれば、常識的には安保条約改定前後の1960年代には日米両国が合意していた矛盾理論は破綻しつつあると考えるべきではないだろうか。それよりも、アメリカが自国第一とするモンロー主義に回帰して南シナ海以北における米軍の軍事力は相対的に低下して矛の打撃力が鈍っていることと極東における軍事バランスを対中経済戦争の交渉材料にしかねないアメリカの変質を等閑視しているのではないだろうか。検討グループで有力とされる新MD構想は、「レーダー・発射機分離配備」「メガフロートにシステムを搭載」「イージス艦の増強」が主なものとされているが、その何れにも具現化には少なくとも5年、常識的には10年以上かかると考えられるので、その間の米軍の動向、とりわけアメリカが日本のために矛を振ってくれるか否は予断を許さないものと思う。以前から言われていることであるが、専守防衛の致命的な点は、武力攻撃を受けて初めて防衛力行使が可能となるために、最初に攻撃を受けた国民は守れないことにある。瀬戸内寂聴氏は9条堅持を持論とされており、そのためには一部の国民が外敵によって殺されるのはしょうがないとの覚悟を述べられているが、大多数の護憲・専守防衛堅持論者に共通するものではないだろう。マイナンバー制導入に際して徴兵制復活のためと反対し現在も議席を保持している議員も存在するが、中国コロナの給付・支援金の支給作業遅れは当該制度の未整備と指摘されることに対して沈黙している。中曽根康弘氏は、政治家は将来の歴史の被告席に座る覚悟を信条としたが、頑なな専守防衛で国民に被害が及んだ時、岩屋氏や野党党首は被告席で裁かれる覚悟で政治活動をされているとは思えない。

 岩屋氏には、IR汚職の1員として中国企業(500ドットコム)から100万円の賄賂を受け取ったという気懸りな面がある。アメリカの変質が明らかな今も、防衛大臣として四囲の緊迫した軍事情勢に接した今も、専守防衛堅守の姿勢を崩さない議員の心底に、利敵行為を良しとするダーティーな焔は無いのだろうか。少なくとも瓜田に沓を履いた議員の動向には注視する必要があるように思える。