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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

残骨灰を知る

2022年11月20日 | 社会・政治問題

 新聞記事で「残骨灰」という言葉と存在を知った。

 残骨灰とは、火葬場で拾骨できずに残った粉骨などを指すそうである。それらは火葬場責任者所定で適当に処分されるのだろうと自分は思っていたが、実際は保管されており、既に保管能力の限界に近付きつつある自治体も少なくないらしい。
 その打開策として、残骨灰を粉砕して貴金属を回収した後に圧縮して再保管する方法があり、20政令都市の例では既に15市が処分(貴金属回収or売却)を行っており、1市が検討中、4市は再処理・売却はしないという状況とされる。
 紹介された京都市の例では、39㌧の残骨灰から金(7.2㎏)、銀(21㎏)、プラチナ(0.2㎏)、パラジュウム(6.3㎏)を回収して売却益は1億2千万円を超え、さらに残骨灰の圧縮によって2.3トンになったとされている。
 記事では真宗本願寺派の関係者が「宗教界も参加して議論すべき」と述べているが、「死=無」と考える自分は、残骨灰の再利用は一石二鳥の妙手であるので遺骨をすら糊口の足しにするかの葬式仏門の戯言に耳を傾ける必要は無い様に思う。

 「虎は死して名を残し、人は死して名を遺す」とされるが、後段は「人は死して名を遺せるとは限らないが、再利用可能な残骨灰は残せる」と変えなければならないようである。
 しかしながら、残骨灰からの貴金属は、ペースメーカー・人工関節・金銀歯冠から抽出できるものとされているので、現在のところそれらを装着していない自分の残骨灰は建材の一部にしかならないようである。
 映像等で観る海上散骨は粉末状の遺骨を散布しているが、事前に遺骨を粉末にするのだろうかと疑問に思っていたし、海洋汚染防止法に抵触しないのだろうかとも思っていた。
 「残骨灰から貴金属を回収後に圧縮保管(売却も可)」はそれらの杞憂を一挙に払拭するもので、老齢者と死亡者の漸増(激増?)に直面している現状を考えると全国的に推進して欲しい策と思う。


ゴミ捨て場騒動が最高裁へ

2022年11月19日 | 社会・政治問題

 ネット上の記事に「正邪はいずれに」と考えされられた。

 記事を要約すると、自治会が非加入者に「地域のごみ捨て場の利用を禁じた」ことに対して、20年前に自治会から離脱した夫婦が地元自治会に慰謝料とごみ捨て場を利用する権利の確認を求めて提訴した。
 1審の神戸地裁は、未加入者もゴミ捨て場を利用する権利あり、利用禁止は違法として自治会に20万円の慰謝料支払い。
 2審の大阪高裁は、未加入者には利用する権利はないが利用禁止措置は違法で30万円の慰謝料。  という経過を辿って現在は最高裁の判断に委ねられている。
 件のゴミ捨て場は、「平成31年に都市再生機構から自治会に所有権を譲渡したもの」とされているので、我が自治会の簡易なケージと違って立派な施設であるのだろう。
 所有権の譲渡を受けて自治会が策定した利用規約は、自治会の役員や掃除当番を負担する住民の年会費は3600円、掃除当番などを担わない住民は「準自治会員」として年会費1万円、会費を払わない非自治会員は利用禁止というもので、有態には「ゴミ捨て場の利用料金」であるように思える。
 同様の騒動は全国的であるらしく、国立環境研究所が2年前に行った全国調査では、7割の自治体で自治会非加入者が地域のごみ捨て場を利用できない問題を抱えていたとされている。

 自分が加入している自治会では、数年に1度「組長」と「ゴミ置き場の掃除当番」が回ってくるが、立ち居振る舞いが不自由な高齢者の増加で回ってくるインターバルは年々短くなっている。また、自治会非加入者であってもゴミ置き場は利用できるとされているが、高齢者の退会が続出する事態ともなれば、会費や労役負担に関わる不協和音が起きてもおかしくないように思える
ので、神戸の事例は明日の我が身と案じられるものである。

 一方、自治会に加入していることで平時に得られるのは、自治体広報誌の配布と回覧板に依る地域行事の案内くらいでしかない。震災有事にあっても避難所における名前確認くらいしか思いつかない。こんなこともあってだろうか、「自治会加入者は減少傾向にあって、住民間に摩擦が生じるケースは増えている」とされる。
 ネット記事は、《地方自治問題に詳しい東京都立大の玉野和志教授(地域社会学)は「ごみ収集は本来行政が担うべき仕事で、自治会は好意で協力しているにすぎない」とした上で「自治会ありきの仕組みは限界にきている。行政は根本的にごみ収集のあり方を見直す必要がある」と結ばれているが、大学教授に聞かなくても「ゴミ収集を根本的に見直す必要性」や「3割自治体では生活ごみの戸別収集など夢のまた夢である」ことは誰でも知っている。有識者にあっては、評論家的な問題点の指摘以上に、実現可能な方策を提言・啓蒙して欲しいものである。


柄にもなく経済を

2022年10月30日 | 社会・政治問題

 日銀の黒田総裁のインタビューを観た。

 理解不足であろうが、黒田発言の大要を「当面、現行の規制緩和・低金利政策を継続する。為替相場のためだけに金利政策は変更しない」と理解した。
 現在、低金利政策の見直しを主張する意見が多く、自分の少額の預貯金も無利子が続いていることを思えば政策の見直しに同調したい気持ちも湧くが、経済音痴の一端を披露することにした。
 現在の低金利政策が採られた背景を思い起こせば、公定歩合高に依る市中銀行の貸出金利が高いために、
・大企業では、設備投資が低調で、かつ人件費抑制のための非正規雇用者が増大
・体力の弱い中小企業では、金利負担に耐えかねての黒字倒産の例
・更に体力の弱い零細企業では、銀行の貸し渋り・貸し剥がしによる倒産
・銀行が、貸し出し金回収が覚束ない新規起業家に投資することを躊躇するための起業断念
などが挙げられ、低金利政策は弱者救済の福祉政策的な側面をも考慮されていたのではと思っている。
 それらを是正・改善するために導入された規制緩和・低金利政策は、金利政策の転換を恐れる大企業の社内留保増や非正規雇用者が減少しないという負の側面はあるものの、コロナ禍にあっても中小・零細企業が命脈を保ち得たという正の面も多いのではと考えている。さらに、一般消費者の余得として低価格商品やワンコインランチの普及という、一見すれば目立たない利益を得たのではないだろうか。

 小遣いすら管理できない自分が、中央銀行の金融政策の是非を云々すること自体おこがましいが、ノーベル経済学賞を独占するかのアメリカにあってもリーマンショックを防ぎ得なかったし、日本のバブル崩壊を事前予告・警鐘した経済学者は少なかったように思う。こう考えれば、経済学と経済活動、就中生き物と思える金融市場とは連動しないかのようで、株価の乱高下や金融市場の混乱に対しては、経済学者と雖も”紺屋の白袴”に近いと、悪態をつかざるを得ないように思う。
 もし、公定歩合を上げた場合、数年先には預貯金金利も上がるであろうが、経済活動全般では規制緩和以前の修羅場は短期に訪れるのではないだろうか。
 経済通の方からは冷笑・一蹴されるであろう開陳を終演。


野田佳彦議員の追悼演説を読んで

2022年10月27日 | 社会・政治問題

 氏の追悼演説は断片的なニュース映像でしか観ることができず、全文は新聞で読んだ。

 数日前に野田氏が「現在練っている」と述べていることから、十分に推敲を重ねられたであろう追悼文は、一般にありがちな極端な美辞麗句を排除した平易な言葉ながら格調高いもので故人と野田氏の人柄、政治信条と攻守に終始した関係を浮き彫りにするものであったと思う。
 また、「政治家の功罪」は短時日で評価すべきでなく、安倍氏の最大の事績とされる「インド・太平洋地域の安定化戦略」も後世の歴史家に判断を委ねるとしているのも、野田氏の健確な政治信条を窺わせるものであったと評価している。
 さらに、全議員に対して国会での論議に注文を付けたことについては、急迫事態対処を避けて低次元の問題に節度さえ失った罵詈雑言を用いる昨今の低調な国会論戦に不満の意を込めたものとも思っている。

 これまでは、凶刃に倒れた社会党委員長浅沼稲次郎氏に対する池田勇人総理の追悼演説が出色とされているが、今回の野田氏の演説もこれに比肩し得るものではないだろうか。
 政治家の事績を単眼・短期に断罪するとともに凶漢・テロリストをも英雄視しかねない立民執行部に比し、政敵を悼むために国葬儀場で献花するとともに丁重ながらも政治家のあるべき姿を込めた追悼演説を捧げた野田氏、心ある有権者はいずれを政治家・選良と認めるだろうか。


マイナンバー考

2022年10月14日 | 社会・政治問題

 マイナンバー制度改革が加速の兆しを見せている。

 改革推進は、マイナンバーと銀行口座の紐付け、運転免許証・健康保険証との一体化で、これが完成すれば、漸くにIT中流国くらいまでには到達できると思っているが、一部には個人情報の一元化を危惧する意見もあって更なる曲折も考えられる。
 平成27年のマイナンバー制度発足時、現在取り沙汰されている事柄はすぐにでも行われるであろうと期待してマイナンバーカードを作ったが、期待したほどの利便性向上は実現せずに却って紙ベースの様式にマイナンバーを手書きしなければならないという煩雑さだけが追加された結果にしかならなかった。
 マイナンバー制度を「徴兵法」と国民を煽った結果デジタル化停滞を招いた政治家、個人の懐まで政府に握られると心配した国民は、今もって同様の趣旨でマイナンバー制度に反対しているのだろうか。各国で行われたコロナ給付金の支給ひとつをとっても、1週間で配布できたIT先進国に比して3か月も要した実情を観る限り、マイナンバーの効果は明らかであると思うのだが。
 悪口を承知で展望すると、個人情報を政府に握られることを恐れる人は、何か後ろ暗い点・脛に傷を持っているのだろうか。マイナンバー制度が完備されれば、懲戒された桃色教師が別の都府県で教職を得ることや、医師免許の無い人間が偽医師として働くことはできなくなるし、二重国籍を有耶無耶に幕引きした蓮舫議員も情報漏洩に怯える毎日になる。さらには、セキュリティー・クリアランス(適格性評価)の認定が必要とされる階層にとって個人情報の一元化は、脅威そのものとなるかもしれないが、国賊・非国民排除には有効なツールであるとも思っている。

 河野デジタル相に関しては、一郎~洋平~太郎と続く家系DNA、防衛大臣として代替計画の無いままのイージス・アショア白紙化、外務大臣としての専用機要求等によって、全幅の信頼は置けない人物と思っているが、将来のためにもマイナンバー制度改革は実現させて欲しいと願っている。しかしながら、その場合にあってもハード構築が中国の影響を排除できるものであるかどうかは常に監視すべきであるとも思っている。

 デジタルツールが利便性と危険性の両刃の刃であることは承知しているが、セキュリティーシステムも並行的に強化されていることもあって、マイナンバー制度は将来的に避けて通れない途であると思っている。我々も、徒に政治家の妄想・妄言に捉われず、虚心に利便性と個人情報の兼ね合いを天秤にかける賢明さが必要であると思っている。