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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

日大生の麻薬事案に思う

2023年08月05日 | 社会・政治問題

 日大アメフト部員の麻薬所持事件が数日報じられている。

 偶然かも知れないが、同事件を詳報する昨日の産経新聞社会面には、朝日大(岐阜)ラグビー部員と校名不詳(福岡)の学生が大麻所持でそれぞれ逮捕されたことが報じられている。
 若者を中心に麻薬汚染が広がっているとされて久しいが、「より以上の知識」を習得するとともに「更なる人格の陶冶」に努めるべく進学したであろう大学生が、漫然と麻薬に染まるのは憂慮すべき事態と思う。
 かって、自衛官募集を主任務とする部署に配置された際の経験であるが、自衛隊入隊試験を受けた高齢の農家の一人息子は、大学受験に失敗、1年間の予備校を経て再挑戦するも失敗して商科短大に進学して2年目、短大卒業後に再び4年制大学に進学したいと希望していた。入隊に踏み切れない彼の家庭を訪問して話を聞いたが、高齢の父母が経済的にも限界であることは理解していたものの、最後まで「学問(大学)を続けたい理由」は聞くことができなかった。彼を翻意させて入隊させることはできなかったが、自分としては、彼の本音は「学校に通っていれば社会の荒波に身を投じなくて済む」ではないかと推測した。
 麻薬に染まった大学生の進学動機は伝えられていない。
 よく聞くフレーズに「大学は出たけれど」がある。最初は世界恐慌後の不況時に言われ始めたとされ、それ以後も就職氷河期に繰り返されるが、そこには就業意欲はあるものの大卒に相応しい職業が無いことに由来している。労働人口が激減し人手不足が問題視され社会・経済構造が学士=幹部候補者と処遇できないように変化した今も、大学進学率が低下しない裏には多かれ少なかれ前述した商科短大性に通じるものがあるのではないだろうか。

 一部の大学生の資質が著しく低下した今、大学教育の無償化を公約する政党が少なからぬ支持を集めている。
 アメリカでは、学業成績や社会活動などが重視される難関の奨学金を得ることができなかった進学希望者は、親からの借金・学生ローン・一定期間兵役に従事しての学費減免等の手段で大学に進学するようであるが、それでも学生ローン徳政令が出された様に「大学は出たけれど」も少なくないように思える。
 日本も学費免除の前に、国公立大学の学費を抑制(格安)するとともに、人格・成績優秀者には給付型奨学金の枠を拡大して修学機会を与える一方で、私学助成金を廃止して生半可な覚悟と経済力が無ければ私立大学に進学できないようにすべきではないだろうか。そうでもしなければ、低素質の学生を排除することは不可能であるように思える。


日教組の教研集会

2023年01月29日 | 社会・政治問題

 オンラインで開催されている日教組の第72次宇幾研究科全国集会(教研集会)で、リモート教育における懸念が発表された。

 教研集会における発表は、日教組の主張に沿ったもので反論・検証することなく全参加者が共有すべき認識とされており、「発表=日教組の指導」である。
 今回の発表ではコロナ禍のリモート教育で加速された「情報通信技術(ICT)化」について、
・管理・監視社会となり、プライベートが丸裸
・教育結果の集約(ビッグデータ化)で人格が乗っ取られ、子供の未来まで予測される
・人間の経験や感の軽視
・考えない人間を増やす
・5G機器の使用電波が悪影響  と報じられている。
 これを眺めると、共産党の常套手段である過激かつ針小棒大レトリックであるとは言え、全てを「杞憂」・「後ろ向き」・「偏向」とは言えないようにも思う。特に、ビッグデータ化は現在制度設計の段階であるので、これらの懸念を反映させて欲しいように思える。

 今後、IT教育や教育管理におけるIT化範囲拡大は避けて通れないように思える。不慣れなIT教育を担任する教師には同情するところであるが、10年後・20年後の日本の先進技術牽引者の動機づけを行っているとの使命感を以って取り組んで欲しいものである。
 王将戦で、20歳の藤井聡太王将に52歳の羽生善治九段が挑戦している。藤井王将はコンピュータ将棋の申し子とされる一方でAIが予測しない手筋を操ることで知られており、7冠⇒無冠となり羽生時代が終わったとされた羽生九段はAI将棋を学ぶことで復活・捲土重来を期している。
 「ルフィ」に操られて強殺犯人に転落した人、作為された食べログの★が全てと考える人、ネットのフェイク記事を無条件に信じる人、これらの混乱は電脳社会への分岐点にある今は仕方のない一面を持っているようにも思えるが、これらの人は電脳に関する正規教育を受けていないことにも由来するので、正しい電脳教育を受ける現在の小・中学生が社会の中核となれば・・・と期待している。
 今回の教研集会の発表は教育IT化の反面教師と捉えるのが適当であろうと思うが、ITが全能でないことも常に考えておかなければならないと思う。
 以前に紹介したインド人天才青年の「AIは便利なツールであるが、決して地動説は導けない」が改めて心に刺る。


”タバコ”2題

2022年12月14日 | 社会・政治問題

 防衛費増額の財源として、煙草税の増税が取りざたされている。

 煙草税は「最も取り易い税金」とされていることから、もはや増税は「取り沙汰」の域を超えて「決定事項」かとも思える。
 JTのHPでは、「煙草には国税、地方税、特別税、消費税の4種類が課税され、一般的な紙巻たばこでの税負担率は6割にも達し、わが国で最も税負担率の重い商品のひとつ」とされている。
 さらに、煙草は定価販売が義務付けされているために、お酒のようにディスカウントショップでの安売りや、懐事情に応じて立ち飲み~高級クラブを選択できる途もない。
 煙草税は、近年では「物質課税」から「健康目的の懲罰税」に変化していることも、愛煙家が反対できない理由の一つになっており、とやかく言おうものなら「四の五の言わずに止めなさい」と一喝されるのが落ちである。
 内心の忸怩を抑えてWikipediaに掲載されている煙草税増税に関するエピソードを紹介(末尾の括弧書きは所感)すると。
〇 財務大臣であった野田佳彦氏は、増税案に「これは、税制を通じた“おやじ狩り”だ」と苦言を呈した。(正論!!)
〇 民主党副幹事長であった吉田公一氏は、衆議院予算委員会で「カネを持っている奴は1日3箱吸っていいが、貧乏人は一日2・3本しか吸っちゃいけないみたいな話だ」と一喝。(ソーダ!!)
〇 日本学術会議は「脱タバコ社会の実現に向けて」で、「煙草税を大幅に引き上げて、税収を確保したまま、煙草消費量の減少を図る」と提言(学術会議不要!!)
 世界各国のたばこ価格を眺めると、日本は中程度であるようにも思えるが、自由価格販売を認める、等級を設けて廉価な銘柄を提供、手巻き用の刻み煙草は低税率、・・・などの施策を講じて自分のような「意志の弱い貧乏人」にも配慮した国も多い様である。
 そういえば、ノーフォーク海軍基地のEM(下士官)クラブでキャメルを吸おうとした際に一緒に飲んでいた米兵から、「キャメルは労働者の煙草であり、ここではキャメルを吸うな」と云われたことがあった。
 ともあれ、自民党たばこ議員連盟や、超党派もくもく会に最後の抵抗を期待するものである。

 ニュージランドでは「2009年以降に生まれた子供は、生涯にわたって紙巻きたばこを吸えない」という法案が成立されたと報じられた。加熱式煙草や電子煙草は対象外とされているが、NZ政府は「禁酒法時代」に範を求めて国民の嗜好にまで制限を設けることが社会正義と考えたのだろうか。

 「煙草を吸わなくても生きて行ける」が煙草税の根底にあるのなら、それ無しでも生きて行ける「ラーメン税」や「ゴルフ税」を設けて、それらに総額6割の税金を掛けてみろ」と言いたい。
 本ブログで以前にも取り上げた筒井康隆氏の「最後の喫煙者」では、自分の連れ合いすら禁煙同盟活動家になった喫煙者が、2人の同病者と安田講堂に立て籠り玉砕するが、煙草税増税は最後の喫煙者の気力すらを奪わんとする政府の陰謀である(笑い:Qアノン風)。


学術会議の改革案に思う

2022年12月12日 | 社会・政治問題

 日本学術会議(以下「会議」)の改革が漸くに始動した。

 会議の存在は2020年10月に菅義偉前総理が、学術会議が推薦した新規会員候補者のうち6名の任命を拒否したことで注目され始めた。
 それまで自分も、会議が「軍事技術の研究は行わない」という頑なな姿勢を堅持し、防衛・国交省の「艦船の補助推進力に帆を活用する」研究すら委託された大学を妨害したことくらいしか知らなかったが、その背景には「新規会員は退任する委員の推薦者を自動的に任命する」ことがあって、そのことが70年以上も終戦当時の一億総懺悔体質を維持していることを知った。
 学術会議を所管する内閣府と自民党は、菅前総理の任命拒否騒動を受けて改革案を検討して今回の、「会議の廃止や独立行政法人化は見送って引き続き政府機関とするが、委員の任命に第三者が関与する」という、抜本的改革には程遠い結論になった。2年間かけて「この程度?」と驚いているが、それほど会議と学者の抵抗が根強かったのだろう。
 軍事研究拒否の会議が紛れようもない先端軍事技術開発の中国製造2025と協力・蜜月関係にあったことが明るみにされるとともに、会議の存在と前時代的な主張が先端技術開発について列国の後塵を拝している原因とする見方が広まり、会議不要論が大勢を占めるようになった。これらの自己矛盾を正当化するためか、会議の梶田会長も「軍民双方で活用できるデュアルユースについて「単純に二分することはもはや困難」との見解を出したものの、金看板の「軍事研究拒否」は再確認にするという混乱を見せている。
 内閣府案は12月6日に公表され、8日の会議総会で正式に提案されるとされていたので、さぞかし総会では学問の自由・独立について高邁な議論の応酬かと期待していたが、案に相違して「既に委員の人選を行っており混乱する」や「法制化案に書かれている見直し時期の前倒し」の質疑が大半であったと報じられている。

 新聞「赤旗」は、会議に対して政府等が「問題意識・時間軸等の共有」を求めることに対して、学術会議の梶田会長が「学術には一国に限定されない普遍的な価値と真理の追求を通じ人類全体に奉仕する独自の役割がある」と述べていると伝えているが、現実には世界的に注目される画期的な宇宙理論を提唱した高名な学者が「自分は学術会議に呼ばれることはない」と発言したことを記憶しているので、「普遍的な価値と真理の追求」も「会議の定説に従順な学者は迎えるが、独自な発想は異端者として排除」と解すべきで、定説を疑うことで科学・技術・人類は進化するという世界常識からも取り残されているように思える。
 左翼学者の牙城と化し、委員の相伝という形で新進気鋭の研究者に門戸を閉ざす会議は、既に使命を終えているように思える。いや、元々存在する意味が無かったのかもしれない。
 最後に、会議委員若しくは委員経験者がノーベル賞を受賞したことはあるのだろうか。


死刑囚の要求を学ぶ

2022年12月04日 | 社会・政治問題

 大阪拘置所に収容されている死刑囚3人が、「絞首による死刑執行は、残虐な刑罰を禁じる国際法や憲法に違反しており、絞首刑の執行差し止めと計3300万円の賠償を求める」訴えを大阪地裁に起こしたことが報じられた。提訴したのは、いずれも死刑確定から10年以上が経過し、うち2人は刑事裁判のやり直しを求める再審請求中であるとされる。なお、原告弁護人は「死刑制度を問うものではなく、死刑の執行方法を問うもの」としている。

 死刑囚からの慰謝料請求は、ネット上の記事を拾い読みするだけでも、
〇14年以上にわたりカメラ付きの部屋で監視されたのはプライバシー権の侵害だとして、1900万円の損害賠償を
〇死刑執行を当日に告知するのは違法だとして、事前告知と2200万円の慰謝料を求めて
〇再審請求のため弁護士との打ち合わせを制限されたとして1000万円の損害賠償を
 等があり、判決でも一部の過失を認めて国に賠償を命じた例もある。
 刑事訴訟法では「判決確定の日から6か月以内」に執行しなければならないとされているが、実際には執行までの平均期間は約7年4か月間となっている。この長期収監・刑執行の当日告知による精神的・肉体的な苦痛に対しては「死刑囚は多少の精神的・肉体的苦痛は甘受すべきで憲法に違反しない」と最高裁も判断している。
 現在日本には100名超の死刑囚が収監されているとされるので、100通りの要求があるのは当然であるが、死刑と執行方法が憲法に違反した非人道的行為とする主張には釈然としない。非人道的に他人の命を奪った死刑囚が自分の死には人道的な手段と処遇を求めることは果たしてどうであろうか。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの統計では、2018年時点で正式に死刑を廃止した国は106カ国、事実上廃止した国を含めると142カ国で死刑が行われていないとされ、国連加盟193カ国の7割に及んでいるとされている。しかしながら、それらの国でも死刑に代わる終身刑があって、アメリカのような「仮釈放なしの終身刑」は「時間を掛けた死刑」と呼ばれているのが実情である。死刑囚の処遇と刑執行方法に対して、裁判所はどう判断するのだろうか。

 最後に下種の勘繰りを。日本の弁護士数は既に国内所要数を超えており、弁護士活動を続けるために不可欠の弁護士会々費に苦慮するケースも有るとされるので、これまでは訴訟の対象とは思われなかった事案を弁護士の勧誘で訴訟に持ち込むことが増えることが懸念されている。アメリカを訴訟社会に育てたのは、余剰弁護士の食わんがための要因も大きいとされる。果たして今回の裏事情や如何に。