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もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

慶大磯崎準教授に反論

2018年04月22日 | 北朝鮮

 北朝鮮が核実験場の一部閉鎖と、核実験及び長距離弾道弾発射の凍結を発表した。

 このことについて慶大の磯崎敦仁準教授は産経新聞で「アメリカが北朝鮮の体制の安全を保障するならば、北朝鮮は完全かつ検証可能で不可逆的な非核化をしても良いと判断したもの」と最大限の評価をしている。しかしながら今回閉鎖するとした核実験場は、もはや数度の核実験で使用不能と化している施設とも報じられているとともに、諸実験の凍結についても核爆弾のコンピューターによる模擬爆発試験技術を確立したものと思われ、長距離ロケットの実検は燃焼試験で代替できるもので何ら核放棄に繋がるものではない。むしろ、現状を維持する核保有国宣言とも捉えるべきもので「100m走に例えれば2mほど進んだ程度(高麗大南教授)」との主張の方が正鵠を得たもので、開催が予想される米朝首脳会談に備えての観測気球(この程度のお土産でどうか?)とするのが妥当であろうと思うし、北朝鮮が米朝首脳会談に期待する米国の先制攻撃防止と経済制裁の緩和に対する対価として妥当であるとの判断にたっているものと思う。磯崎准教授のいうように金体制の保証の対価が核と運搬手段の廃棄ではありえない。もしアメリカが金体制の存続を保証したとしても北朝鮮には通商・通貨・食糧・人権等の問題があり、その解決に必要な対価(恫喝手段)である核兵器を放棄した状態では国際社会で生き抜くことができないことを北朝鮮は骨身に染みて承知していると思うからである。北朝鮮の歴史・外交史、国際関係に占める軍事要素、国連における核保有国の発言力、いずれをとっても一度手にした切り札(核兵器)を手放すことは考えられないのが現在の常識であると思うのだが。

 学者・教育者が徒に危機感を煽ることは厳に慎むべきであろうが、磯崎准教授はどのような根拠でかの推論に達したのか疑問に思うところである。北朝鮮は共産主義の原点・地上の楽園に最も近い国との信条に曇った思考の結果でないことを祈るものである。なぜなら、準教授の教え子が明日の日本を担うからである。


金正恩の中国訪問に思う

2018年03月28日 | 北朝鮮

 佐川氏の国会喚問の日に、金正恩の中国訪問と習近平との首脳会談が報じられた。

 報道では、米朝会談が破綻・決裂した場合に備えての中朝対応策が主要議題との観測がなされている。同時に韓国は、橋渡し役としての実績を基に米朝会談を米朝韓の協議としてイニシアティブをとることを目指していると報じられているが、今回の訪中からは中国以外の国が米朝会談に何らかの影響力を行使することは期待できず、北朝鮮が韓国を使い走りとして使用し以後の協議から韓国を排除する意図は明白で、米朝会談の行方次第では第二次朝鮮戦争すら懸念される雲行きとも感じられる。新北の韓国文政権もその認識はあるらしく、大急ぎで大統領権限や首都移転を考慮した憲法改正を目指しているが如何にもパッチ当ての感が強い。日本でも、拉致問題の解決を米朝協議に期待する向きもあるが、数百万人の命がかかった核兵器の行方を協議する場で拉致問題は議題にもなり得ないだろうことは、冷酷であるが理解しなければならないと思う。更には、英国に亡命した露諜報員を化学兵器で謀殺した事件が、英米加豪EU(米の鉄鋼関税免除国と相関関係にあることに注目)等と露が相互に外交官を追放する事態までに拡大しているが、北方領土問題を抱える日本としては何らの意志表示もできずに座視している状況もある。

 アメリカが、在韓アメリカ人の大規模避難訓練を行うことが報じられた日、日本では来年度の命運と将来投資を決定する予算案をわずか1日の集中審議で参院を通過させ成立させようとしている。国会が森友・加計問題に何らの具体的な成果を上げないまま1年以上も空転している間に、世界情勢が日本を置き去りにして激変している現実を国会議員と多くの国民はどう考えているのだろうか。

 


米朝会談に思う

2018年03月10日 | 北朝鮮

 南北会談の結果を携えた韓国の訪米特使に、トランプ大統領が米朝首脳会談に同意したことが報道されている。

 北朝鮮が今回の米朝会談を、25年前のIAEA脱退に始まる核武装政策の総仕上げと位置付けていると視るのは自分だけだろうか。韓国の文大統領は「北朝鮮が核の凍結ではなく半島の非核化を表明した」ために米朝会談の兆しが見えたと意気軒高であるが、これまでにも見え見えの権謀術数を弄してアメリカと中国からは核・ロケット技術と燃料を、韓国からは食料と資金を調達して核兵器と核の運搬手段を完成させた経緯を考えれば、北朝鮮が核の放棄はおろか実験・進化の凍結すらも考えていないのは明らかである。しからば、今回の米朝会談で北朝鮮が得ようとするのは何だろうか。一つは米国の戦術核が韓国に再配備されることの阻止であろうと思う。北朝鮮は大型ミサイルに搭載できるレベルまでは核の小型化に成功しているものの、韓国(ソウル)恫喝のために必要である戦術核の完成にまでには至っていないと思うからであり、開発の時間稼ぎが必要であると判断したものと思う。二つ目は、経済制裁の解除を狙った雰囲気づくりである。「北は朝鮮半島の非核化まで提案して譲歩したが、米国が歩み寄らない」「朝鮮半島非核化のパイはアメリカにある」という演出で、経済制裁を国連決議から外すことを目論んでいると思う。首脳会談で米朝が歩み寄ることは考えられず、そうなれば「緊張の原因はアメリカで、北は被害者」「弱い被害者が防衛のための核を持つことは止む無し」との北支持の世論を形成することが可能となるとの判断に立っているものと思う。国連下の経済制裁が解除されれば、中国・韓国との経済活動は誰はばかることなく可能となり、日米の経済制裁は無視できるものにならざるを得ない。

 「北朝鮮は信用できない国・悪の枢軸」というアメリカの姿勢は一朝一夕に消えるものではなく、米朝首脳会談が何らの成果を上げないことは明白にも拘らず、北朝鮮が首脳会談を持ちかけた真意を測ることなく唯々諾々としてアメリカへの使い走りをしている韓国の道化を苦々しく思う反面、文大統領の薄ら笑いの下に「そんなことは百も承知」「何としてもアメリカを苦境に」との仮面を見るのは自分だけだろうか。