リュウ庵

尼崎市住む猫大好き人間。
駄文を書くのも好きです。

嬉しい書下ろし文庫

2019-02-23 12:08:10 | 日記
文庫本の大ファンだ。
安価で手軽に持ち運びできるから、好きな時代小説を文庫本で読みまくっ
ている。
ちょっと外出するにも、文庫本とコンデジを忍ばせることを忘れない。

その文庫本が「書き下ろし」ブームになりつつあることを、ご存じだろうか。
書き下ろし文庫は「いきなり文庫」ともいわれ、小説などを雑誌掲載→単行
本→文庫という従来の出版スタイルを経ずに、いきなり文庫判で刊行する手
法。
従来の刊行手法を大きく省略しているので、ファンはいち早く安価(大体1
冊700円前後)で便利なコンパクト本を手にすることができる。
出版不況がささやかれ始めてから、この書き下ろし文庫が飛躍的に増えたと
いう。

単行本が出てもハードカバーでは持ち重りするし、何より結構高価だから
「読みたいなあ」と思っても、文庫化するまで指をくわえて待つしかない。
朝井まかてさんの直木賞作品、歌人・中島歌子の生涯を描いた「恋歌(れん
か)」を例にとると、単行本で講談社から出版されたのは2013年8月、
文庫本化は15年10月で2年2か月後だ。
大体2,3年のタイムラグがあって文庫本化されるのが普通。

そんな「時間待ち」なしに、いきなり文庫で発表される小説は時代小説に
多いようだ。
その先鞭を切ったのは、私の知る限り佐伯泰英さん。
売れない時代に、出版担当者から「もうあなたの書ける小説はエロか時代
ものだけ」と宣告され、一念発起して時代物に挑戦して「吉原裏同心」
「酔いどれ小藤次」など人気シリーズを次々出して、一躍「書下ろし文庫作
家」(私の勝手なネーミング)の第一人者に躍り出た。
その後辻堂魁、上田秀人、鈴木英治、坂岡真、佐々木裕一、金子成人、畠山
健二…続々と輩出している。
単行本で刊行した有名作家の作品も、2,3年遅れて文庫本化しているから
、この傾向は今後もすたれないだろう。
うれしい限りだ。

間もなく桜のシーズン。
西行の歌じゃないけど
  「願わくば 花の下にて春読まん その如月の望月のころ」
と洒落込もうとしよう。


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