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以前二回ほど町田康氏の作品について
自分のブログで取り上げたことがありましたが、
http://blog.goo.ne.jp/gggggggo/e/aa8334a4b09577c50b28d2cf8b61d306
http://blog.goo.ne.jp/gggggggo/e/d9cdad0fe772b196f7b4b97fb965995b
一定の時期が過ぎるとまた町田康氏の作品が読みたくなってきます。
小説もそうですが、特に詩に関して、
自分の生理が求めているかのように読みたくなります。
そして今回購入したのがハルキ文庫の町田康詩集です。
以前買った詩集の中の作品もダブって掲載されていますが、
買って、また読んでみたくなりました。
本当に、詩の中に使われているのは、
身近な、飾りのない、どちらかというと下品な、
ある意味、大阪弁の匂いぷんぷんのする言葉なんですが、
それが異様に綺麗なんですね。
この人がこの綺麗さを持っている限り、
私はまた、数ヶ月、
あるいは数年してまた読みたくなると思うのです。
正直、重くて、読むことさえ、邪魔くさくなる時もあるのですが--。
ロビンの盛り塩
米が無い。米が無いので水ばかり飲んでおった。起きていても腹ががぶがぶす
るばかりでせつないので寝てしまった。夕方、ふと目を覚ますと妻はどこかに
小遣いを隠し持っておったのか、鰻を誂えて食っているではないか。「おい、ちょ
っと呉れ」「ちょっと呉れ」呉れやがらぬ。口をきかぬのだ。返事をせんのだ。
ああ、嫌になってしまった。空の丼を見つめているとからだ中に寂寥感が広が
ってきて涙が溢れてきた。どうしようもなくなって家をでてどこをどう歩いたか、
我にかえるとロビンという喫茶店の前に立っていた。この家の娘は気が狂って
いて、店先に切り花を挿しては日がな水をやっている。ここの盛り塩はいつも水
で流れてぐしゃぐしゃになっている。(ハルキ文庫・町田康詩集より抜粋)
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