昨日、今日と仕事の帰りに花屋さんに寄ってきました。
実はこのブログを書くために、どうしてもある花が欲しかったのです。(写真を撮ってブログに載せたかった)
花の名前は、あらせいとう--という名前です。二件の花屋さんの店員の方は、どちらも、聞いたことがないと言ってました。結局あきらめて帰りました。
あらせいとう、を漢字で書けば紫羅欄花となり、調べるうちに、又の名を、ストック、ということが判明しました。
あらせいとう、の花の名を知ったのは、20代の前半でした。日本の現代詩人のアンソロジーを読んでいる時に、新川和江さんの詩の中で、初めて知りました。
「わたしを束ねないで」 / 新川和江
私を束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
たばねないでください 私は稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂
という書き出しで始まる、「わたしを束ねないで」という詩の中にでした。
--私を束ねないで--という一行目が本当に強烈で、すぐに詩に溶け込めました。 アンソロジーに掲載されていた彼女は多分40歳前後で、和服を着た、日本美人のような感じでした。
今も健在で、産経新聞の朝刊で、「朝のうた」の詩の選者を務めています。(1929年生まれ)
すべてをここには引用しませんが、久しぶりに目を通してみて、巧みなラストセンテンスに目が留まりました。
わたしを区切らないで
、(コンマ)や.(ピリオド)いくつかの段落
そしておしまいに「さよなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がって行く 一行の詩
易しい言葉なのですが、何十年たっても、風化していない新しさ、強さがあると思います。 20代の前半、私はよくジャズ喫茶店に通いました。今はもうないですが、昔の難波の大劇の地下にあった「やかた」というジャズ喫茶ですが、ある日トイレに行ったら、トイレの壁にこの詩の冒頭が書かれていました。
それは昨日のことのように覚えています。
私を束ねないで
あらせいとうのはなのように
多分女の方の落書きだったのでしょう。私は感動しました。