20才代前半、私は身体を壊し、2ヶ月ほど入院したことがあった。
退屈で殆どめげそうな、長い一日の連続で、本当にしんどい経験をしてしまった。
それでも私の入院した病院には大きなステレオ・スピーカー装置があり、
たまに患者の好みの音楽を聞かせてくれた。
私は、身内が病院に見舞いに来た時に、一緒に持ってきた、BEATLES のLPを、病院の中で、時々聞かせて貰ったりしていた。
そのLPは「REVOLVER」というアルバムだった。中でもA面の3曲目にある、I am only sleeping という曲が好きだった。
Beatlesのオリジナルは200曲少しあるけれども、この曲は大ヒットした曲のことを思えば、本当に、目立たないような曲だった。
作曲、作詞、ボーカルはジョンレノン。 なんとなく怠惰な雰囲気と、ふんわりと宙に浮くような感覚を覚える曲だ。
若い頃の、自分の怠惰さ、気まぐれさに合致したような曲で、そういう意味からであれば、自分を露呈しているようで、恥ずかしいが、どうしても外せない曲だ。
例えは悪いかもしれないが、イエスタデイよりも
この曲のほうが、比べられないほど、ずっと印象に残っている。
ビートルズの曲は不思議とそのまま自分の心の中に入って来る。
決して自分の思い出と一緒にやって来たりしない。
曲のみでやって来る。
若い頃の思い出の曲だが、何年経っても、私の中で、現在形の曲だ。
これからもずっと、多分。
怠惰な感じの曲なんだけど、忘れられない一曲だ。
************
朝早く起き出すときは
顔をあげても
まだあくびがとまらない
夢のさなかにいるときは
そのままベッドの中で,
上流に漂っていく
どうかぼくを起こさないで、
ゆすったりしないで,
このまま放っておいてくれ
眠っているだけなんだから
I am only sleeping /対訳:奥田祐士
リボルバー/ザ・ビートルズ より
The Beatles - I'm only sleeping