another Beatle

フリースタイル、且つ、創造的。(これが、理想ですが--)

インストール/綿矢りさ---- こんな小説があるのですね

2008-11-02 00:13:40 | Weblog
面白い小説だった。3回から4回に分けて一気に読むことが出来ました。
今日読み終えました。
著者は17歳の女子高校生です。


最初の書き出しは、高校生達の教室での様子が書かれていた。勉強してるのに、他の生徒の前では、一切、白を切りとおしたり、その辺の駆け引きが描かれていて、正直、いかにも高校生らしく(?)私にとっては、面白くなかった。

こんな文体がいいのか、悪いのかよく分からないけど、すべるように文章が紡ぎだされている感じがして、ボキャブラリーは豊富でした。

ただこの人はストーリーが上手いと思いました。
自分の家にあった、おじいちゃん譲りのコンピューターを、もう壊れたと思い、粗大ごみ置き場に捨てるのですが、そこで小学生の男の子と出会い、彼がそれを欲しいというので、彼にやる訳です。ここから、ストーリが始まります。

後日、主人公の高校生はこの子供にたまたま会う訳ですが、それまでの伏線として、主人公が登校拒否症になり、働く女親が家を出る前に高校に行くふりをして家を出て、母親が出勤したところを確認して、家に帰り、一日家にいるという、暗いパターンが続きます。

その小学生の子は持ち帰った、粗大ごみパソコンを押入れに隠して、修理して使える状態にしておいたのです。

そして、この主人公に,二人で金儲けをしようと(パソコンを使って)誘いかけます。
某キャバレーのHチャットルームの、某ホステスに成りすまし、交代でパソコン上で、Hなサラリーマンや、いろんなタイプの男をチャットで相手にするストーリーです。(課金サイトです)
主人公は小学生の男の子の家に通って、そこでパソコンを操作するのです。
勿論、小学生の男の子も、主人公と交互にパソコンを操作します。
この辺のくだりは楽に読め、面白かったです。

ここ10年くらいのスパンの中で、目だった作品を遅ればせながら読んで行こうと思って(時には再読、古いものも含めて)今回「インストール」を読みました。この作品で文芸賞、そして2年後に、この著者は「蹴りたい背中」で、芥川賞ですか---。
「蹴りたい背中」はまだ読んでいませんが。

「インストール」は上戸彩で映画化されているのですね。どんな作品になっているのでしょうね。

この小説のラストも気負いがなくてよかったです。

コメント (2)
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