防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

川辺川ダム

2008年09月12日 | Design with Nature
川辺川ダム建設白紙撤回を表明
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2008091202000090.html

1)『自然から守る・・・!』 
  自然は我々人間にとって恐るべき怪物であって、砂防事業は自然から人間を守ること、である。決して「土木屋は地球を彫刻する芸術家」ではない。

2)『砂防とは・・・?』
 
「砂防とは何か?ということについて本質的に理解している人は決して多くない!」 地球は「植生連続」と「浸食輪廻」という二つの大きな営力の釣り合いで保たれている。人間の営みは「浸食営力」にあたる。「砂防」とはその終局において「緑化」を目的とするものである。」 「緑化と言っても、草でも木でも何でも良いから見たところの緑化になればよい、という意味ではない。植生連続における極盛相climax phase、すなわち理想の森林を目指すものだ」

3)『少しは壊れるものをつくる・・・!』 
 最終目的が「緑化」であるから、砂防ダムなどの工事は長期間にわたり予備工事あるいは暫定工事の位置づけになる。大自然の外力は確認できないし、予算が不足する場合もある。このため「少しくらい壊れるかも知れぬ」構造物をフルサイズ実験してみる。そして、最終的に大過なきを期する。(※著者コメント:今日では、科学的手段(シミュレーション)への依存が現場的トライアル思考を排除する傾向があるほか、すべての技術を「基準化」する方針がとられている。また会計検査当局が「適正積算」の名のもとに「技術領域」を侵略しつつあるなど、ネガティブ要因があまりにも多い。)

4)『「経済」を離れて「技術」はない・・・!』 
 与えられた条件の中で、どうしたら最小の工費で最大の効果を上げることが可能であるか? をひたすら考えて何回も現場を見る。「大きな経済」は然るべき人がやっている。儂の「小さな経済」に責任を持ち、儂の技術を100%使う。そのためには友人や専門家の意見を大いに聞かなければならぬ。

5)『次善の策を早く・・・!』
 
「最善の策はあるかも知れんが、その結論を待ってはおれんことがある。次善の策を時宜よろしく、早めにやれ!」 調査と研究は別だ!研究イコール調査ではないのだ。これには平素からいろいろ勉強しておき、現場を見て、早く「診断」を下し、「処置」できるような能力を我々が持たなければならない。
 最後に、著者がJICAの経験をもとに、次のように言っている。『発展途上国にあっては「砂防」の財政経済は全く成立していない。「日本式はこれだ。あんたんところ、金が無くては、しょうがないね。」となっているのが大方の「国際協力」の実情だ。』と言っている。

太田ジオリサーチ 最近の注目すべき文献より
http://www.ohta-geo.com/bunken.html