日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

公共空間の弾性限界が近づいている

2021年01月21日 07時43分00秒 | 政治
 物理学用語でいう「弾性限界」とは、「物体」に張力を加えて引き延ばした後で、その張力を解放した時、元の長さに物体が戻れるか戻れなくなるかの限界を言い、課した力でその物体断面積で割った数値「ニュートン/平方メートル」をいう。
 去る、今月6日に起きた米連邦議会襲撃事件を見ていると、「物体」のような実体を持つモノばかりでなく、国家のような抽象的な概念システムにも「張力限界」があるのではないかという思いに駆られてくる。
 この「ワシントン暴動」、合衆国内一部にはこれを「クーデタ」と呼んでいるジャーナリズムもあるというから人びとには実に深刻なつめ跡を残し、アメリカが営々として作り上げ、かつ誇りにもしてきたデモクラシーが完膚なきまでに損傷を受けたものであろう。4年前このドナルド・トランプという男を大統領に選任したことで、その後4年間幾百ともつかぬウソと罵詈雑言と無節操な政治判断という跳梁を許してきた。この間にアメリカ民主主義が受けたストレスは弾性限界を超えていた。ついに、国家社会の基盤が元に戻れない状況にまで陥ってしまったのであろう。
 あの日(1月6日)の暴動の最中に、「ロシアのスパイ組織に売る目的で民主党のナンシー・ペロシ下院議長のノートパソコンを盗んだとされる女が、連邦捜査局により訴追された」という恐るべきニュースが世界中に発信されている。また、20日の新大統領就任式を目前にして、テキサス、オレゴン、ミシガン、オハイオなどの各州で、州議会の議事堂周辺に銃を持った抗議グループが集まっているという報道もなされている。もはや、デモクラシーの教師の資格は完膚なきまでに失った知的弾性限界を超えたとしか言いようが無い。
 さて、他人のことはともかくもその「他人のふり見て我がフリ」を見てみればどうだろう。そのアメリカからB29に搭載された原爆と焼夷弾と一緒に梱包されて落ちてきた「民主主義」、その後76年を経た今、果たしてあの頃の清新さを保ち得ているのであろうか?
 民主主義の現場=日本国会では、総理大臣が吐いた嘘の数が数百に上ったり、いまや言語明朗ならざる指導者が演壇から意味不明な言葉をつぶやいている。それでも、それなりの支持率を獲得している与党政治家たちは何の反省も感じていないらしく頻々とその権勢を利用して汚職に手を染める。世論調査の支持率は下がったとはいえまだ3割を超える人々がこの内閣を「了」としている。野党は有るか無きかの存在でしかない。ここでもまた民主主義の張力限界が近づいている。
 そこを見すかしたように新型コロナウィルスパンデミックが襲ってきた。クワバラクワバラ!