忘れえぬ体験-原体験を教育に生かす

原体験を道徳教育にどのように生かしていくかを探求する。

覚醒・至高体験をめぐって06:(2)至高体験の特徴①

2012年04月24日 | 覚醒・至高体験をめぐって
2 至高体験の特徴

心理学者マスローは、「至高体験」と呼ばれる状態の心理的な特性や、自己実現ないし自己超越したと思われる現代の多くの人々の心理的、人間的特性を緻密に検討した。マスローの「至高体験」についての記述と分析は、彼が行った心理学的な調査の結果にもとづいている。彼は、八十名ほどの人々との個人面接、一九〇名にのぼる大学生に実施したアンケート調査、さらに五〇名ほどの人々からの個人的報告などをもとにして分析を行っている。

アンケートは、宗教的経験、美的経験、愛情経験、創造性の経験など、人生のうちで最も感動を覚えた瞬間の記述を求めるものであった。それは、「あなたの生涯のうちで、最も素晴らしい経験」、「おそらく恋愛に浸っている間や、音楽を聴いていながら、あるいは書物や絵画によって突然『感動』を受けたり、偉大な創造の場合に経験する最も幸福であった瞬間、恍惚の瞬間、有頂天の瞬間」に関して、「このようなはげしい瞬間に、あなたはどう感じるか、ほかの時にあなたが感じるのとは違っているか、あなたはそのとき、なにか違った人になるかどうか」を報告してもらう内容であった。

この調査をもとに彼がまとめた至高体験の内容のいくつかを、その著『完全なる人間―魂のめざすもの』(A,H,マスロー、誠信書房、一九九八年)等にもとづいて紹介しよう(上田吉一『人間の完成―マスロー心理学研究』誠信書房、一九八八年をも参照)。


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