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中国、とうとう「灰色の犀」が暴れだしたか。

2019年03月02日 | 政治

 毎回、中国バブル崩壊を扱うのも疲れて来ますが、それでもやっぱり桁違いな債務の増大は一向に衰える様相を見せません。
リーマンショック以降の中国の脅威的経済成長は、膨大な債務のバブル経済で成り立っていると言っても過言ではないでしょう。

 2、3日前に福島香織氏と宮崎正弘氏の対談動画を見ていたのですが、そこで論じられていたのが、習近平主席も指摘し警戒するよう注意を促していた「灰色の犀」問題。
【Front Japan 桜】中国がベネズエラを見限る? / 中民投の社債デフォルト問題[桜H31/2/26]

 「灰色のサイ」という概念は、米国の学者ミシェル・ウッカー氏が2013年1月にダボス世界経済フォーラムで提起したものである。
灰色のサイ:発生する確率の高い危機にどう対処するか』は、彼女の著作であるが、それによると、「ブラックスワン」は発生する確率は低いが大きな影響を与える事件のことであり、「灰色の犀」とは発生する確率が高い上に影響も大きな潜在的リスクのことだ。

予兆は目にしていたのに、防ぎきれない
 灰色のサイはアフリカの草原で成長し、体が並外れて大きくて重く、反応も遅い。我々が遠くから見ていても、サイは全く気に留めない。しかし、サイは一旦狂ったように走り出すと、一直線に猛突進し、その爆発的な攻撃力の前に、我々はあまりにも突如過ぎて防ぎきれず、吹き飛ばされて地面に転がってしまう。そのように、突如やって来る災厄、もしくはあまりにも小さすぎる問題に端を発している危険ではなく、多くの場合は長きにわたってその予兆を目にしてきたにもかかわらず、注意を払わなかっただけという例えなのである。

言い換えると、金融システムの崩壊のような「ブラックスワン」が突如として到来するのに対し、「灰色のサイ」は長きにわたって積み重なったものがようやく姿を現してくるというものだ。

最大の「サイ」は不動産バブル
 現在の中国経済において「灰色のサイ」は何か?

 中国金融改革研究院の劉勝軍院長は、不動産バブルこそ疑問の余地なく最大の「灰色のサイ」だと表明した。「一方では中国の住宅価格のバブル化に関してもはや議論はされていないが、他方では住宅価格の調整や管理がかつてないほど効力が失われており、多くの人々が『住宅価格は二度と下がらない』という錯覚に陥っている」と彼は語った。

 2頭目の「灰色のサイ」は通貨、人民元の切り下げだ。切り下げによる資金の流出は1997年のアジア金融危機のような大きな動揺を引き起こす。この2年、中国国内資産価格の高止まりや経済成長の減速、経済モデルチェンジの不確実性などの要素の影響で人民元の切り下げ予想が形成され、外貨準備高が4兆ドルから3兆ドルに減少するという事態を招いた。最近の外貨準備高はやや安定しているとはいえ、それは主に為替管理を強化した結果であり、人民元切り下げの予想はまだ完全に払拭されていない。

 3頭目の「灰色のサイ」は、銀行の不良資産の増加だ。現在、政府側が公表した銀行の不良資産率は2%前後で、これは非常に良い数字だ。しかし、株式市場の銀行株の株価から見ると、不良率は明らかに低く見積もられている。多くの銀行株の実勢利回りのPE値(株式の時価と純利益の比)は5倍前後で、今のところA株式市場の株価収益率の中央値の60倍以上。銀行株のP/B値(一株当たりの株価と一株当たりの純資産の比率)は2倍以下である。これは、株価がすでに一株当たりの純資産を下回っていることを意味している。
https://www.j-cast.com/2017/08/19306103.html?p=all

 福島香織氏は最近顕在化して問題になって来たのが、“社債デフォルト(債務不履行)”だと指摘し、企業債デフォルトは実は、昨年あたりから頻発しているので、ある意味、中国人も慣れてきていた。しかし、今年(2019年)に入って、中国最大の民営投資企業集団の社債がデフォルトして、その灰色の犀が思っていた以上に狂暴であることを再認識させられた。

「中国民生投資集団」(中民投、CMIG)の「16民生投資PPN001」という社債は1月29日が償還日だったが、償還が延期された。

「中国民生投資集団」とは
 2014年に大手民営企業59社が出資して立ち上げた中国最大規模の民営投資会社、それが中国民生投資(中民投)という投資会社。
目指すは中国版モルガン・スタンレーである。

 その「中国民生投資集団」が14年以降投じてきた投資が今とんでもないことになって来ている。
福島氏が指摘しているように、表面化しているのは太陽光企業への投資が完全に行き詰っている。

 中民投は当初は太陽エネルギーパネル、鉄鋼物流、船舶の3分野に投資してきた。これらは中国の“過剰産業”だが、中民投はこうした過剰産業の企業整理を促進する役割も担わされていた。
特に太陽光パネルへの投資は、この5年で1500億元という。
太陽光パネルは、これまで国が行け行けドンドンと音頭をとってきたのに、18年以降1200億元の補助金不足が発覚したのをきっかけに、一転して太陽光発電関連産業の発展に急ブレーキをかけるような通達を次々と発表。
2018年6月の「進行中の太陽光発電所建設の計画をすべて一時棚上げする」というものだ。補助金はほとんど削減され、太陽光発電の電力の全面的値下げ、全面整理を通達した。これにより中国の太陽発電市場は1000億元規模も縮小、ほとんどの太陽光発電関連工場が停止し、関連企業がばたばた倒産に追い込まれた。太陽光発電関連産業は暗黒期に突入したのである。中民投は国家の電力政策にあおられて、梯子(はしご)を外された格好だ。

 今回の社債デフォルトの原因も、寧夏の銀行が関わっているという噂があり、おそらくは太陽光発電プロジェクトの失敗が影響しているのではないかと言われている。

 太陽光発電は日本でも今問題が起きている。
民主党政権で太陽光発電の買い取り価格を高額な42円に設定されたが、現在は10KW未満が24円と26円、10KW以上が14円/kWh+消費税となっている。

このため民主党政権当初に投資した企業は良いが、今では投資目的で出資した者は投資の元すら取り戻せないという状況で太陽光発電は日本でも行き詰っている。

中国における社債デフォルトの頻発は当に「灰色の犀」であり、これは不動産バブルにもいえる事で、すでに今現在不動産バブルははじけている最中でもあると見れば、これからが中国にとって本当の正念場となるだろう。


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