普段は誇らしげな北のアルプスが厚い雲に覆われ、さしずめ孤高の山と化した負釣山(おいつるしやま)。 ・・とは言いすぎだろうか。
目立つものを排除したおらが山はなんど見ても格好がいい。特に家から見る山の背が好きだ。 実際登ってみてわかる事だが、北アルプスの良いとこ取りを集め、コンパクトに凝縮したようなそんな山である。
その負釣山959,3mの中腹辺りまで雪が下りてきたのを見て、今年も本格的な冬が来る前にと、家の屋根に上る。
案の定、この前からの強風で家の周りを囲む木々の枝葉が屋根に堆積し、放っておけば雨漏りの原因になるところである。
箒を片手に上から順に掃き下ろしていると、瓦が何枚も破損しているのに気付く。 昨年もたしか一、二枚あって自分で取り替えたが、今回は数も多く、雪止め瓦も含まれている。
来週半ばには雪マークの天気予報。 急いで十七、八年前にこの屋根を手掛けた瓦屋さんへお願いに行く。
生憎の土曜日、数日待たされるのを覚悟でお願いすれば、他で作業中だが、直ぐ来てくれるとの事。 ありがたい。
以前と変わって代替わりされていた瓦屋さん。あの時のお父さん同様、身のこなしの軽くて手早い事。 だが、それ以上に感心させられたのが、仕事の流儀。
若い衆一人を修繕箇所以外の屋根の全てを回らせてチェックさせ、驚いたことに、あとで自分で梯子を掛けては回ろうと思っていた雨樋の掃除までしてくれる気の使いよう。
職人といえど客商売なんだと言えばそれまでのことだが、感心し、思わず呟いていた。 「 いい仕事してますねェ~ 」って。
稲村瓦工務店さん風の強いなかにも拘らず、ありがとうございました。