ソフトバンクグループは2020年3月期の連結業績予想を公表し、営業損益が1兆3500億円の赤字(前期は2兆3539億円の黒字)に転落する見通しだと発表しました。優良投資先だったOYO(オヨ)の創業者を「新しいスーパースター」と絶賛した孫社長ですが、オヨの日本戦略には当初から誤りがあったようです。日本のホテル事業の責任者であるプラスン・チョードリー氏は供給数について、初年度から業界トップのアパホテルを上回る7万5000室を目指したが、当時の複数の関係者によると、前提とした160万室にはキャンプ場やラブホテルも含まれ、市場規模を過大に見積もっていた。
野心的な目標達成に向け急ピッチで人材採用も進め、関係者によれば、人事担当者は1日15回も面接を行う日があったという。ホテル事業では社員が580人以上に急増、アパート事業では300人に増えた。ブルームバーグが入手したメッセージによると、目標を下回るホテル事業の現状が明らかになった昨年8月、アガルワル氏はチョードリー氏に成績の悪い社員の解雇を始めるよう伝えた。
元人事担当者によれば、経営陣は最初、日本の法律では解雇が認められていないことを知らなかった。というOYO(オヨ)の杜撰な経営が暴かれました。
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ソフトバンクグループの孫正義社長がインドのホテルチェーン、OYO(オヨ)の創業者を「新しいスーパースター」と絶賛したのはわずか9カ月前のことだ。若くして世界のホテル王に上り詰めようとしていたリテッシュ・アガルワル氏に今、危機が訪れている。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で人の移動が制限される中、各地でホテルの空室率が上昇しており、ソフトバンクGが出資するオヨの経営環境も厳しさが増している。難局を乗り切るため、同社は数千人の従業員を無期限に一時帰休させることを決めた。
不動産助言会社のアイビー総研の関大介社長は、「一時従業員を帰休させるということは業績が強烈に悪く、キャッシュフローが傷んでいるということだ」とみている。ソフトバンクGが昨年、1兆円の追加金融支援を決めたシェアオフィス運営の「米ウィーワークよりもオヨの方がウイルスの影響が大きく、長く続くだろう」と懸念を示した。
ソフトバンクGが昨年7月に主催したイベントで、孫社長は「25歳で世界最大のホテルキング、人類史上初めてだ。すごいこと」とアガルワル氏を持ち上げた。ビッグデータを使い、短期間で世界80カ国に110万室を保有するホテルチェーンへと成長したオヨに対し、「途中でソフトバンクがちょっとお金を入れた」と自身の投資眼力のアピールも忘れなかった。
昨年には評価額が100億ドル(約1兆800億円)まで膨らみ、ソフトバンクGの優良ポートフォリオの一つになったオヨ。企業価値が上がる中、アガルワル氏は自社の株式を買うために20億ドルを借り入れた。孫社長は、みずほフィナンシャルグループなどからの資金を個人的に保証した。オヨの評価が落ちれば、銀行は追加担保の差し入れを迫る可能性があり、両氏は危機に直面する恐れがある。
ユナイテッド・ファースト・パートナーズでアジア調査責任者を務めるジャスティン・タン氏は、「もしマージンコール(追加担保の差し入れ)がかかれば、アガルワル氏はすぐにトラブルに陥るかもしれない」と指摘した。その場合、自身が保有する株式を割引価格で売却する可能性があるという。
オヨは加盟ホテルに対し売り上げの最低保証も行っており、世界的な外出の規制や自粛で出張、旅行など宿泊機会が激減する中、ホテル稼働率の低下とともに二重の苦しみとなっている。アイビー総研の関社長は、キャッシュが回らなくなれば、経営が立ち行かなくなるため、ソフトバンクGは「オヨへの追加出資をせざるを得ない」と分析した。
新型コロナの影響を受けた世界的な株安で、ソフトバンクGの投資事業は苦境に追い込まれている。会社更生手続きを申請した通信衛星ベンチャーのワンウェブなど、オヨのほかにも資金繰り難に陥る企業も出てきた。