新型コロナウイルスにより全米の死者が10万~24万人に達する可能性があるとトランプ大統領が発表し、世界を震撼させていますが、世界はまさに戦争状態です。全世帯にマスク2枚送付など焼け石に水でしょう。安倍首相はハイパーインフレの様なコロナ危機に対して一刻も早く、高齢者の外出禁止など非常事態宣言を発し、経済を下支えるため消費税もゼロに引き下げるべきです。英国では、戦争のような非常事態で対策を練るときには財務大臣を外すという。今が非常時であれば、そうした発想も必要である。トップの英断が求められます。
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3月後半、首都ワシントンDCのミラノヴィッチ教授ニューヨーク市立大学大学院センターの客員教授に、ロックダウン(都市封鎖)中のニューヨークから電話でロングインタビューを行った。同氏の話では、3月上旬にワシントンDCの国際通貨基金(IMF)本部で講演を行った際は100人を優に超える聴衆が参加。新刊本にサインをしたり、人々と話したり、通常と変わらなかったという。
だが、その後、事態が急変し、IMFも閉鎖された。「わずか1週間で、ここまで状況が激変するようなことは歴史上、なかった」と、ミラノヴィッチ教授は驚きを隠さない。3月30日には、ワシントンDCでも自宅待機令が発表された。不要不急の外出をした市民は軽犯罪のかどで、90日以下の禁固か5000ドル(約54万円)以下の罰金、あるいは両方を科される可能性があるという、非常に厳格なロックダウン措置だ。
同氏がワシントンDCと併せて拠点を置くニューヨーク市は今や、コロナ危機の震源地と化した。感染者は約4万3000人。救急車などを求める、一日当たりの緊急通報件数が同時テロ時を上回る日もある。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、米東部時間4月1日午後6時半(日本時間2日午前7時半)現在、米国の感染者は21万3372人。死者は4300人を超え、その4分の1強がニューヨーク市だ。筆者が住むマンハッタンでも、人通りは激減しているが、ここ2週間でマスク姿のニューヨーカーが急増した。マスクをかけない米国文化を考えると、コロナ危機の深刻さが浮き彫りになる。拙宅近くの食料品店では、レジの前に大きなカゴが何段も積まれ、買い物客がレジに近づけないようになっている。床には6フィート(約1.8メートル)ごとに銀色のテープが貼られ、買い物客も離れて並ばねばならない。「クレジットカード大国」米国では現金を使う人がまれなため、レジ係は買い物客のカードに直に触れないよう、分厚いゴム手袋をはめている。
トランプ政権は3月末日、こうした厳格なソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)措置を続けても、全米の死者が10万~24万人に達する可能性があると発表。今後2週間は「つらく、耐えがたい」ものになるという悲観的な見方を示した。
未曽有のコロナ危機は、グローバル経済や米中などの資本主義システムにどのような影響を与えるのか。ミラノヴィッチ教授のロングインタビューは本誌6月号(4月25日発売)の連載「『混沌の時代』を生き抜く思考」に掲載予定だが、その一部を先行配信する。
──米国のコロナ危機が急速に悪化しています。
この感染拡大ペースは、まるでハイパーインフレさながらだ。1日で30%、40%、50%増などという状況は、通常の社会生活では考えられない。ハイパーインフレもそうだが、目まぐるしく数字が変わり、2週間前には予想もつかなかったような勢いで激変していく。人々の行動も様変わりした。これほど急激に事態が変わるようなことは歴史上、なかった。1918年のパンデミック(スペイン風邪の世界的大流行)でも、ニューヨーク市の封鎖には至らなかった。──あなたは『Capitalism Alone』の中で、「『政治的資本主義』は自由主義の挑戦をかわし、自らの優位性を示すべく、絶えず高い経済成長率を示さなければならない」と書いています。コロナ危機により、感染症発生の地である中国は高成長を達成し続けることが難しくなったと思いますか。
このパンデミックが今年の秋までに終息すれば、つまり、比較的短期で終われば、中国や米国、他の国々に(経済システムなどの)主要な構造的変化が生じたり、グローバリゼーションに大きな影響が及んだりするとは思わない。
政治的資本主義においては、高成長を実現できなければ(システム自体が)危機に陥るため、高い経済成長率の維持が極めて大きな必要要件になる。とはいえ、この未曽有の事態がいつまで続くのか、どのくらい犠牲者が出るのか、先が読めない中、(中国などの)政治的影響力が今後、どうなるのかを見通すのは難しい。
パンデミックが長引けば、多くのことが起こりうる。例えば、すでに、いくつかの国で起こっているが、政府が危機を食い止められず、社会的秩序が崩れて刑務所から囚人が脱走するなど、最悪のシナリオも考えられる。何が起こるかなど、予測不可能だ。イタリアやスペイン、ドイツなどでも感染が拡大していますが、欧州経済への影響は?
終息時期にもよるが、欧州経済には非常に大きな影響が出るだろう。併せて、今回のパンデミックが政治的要素をはらんでいることも、欧州連合(EU)にとっては重要な点だ。例えば、イタリアに対し、EUが思い切った支援策を講じたようには見えない。つまり、大規模な危機が起こったら、EUは距離を置くという姿勢が見て取れる。各国政府が責任を持って危機に対処せよ、というわけだ。