日本人は働き過ぎといわれているが、年間の休日数17日という部分に絞ると、実は世界でも断トツのトップクラス世界では10日位が普通なのです。そうした中、多くの日本人が所属している基本的に働いた時間しか給料がもらえない人たちは収入源の不安を抱えています。大手正規雇用者と中小企業従業員、非正規雇用者の差は開く一方です。雇用制度を変えていかないと不公平感は開く一方で、働き方改革より、雇用制度改革ですね。
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2019年のGWは最大で10連休になるので、例年よりもさらに多くの人が旅行に出掛ける可能性が高いが、一方で長期間の休みに不安を覚える人もいる。月々の収入が安定していない人や市場関係者、経営が苦しい中小企業の社員などである。日本人は働き過ぎといわれているが、年間の休日数という部分に絞ると、実は世界でも断トツのトップクラスとなっている。休日数を増やすことも大事だが、休みたい時に確実に休める社会にしていかなければ、本当の意味での働き方改革は進まない。
GW、中小や非正規の社員は憂鬱?
今年のGWは空前の海外旅行ブームとなりそうだ。大手旅行代理店の2月における海外ツアー予約件数は前年同期比の約3倍と活況を呈している。航空券の価格も軒並み上昇しており、例年では考えられない水準まで運賃が高騰した路線もある。
だが、こうした状況とは裏腹に、非正規社員など年収が定まっていない働き方をしている人は、長すぎる休日に不安を募らせている。彼等は基本的に働いた時間しか給料がもらえないので、4月と5月の月収が大きく減るのは確実である。一部には、給与の支払いをGW明けにされてしまうケースもあり、肝心のGW中にお金が自由にならない人もいるようだ。正社員であっても中小企業の場合には、似たような状況に陥る人も少なくない。
年収が低く、残業代で何とか生活を維持している社員にとっては、休日が増えると残業代も減ってしまうので、やはり月収の低下につながるだろう。大企業の社員や公務員は全体からすればごくわずかなので、長い休みをどう活用するのかというのは、恵まれた一部の人の話といってよいかもしれない。
日本の休日数は世界トップクラス、だが……
日本の休日数は、実は世界でも突出して多い。2019年の土日以外の祝日数は17日だが、主な先進諸外国では10日以下が一般的だ。だが、有給休暇の日数やその消化率という視点を加えると状況はまるで変わってくる。日本企業における有給休暇は日数、消化率ともに少なくほとんど活用されていない。見方を変えれば、働き過ぎを是正できないので、全員一斉に休みを取ることで何とかごまかしているともいえる。
実は金融市場においても、あまりにも休日が長いことについて懸念する声が出ている。
日本ではGWの期間中、事実上、株式の取引が出来なくなる。市場が閉鎖される期間が長いと、その間に非常事態が発生しても投資家は売買できないので、長い休日そのものがリスク要因となる。つまり、休みが多い市場というのは、投資家が敬遠するようになり、ひいては市場全体に対する信頼性が下がる可能性があるのだ。
日本の株式市場は、1日の中でもごくわずかの時間しか取引せず、しかも世界でもトップの休日数となっており、場が開いてない日が多い。日本の株式市場の地位低下が叫ばれており、対策が必要との声は大きいが、グローバルな投資家からすれば、休みが多すぎる市場を選択しないのは当然のことである。
生産性上げないと「自由な休日」は取れない
休日が集中すると宿泊料金や運賃が値上がりし、観光地や繁華街も混雑するなど弊害が多くなる。右向け右で一斉に休むのではなく、多様な働き方を実践し、休みたい時に休める制度にし、働く時はしっかり働いた方が、経済にとっても、そして労働者にとってもメリットが大きいはずだ。
日本人の年間平均労働時間はここ20年で大きく減少しており、2016年時点では約1700時間と米国とほぼ同じレベルになった(OECD調べ)。だがフランスは1472時間、ドイツは1363時間と労働時間がさらに短い。日本は休日数が多いので、平日には慢性的な残業体質になっていることが推測される。
日本人の睡眠時間や家族と過ごす時間は先進諸外国より少ないという調査結果もあるので(同じくOECD調べ)、やはり平日は夜中に帰宅する人が多いと考えられる。
仕事の量が増えてしまうのは、日本企業の生産性が低く、多くの労働量を投入しないと同じ稼ぎを得られないからである。日本人労働者の時間あたりの生産性は先進国中、最下位であり、過去数十年間ずっと変わっていない。マクロ経済的には生産性と賃金はほぼ比例し、生産性と労働時間は反比例するのが一般的なので、生産性を向上させないと賃金や労働時間の問題を解決することは難しい。
生産性が低いままでは、一斉休日を増やすしかこれらの問題から解放される手段がなく、結果として、消費者は混雑や高い出費を強いられてしまう。