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オイルサンド開発のコスト

2007-03-19 | 石油
アルバータのオイルサンド開発のブレークイーブンコストは$28/bb(Ca)だといいます。これはピーク生産時のコストとして表されます。足元の状況では開発に向けられた投資利回りは16%で、既存の資源開発に投資した場合に比べて少々リターンが悪いそうです。

但し、in situ法と呼ばれる地面を掘り返さない効率の良いビチューメン回収法では投資利回りは22%とのことですから、既存の資源開発と同レベルなのでしょう。オイルサンド開発はそれほど歴史の古いものではありませんから、今後さらに資源開発や生産技術の進歩により効率向上が見込めます。今オイルサンド開発に投資しているのは今後の投資利回りの向上を期待しているということでしょう。

ところが開発のコストが上昇傾向にあり、総投資額は今後とも増加せざるを得ない状況にあるといいます。ピーク時のコストは2005年に55%も上昇し、2006年にも32%上昇しているといいます。

開発コストの主なものは土地代(正確には土地と採掘権をあわせたものでしょう)と労働力です。原油価格の高騰によりオイルサンド開発プロジェクトが次々と計画され、これにより土地代はうなぎのぼり、英語的に言えばrocketing highです。

また平均的なプロジェクトではピーク生産を達成するまでに5,000人の労働力がいるそうです。オイルサンド以外の既存の油田やガス田の開発も原油高騰と需要増加により盛んになっているわけで、アルバータの労働力は逼迫し、その結果として賃金の高騰を招いています。

今後2015年までのオイルサンド開発に投資される額は125 billion$(Ca)と見られていますが、これは一昨年の推計額よりも42%の増加だそうです。

2000年には10ドルを下回っていた原油価格がその後30ドル台になって、オイルサンドの開発は一気に進みました。しかしさらに原油価格が高騰してしまったことで、開発コストの上昇にいたり、これが逆にオイルサンド開発を抑制する方向に働くかもしれない、というわけです。

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