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再生可能エネルギーの導入量

2006-05-18 | 再生可能E
英語のRenewable Energyを直訳すると再生可能エネルギーとなるが、日本語としてはいわゆる自然エネルギーといったほうが分かりやすい。業界的には再生可能エネルギーが定着してきている。
この再生可能エネルギーは果たしてどれくらい導入が可能なのだろうか、というのは大きな関心である。

政府の新エネルギー導入目標は2010年で電力や熱利用の総計として石油換算で1,910万kL/年である。多いのか少ないのか判断つきかねるが、別の単位で表せば33万BDである。これは日本の一次エネルギーの3%に相当する。足元は1.2%相当を利用しているに過ぎないので、あと5年ほどで2.5倍にするのは容易い事ではなさそうだ。新エネルギーとは風力発電、太陽光発電、バイオマス熱利用や廃棄物発電などをさす。再生エネルギーとはこれらに既存の技術である水力発電や地熱発電を加えたものをさす。再生可能エネルギーの一次エネルギーに占める割合は足元6%である。京都議定書での削減目標が6%なのだから、この再生可能エネルギーで6%という数値や新エネルギー導入目標3%という数値は決して小さいものでは無い。

しかし、石油枯渇説、最近はピークアウト説などで非常に近い将来、化石資源の使用を相当量減らす必要ありとの立場に立てば、3%や8%なんてもんじゃ全く追いつかない。だから原子力をという主張もあり、いや省エネをいっそう進めるという意見ありの状態になる。どれも定性的には正しいけれど、一体定量的に正しいのはどれだ、との結論は無い。もちろんエネルギーミックスは基本的に必要な考えです。

ところで太陽光発電はパネルのコストが今後下がっていくことが期待されている。2030年には現状の5分の1くらいになる。現状は家庭用3kWシステム、パネル面積24m2で200万円だそうだ。パネル単価は250円/W。1kW当りに直すと8m2のパネルが必要でパネル価格25万円、システム価格67万円。パネル1m2当りに直すと125W、31,000円でシステムで83,000円となる。但し、ソーラーパネルの利用率は11.4%が平均実績。
20年の寿命・金利3%で発電単価は45円/kWhになるが、システム単価が半分になれば今の電気代と同じであるから、補助金が無くても普通に普及するだろう。でもマンションに住んでいる場合は最上階の人しか設置できない。

風力発電は設備が大型になるので、設備単価は19万円/kWで発電単価は10円/kWhとなる。こっちは充分に安いけれども直接家庭で利用するのは無理なので、電力会社に電気を買ってもらわなければならない。電気が売るほどある電力会社に電力を買ってもらうということ自体、仕組み的にうまくない。トヨタや日産に中古自動車を買い上げてもらうときには、安くなるのと同じこと。

バイオマスは発生源が分散しているので、原料の確保と収集のコストが一番の課題。小規模で効率のより転換技術の開発が望まれているところです。2010年の目標は450万kW(586万kL)となっている。バイオマスニッポンとして推し進めている。

身近なのはごみ処理場での熱利用や発電です。温水プールがあったり、地域電力があるあれです。しかし、全国に1800箇所ある焼却場のうち18%しか熱回収・発電をやっていない。今の技術で出来るのは200トン/日のような大型焼却場だけのよう。100トン/日以下の小型でも25%くらいの発電効率が出せるような技術開発が進んでいるそうだ。

再生可能エネルギーの将来は明るいが、その道は険しい。


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