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化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

浮遊粒子状物質の規制強化

2006-10-04 | 環境
石原都知事が自動車の排ガスにはこんなものが含まれている、といって黒い粉末の入ったビンをかかげて、都内のディーゼル車に排ガス浄化装置を付けさせたのは記憶に新しいところです。

アメリカ環境保護局は、大気中のparticulate matter:PM (粒子状物質)の規制値改定を発表しました。大気汚染防止法(Clean Air Act)により5年ごとに規制の見直しが求められており、今回の改訂はそれに沿ったものです。
PMは粒経2.5μm以下のfine particleと2.5から10μmのcoarse particleの2種類に分けられています。日本では10μm以下の粒子とひとくくりにしていますが、アメリカでは健康被害のより大きい2.5μm以下を区分けしています。

1997年に定められた現在の規制値のうち、PM2.5の日間基準値を65から35μg/m3に厳しくしました。PM2.5の年間基準値15μg/m3とPM10の日間基準値150μg/m3は据え置きとし、PM10の年間基準値を取り消しました。これは健康障害とPM10の長期間暴露の間に明確な科学的関係が見出せないことによるとしています。

PM2.5の日間基準値が厳しくなったことに対して、産業界からはいくつかの反論がなされています。PMは工場のばい煙や自動車、特にディーゼル車の排ガスが原因となっていますので、この規制が強化されることは、石油、ガス、電力業界にとってはコストアップの要因になることは確かでしょう。

APIは35μg/m3という数値は不完全な科学的根拠に基づくものだとしています。NPRAは石油精製、石油化学会社を含むすべての産業にとって、コスト負担を強いるものと言っています。1997年の規制は予想以上の効果を挙げているのだから、今の段階でこの規制値を厳しくする必要はないではないか、今回の改訂により年間で$20-60Billionのコストアップになるという意見もあります。

一方、全米肺疾患協会は当然歓迎で、35μg/m3に厳しくすることで$9-75Billion、PM2.5年間基準を据え置くことで$20-160Billionの健康メリットが見込まれると主張しています。さらに日間PM2.5を25μg/m3、年間PM2.5を12μg/m3にすべきだとも言っています。

コストアップにつながるからという理由だけで反論する産業界もどうかと思いますが、健康メリットと製造コストアップを直ぐに金額換算して主張するところがいかにもアメリカ的といえます。

もう一つ付け加えるならば、科学的根拠が不明確であったとして一旦決めた規制値を取り消すことのできることもアメリカ的であります。

自動車メーカーを訴えろ?

2006-09-22 | 環境
カリフォルニアの州検事は、地球温暖化が同州の環境、経済、農業、人の健康に被害を与えているとして、自動車メーカー6社を北カリフォルニア地裁に訴えました。

GM,トヨタ、フォード、ホンダ、クライスラー、日産は毎年289百万トンのCO2を排出している自動車を製造して、公共に対して迷惑を及ぼしていると主張し、賠償の責任があるとしています。

自動車は全米で5番目、カリフォルニアで3番目のCO2排出源であり、その責任は自動車メーカーにあるとしています。さらに大気汚染、海岸侵食、水不足によりイ1000万人以上が被害を受けていると主張しています。

自動車の排気ガスと水不足がどういう因果関係にあるのか理解に苦しみますが、言いがかりの感はぬぐえません。

案の定、自動車メーカーは反論しています。
先に北東部の7州が同様に環境被害という理由で電力会社を訴えたが敗訴した。それと同じように全く迷惑な話しだ。
今の自動車は一世代前のものに比べると99%クリーンになっている。さらに究極のクリーン自動車、水素自動車の開発を継続しているし、その間の繋ぎとして、フレックス燃料エンジンも開発した、ということです。

ちなみにフレックス燃料エンジンとはエタノール混合ガソリン用エンジンで、エタノールの混合比率がいくらであっても自動的に対応できるエンジンです。

さらに、訴えを起こした州検事総長は次の選挙に出馬予定なので、そのための人気取りだろうとのうわさもあります。

最も米国のメーカーは利益率の高いSUV車を積極的に販売してきました。SUVは燃費が悪いのでCO2排出抑制に米国メーカーが真摯に取り組んできたとは言いがたい面もあります。その間に、日本のメーカーの小型車、高燃費車に押されて、GMやフォードは販売不振でアップアップ状態ですから、米国メーカーは「空気を汚した」のではなく、「空気が読めなかった」という大きなつけをこれから払うことになります。

カリフォルニアのCO2削減法案 その2

2006-09-04 | 環境
カリフォルニアのCO2削減法案は議会を通過したものの、法廷での論争に移っています。米ではこれを経ないと発効はしないようです。(こういった法案成立の過程は良く知りませんが。)法案そのものについて産業界は賛成、反対に二分されているようです。

法案では2020年までにCO2排出量を25%削減するとしています。2009年までに細部の規制内容をまとめ、2012年からの運用を目指しています。規制の中には補助金や排出権取引などの項目も盛り込まれるようです。

米国では国としての統一された温暖化対策政策を欠いているので、各州、各地域がばらばらにまるでパッチワークのようにCO2削減に対応しています。例えば北東部7州では2019年までに発電によるCO2排出を10%削減することを決めています。
京都プロトコルを経てEUにより導入された温暖化抑制システムは有効に機能しないという意見があります。それは、排出権取引に当たってのベースラインの確定がずさんだからという理由によります。

カリフォルニアはこれまでも環境政策の先陣を切ってきました。同州が1960年代に実施したスモッグ規制はその後、1970年になってエアークリーンアクトとして全米で実施されるようになったという実績があります。
また同州は2004年に自動車からのCO2排出抑制を目的に2009年モデル車の燃費規制を決めましたが、これは北東部州に広がっています。最もいまだ自動車会社と法廷闘争中で法律自体は発効していませんが。
自動車会社にしてみれば、SOx規制・NOx規制と違って燃費規制は排ガスをフィルターに通せば解決出来るというものではなく、エンジンの再設計を迫られることとなり、コストアップを嫌っているためです。

この法案については産業界でも賛成、反対と意見が分かれているようです。
カリフォルニア製造・技術協会は、同州の単独先頭主義は州内経済の競争力を弱めるとしています。同州ではこれまでもエネルギー利用効率向上を継続して追及してきており、その結果としてエネルギーコストが最も高くなっています。ここからさらに1段アップのエネルギー効率向上は容易なことではなく、他州に対して大きな不利を背負うことになると主張しています。
温暖化が問題になるようであれば、省エネを進めるのではなく、技術の転換を図ればよい、と主張しています。これは、産業の転換ということでしょうが、同州にはその能力があるといいます。

賛成の意見はUCバークレーの研究グループからのものがあります。CO2排出量を1990年当時まで抑制すると、州内で$74ビリオン(州内GDPの3%)の生産が増大し、雇用が89,000人分生まれると主張しています。また、エネルギー効率向上の方策はまだまだ残されているといいます。
パソコンや半導体、インターネット産業のようにCO2規制により同州企業がエネルギー技術のトップランナーになれるとしています。確かに、CO2規制はハイテク産業にとっては対応しやすく、セメントや石油精製産業にとって対応することは簡単ではないでしょうが、すでにバイオ燃料などの取り組みも始まっています。

1970年当時の大気汚染浄化のための排ガス規制は、州内の大気汚染が全米中でもひどく、対応を迫られていたという背景があります。進んで先陣を切ったというよりも、最も早く対応しなければならなかったわけです。確かに、規制の内容はもっとも厳しいものであったことも事実です。
これに対して温暖化防止では、今現在カリフォルニアにおいて何か実害が発生しているわけではありません。(もっともこれは世界中そうですが)それゆえ、実害が無いのに、なぜ先陣を切るのかという意見があるものと思います。いずれにせよ、全米7位の経済圏でビジネスをしようとするのならば、この規制に対応していかなければならないようです。

CO2を半永久的に隔離する方法

2006-08-09 | 環境
最近ハーバード大、MIT、コロンビア大のグループは海底の中にCO2を圧入する方法を提案しています。この方法では半永久的にCO2を隔離することが可能との見通しです。昨今の世界のエネルギー需要の増加に対応するためには、地球上に最も多く存在している石炭の利用を抜きに考えることは出来ません。しかし石炭はCO2排出係数がもっとも大きな化石燃料ですから、地球温暖化抑止の観点からは、その利用を抑制しなければなりません。そこで、石炭火力発電所から排出される燃焼排ガス中のCO2を分離して、地中や海中、海底に隔離する方法が世界各国で研究されています。

特に油層中に圧入する方法は、原油生産量の向上にも役立つため、この方面の検討がおおうなされています。しかし、密封方法が確立できているわけではないので、ある程度時間がたつと漏れ出てくるのではという、課題があります。

ハーバード大などのグループが提案している方法は以下のようなものです。水面下3000m程度の海底のさらに海底下200mの場所にCO2を圧入すると、高圧・低温のためCO2は液体となる。周囲の流体よりも高密度なため流動せずに安定する。さらに水和物が形成されることで液体CO2の流動がさらに妨げられる現象も起こるので、地震などの振動があってもCO2が漏れ出すことは半永久的に無いといいます。

この様な隔離のできる場所については、アメリカの200マイル経済水域ゾーンを想定すると、現在の全米でのCO2排出量の1000年分以上を貯めることができる計算となり、実質的には無制限に隔離可能だといいます。

このようにCO2を隔離する場所を探す苦労はないようです。とすればCO2を分離、圧縮、圧入する設備が一番の検討課題となります。もちろん、実験的にそのような場所に圧入してみる必要があることは言うまでもありませんが。

化石燃料の埋蔵量には限りがあるので、いつまでの化石燃料に依存は出来ないという意見への本質的な反論にはなりませんが、少なくともCO2排出による地球温暖化の防止には役立つ方法といえます。

冷夏です

2006-06-23 | 環境
冷夏です。誰がなんといってもこれはもう冷夏としか思えません。6月も下旬になったというのに、日中の気温が20℃を超えた日が一体何日あったんだろうか。衣替えということで、夏用スーツに着替えたものの、夜帰るころには風に吹かれて寒いのなんの。

寒いだけならまだいいが、日照時間が以上に少ない。十勝地方では例年の17%だそうな。農産物への影響は必須です。

これもやっぱり、地球温暖化のせいでしょうか? 二酸化炭素排出による地球温暖化の影響で、冷夏の年が増加するのでしょうか。冷夏になると夏でも暖房を入れるので、ますます二酸化炭素排出が進んで温暖化が進み、そうすると冷夏がまたやってくるという、デフレスパイラスのようなことになるのでしょうか?

温暖化防止のためのクールビスというノータイ運動は非常にありがたいのだが、冷夏は全然ありがたく無い。

地球温暖化で仮に気温が3℃くらい上昇してくれると、農産物の収穫量は確実に上がるでしょう。ということは、バイオマスの収穫量も上がるということになり、カーボンニュートラルなバイオマス燃料の生産も増える、ということにならないか。温暖化はバイオマスの利用にとっては追い風といえるはず。

でも、北極圏の氷が解けて海面が何センチ(何十センチだっけ)か上昇に、水没する土地が出る。まー100年くらい先の話ですから、これから家を建てる人は少なくとも海抜100mくらいのところに建てればいいんじゃないの。なんなで順々に海抜の高いところに引っ越していけば、100年後に水没することも無いんじゃないか。とすると、必然的に首都移転をせねばならなくなり、それはそれでいいことではないのかなー。

ちょっと位の地球温暖化は大目に見ても良いという見方は出来ないもんか。
んー、無理があるかな。

頑張れ オイラーズ

2006-06-19 | 環境
日本中の関心がワールドカップに注がれ、大リーグではイチローが連続試合安打を続けている。日本真タック話題にならないが、NHLはスタンレーカップファイナルの真っ最中です。2年前くらいですか、きむたくのTVドラマでアイスホッケーやってましたね。残念ながら日本では日本リーグのチームが減ってしまって、マスコミで取り上げられる機会も全くなくなりました。でもホッケーは地上最速にして最強のボールゲームです。NHKさん、スタンレーカップくらい放映してください。でないと受信料拒否しますよ。

エドモントンオイラーズが15シーズンぶりの優勝に向けて頑張っている。相手はCarolina Hurricanes。ノースカロライナのチーム。1勝3敗と先に王手をかけられたが、第5戦はオーバータイムの末勝利し、第6戦は5-0と完勝して逆王手をかけて、敵地に乗り込む。グレツキーやメシエを要して5回の優勝を遂げた黄金の80年代以降、久しぶりのファイナル進出である。なんとしても、カップを手にしてエドモントンに凱旋して欲しい。と同時にカナダのチームが優勝するのも93年のモントリオール以来だそうだ。その意味でも是非勝って欲しい。

第7戦でホームチームが勝った例は11-2なのだそうだ。オイラーズにとってはとても不利な統計データだが、敵地で優勝を決めた例が無いわけでは無い。
やれば出来るぞ。フレーフレー オイラーズ!

環境財務諸表

2006-06-16 | 環境
NYTimesの記事より。27人の投資家グループが証券監視委員会に対して要望書を送ったそうだ。その内容によれば、企業の定期的財務報告の中に気候変動の問題とリンクする財務的なリスクも入れるようにすることである。

例えば、企業の持つビルが気候変動により引き起こされるハリケーンの通り道に無いかどうか、あるいは温室効果ガスの排出が帰省されるとその企業のコストは上昇するのかどうか、などを投資家は知る権利があるという。

日本でも環境報告書を発行して、自分たちがどれくらい温暖化を初めとして地球環境維持に後見するよう努力しているかをPRしている会社もある。
簡単に言ってしまえば、CO2を減らす努力をしていない、厳密に言うならCO2が減っていない企業は市場で排出権を買わねばならず、それは確実にコストアップでありかつ、企業イメージのダウンでしょう。

アメリカは京都議定書を批准してはいない。だからといって温暖化対策に全く協力しないというわけには行かないのだろう。米国企業には多国籍企業が多いのだから、海外会社はCO2削減を義務付けられている国で活動しているものもあるはずで、親会社が米国だからといってその国の決まりを守らなくても良いというわけにはならないですから。

こうなれば海外の子会社がやっているのだからということで、米国の親会社も必然的にCO2削減に取り組むという姿勢になるのだろう。そういう流れに逆らうような会社がもしあるのならば、これは公表してください、というのが投資家たちの要求のようである。

地球環境保全に寄与するということだけでは飯は食えないが、地球環境保全に寄与しないと飯を食っていけない時代です。

排出権取引

2006-05-17 | 環境
CO2排出権取引のお話。

先週、欧州で年に1回公表されるデータがインターネット上に誤って流れてしまったそうだ。予定より3日早かった。各国が自国の企業のCO2排出量を多く見積もりすぎていてCarbon creditを必要以上に持っていることが分かった。企業は自分のCO2排出量を多くしておきたいので、政府はどうしても多めに見積もってしまう傾向になるのは仕方が無い。

問題はCarbon creditが余っていることが予定より早く公表されてしまったことで、市場参加者から売りが殺到し、一気に31ユーロ/トンから22ユーロ/トンまで9ユーロ近くも下落したこと。
市場にVolatilityはつき物だが、排出権市場はその日の参加者が30-40と少ないので変動が大きくなってしまう。
さらにデータの公表が年1回というのはあまりに少なすぎ、少なくとも四半期に1回は公表するよう政府に要請している。

排出権取引はロンドンで2002年4月から始まり、現在は400口座がある。2005年の取引額は$10Billion、2006年は$30Billionを見込んでいる。日本でも環境省が2006年4月から開設し、現在の参加者は70社である。

排出権取引が本当に排出量を減らすことに、経済的にも効率的にも有効であるのかは疑問のあるところだ。取引は排出量削減に寄与しないという意見もある。

Carbon creditが余る人(場合)と足りない人(場合)があるから、取引が成立する。しかし市場になると実需とは関係の無い参加者が増え、実需以上の量が取引されるようになる。いい例がWTIである。但し、市場での取引量が増えるといつでも取引が出来るということとなり、それなりに利便性はあがる。このあたりは、排出権に限らずすべての市場の持つ意義ということになるのだろう。

ところでCarbon creditが余るとか足りないというのは、目標値あるいは制限値があるからだ。それがKyoto議定書になるが、途上国は参加していない。参加出来るわけが無い。これから経済発展を目指している国にとって、エネルギー需要が増すことは当たり前なわけで、先に発展をしてしまった国が一方的に途上国に対して、制限を付けることはできない。核兵器も同じような議論になる。しからば各国が好き勝手にやってよいかといえば、その先には大変な世界が見えるので何とかブレーキをかけたいのは皆同じ。総論賛成、各論反対の状態になる。

とすると、取引市場はそれなりに役割を果たすことが出来るのかもしれない、と期待をかけることも出来ようか。

地球温暖化の事実

2006-05-09 | 環境
ホワイトハウスは地球温暖化に関する研究結果を公表した。全文はclimatescience.govにて読めるらしい。その結論はこうだ。地表の温度は間違いなく温暖化が進んでおり、気候変動に対して間違いなく人間が影響を与えているという確かな証拠がある。

これはホワイトハウスがClimete change science programとして取り組む21の研究の最初のひとつの結論だ。
これまで10年以上にわたって、地表の温度上昇と上空(対流圏)の温度上昇のスピードが異なっているという議論が続いていた。研究者はそれぞれ異なった方法により気温変化を測定していることが、矛盾する結果を生む一因ではあろう。このような事情からBush政権は、温暖化ガスの蓄積が本当に気温上昇をもたらしているのかどうかを、科学的に検証することを優先させてきた。

今回の調査で、地表の気温上昇と上空の温度上昇に矛盾は無いという結論が出された。さらに、過去50年間の平均気温の上昇の唯一の原因は温暖化ガスの蓄積であり、それは主として石炭・石油の燃焼によるものと説明できるとしている。

しかしながら、現在のコンピューターシミュレーションでは地球の平均気温の上昇はうまく説明できるもの、熱帯地方では結果が大きく外れるなどの不備な点もある。従った引き続き調査研究を継続するとしている。なんといっても今回の研究は21あるうちの一つにしか過ぎないので。

どのような地球温暖化のモデルが確立できたとしても、今後十年、二十年で温暖化をとめることは不可能である。もちろん、温暖化ガスを排出しないエネルギー源を探すことは必要であるが、温暖化に適応するすべも同時に探す必要がある、と指摘する科学者もいる。

とはいえ、温暖化の因果関係の一端は明らかになったのだからBush政権もCO2削減に向けて思い腰を上げざるを得なかった(一般教書演説で)わけである。

カリフォルニアでのCO2削減法案

2006-04-05 | 環境
カリフォルニア州議会にすべての温暖化ガスの排出制限を義務付ける法案が提出されている。議会を通過すれば全米で初めてのCO2制限のある州となる。

法案では温暖化に関連するCO2やその他のガスについて、2020年までに1.45億トンを減らすことを義務付ける。これは2020年の排出予想量に対して25%の削減に相当する。
日本の2012年でのCO2削減量は6000万トン程度なので、このカリフォルニアの数値が以下に大きいかがわかる。

カリフォルニアはこれまでも環境政策に関して全米をリードしてきている。California Clean Actなどの排気ガス規制はその代表例である。排ガス規制に関しては日本も先端を行っていたが、ある時からCAがもっとも厳しくなった。

あのシュワちゃん知事によれば、太陽光や風力の活用を一層進めること、水素を自動車用燃料にすることなどを通じて、CO2削減を進めることのようだ。

京都議定書にアメリカは加わらなかったが、各州が独自に地球温暖化に対応するということになる。

リサイクルバンク

2006-03-01 | 環境
資源ごみのリサイクルで一番ネックになるのは、どうやって集めてくるかだ。逆に言えば資源ごみを出す人、一般の住民にどうやって協力を仰ぐかだろう。

フィラデルフィアでリサイクルバンクというユニークな試みが始まっている。まず、この銀行に口座を開く。すると家の前に専用のRecycle用ゴミ箱が置かれる。このゴミ箱にはごみ収集のときに測る重量情報を集めるような工夫がなされている。住民は、新聞や雑誌やビンや金属など、資源ごみになるものを分別せずにそのままこのゴミ箱に入れればよい。
それまで出した資源ごみの重量に応じてリサイクルバンクの自分の口座にリサイクルバンクドルがたまってくる。このドルは提携先のお店でクーポン券として利用できる仕組みだ。

利用できるお店はスターバックス、ホームセンター、ドラッグストア、コカコーラなど結構たくさんあるらしい。また、地元のモールに入っている商店でも使えるそうだ。また、環境教育を行っている団体に寄付金として出してもよいらしい。
もらえるリサイクルバンクドルの上限は月25ドルになっている。

自治体はごみ処理費が確実に浮く。
リサイクル業者は資源ごみの量が増えて、工場稼働率も上がり増収になる。
提携先のお店は環境活動に貢献しているというイメージアップになるという仕組み。
口座を開いた人は分別の手間も要らないのでどんどん資源ごみを出す。

なかなかいいアイデアのようである。これまで数千人規模での取り組みの実績があり、今後10万人以上に参加者を増やすせるよう自治体と交渉しているそうである。

CO2排出と地球温暖化 アメリカの事情

2006-01-30 | 環境
NYTimesの記事によれば「NASAの気候専門家がNASAから発言を封じられている」という。

この専門家が先月、地球温暖化に関連して温暖化ガスの迅速な排出削減を主張したため、現在は彼が外部に発信する情報のすべて(投稿、メディアのインタビュー、Webサイトへの掲載等)をNASA広報部が事前に検閲しているということである。

この専門家はかつて温暖化対策としては、燃焼で発生するすすを減少させることがCO2抑制よりも容易で効果的な方法であると主張していた。その当時はホワイトハウスの信頼も厚かったようである。

アメリカは京都議定書に参加していない。温暖化ガスにより地球温暖化が進んでいるという見解には一定の理解を示しているが、途上国が参加しない京都議定書による温暖化ガス排出削減は実効がないと主張している。

アメリカ国内には温暖化が進んでいるのは、温暖化ガスの排出が主原因ではなく、地球上で熱を発生させていること自体が原因である、との意見もある。となれば、燃焼の結果排出されるCO2が問題なのではなく、燃焼により熱が発生していること自体、熱の発生そのものが増えたことが問題となる。これに従えば、CO2を排出しない原子力発電も熱を発生させているので、地球温暖化の原因となる。

この意見に従えば、石炭、石油よりも天然ガスを利用する方が温暖化を抑制できるということにならず、省エネこそが温暖化抑制の決め手となる。

いずれにせよ、省エネを進めること、エネルギーの効率的利用を図ることが重要なのである。

2004年度温暖化ガスの速報値

2005-11-01 | 環境
環境省より温室効果ガス排出量速報値が出ていますので、少し眺めてみました。

速報値の但書きには、各種統計の年報値に基づいて算定されるが、現段階で2004年度の年報値が公表されていないものがあり、その場合は月報値を積算するかあるいは2003年度値を代用しているとある。したがって、数値そのものが確定されていないので、速報値というそうである。また、確報値は2006年4月頃に報告される予定とのこと。

ここまではなるほどとうなずけるのだが、さらに続けてまた基準年の排出量の確定に向けて、現在排出量の算定方法の精査を行っており、来年報告される排出量の確報地にはその結果も反映されることに留意が必要である、と書いてある。

基準年って、1990年のことのはずです。フロン等でも1995年のはずです。今から15年前の値をいまだに計算しているというのはいったいどういうことでしょうか。基準が決まらなければ、削減量も決まらないでしょうに。およそはわかっているが、細かい数値の再計算をしているという意味なのでしょうか。それにしても、今頃なんだよ、という感じです。こんな状況で温室ガス排出抑制のため、環境税を導入します、なんて言われてもね、と思うのは小生だけでしょうか。

さて、速報値の中身ですが、温室効果ガス全体では2003年度から0.8%減って、13億2900万トンになっています。基準年(確報値ではないそうですが)に比べて7.4%の増加です。また、目標値12億3100万トンまでにはあと9800万トン削減の必要があります。
温室効果ガスの中で最も量の多いエネルギー起源CO2については、2004年度速報値は11億8100万トンで2003年に比べて0.6%減っています。感覚的にはほとんど変わっていないというところでしょう。基準年からは12.6%増加しており、削減目標値は10億5600万トンですから、さらに1億2500万トンの削減が必要です。

ここで発表資料の中では、東電の原発長期停止の影響にも触れています。東電の計画では原発予定稼働率は84.1%ですが、実績は68.9%であり、そのため火力を稼動させていることからCO2排出は3500万トン余計に多くなっている。つまり、原発が予定通りならば、2.8%は減っていたという。ちなみに2003年度は原発利用率59.7%とさらに低く、それによりCO2は4.9%多く排出されていたそうである。
だから、原発が計画通り動けば目標値までの削減率は約10%となります。

原発利用率が計画に対してずいぶん低いように思います。原発は2008年から2012年にかけて予定通り稼動するでしょうか。もし動かなかったら、CO2削減量を守ることは難しくなります。
逆に言えば、原発が予定通り動けるように多少の整備不良があっても、見てみぬ振りをすることが必要になるのでしょうか。
ともあれ、原発頼みというのは心もとないですね。

原発の稼働率が多少落ちても、それを補えるくらいにほかの方法でCO2削減を達成しなければいけないでしょう。