プログレ・コラム９ - 「Come Una Zanzara」

昨日のコラムで Steve Hackett を取り上げ自分の中での「3大ギタリスト」を紹介しました。そこで彼らの次に好きなギタリストは誰かなぁ、とちょっと考えてみたのです。それなりに好きなギタリストはたくさんいますが、ベスト５、ベスト１０くらいに絞るとなるとなかなか難しいですね。

まず頭に浮かんだのがここ１年くらい聴きまくっている PendragonのNick Barrettです。シンプルで気持ち良いメロディアスなフレーズを作らせたら世界一ではないかと思います。続いて浮かんだのがAerosmithのJoe Perry。Aerosmithは昔KISSと共に好きなバンドで、Joe Perryのギターにも憧れコピーしたりしていました。ただあの独特のスタイル、フレージングはとても真似できませんでした。とにかく存在も含めかっこよすぎるギタリストです。続いて同じくハードロック系ではAC/DCのMalcolm Youngを挙げたいです。リズム・ギタリストとしてのリフ・ワークの完成度の高さ、そしてサイドワークに徹しバンドを支える姿勢は尊敬に値します。さらにがらっと畑がかわってManhattan Transferのツアー・ギタリストとして知られるWayne Johnsonも浮かんできました。Manhattan Transferの完璧なヴォーカル・アンサンブルを支える凄腕バックバンドの中で長年ツアーに参加しているギタリストです。バッキングワーク、ソロワークそしてギターサウンド含め全く隙がない、完璧なギタリストとして尊敬しています。

彼らはベスト１０には必ず入れたいギタリストですね。そしてもう一人、ここ数年とても気になっているギタリストがいます。元Formula 3、Il VoloのAlberto Radiusです。最初 Formula 3/「La Grande Casa」 のアコースティック・ギターを聴いてハッとさせられ、その後Il Voloの1stでやられました。ギターテクニックもさることながら、サウンド、フレージングのセンスに脱帽でした。

・Come Una Zanzara / Il Volo
Il Voloの1st１曲目に収録されている曲です。Il VoloはNumero Unoレーベル所属の凄腕スタジオ・ミュージシャンを集めて結成されたスーパー・グループとよく紹介されますが、この１曲目を聴くだけでその完成度の高さ、メンバーそれぞれの腕、センスの良さが分かります。「一匹の蚊の如く」という曲名が表すように、４分少々の短い曲の中に蚊の一刺しのようなさりげなく鋭いフレーズ、アンサンブルが何箇所も盛り込まれていて、何度もハッとさせられます。ギターは二人いるのでAlberto Radiusがどちらか聴き分けるのは困難ですが、どちらにしても音色、フレージング、アンサンブルはセンス良過ぎと言うか、完璧ですね。参りました。

この曲は７０年代前半のイタリアン・プログレ曲の中で最も洗練された曲のひとつではないでしょうか。そのころのプログレ曲に多い冗長さ、大仰さ、わざとらしさ（プログレ者としてはそれらももちろん好きなんですが、、、）が全く無い、無駄なく完成度の高い曲だと感じます。

Alberto RadiusのFormula3、Il Volo以外の活動はまだあまりフォローしていません。過去にソロ作品もいくつか発表しているようですし、気になるギタリストとして今後いろいろ聴いていきたいと思っています。