蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

「旅舎右馬允」泊(3)

2011-11-19 | 食・旅

そもそもこの宿に泊まることにしたのは、料理の評価が高かったからである。

料理のコンセプトは、「地」のもの、すなわち南アルプスの懐に抱かれた山里の様々な食材を使い、「創作」和食に仕立てるというものであった。その料理は、申し分なく美味しいものであった。

 

到着時に出された、栗の茶巾絞りの美味さに驚嘆した。ほど良い甘さの中に感じられる渋みが、栗たらんことを見事に示している逸品であった。なお、これはお祖母さんの手によるものだという。

 

夕食には次のものが提供された。先付プレート、小鉢3つ、岩魚の塩焼き、茶碗蒸し、岩魚のカルパチョ、五平餅、合鴨の石焼、雉鍋、蕎麦、香のもの、デザート。どれも質の高い美味しい料理であった。とりわけ、岩魚の塩焼きには、今まで川魚では味わったことのないふくよかな美味さを感じた。

 

一方、あえて言えばなのだが、私には物足りなかったのがメインの雉鍋であった。鍋の美味さは、1つにはつゆにあるが、あの雉のいい匂いがもう少しほしかった。これは、雉料理の専門店を営んでいる友人の雉鍋のつゆが、濃厚で雉のいい匂いがしっかりするので、それに食べ慣れてしまっているからかもしれない。

最後に出された蕎麦は、北海道の新蕎麦だそうだが、これは蕎麦粉そのものがよいものではなかった。

 

私達が宿泊した日は、私達2人のみであった。にもかかわらず、完璧な準備のもとに歓迎してくれる。料理にもどのくらい時間をかけているだろかと考えてしまうほど丁寧な仕事が施されていた。

この「旅舎右馬允」は、小さな宿の良さが余すところなく感じられる、おそらく日本でも稀有の宿ではないだろうか。

 


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