蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

蕎麦を味わう① -「布恒更科」・「ほそ川」他

2007-09-29 | 食・旅

一昨日所用で東京に出たので以前から訪れようと考えていた「八彩懐石 長峰」に行った。全国からよりすぐりの野菜を高級料亭や一流ホテルに納めている野菜問屋の三代目がオープンさせた野菜料理の店である。二人で行ったので「旬の野菜づくしコース」と「極そば・やさい天婦羅」を注文した。前者は、本当によい野菜が使ってあり、一品一品確かな仕事ぶりが伝わってくるいい料理であった。ただ明確に「これがメインだ」となる一品がないのでインパクトに欠けた。

この「長峰」には、事前にウェブで蕎麦があることを確認していたので、「布恒更科」と「ほそ川」に行ってみることにした。この2店は、まだ早いが新蕎麦の季節になったら、訪れようと考えていたのである。いずれも、いわゆる「十割蕎麦」が食べられる高名な蕎麦店である。「ほそ川」のみ新蕎麦であるとのことであり、他は店の人に確認できなかった。

「長峰」の蕎麦は、「めん」の太さが細すぎ、しかもあまりにも均一すぎた。細すぎて「めん」1本1本に力がなく、噛んでもコシがない。「めん」の1本1本が独立し生き生きとしていないので、お互いにくっつき合っているため水が切れない。そのため香りが立たない。一見、細切りで上品に見えるのだが残念であった。つゆは実によい。

私は、基本的に伝統的蕎麦店には蕎麦の未来を切り開く力はないと考えている。しかし、自家製粉に取り組むなど新たな道を模索している「布恒更科」の伊島節さんは一味違う。氏が、どこかでソバの乾燥率は16%がよいと言っているのを聞いただけで、何か違うと直感していた。
「生粉打ちそば」を頂いた。端的にいえば、「めん」が太すぎ、さらに硬質な感じのコシになってしまっている。つゆは濃すぎる。蕎麦とつゆはバランスが大切なのだが、この濃すぎるつゆでは、自家製粉でいい蕎麦にしていってもそのいい蕎麦がいかされない。つゆはいわば「黒子」で蕎麦を引き立たせる役割を果たさなければない。この点が残念である。
しかし、これからも伊島さんの仕事には注視していこうと思う。

名店の誉れ高い「ほそ川」は、吉川町にある頃から長い間訪れようと考えていた蕎麦店である。いただいた「せいろ」は、噛むとめんが切れず、「ぐちゃ」とし歯に貼り付いてしまう感じの蕎麦である。これは蕎麦が抱えた根本的に重大な問題である。私はこのような蕎麦はあってはならないと考えている。願わくは、私が食べたそばだけであってほしい。

私がこれまで触れてこなかったのは、蕎麦の香りについてである。以上3店とも、蕎麦の香りが不十分である。確かに、香りはあるのだが弱すぎる。これが最も残念な点である。もっと香りの高い蕎麦を提供しないと、蕎麦はその存在価値をなくしてしまうと思う。

cf) ソバは冷蔵保存をしようと思う。感謝します。



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