蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

蕎麦打ち (7)

2006-06-12 | 蕎麦打ち
前回まで加水方法について考えてきたが、今回は水回しについて考えてみたい。

水回しについては片倉さんの『手打そばの技術』に「およそ一分程度、両手の動きにして百数十回も、かきまわしたり、撚りをかけたりしているうちには、すっかり水がまわり、粉のままのところはなくなって、無数の小さな、塊に変わっている」とある。

私は、この文章などから、水回しの最初が大切だと知って、水を打つと素早くかき回した。思い切りかき回すことで蕎麦打ちが少しずつまともになっていった。今でも可能な限り素早くかき回すことにしている。すでに述べた蕎麦粉の持つ性質から、かき回す速さが速いほど、水回しはよいと思う。

ある時、NBさんと私は片倉さんの高弟の方の水回しを偶然見る機会があった。かき回すのが、あまりにもゆっくりなのに驚いた。これは、NHKの高橋邦宏さんの蕎麦打ち講座を見ても同じであった。片倉さんの本の記述と氏の門下生たちの水回しの間にあまりにも大きな違いを、私は感じる。いったい片倉さんが実際に行っていた水回しはどうだったのだろう。

高橋さんの水回しには、さらにもう一つ疑問がある。それは加水方法についてである。
加水方法に問題があるから、「大きな塊は・・・指で突き崩すように」(『こだわりのそば打ち入門』)しながら水回しをしなければならないのだ。加水方法に問題がなければ、同書の解説の写真の段階で「大きな塊」は出来ないし、その結果「指で突き崩」す必要もない。

前回まで述べたように、水がどっといく部分があるために、水回しの初期の段階で「大きな塊」ができてしまうのである。