玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

1月の観察会

2023-01-08 17:32:01 | 花ごよみ
1月8日に今年初めての観察会をしました。鷹野橋に常連が集まりました。



今回は、最近ナラ枯れの木が伐採されたので、年輪を調べることにしました。寒いかとも思いましたが、眩しいような良い天気で、風もなく寒くはありませんでした。電車の窓から富士山が見えました。
 鷹野橋の近くにあったコナラの切株から始めました。その切株面にナラ枯れの犯人であるカシノナガキクイムシのトンネルあとがありました。

カシノナガキクイムシのトンネルあと

年輪を外側からカウントし、5本ごとに外側からの幅を測定しました。中身は真ん中にあるわけではないので、年輪幅の広い、カウントしやすい場所を探して数えました。5本ごとに小さな釘を立てて、目印にしました。


こうして4つの切り株を調べました。直径は細いものは26.1 cm、太いものは70.4 cmもありましたが、年輪は(1本は中心部が腐っていて不明でしたが)70本から75 本まででした。直径70.4 cmのものは100歳以上ではないかと期待したのですが、年輪幅が広くて結局は70歳でした。この断面に達するまでに何年かかったかはわからないのですが、それを数年とすると、ほぼ戦後に伸びたもの、つまり私とか松山さんとほぼ同世代と思われます。そのことは玉川上水の空中写真を見て納得ができます。その頃まで玉川上水には大きな木は点々としかありませんでした。雑木が育ったのはその後だと言うことです。

 時間になったので、あとはゆっくり散歩することにしました。
「あれはヤマコウバシと言いますが、落葉樹なのにずっと茶色い葉がついています。クロモジの仲間なので、クロモジほどではありませんが、いい香りがします」


ヤマコウバシ

いこい橋で南側に移って鷹野橋の方に向かいました。橋のたもとに大きなイボタノキがありました。
「これはネズミモチなどと同じ仲間で、あまり多くありませんが、これは大きな木です。初夏にたくさん花が咲いてとてもいい匂いがし、橋を歩いていても匂いがわかりました。今は果実がなっていますが、小さいですが、ネズミモチによく似ていますね」


イボタノキ

玉川上水の南側なので日当たりが良く、歩いていてもぽかぽか陽気でした。
「あ、サネカズラだ」
よく見ると赤い果実が見つかりましたが、どれも小果が3、4個しかついていません。誰かが中心部のスカスカしたものを見つけました。それには小果が付いてはいますが、半分くらいはなくなっていました。
「ああ、こういうのの外側に赤いのがついてるのね」
「ビナンカズラとも言うそうです」
「どういう意味?」
「昔これをポマードに使ったので、これでいい男になれるという意味だっらようです」
「へえ」
それからノイバラ、サルトリイバラ、ツルウメモドキなどの果実も見つかりました。
「こちら側は日当たりがいいから大きい木がないこういう場所にはつる植物がたくさん生えています。賑やかな感じですね。今日調べた場所は高い木が伐採されたから、ここのようになると思います」

アオツヅラフジ

サルトリイバラ

スイカズラ

ツルウメモドキ

ノイバラ

ヤブコウジ


「あれはユズリハです」
「ユズリハってどう言う意味だ?」
「葉が入れ替わりながら譲っていくからでしょ」
「常緑って言いますが、ずっと緑色の葉がついていると言うことではありません。冬の間に緑色なので常緑と言いますが、春になって新しい葉が出てくると古い葉が落ちます。日本では昔、家が代々続くことがめでたいことだと言われてきました。だから、ユズリハのように葉が重なりながらついているのを、世代が連なっているとみて、それが入れ替わりながら、常緑であることをいかにも繁栄しているとみて、世代を譲るという意味だと思います」
「なるほど」


説明する

 雑談をしながら水車橋にきたので、締めくくりました。
「集まってもらい、ありがとうございました。アサココの年末のものにも書いたのですが、なんだか嫌な時代になってしまい、信念と言ってもあまりめでたいという感じはしません。本当に人の愚かさを感じます。そうであるだけに、そういうことと関係なく、営みを続ける野草に、何か学ぶような気持ちになります。あまり目立ったことはしないで、コツコツと野草を眺めるようにしたいと思っています。こういう観察会もマイペースでやっていきますので、ご参加ください」
その後で、昨夜のNHKの超進化論に話になりました。最後のところでソバ畑の畦道の雑草を刈り取らないように農家に頼んだら、ソバの終了が1.5倍に増えたのだそうです。それは畦の雑草を眠るのに使う昆虫が増えて、それが昼間に授粉をするようになったと言うことでした。実はその研究をした宮下先生は私が東大にいた時の同僚です。今朝メールをしたら返事が来ていました。その人自身が半信半疑ながら3年継続して3年とも同じ結果だったので自信を持ったと言うことでした。NHKのスタッフはとても優秀だったと言っていました。
 豊口さんが
「今夜も同じシリーズの微生物編があるので、是非見てください」
と言いました。
 そんな雑談をして解散としました。

写真の多くは豊口さんによるものです。ありがとうございます。
コメント
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