落武者の行方

09.02.02>>>迷走中?(since 04.09.13)

東京藝大シンフォニーオーケストラ ドイツ公演記念演奏会

2009-08-01 | music
まずはじめに。

「あなたは、どうして携帯電話の電源を切れないんですか????」

もうここまで来ると、何かとてつもない理由があるのかと思いたくなるほどです。
このところ行く公演行く公演で、演奏中に着信音が鳴ります。

誤解を恐れずに、こういう場だからこそ言わせてもらいますが、
「おまえなんか携帯着信音地獄で死んでしまえ」
ですよ。はっきり言って。
あそこにいるその他全ての人、物に対して冒瀆以外の何物でもない。

なんですか?
身内の方が今にも亡くなりそうでいつ連絡くるかわからないから切れない?
自分や会社の命運がかかる仕事の連絡がはいるから切れない?
・・・・・・・
そうだとしたら、なんで呑気にこんなとこいんのアンタ、ってだけの話です。

じゃあ、携帯の故障で勝手に音が鳴っちゃったのよ?
だとしたら、残念でした、という感じですが、不穏な空気に気づいたなら電池パック抜いておくとかしなさいよ。
神経質すぎるかと思いつつ、私は以前故障してた時そうしました。

音が消えゆき曲が閉じんとしている時に、あまりに能天気な、持ち主の阿呆加減を表すような着信音。

「私に限って、ねぇ~」
世間によくある話ですね。馬鹿か。
昨日の演奏会は性質上奏者の身内の人間も相当いたと思いますが、そうだったらお笑い話以外の何物でもない。


自己中なんで、結局のところ、
「頼むから、俺の楽しい音楽の時間を邪魔しないでくれ」
です。
お前がどんな聴き方をしようと、興味がなかろうと勝手だが人の邪魔をする権利は無い。
二度と来てくれるな。家でピロピロ着信音に囲まれて一人喜々としていなさい。




毎回怒りを鎮めていたのですが、あまりにヒドイので書かせて頂きました。







というわけで、途中怒りにうちふるえた演奏会(笑)でしたが、最後はとても気分よくしてもらい、会場を後にしました。
7月31日に開催された、「東京藝大シンフォニーオーケストラ ドイツ公演記念演奏会2」です。

プログラムは、
ヒンデミット「ヴェーバーの主題による交響的変容」
高橋幸代「sandra―光満ちる海へ―」
細川俊夫「沈黙の海」ピアノ、弦楽オーケストラ、打楽器のための
----interval----
プロコフィエフ「交響曲第5番」作品100

指揮は:高関健
ソリストは:入江一雄



プログラムが進むに従って良くなっていった感じがしました。

ヒンデミットは安全運転気味で、金管に安定感が無い感じがしました(でもやっぱりこの曲は面白い。スケルツォとマーチ楽しいですよねー)。

ドイツへの派遣へあわせて、募集選考された初演曲「sandra」は作曲修士2年の高橋さんの作曲。
小慣れた巧い曲だと思いました。sandraとはサンスクリット語で海の意味だそうで、明快な構成だし分かり易いモティーフも織り交ぜつつ、音色や奏法選びなんかも素人からみたらしっかり纏め上げられている感じはします。
ただ、なんかもっとこう若さゆえの(??)えも言われぬ感じとかキレタ感じがあってもいいんじゃないか、と思ったりもしたのですね。
冒頭に書いた携帯着信音はこの曲のラストです。
御本人も勿論いて、初演を緊張して聴いていただろうに…。

続いて細川さんの2002年の曲。
“海”が続きます。
まあ細川さんの曲は海の名がついたものが非常に多いので…。
日本発の海外向けプログラムでは、武満さんか細川さんをいれるのはやはり一つ有効な手段なんでしょう。
これはなかなか良かったように思います。初めて聴いたんですが、細川さんだなーという感じ。
この編成でも息がつまりそうになる重さがあるのはさすがだと思います(他界した父への追悼の曲だそうです)。
そして、なんと細川さん会場にいらしてるじゃないですか!
別にだから何ということもないのに、ミーハーな俺はそれだけでテンションが上がりました。単純…。

そして、休憩後はプロコの5番。
終戦間近、作曲を通して祖国への奉仕を!と作曲されただけあって、まあ通して「社会主義勝利だー」と言わんばかりの賑やかで壮大かつプロパガンダ的な曲ですが、それでもプロコフィエフらしさが所々で出ているのが良いですね。
途中、ホルンが一人舞台を去りましたが、大丈夫だったんでしょうか。
倒れそうにでもなったのか…。

そういえばプロパガンダということで、先日朝日新聞のGLOBEで藤倉大さんが特集されてましたが、嫌いな作曲家はショスタコーヴィチだとのこと。
進歩に拘る者として「政治的理由があるにせよ、前に進んでいない。彼がいなくても今日の音楽は変わっていない。」と。
なるほど、そういう見方もあるかー。
僕自身はショスタコの音楽は別に嫌いではないですが。まあ、作品の真の意味についても現代になって諸説あるようですしね。
本人にしか分かりませんね、その辺りは。


と、話がまたそれて。
なかなか珍しいプログラム構成、まあ2日連続で第1日は第9やることを考えれば…、で楽しめました。
さらに「向こうではアンコールをやらなければならないので。」と高関さんのコメントで自動的にアンコール。

武満徹「3つの映画音楽」よりワルツ
エドゥアルト・シュトラウス「カルメン・カドリーユ」


アンコールも良かったなー。
ワルツは確か安部公房の「他人の顔」の映画の曲でしたよね?
良い…良い…。
シュトラウスも楽しい…。

ツボをしっかり押さえたパフォーマンスで、ちゃんとやれば楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。
ドイツでは昨日以上に頑張ってください。