今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

充実したGround round

2009-02-11 21:34:31 | 臨床留学
毎週水曜午前はカンファレンスです

今日のラインアップはこれまでで1、2を争うヒットでした(個人的に)

朝8時からFord Auditorium という大ホールでアテンディングを含めたメンバー向けのレクチャーが3つ





Conference8:00am-8:40am
Grand Rounds - ''Vitamin D: Is sunshine the answer to all of our problems?''
Ford Auditorium (Dr. CK)
Conference8:40am-9:20am
Grand Rounds - ''Dispirited Doctors?''
Ford Auditorium (Dr. KK )
Conference9:20am-10:00am
Grand Rounds - ''Managing Chronic, Non-Terminal Pain: UMHS Clinical Guideline”
Ford Auditorium (Dr. PR)


そのあとカンファレンス室に移動して、レジデント向けのレクチャーが二つ

Conference10:10am-11:00am
Uh Oh. Sara's Been Admitted Again!! What Should I Do With Her Narcs?
L-2020 Women's Conference Room (Dr. DB)
Conference11:00am-12:00pm
Updates in OB
L-2020 Women's Conference Room (Dr. CB)



まず最初のビタミンDの話は、レジデントによるトークです

ビタミンD不足は、最近レジデントの間でもあつい話題で、

1. ビタミンD不足は多くの人にみられる=アメリカ人の60%程度
2. ビタミンD不足は万病のもと=癌を含めて,あらゆる疾患との関連性が示されている
3. ビタミンDの補充で、トータルの死亡率の低下もふくめ、多くの疾患が減少している

これを鵜呑みにすると

「アナーバーのような日照時間が短いエリアでは、全員がビタミンDのスクリーニングを受けるべきで、大部分がビタミンDの補充を受けるべき」となってしまいます

ただ個々のエビデンスレベルが低いので、コストなども含めて

これをpublic healthの問題として取り上げるのは問題があり

現段階では、あくまで個々の医者の判断にとどめるレベルにすぎません

コクランでもいくつかプロジェクトがすすんでいますし

数年以内に何らかのガイドライン(プロトコール)が示される病態ではあります


2番目のトークは、産婦人科の若手の先生がフェローの時に発表した論文について話してくれました

大変興味深い話なので、あらためて書きたいと思います

3番目は慢性疼痛に対する麻薬処方の話

ミシガン大のガイドライン作成の中心メンバーである、家庭医のFacultyが話をしてくれました

さらにカンファレンス室にうつって4番目の話は、レジデントを対象としたもっと具体的な麻薬の使い方

その道のエキスパートの先生らしく、目からウロコのTipsをたくさん聞くことができました

3、4番目の話は要するに,「慢性疼痛の管理は,急性の痛みとは根本的に違う」という話なのですが

いくらプライマリケア医が苦心して治療計画を立てても、患者さんがERに行くと、ERの先生は患者さんを家に帰す目的で安易に麻薬を処方します

中毒の人たちはそれを知っているので、ERの常連となるのですが

つい最近、私もそのような症例に遭遇したので

「今日のトークはERの先生にも聞いて欲しい話だよね」とあとで同僚と話題になりました

他の施設のERの先生に聞かれたら「うちは違う」と怒られるかもしれませんが・・・


そして最後のUpdates in OBは、4つのトピックにおける最近の知見

例えば胎児心拍モニターの定義が昨年から変わったという話など

最近FMBのローテーションを終えたばかりということもあり,大変興味深く聞けました

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