あと数日で、魔の大学病棟ナイトシフトも終了です
以前書いたかどうか分かりませんが
そもそも大学病院の家庭医療病棟って何してるの?
という疑問があると思います
それにこたえるために、当病棟の最近の事情をお話しします
ミシガン大の大学病院、家庭医療科病棟は
アナーバー近郊に散在する、家庭医療科の5つのクリニックにかかりつけの患者さんが入院をする時の受け皿になる病棟です
クリニックと言っても、日本のようなソロプラクティスではなくグループプラクティスで
各クリニックに、指導医だけでも10~20人ほど所属しています
それに加えて、レジデントも計30人、さらにフェローもいますので
患者さんもかなり大きなpopulationになります
これらのかかりつけ患者さんが、西の方はチェルシー病院に入院し、東の方は大学に入院します
さらにはお年寄りのcommon diseaseはチェルシー、複雑な病態は大学病院という傾向もあります
さて患者さんが入院する時は、殆どの場合、救急に一旦かかります
そこで入院の要否を判断し、病棟に連絡が入ります
この際に、「家庭医療科にかかりつけ」であることを厳密に確認することが私たち当直医の仕事です
大学自体に全く初めてかかる人や、所属のない人は総合内科が入院を引き受けることになっています
総合内科と言っても、レジデントがいる内科病棟が昔は引き受けていたのですが
「困った時の何でも屋」的な受け皿をずっと引き受けて疲弊するという問題があり
最近はホスピタリストという、プライベートプラクティスのグループが引き受ける場合が多いようです
これらの医師は、1人入院させたら「いくら」と報酬があり、何でも屋的な役割を引き受けているのです
さて、家庭医療病棟に話を戻しますが
かかりつけ患者さんであれば、よほど専門治療が必要な場合でも、臓器専門科ではなく、家庭医療科に入院することが殆どです
例えば最近の患者さんのラインアップをみると
専門科コンサルトが多く、外科系の処置が必要でも、家庭医療科に入院することが殆どです
ところで、当病棟の最近の悩みは患者数の増加です
年々、入院患者が増加し、レジデントが疲弊しています
例えば私が当直をしている直近の1週間の患者数は16人です
この人数だと
一人当たりの平均在院日数が2-3日ですので
毎日5、6人の入院と退院があることになります
アメリカの病院全体に言えることですが、在院日数がどんどん短縮され
病院全体がICU化している感があります
つまり入院している人=重症
ちょっと落ち着けばすぐ退院で
例えば感染症は、抗生剤が効きそうだと判断されると
経口に切り替えるか
PICCライン(Peripherally inserted central catheterの略で末梢から入れる中心静脈カテーテル)を入れて在宅で点滴をセッティングして即退院です
ですから16人といっても、日本で診ていた患者さんの感覚で言えば
患者さん一人当たり、倍以上の仕事量がある気がします
ですから、「かかりつけだけをみる」という枠組みを死守することは、自分たちを疲弊から守るためにも死活問題なのです
ナイトシニアは、この患者さん達を夜間1人で診なければいけませんので
忙しい時は、結構大変です
同時に4人入院が入ったり![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_z.gif)
そんな時に限って、入院患者の容態が悪化したり![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ase.gif)
ちなみにアテンディングは自宅待機で、電話で適宜、報告、相談しますが
病院に夜間来ることは皆無です
それでもなかなか豊富な疾患層で、知的好奇心もくすぐられますし
小暇が空けば、こうしてブログを書くこともできますので
慣れてくると、なかなか良い経験です
といってもいつ、嵐に見舞われるか分かりませんので
今夜も無事に嵐に見舞われず過ごせることを祈っています![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_please.gif)
以前書いたかどうか分かりませんが
そもそも大学病院の家庭医療病棟って何してるの?
という疑問があると思います
それにこたえるために、当病棟の最近の事情をお話しします
ミシガン大の大学病院、家庭医療科病棟は
アナーバー近郊に散在する、家庭医療科の5つのクリニックにかかりつけの患者さんが入院をする時の受け皿になる病棟です
クリニックと言っても、日本のようなソロプラクティスではなくグループプラクティスで
各クリニックに、指導医だけでも10~20人ほど所属しています
それに加えて、レジデントも計30人、さらにフェローもいますので
患者さんもかなり大きなpopulationになります
これらのかかりつけ患者さんが、西の方はチェルシー病院に入院し、東の方は大学に入院します
さらにはお年寄りのcommon diseaseはチェルシー、複雑な病態は大学病院という傾向もあります
さて患者さんが入院する時は、殆どの場合、救急に一旦かかります
そこで入院の要否を判断し、病棟に連絡が入ります
この際に、「家庭医療科にかかりつけ」であることを厳密に確認することが私たち当直医の仕事です
大学自体に全く初めてかかる人や、所属のない人は総合内科が入院を引き受けることになっています
総合内科と言っても、レジデントがいる内科病棟が昔は引き受けていたのですが
「困った時の何でも屋」的な受け皿をずっと引き受けて疲弊するという問題があり
最近はホスピタリストという、プライベートプラクティスのグループが引き受ける場合が多いようです
これらの医師は、1人入院させたら「いくら」と報酬があり、何でも屋的な役割を引き受けているのです
さて、家庭医療病棟に話を戻しますが
かかりつけ患者さんであれば、よほど専門治療が必要な場合でも、臓器専門科ではなく、家庭医療科に入院することが殆どです
例えば最近の患者さんのラインアップをみると
- 神経サルコイドーシス=痙攣を繰り返し、神経内科コンサルト
- 脳性麻痺の意識障害=シャント不良が判明し脳外科でOpe
- 肺癌患者さんの両側性肺気胸=トロッカー管理、胸外コンサルト
- Sickle Cell Crisis=疼痛管理と輸血、血液内科コンサルト
- Marfan Syndrome、脊椎膿瘍=整形、感染症科コンサルト
- 心房粗動、痛風=循環器科コンサルト
- 大腸憩室炎=単独診療
- 急性膵炎=単独診療
- DCM患者のSyncope=循環器コンサルト、心カテ施行
- COPD患者のH1N1=単独診療
- 扁桃周囲膿瘍=耳鼻科、感染症科コンサルト
- COPD、肺炎=単独診療
- 糖尿病患者の胸痛=ACSの除外、単独診療
- 薬物中毒の意識障害=精神科コンサルト
- 高齢女性の貧血=血液内科コンサルト、AIHAの診断
- 蜂窩織炎=感染症科コンサルト
- ウイルス性髄膜炎=神経内科コンサルト
専門科コンサルトが多く、外科系の処置が必要でも、家庭医療科に入院することが殆どです
ところで、当病棟の最近の悩みは患者数の増加です
年々、入院患者が増加し、レジデントが疲弊しています
例えば私が当直をしている直近の1週間の患者数は16人です
この人数だと
一人当たりの平均在院日数が2-3日ですので
毎日5、6人の入院と退院があることになります
アメリカの病院全体に言えることですが、在院日数がどんどん短縮され
病院全体がICU化している感があります
つまり入院している人=重症
ちょっと落ち着けばすぐ退院で
例えば感染症は、抗生剤が効きそうだと判断されると
経口に切り替えるか
PICCライン(Peripherally inserted central catheterの略で末梢から入れる中心静脈カテーテル)を入れて在宅で点滴をセッティングして即退院です
ですから16人といっても、日本で診ていた患者さんの感覚で言えば
患者さん一人当たり、倍以上の仕事量がある気がします
ですから、「かかりつけだけをみる」という枠組みを死守することは、自分たちを疲弊から守るためにも死活問題なのです
ナイトシニアは、この患者さん達を夜間1人で診なければいけませんので
忙しい時は、結構大変です
同時に4人入院が入ったり
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_z.gif)
そんな時に限って、入院患者の容態が悪化したり
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ase.gif)
ちなみにアテンディングは自宅待機で、電話で適宜、報告、相談しますが
病院に夜間来ることは皆無です
それでもなかなか豊富な疾患層で、知的好奇心もくすぐられますし
小暇が空けば、こうしてブログを書くこともできますので
慣れてくると、なかなか良い経験です
といってもいつ、嵐に見舞われるか分かりませんので
今夜も無事に嵐に見舞われず過ごせることを祈っています
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_please.gif)
先生もお体に気をつけて下さい〜!