イマカガミ

こころにうつりゆくよしなしごとを・・・

統計数字を疑う

2007-07-05 21:36:33 | 
を読む。
よい本。

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各種統計の算出方法やその問題点が述べられている。
毎年折に触れて出される怪しげな「経済効果」や、
割れ窓理論の効果、金科玉条のように扱われる経済成長率。

中心の話題はGDPの算出方法だ。
GDPは1%程度の上方バイアスがかかっていることは有名な話だが、
それが要素別に解説されている。
驚くのは、こんなにラフな見積もりで1%しかずれないことと、
こんなにラフな数字で世の中が一喜一憂することだ。
全てを詳細に見積もり積算することは不可能であるから、
あるところで見切りをつける必要がある。
そのあたりは同情するが、あまりでないかい。

この本の内容とは直接関係ないけれど、
どうして経済統計は基準に対する伸び率が一定であると安直に信じているのだろう。
一口に1%の伸びといっても、もとが100なのか10000なのかで
達成する労力はまるで違う。
「効率」は規模に依らず一定である、と信じているということだろうか。
経済学における純真な仮定から導かれる結論が、
その仮定が忘れられて一人歩きしているように見える。